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ガタカ Gattaca (1997)

遺伝子操作で完璧な”適正者”を誕生させることが可能になった近未来を舞台に、不適正者として生まれた青年の苦悩と宇宙への憧れを描く、製作ダニー・デヴィート、監督、脚本アンドリュー・ニコル、主演イーサン・ホークユマ・サーマンジュード・ロウローレン・ディーンゴア・ヴィダルアラン・アーキン他共演のSF映画の秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:アンドリュー・ニコル

製作
ダニー・デヴィート
マイケル・シャンバーグ
ステイシー・シェア
脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:スワヴォミール・イジャック
編集:リサ・ゼノ・チャーギン
美術・装置
ヤン・ロールフス
ナンシー・ナイ
音楽:マイケル・ナイマン

出演
ヴィンセント・アントン・フリーマン:イーサン・ホーク
アイリーン・カッシーニ:ユマ・サーマン
ジェローム・ユージーン・モロー:ジュード・ロウ
アントン・フリーマン:ローレン・ディーン
ジョセフ局長:ゴア・ヴィダル
ヒューゴ捜査官:アラン・アーキン
シーザー:アーネスト・ボーグナイン
レイマー医師:ザンダー・バークレー
遺伝学者:ブレア・アンダーウッド
ジャーマン:トニー・シャルーブ
マリー・フリーマン:ジェイン・ブルック
アントニオ・フリーマン:イライアス・コティーズ
ヴィンセント・アントン・フリーマン(幼少期):メイソン・ギャンブル
ヴィンセント・アントン・フリーマン(少年期):チャッド・クリスト
アントン・フリーマン(幼少期):ヴィンセント・ネルソン
アントン・フリーマン(少年期):ウィリアム・リー・スコット

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1997年製作 106分
公開
北米:1997年10月24日
日本:1998年5月2日
製作費 $36,000,000
北米興行収入 $12,339,630


アカデミー賞
第70回アカデミー賞

・ノミネート
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
近未来。
宇宙飛行士になるために航空宇宙企業”ガタカ”に入社したエリーとで、”ジェローム・ユージーン・モロー”に扮するヴィンセント・アントン・フリーマン(イーサン・ホーク)は、局長ジョセフ(ゴア・ヴィダル)から声をかけられ、打ち上げは予定通り行われると言われる。

薬物検査を受けたヴィンセントは、担当したレイマー医師(ザンダー・バークレー)から、土星に第6衛星”タイタン”に向かう心境を訊かれ、特別な思いはないと答える。
__________

遺伝子工学の進歩で胎児の状態で劣性遺伝子を排除することが出来るようになっていたが、両親アントニオ(イライアス・コティーズ)とマリー(ジェイン・ブルック)の間に遺伝子操作をされることなく誕生した男の子は、ヴィンセント・アントンと名付けられる。
...全てを見る(結末あり)

生まれた瞬間に寿命は30歳と判断されたヴィンセントは、成長するものの、健康でないことを理由に幼稚園の入園なども断られる。

アントニオとマリーは、次の子は”普通”の方法で産むことを決意し、遺伝子操作により有害な部分は排除されて”適正者”である男の子が生まれて、アントンと名付けられた。

順調に成長し8歳になったアントン(ヴィンセント・ネルソン)は、11歳のヴィンセント(メイソン・ギャンブル)よりも背が高く体力で勝っていた。

物心ついた頃から宇宙飛行士を目指していたヴィンセント(チャッド・クリスト)は、心臓が弱く能力的に無理だと両親から言われる。

履歴書を偽っても細胞を調べられれば不適性と判断されるヴィンセントだったが、アントン(ウィリアム・リー・スコット)の体力を上回る日が訪れる。

どこまで泳ぎ続けられるかの肝試しでアントンに勝ったヴィンセントは、家を出て仕事を転々とする放浪生活を数年続ける。

ガタカの清掃員として、責任者シーザー(アーネスト・ボーグナイン)の下で働くようになったヴィンセントは、DNAブローカーのジャーマン(トニー・シャルーブ)と出会う。

優れた遺伝子を持ち、水泳界のスーパースターだったジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ)は、事故に遭い歩行困難となった。

ジェロームに成りすますことになったヴィンセントは、脚を手術して背まで伸ばし、ガタカの面接を受けて採用される。

不適正が発覚しないよう細心の注意を払ったヴィンセントは、ジェロームの尿サンプルと入館チェック用の血液、その他の体の組織などを提供されて彼になり切った。

順調に出世をしたヴィンセントは、疑われていた上司が変死したために追い詰められる。

捜査を担当したヒューゴ捜査官(アラン・アーキン)に協力するよう、ジョセフから指示されたアイリーン・カッシーニ(ユマ・サーマン)は、それに従う。

事件の影響で打ち上げが延期されるかをジョセフに尋ねたヴィンセントは、予定通り行われると言われる。

それをジェロームに話したヴィンセントは、邪魔者も死んだことを知らせて、捜査で何か分かっても、その頃は宇宙だと伝える。

ヴィンセントのデスクの引き出しのクシについていた毛髪を調べたアイリーンは、異常がないことを確認する。

事件現場のゴミを調べていた鑑識は、まつ毛から不適正者(ヴィンセント)のDNAを検知する。

翌日、不適正者が失踪した清掃員だということを上司のアントン(ローレン・ディーン)に話したヒューゴは、入館記録を調べるよう指示される。

ヒューゴは、まつ毛の件と容疑者が確定されたことをジョセフに報告し、体力チェックを受けていたヴィンセントは、その場にいたアントンに気づかない。

アントンに入館記録を渡したアイリーンは、いつも宇宙船の打ち上げを見守るヴィンセントと話しをする。

見つかったまつ毛から、不適正者のDNAが検出されたことをアイリーンから知らされたヴィンセントは、自分のデータも調べた彼女から、その優秀さに驚いたと言われる。

心不全の恐れがあり、地球上だけでしか旅ができないと話すアイリーンに、そうは見えないと伝えたヴィンセントは、調べてみるようにと言われて、彼女から髪の毛を渡されるものの、それを捨ててしまう。

不適正者の手配写真が館内に流されたために焦るヴィンセントは、帰宅して、自分のまつ毛がゴミから拾われてしまったことをジェロームに話す。

心配はいらないと考えるジェロームに手配写真の話をしたヴィンセントは、間違いなくバレると言って尿サンプルを捨ててしまう。

血液も捨てようとしたヴィンセントは、相手に見えるのは自分だけだとジェロームから言われて、一応納、得する。

いつものように身支度をして、約束をしていたアイリーンと出掛けたヴィンセントは、ピアノの演奏会会場に向かう。

不適正者の居住区を調べたヒューゴは、事件現場であるガタカの半径8キロ以内の捜査をするようアントンから指示される。

演奏者が投げた手袋を受け止めたヴィンセントは、それをアイリーンに渡し、指が6本あることを知り、それでも適正者と認められることを確認する。

会場を出たヴィンセントは、検問の前でコンタクトレンズを外し、指の血液チェックを受けてパスする。

見せたいものがあるとアイリーンから言われて車から降りたヴィンセントは、裸眼だったために、交通量の激しい道路を渡ることができない。

何んとか渡ったヴィンセントは、昇る朝陽を受ける太陽光パネルの美しさを見せられる。

目の色が違うと言われたヴィンセントは、光のせいだとアイリーンに伝える。

清掃責任者シーザーが回収していたゴミのカップから、不適正者のDNAが検出され、ヒューゴがそれをアントンに報告する。

犯人は喉が渇いて現場に戻ったか、従業員に成りすましているのではないかと考えるヒューゴに、ガタカで身分を偽るのは不可能だとアントンは意見する。

可能性はあると言うヒューゴは、被害者に正体がバレた犯人が殺害したのだろうと推理し、社員全員の血液検査を提案する。

数日間、業務が停止してしまうため、指からの採血で済ませようとしたアントンだったが、静脈からでなくては意味がないと言うヒューゴは譲らなかった。

レイマーから採血されたヴィンセントは、失敗したと見せかけて、持っていた血液とすり替える。

チェックをパスしたヴィンセントは、明後日に旅立つことをアイリーンに伝えて、彼女をデートに誘う。

該当者は見つからず、見落としがあったと言うヒューゴは再検査を求めるが、70年待った今回の打ち上げを延期する訳にはいかないジョセフはそれを拒む。

アントンは、納得しないヒューゴを説得して諦めさせる。

クラブで楽しんでいたヴィンセントとアイリーンは、アントンとヒューゴらが捜査のために現れたために、裏口から逃げようとする。

各テーブルを調べたアントンは、テーブルの上にあったケースを見つける。(アイリーンの心臓病の薬)

その場にいた捜査官を叩きのめしたヴィンセントは、アイリーンを連れて逃走する。

逃げたのがヴィンセントだと確信したアントンは、兄の名前を呼ぶ。

その声を聴いたアイリーンは、全てを話そうとするヴィンセントから何も聞こうとせずに彼とキスする。

アイリーンと一夜を共にしたヴィンセントは、脚の傷を見た彼女から事件への関与を訊かれて、それを否定する。

手配の男の写真を確認していたアントンは、昨夜の男かとヒューゴから言われたたために、関係ないと答える。

アントンがジェローム(ヴィンセント)のことを調べていることを知ったアイリーンは、ヴィンセントの元に向い帰宅した方がいいと伝える。

ジェロームを捜すアントンは、気分が悪いために帰ったと言うアイリーンに、見舞いに行くために案内してほしいと伝える。

それに気づいたヴィンセントは、ジェロームに電話をして、捜査官が向かうため、自分に戻り病気の振りをするようにと指示する。

車椅子から降りて階段を這って上り、到着したアイリーンとアントンを迎え入れたジェロームは、下半身不随であることを知られないようにして、彼女と親しげに接する。

アイリーンから事件のことで来たと言われたジェロームは、アントンに採血されて、本人であることが確認される。

下の階を調べようとしたアントンは、犯人を捕えたと言うヒューゴからの連絡を受けてその場を去る。

アイリーンも去ろうとするが、ヴィンセントが上がって来たために驚き立ち去る。

後を追ったヴィンセントはアイリーンを呼び止めて、本名と不適正者であることを話し、殺人犯ではないことを伝える。

自分も心臓病で、既に寿命が過ぎていると話すヴィンセントは、生き続けることは可能だとアイリーンに伝えるが、それを信じることができないか彼女は、何も語らずにその場を去る。

被害者の死体を調べていたヒューゴは、目からジョセフの唾液が検出されたことを、現れたアントンに伝える。

自分の考えが正しかったとヒューゴから言われたアントンは、まつ毛の男は無関係で、逃すと70年後になってしまう打ち上げを延期したくないための、ジョセフの犯行だったことを知らされる。

自分のデスクにいたアントンに会ったヴィンセントは、諦めるようにと言われる。

納得できないヴィンセントは、誰の救いも求めていない自分に、かつて救われたことをどう説明するかをアントンに問う。

無茶をしただけで、勝てることを証明できると言うアントンと共に浜辺に向かったヴィンセントは海に飛び込み、かつてと同じようにひたすら泳ぐ。

泳ぎをやめようとしないヴィンセントは、気を失ったアントンを救って浜辺に戻る。

車で目覚めたアイリーンは、その場にいたヴィンセントから、調べるようにと言われて髪の毛を渡されるものの、それを捨ててしまう。

アイリーンと愛し合ったヴィンセントはジェロームの元に向い、一生分あるという尿と血液のサンプルを見せられる。

旅に出ると言うジェロームは、宇宙で読むようにと伝えてヴィンセントに手紙を渡す。

打ち上げ前の検査をレイマーから受けたヴィンセントは、彼の息子が自分を英雄視していると言われながら、尿検査で不適正者と判断される。

ヴィンセントが不適正者と知っていたレイマーは、判断を適正に変えて宇宙船に向かうようにと伝え、旅立つ彼を見送る。

焼却炉に入ったジェロームは、水泳のメダルを首にかけて焼身自殺する。

宇宙船は発射され、ヴィンセントは、ジェロームから渡された物が彼の髪の毛であることを知る。

地球には居場所がないと思っていたヴィンセントは、去るのは辛いと考える。

生命は宇宙の塵から生まれたと言われる。

そんなことを考えながら、ヴィンセントは思う、故郷に帰るのかもしれないと・・・。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
近未来。
遺伝子工学の進歩で胎児の状態で劣性遺伝子を排除することが出来るようになっていたが、遺伝子操作をされない状態で生れたヴィンセント・アントン・フリーマンは、寿命が30歳と判断されながら成長する。
宇宙飛行士に憧れるものの、不適正者であり心臓病でもあるヴィンセントは、それを諦めるよう家族から言われる。
適正者である弟アントンに劣っていた体力が、彼を勝ったことをきっかけに家を出たヴィンセントは、職を転々とする。
DNAブローカーのジャーマンから、事故で下半身が麻痺した優秀な水泳選手ジェロームを紹介されたヴィンセントは、彼に成りすまして、宇宙飛行士になるために航空宇宙企業”ガタカ”に入社する。
その後、エリートとして出世したヴィンセントは、宇宙に旅立つ日を目前にするのだが、自分を疑っていた上司の殺害事件に巻き込まれる・・・。
__________

遺伝子操作で完璧な”適正者”を誕生させることが可能になった近未来を舞台に、不適正者として生まれた運命を背負う青年の苦悩と宇宙への憧れを描くSF映画の秀作。

ニュージーランド人であるアンドリュー・ニコルの脚本を兼ねた監督デビュー作であり、ダニー・デヴィートが製作に加わっている。

遺伝子工学上の不適正者として、寿命も30歳と判断された悲しい運命を背負う青年の人生を描きつつ人間の尊厳も追及する、アンドリュー・ニコルの繊細で深みのある脚本と演出が見所の作品。

シンプル且つ清潔感のあるデザインによるセットや映像も秀逸で、第70回アカデミー賞では美術賞にノミネートされた。

機械的な未来感の描写がほとんどないにも拘らず、雰囲気だけでそれを伝える工夫などが見事であり、何台も登場するクラシックカーや古風な衣装を、その時代にマッチさせるセンスの良さには感心する。

本作の共演をきっかけにして、翌年、主演のイーサン・ホークユマ・サーマンは結婚する。

不適正者としての”ハンデ”を背負い苦悩しながら、夢を実現させようとする青年を好演するイーサン・ホーク、”人間離れ”した美しい表情が印象的な、主人公と愛し合う同僚のユマ・サーマン、主人公が成りすます適正者のジュード・ロウ、主人公の弟である捜査官のローレン・ディーン、ガタカの局長ゴア・ヴィダル、殺人事件を担当する捜査官のアラン・アーキン、もう少し主人公に絡む役柄であってほしかった、ガタカの清掃責任者を演ずる名優のアーネスト・ボーグナイン、主人公が不適正者と知りながら検査していた医師のザンダー・バークレー、遺伝学者のブレア・アンダーウッドDNAブローカーのトニー・シャルーブ、主人公の両親ジェイン・ブルックイライアス・コティーズ、主人公の幼少期メイソン・ギャンブル、少年期チャッド・クリスト、弟の幼少期ヴィンセント・ネルソン、少年期ウィリアム・リー・スコットなどが共演している。


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