2009年1月1日にカリフォルニア州、オークランドのフルートベール駅で起きた”オスカー・グラント三世射殺事件”を基に製作された作品。 ニューイヤーズ・イヴを祝った若者が電車内で起こした事件を描く、製作フォレスト・ウィテカー、監督、脚本ライアン・クーグラー、主演マイケル・B・ジョーダン、製作、共演オクタヴィア・スペンサー、メロニー・ディアス、アーナ・オライリー、ケヴィン・デュランド、チャド・マイケル・マーレイ他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ライアン・クーグラー
製作
フォレスト・ウィテカー
ニナ・ヤン・ボンジョヴィ
製作総指揮
マイケル・Y・チョウ
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
オクタヴィア・スペンサー
脚本:ライアン・クーグラー
撮影:レイチェル・モリソン
編集
クローディア・カステロ
マイケル・P・ショーヴァー
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
出演
オスカー・グラント三世:マイケル・B・ジョーダン
ワンダ・ジョンソン:オクタヴィア・スペンサー
ソフィーナ・メサ:メロニー・ディアス
ケイティ:アーナ・オライリー
カルーソ:ケヴィン・デュランド
イングラム:チャド・マイケル・マーレイ
タチアナ:アリアナ・ニール
ステファニー:キャロライン・レスリー
ダナエ:ジョナス・ケイン
アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2013年製作 85分
公開
北米:2013年7月12日
日本:2014年3月21日
製作費 $900,000
北米興行収入 $16,101,340
世界 $17,385,800
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2009年1月1日、午前2時15分、カリフォルニア州、オークランド、フルートベール駅。
”オスカー・グラント三世射殺事件”の実際の映像が映し出される。
”BART”(サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社)の鉄道警察隊に脅され暴行を受けたオスカー・グラント三世をカメラは捉え、その直後に銃声が聴こえる。
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2008年、カリフォルニア州、ヘイワード、ニューイヤーズ・イヴ、午前0時10分。
オスカー・グラント三世(マイケル・B・ジョーダン)は、恋人のソフィーナ・メサ(メロニー・ディアス)から、浮気したことを責められる。
娘のタチアナ(アリアナ・ニール)を自分のベッドに寝かせたオスカーは、母ワンダ・ジョンソン(オクタヴィア・スペンサー)に誕生日を祝うメールを送る。
翌朝、タチアナを幼稚園に送ったオスカーは、ソフィーナを仕事場に送り、サンフランシスコの花火を見に行く約束をする。 ワンダに電話をしたオスカーは、買い物をして夜、訪ねることを伝える。 クビになった食料品店に向かったオスカーは、そこで働く友人と話す。 恋人に魚のフライを作るつもりの客ケイティ(アーナ・オライリー)のために、祖母に電話をして作り方を訊いたオスカーは、電話を代わるようにと言われる。 店長が来たためにもう一度、雇ってほしいことを伝えたオスカーだったが、それを断られてしまう。 ケイティに感謝されたオスカーは、友人には来週から仕事だと言って、カニを買って帰る。 帰宅して家賃の支払いのことなどを考えるオスカーは、妹のシャンティからの電話を受けて、家賃300ドルを貸してほしいと言われる。 断れなかったオスカーは、ソフィーナとタチアナのために真面目に働くつもりだったものの、マリファナを売って金を稼ぐしかなくなり、友人のマーカスに電話をして会うことにする。 ガソリンスタンドに寄ったオスカーは、ソフィーナにメールを送りランチに誘うものの、既に食べたという返事が来る。 その場にいた野良犬が轢き逃げされ、助けようとしたオスカーだったが、そのまま放置して待ち合わせ場所に向かう。 マーカスを待つ間、海を見つめるオスカーは、刑務所生活のことを想い出す。 2007年、ニューイヤーズ・イヴ、サン・クエンティン刑務所。 気分を害したワンダは、席を立ちその場を去る。 マリファナを海に捨ててしまったオスカーは、現れたマーカスに、白人に売ってしまったと伝えて、残っていた袋を渡して金も受け取らない。 ソフィーナとタチアナを迎えに行ったオスカーは、ソフィーナの祖母の家に寄る。 花火を見に行くために、祖母にタチアナを預かってもらおうとしたソフィーナだったが、姉に頼むようにと言われる。 オスカーの様子がおかしいので話を聞いたソフィーナは、遅刻を理由に、2週間前に仕事をクビになったことを知らされる。 復職できると思ったと言うオスカーに、自分とタチアナを騙していたことを責めるソフィーナは、売人でもするのかと彼に問う。 人生をやり直そうとしたがうまくいかないと言って気落ちするオスカーをソフィーナは励まし、二人はその場で愛し合う。 ワンダの家に向かったオスカーらは家族に歓迎され、皆で祈りを捧げて母の誕生日を祝う。 食後に、ワンダから今夜の予定を訊かれたオスカーは、花火を見に行って街に寄ることを話し、飲むなら電車で行けばいいと言われる。 ワンダの指示に従うことにしたオスカーは、友人のクリスにメールして、電車で行くことを知らせる。 姉にタチアナを預けたソフィーナとオスカーはサウス・ヘイワード駅に向かい、仲間達と合流する。 午後11時55分。 午後11時59分。 カウントダウンが始まり、新年を迎えたオスカーらは、その場で騒ぎ始める。 電車を降りて街に出たオスカーは、ソフィーナがトイレに行きたいと言うため、閉店した店のオーナーに頼んでトイレを使わせてもらう。 妊娠している妻を連れたピーターから、トイレを使わせてもらえるか訊かれたオスカーは、店主に頼んであげる。 ピーターから感謝されたオスカーは、結婚8年目の彼も苦しい生活を送っていたが、今ではウェブ・デザインの仕事をしていると言われ、名刺を渡されて別れる。 帰りの電車に乗ったオスカーはソフィーナを座らせて、自分も空いている席を探す。 同じ車両にいたケイティから声をかけられたオスカーは、その場にいた、かつて刑務所内でいがみ合っていた男と喧嘩になる。 皆に制止されたオスカーは、”BART”(サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社)鉄道警察の警官が来ると言う車内放送を聴き、フルートベール駅で降りる。 カルーソ(ケヴィン・デュランド)とイングラム(チャド・マイケル・マーレイ)の二人の警官が現れたため、ソフィーナから電車に乗るようにと言われたオスカーは、仲間達と別れる。 仲間達が、カルーソとイングラムから壁の方を向けと言われたために、オスカーは身を隠す。 騒ぎを起こした者は出て来いと言いながら、車両からオスカーを引きずり出したカルーソは、彼らを脅して他の仲間を探し、女性警官は応援を要請する。 抵抗するオスカーらは、カルーソらの行為を携帯電話で写真に撮る。 カルーソは、目撃者を探すために車両に戻る。 ソフィーナから電話を受けたオスカーは、ホームで警官から暴行を受けていることを伝える。 イングラムから電話を切れと言われたオスカーは、家で会おうとソフィーナに伝えて電話を切る。 オスカーらが威嚇される様子を見守るケイティは、車両内から動画撮影する。 口答えするオスカーは、カルーソとイングラムに倒しされて抑え込まれ、次の瞬間に銃声が響き渡る。 撃たれたオスカーは手錠をかけられ、仲間達は警官に抵抗して騒ぎ始め、これ以上の混乱を避けるために、カルーソは、叫び声をあげるケイティらを車内に押し込む電車を発車させる。 駅で発砲があったことを本部に知らせたカルーソは救急車を呼び、発砲したイングラムを落ち着かせる。 娘がいると言って苦しがるオスカーの手を握るカルーソは、目を開けていろと言って彼に声をかける。 オスカーが電話に出ないためにワンダに連絡したソフィーナは、オスカーが警察に捕まり銃声が聴こえたことを伝える。 救急車が到着してストレッチャーが運ばれていくために動揺するソフィーナは、連行されるジェイソンから、オスカーが理由もなく警官に撃たれたことを知らされて取り乱す。 駆け付けた医師は、右胸から背中に貫通しているオスカーの傷の応急処置をして運び出す。 オスカーに気づいたソフィーナだったが、救急車で搬送される彼を見守るしかなった。 ワンダからの電話を受けたソフィーナは、警官に撃たれオスカーの様子を話し、ハイランド病院に来てほしいと伝える。 病院に駆け付けたワンダとソフィーナは、手術中であるために控室で待つようにと言われる。 解放された仲間達も駆け付け、騒がないようにと言って落ち着かせたワンダは、オスカーが助かることを信じて、彼のために皆で祈りを捧げる。 手術を終えた医師から説明を受けたワンダらは、右肺を摘出したオスカーは安定しているが、出血が酷いために危険な状態であることを知る。 命が助かることを確認したワンダは、医師から手は尽くすと言われる。 納得いかない様子で騒ぎ始めた皆を鎮めたワンダは、最善を尽くしてほしいと医師に伝える。 翌朝、ワンダらの祈りも届かず、オスカーが亡くなったことが医師から彼女らに知らされる。 息子に会いたいと伝えたワンダは、殺人事件であるために触れてはいけないと言われて病室に向かう。 窓越しに遺体と対面したワンダは、電車で行くようにと指示したことを悔やみ、抱きしめることができない息子を前にして涙する。 姉の家に向かったソフィーナは眠っていたタチアナを起こし、帰宅してシャワーを浴びる。 タチアナからオスカーのことを訊かれたソフィーナは、答えることができない。 数名が、フルートベール駅で起きた事件の様子をビデオカメラや携帯電話で記録していた。 その映像は、抗議や暴動を引き起こした。 警官による発砲事件の後で、BARTと警察の幹部は辞職し、オスカーを撃った警官は、第一級殺人罪で起訴された。 しかし”テーザーガンと間違えた”との被告の主張により、陪審員は過失致死罪であると認め、懲役2年が求刑され11か月で釈放された。 オスカー・グラント三世は、2009年1月1日、午前9時15分に22歳の若さで死亡した。 2013年1月1日、午後2時15分、フルートベール駅。
...全てを見る(結末あり)
面会に来たワンダから、タチアナにはこれ以上、悲しい思いをさせないでほしいと言われたオスカーは、遊びまわって自分の世話をしなかった母を責める。
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電車に乗ったオスカーらは、少し遅れていることを知り、花火には間に合わないと思う。
新年が近づき、車両内で音楽を流し始めたオスカーらは、ダンスをして盛り上がる。
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オスカー・グラント三世を追悼する集会が開かれた様子と、娘のタチアナが映る実際の映像が流れる。
*(簡略ストー リー)
2008年、カリフォルニア州、ヘイワード、ニューイヤーズ・イヴ。
服役歴がある青年オスカー・グラント三世は、恋人ソフィーナと娘のタチアナのために真面目に生きることを決意し、母ワンダに誕生日を祝う連絡を入れる。
しかし、食品店を解雇されたオスカーは、生活費を稼ぐためにマリファナを売ろうとする。
ソフィーナとタチアナのために、それを思い止まったオスカーは、その夜、花火を見に行くために、ワンダの指示に従い電車で向かうことにする。
仲間達と楽しんだオスカーは、帰りの電車内で、刑務所でいがみ合っていた男に絡まれて騒ぎを起こす。
フルートベール駅に駆け付けた”BART”(サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社)の鉄道警察の警官カルーソとイングラムに電車から引きずり出されたオスカーは、仲間達と共に抵抗するのだが・・・。
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2009年1月1日にカリフォルニア州、オークランドのフルートベール駅で実際に起きた、ニューイヤーズ・イヴを祝った若者が電車内でトラブルを起こし、”BART”(サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社)の鉄道警察の警官に暴行、銃撃された”オスカー・グラント三世射殺事件”を基に製作された作品。
脚本を兼ねるライアン・クーグラーの初監督作品であり、その後、「ロッキー」シリーズ第7作「クリード」(2015)、「ブラックパンサー」でも組むマイケル・B・ジョーダンが、事件の被害者であるオスカー・グラント三世を演じている。
事件当時、USC/南カリフォルニア大学の映画芸術科の大学院生だったライアン・クーグラーが、被害者であるオスカー・グラント三世のことを知ってほしいという願いから、彼の最期の1日を描くことを発想し、フォレスト・ウィテカーの映画製作会社の出資を得て映画化されたという経緯がある。
警官の暴行殺人ということで社会問題になった衝撃的な事件であり、その生々しい事実を伝えるため、ライアン・クーグラーは、事件現場にいた者が撮影した実際の映像を使い、また、カメラアングルなどにこだわりドキュメンタリー・タッチで描かれているところなどが注目だ。
たった1日の出来事の中で、服役歴のある主人公は、恋人と娘、母への思いなどから人生を変えようとして苦しむ様子を淡々と伝え、それが叶わぬまま命を落とす、人間の生きるべき姿や家族愛などを描く深いドラマに仕上がっている。
2013サンダンス映画祭で上映され、グランプリ(審査員大賞・ドラマ部門)、観客賞(ドラマ部門)を受賞し、第66回カンヌ国際映画祭の”ある視点”部門で上映され、第1回作品賞を受賞した。
ずか7館で一般公開された本作は評判となり、2週間後には1000館以上で拡大公開され、製作費は9000万ドルにも拘らず、全世界で1700万ドルの興行成績を記録した。
主人公のオスカー・グラント三世を演ずるマイケル・B・ジョーダンは、恋人や娘、そして母親のために生き方を変えようと苦悩しながらも、22歳の若さで短い一生を終える青年を好演している。
息子を見捨てずに愛し続ける主人公の母親を深く演ずるオクタヴィア・スペンサー、主人公の恋人メロニー・ディアス、食品店で主人公に親切にされ、電車内で声をかける女性アーナ・オライリー、主人公に暴行を加える”BART”(サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社)の鉄道警察の警官ケヴィン・デュランドとチャド・マイケル・マーレイ、主人公の娘アリアナ・ニールなどが共演している。