サーカス一座の中で起きる財産目当ての殺人計画を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、製作、監督トッド・ブラウニング、主演ウォーレス・フォード、レイラ・ハイアムス、オルガ・バクラノヴァ、ロスコー・エイツ、ヘンリー・ヴィクター、ハリー・アールス、デイジー・アールス他共演のホラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:トッド・ブラウニング
製作
トッド・ブラウニング
ハリー・ラプト
アーヴィング・タルバーグ
原作:トッド・ロビンス”Spurs”
脚本
ウィリス・ゴールドベック
レオン・ゴードン
エドガー・アラン・ウールフ
アル・ボースバーグ
撮影:メリット・B・ガースタッド
編集:バシル・ランゲル
出演
フロソ:ウォーレス・フォード
ヴィーナス:レイラ・ハイアムス
クレオパトラ:オルガ・バクラノヴァ
ロスコー(吃音症):ロスコー・エイツ
ヘラクレス:ヘンリー・ヴィクター
ハンス(小人症):ハリー・アールス
フリーダ(小人症):デイジー・アールス
マダム・テトラリーニ(団長):ローズ・ディオン
シャム双生児:デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン
本人(小頭症):スリッツィー
半陰陽者:ジョセフィーヌ・ジョセフ
ハーフボーイ:ジョニー・エック
腕の無い女性:フランシス・オコナー
骨人間:ピーター・ロビンソン
ヒゲ女:オルガ・ロデリック
本人:クー・クー
胴体だけの男:プリンス・ランディアン
ロロ兄弟:エドワード・ブロフィー
ロロ兄弟:マット・マクヒュー
ジップ(小頭症):エルヴァイラ・スノー
ピップ(小頭症):ジェニー・リー・スノー
アンジェロ(小人症):アンジェロ・ロシェット
鳥女:エリザベス・グリーン
アメリカ 映画
配給 MGM
1932年製作 90分(編集版64分)
公開
北米:1932年2月20日
日本:1932年11月
製作費 $310,610
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
見世物小屋で、怪物のような者達の話を始めた客引きは、ある箱の中の女性を見せる。
それを見た婦人は叫び声をあげて、客引きは、かつて美しい空中ブランコ乗りだったその女性の話をする。
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小人のハンス(ハリー・アールス)は、同じ小人のフリーダ(デイジー・アールス)と婚約中だったが、空中ブランコ乗りのクレオパトラ(オルガ・バクラノヴァ)に見とれてしまう。
そんなハンスだったが、自分が愛する人はただ一人、君だとフリーダに伝える。
クレオパトラは、自分に惹かれるハンスをいいカモにしていた。 森の中で奇形者と過ごしていたサーカス一座の団長マダム・テトラリーニ(ローズ・ディオン)は、通りがかった二人の男性が団員達の養子を見て驚くため、遊ばせていただけだと伝える。 紳士から、それなら好きなだけここにいていいと言われたマダム・テトラリーニは安堵する。 クレオパトラから金を貸してほしいと言われたハンスは、それに快く応じる。 幸せにすると約束した怪力男ヘラクレス(ヘンリー・ヴィクター)が頼りにならないために言い争いになったヴィーナス(レイラ・ハイアムス)は、それを道化のフロソ(ウォーレス・フォード)に話す。 ヴィーナスは、自分を気遣い助言してくれたフロソを好人物だと思う。 吃音症のロスコー(ロスコー・エイツ)と結婚するシャム双生児のデイジー(デイジー・ヒルトン)を祝福するフロソは、ヴァイオレット(ヴァイオレット・ヒルトン)とも話をする。 デイジーを呼んだロスコーは、フロソと話していたことに嫉妬するが、ヴァイオレットから、自分が話していたと言われる。 ヘラクレスを誘惑したクレオパトラは、その様子を半陰陽者のジョセフィーヌ・ジョセフに見られてしまう。 憤慨したヘラクレスは、ジョセフィーヌ・ジョセフを殴り倒す。 ハンスが自分の話をまともに聞いていないことを気にするフリーダは、彼のための忠告を迷惑だと言われて傷ついてしまう。 婚約してからそんな言葉づかいはしたことがないと言われたハンスは、フリーダに謝罪する。 ヘラクレスと楽しく過ごしていたクレオパトラは、現れたハンスに、シャワーを浴びたところなので後にしてほしいと伝える。 からかわれているとに気づかないハンスが思い通りになるクレオパトラは、ヘラクレスと共に笑いが止まらない。 ハンスと何があったのかフリーダに尋ねたヴィーナスは、クレオパトラが彼を誘惑しようとしているらしいと話す。 不安だと言うフリーダを気遣うヴィーナスは、ハンスは友人なので何とかしてあげたいと思う。 クレオパトラのことでロロ兄弟(エドワード・ブロフィー/マット・マクヒュー)にからかわれたハンスは、憤慨する。 ヴィーナスとハーフボーイ(ジョニー・エック)と共に話をしていたフロソは、鳥女(エリザベス・グリーン)から、ヒゲ女(オルガ・ロデリック)に子供が生まれたことを知らされる。 子供を見に行ったフロソは、女の子だと知り、遺伝でヒゲが生えなければいいと思う。 ヒゲ女の夫である骨人間(ピーター・ロビンソン)は、ロロ兄弟に祝福される。 ロスコーは、妻のデイジーと当然ながらいつも一緒のヴァイオレットを邪魔者扱いするものの、離れて暮らすわけにはいかなかった。 ヴィーナスは、フロソが小頭症のスリッツィーらに優しく接する姿を見て微笑ましく思う。 ハンスは、クレオパトラが気に入る花束や果物、そして酒などを貢いでいた。 心触れ合うようになったフロソとヴィーナスは、互いの愛を確かめてキスする。 ヴァイオレットのことが気に入らないためにフロソに相談していたロスコーは、クレオパトラの部屋から出てくるハンスを目撃する。 クレオパトラはダイエットしているのかというロスコーのジョークに、フロソは思わず笑ってしまう。 ヴァイオレットに会いに来ていたロジャースを、戻って来たロスコーに紹介したデイジーは、婚約者だと伝える。 ハンスの元に向かい、今の気持ちを訊いたフリーダは、自分と別れることを決心した彼に、クレオパトラとは幸せになれないと伝えるものの理解してもらえない。 クレオパトラや団員は自分達のことを軽蔑して笑っていると言われたハンスは、気にならないとフリーダに伝える。 あなたが幸せであればいいとハンスに伝えたフリーダは、その場を去る。 ハンスから贈られたプラチナのペンダントをヘラクレスに見せたクレオパトラは、更に金目の物を貢がせようと考える。 現れたフリーダから、自分が遊びで付き合っていることにハンスが気づいていないと言われたクレオパトラは、本気でないという理由を尋ねる。 ハンスと結婚してもいいと言うクレオパトラに、金が目当てだと伝えたフリーダは、遺産のことを話してしまう。 それを聞いて驚いたクレオパトラは、初めて知ったように思われないようにする。 フリーダはその場を去り、ハンスの財産を手に入れようとするクレオパトラは、彼と結婚することを考え、小人は体が弱いはずなので病気にさせるとヘラクレスに伝える。 結婚式を済ませてパーティーが始まり、クレオパトラは、毒を入れたワインをハンスに飲ませる。 笑いが止まらないクレオパトラは、ヘラクレスともキスしてしまい、その様子を見ていたフリーダは席を立ち、ハンスも気分を害する。 小人のアンジェロ・ロシェットらから自分も仲間にすると言われたクレオパトラは、彼らを”フリークス/怪物”どもと罵り、その場から追い払いハンスをからかう。 その後、やり過ぎたと言うヘラクレスから謝罪されたハンスは、悪いのは自分自身だと伝える。 傷つける気はなくジョークだったとクレオパトラから言われたハンスは、自分は笑い者になるだけだと話しながら気を失ってしまう。 その様子をアンジェロが目撃していた。 胴体だけの男(プリンス・ランディアン)も、ハンスを部屋に運ぶクレオパトラを見ていた。 ハンスを診察した医師は毒が原因だと診断してクレオパトラに伝え、その場にいたマダム・テトラリーニは驚く。 ハンスがあれほど酒を飲んだのは初めてで、クレオパトラが無理やりに飲ませたと、フリーダはヴィーナスに話す。 流石に動揺するヘラクレスは、ヴィーナスから、クレオパトラがワインに何を入れたか話すように迫られるものの白を切る。 ヴィーナスから、警察に通報すれば真実は分かると言われたヘラクレスは焦り、団員から白い目で見られる。 結婚して1週間が経ち、酷いことを言ってしまったとクレオパトラに謝罪するハンスは、元気になることが先決だと励まされる。 アンジェロは、クレオパトラがハンスに薬を飲ませる様子を覗いていた。 警戒するハンスは、クレオパトラが飲ませてくれた薬には毒が混ぜてあると考え、彼女に見られないようにして吐き出す。 クレオパトラが部屋を出た後、現れたアンジェロに、今夜、決行すると伝えてここに来るよう指示したハンスは、彼女への復讐を考えていた。 嵐の中、団員の馬車は移動を始め、フリーダは、クレオパトラとヘラクレスの企みをフロソに話す。 ハンスに薬を飲ませようとするものの、瓶を渡すようにと言われたクレオパトラは、その場にいたハーフボーイらがナイフや銃を手にしていることに気づく。 仕方なく瓶を渡したクレオパトラは、ハンスから、この毒で自分を殺す気だったはずだと言われる。 ヴィーナスの馬車に押し入ろうとしたヘラクレスは、フロソに襲われて格闘になる。 フロソから、危険なので逃げるようにと言われたヴィーナスは、マダム・テトラリーニに助けを求める。 ヘラクレスとクレオパトラは、フリークスに襲われる。 なぜこうなったかは謎だと言う客引きは、嫉妬の末の恋人の仕業か、フリークスの掟だったのか、または嵐のせいなのかと話す。 これがそのクレオパトラだと言われた客達は、体がアヒルとなった彼女の姿を見て驚く。 屋敷に籠り人に会うこともなかったハンスは、結婚したフロソとヴィーナスと共に訪ねて来たフリーダから、二人のように親切な人もいると言われる。 誰とも話したくないと言うハンスに、あの夜、毒だけを奪えばいいと思いフリークスを止めたあなたは後悔しなくてもいい伝えたフリーダは、苦悩する彼を慰める。 二人の様子を見ていたフロソとヴィーナスは、笑みを浮かべながらその場を去る。 自分がついていると言ってハンスを抱きしめるフリーダは、彼に愛を伝える。
...全てを見る(結末あり)
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
サーカス一座の空中ブランコ乗りクレオパトラは、自分に惹かれる小人のハンスを誘惑し、様々なものを貢がせていた。
ハンスの婚約者であるフリーダは、そんな彼に、クレオパトラに遊ばれているだけだと忠告するものの聞き入れてもらえない。
道化のフロソと親交を深め惹かれ合うようになったヴィーナスは、心を痛めるフリーダを気遣う。
自分と別れる決心をしたハンスの金が目当てだと、クレオパトラに伝えたフリーダは、軽率にもハンスには遺産が入ると話してしまう。
それを知ったクレオパトラは、怪力男のヘラクレスと共に、ハンスの財産を奪うことを考える。
そして、ハンスと結婚したクレオパトラは、彼を毒殺する計画を実行するのだが・・・。
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1923年に発表された、トッド・ロビンスの短編”Spurs”を基に製作された作品。
旅回りのサーカス一座を舞台に、その団員と見世物小屋の者達の関係などを描く、アーヴィング・タルバーグが製作に参加した古典的ホラーの名作。
現在ではまず製作することは不可能と言える、実際の見世物小屋のスター達が多く出演したことで物議を呼び、イギリスでは公開から30年間、公開禁止となった問題作。
”フリークス”(見世物小屋の怪物)というタイトルであるために、鑑賞するのに覚悟がいるように思えるが、純真な心の持ち主の愛の物語や、悪に対する勇気ある行動、団員達の仲間意識などが丁寧に描かれているところにも注目したい。
小人のカップルを演ずる兄妹ハリー・アールスとデイジー・アールスの恋の物語を中心に描いた作品であり、二人に優しく接する人間味のある道化ウォーレス・フォードと、彼に惹かれる団員のレイラ・ハイアムスとの関係に加え、遺産目当ての毒殺計画に展開していく。
更に、それを阻止するために協力し合うフリークスの行動なども描かれた、娯楽の要素満載のトーキー映画黎明期の名作。
現在では非常に高い評価を得て、1994年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
自分に惹かれる団員の財産を奪おうとする空中ブランコ乗りオルガ・バクラノヴァ、彼女と共に毒殺計画に加担する怪力男ヘンリー・ヴィクター、吃音症の団員ロスコー・エイツ、その妻でシャム双生児のデイジー・ヒルトン、彼女と体が結合しているヴァイオレット・ヒルトン、団長のローズ・ディオン、小頭症のスリッツィー、半陰陽者のジョセフィーヌ・ジョセフ、上半身だけの男性ジョニー・エック、腕の無い女性フランシス・オコナー、骨人間のピーター・ロビンソン、その妻でヒゲ女のオルガ・ロデリック、鳥女のクー・クー、同じくエリザベス・グリーン、胴体だけの男プリンス・ランディアン、団員の兄弟エドワード・ブロフィーとマット・マクヒュー、小頭症のエルヴァイラ・スノーとジェニー・リー・スノー、小人症のアンジェロ・ロシェットなどが共演している。