1987年にオフ・ブロードウェイで上演されたテレンス・マクナリーの戯曲”Frankie and Johnny in the Clair de Luna”を、彼自身が脚色した映画化。 出所したばかりの男性と心に傷を負い愛を受け入れられない女性の恋を描く。 監督ゲイリー・マーシャル、主演アル・パチーノ、ミシェル・ファイファー、ヘクター・エリゾンド、ネイサン・レイン他共演。 |
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ゲイリー・マーシャル
製作総指揮
アレクサンドラ・ローズ
チャールズ・マルヴェヒル
製作:ゲイリー・マーシャル
原作:テレンス・マクナリー”Frankie and Johnny in the Clair de Luna”
脚本:テレンス・マクナリー
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集
バトル・デイヴィス
ジャクリーン・キャンバス
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
主題歌:テレンス・トレント・ダービー
出演
ジョニー:アル・パチーノ
フランキー:ミシェル・ファイファー
ニック:ヘクター・エリゾンド
ティム:ネイサン・レイン
コーラ:ケイト・ネリガン
ネッダ:ジェーン・モリス
ボビー:ショーン・オブライアン
ピーター:グレン・プラマー
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1991年製作 118分
公開
北米:1991年10月11日
日本:1992年1月25日
北米興行収入 $22,773,540
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
刑期を終えて出所したジョニー(アル・パチーノ)は、辛い過去を体験して、心に深い傷を負うフランキー(ミシェル・ファイファー)がウェイトレスとして働く”アポロ・カフェ”にコックとして雇われる。
チャンスを与えるとオーナーのニック(ヘクター・エリゾンド)に言われて感謝したジョニーは、翌日から働くことになる。
仕事を終えてアパートに戻ったフランキーは、向かいに住むティム(ネイサン・レイン)が、友人のボビー(ショーン・オブライアン)と付き合い始めたことを知る。
翌日、見事な包丁さばきで仕事を始めたジョニーは、フランキーの存在が気になる。
同僚のコーラ(ケイト・ネリガン)が、ジョニーを意識する一方、フランキーは彼に興味を示さない。 客が発作で倒れて店が混乱する中、ジョニーは、歌にもある”フランキー&ジョニー”なので気が合うはずだと、フランキーを食事に誘う。 こんな状況でのジョニーの言葉に呆れたフランキーは、それを断り救急車を待つ。 数日後フランキーは、カフェで15年も働いた同僚が亡くなったため、コーラやネッダ(ジェーン・モリス)と共に葬儀に参列する。 面識のない故人の葬儀に現れたジョニーが、涙を流していたことを気にしたフランキーは、その理由を彼に問う。 知らぬ者でも共感でき、写真を見れば、その人物の生活が分かると言うジョニーの言葉を、フランキーは理解できない。 コーラが自分を意識していることに気づいたジョニーは、彼女と愛し合ってしまう。 脚本家志望の同僚ピーター(グレン・プラマー)の脚本が売れたために、彼がロサンゼルスに旅立つことになり、送別パーティーが開かれることになる。 ジョニーはその後もフランキーを誘い、何んとか彼女をパーティーに誘うことができる。 フランキーのアパートに彼女を迎えに来たジョニーは、ゲイのカップル、ティムとボビーに気にいられる。 パーティーを楽しんだ二人は、フランキーのアパートで愛し合う。 翌日フランキーは、コーラがお客の妊婦と話をすることを気にして、ジョニーに、子供話好きかと言われたても気のない返事をする。 休息時間に街に出た二人だったが、自分の全てを知りたがるジョニーに、フランキーは少し距離を置きたいことを伝える。 別れた妻との子供達に、プレゼントを持って会いに行ったジョニーだったが、新しい夫と彼女らの幸せそうな姿を見ただけでその場を去る。 その夜、仲間達とボウリングを楽しんでいたフランキーは、その場に現れたジョニーが、偶然にも自分の故郷ペンシルベニア州アルトゥーナ出身だと知り動揺する。 突然、ジョニーに愛を告白され、子供が欲しいとまで言われたフランキーは、それを迷惑に思い憤慨する。 気持ちを率直に伝えただけだと言うジョニーだったが、子供が産めない体だとフランキーに言われる。 逃げていれば安心できるために、自分を受け入れないと言ってジョニーはフランキーを責める。 考えを変えないフランキーに対し、ジョニーは諦めようとしなかったが、ティムが中に割って入り、彼に立ち去るよう説得する。 翌日から、フランキーはジョニーからの電話を無視し続けるが、仕事のためカフェでは仕方なく話をする。 離婚歴と、小切手の文書偽造で刑務所生活を送ったことを告白したジョニーは、フランキーが、3年前に男に騙されて辛い思いをしたことを知る。 その後、二人は歩み寄り、フランキーの部屋で愛を語るのだが、再び彼女はジョニーを退ける。 ジョニーは、ラジオ局に電話をして自分達の愛を語り、無理だと知りながらも、流れていた曲、ドビュッシーの「月の光」をアンコールする。 フランキーは、妊娠中に恋人に乱暴され、流産して子供の産めない体になり、一人でいるのも、誰かが傍にいるのも恐れるようになってしまったことを話す。 ジョニーは、辛い過去を消すことは自分には出来ないが、ずっと傍にいることをフランキーに約束する。 しかしフランキーは、それを受け入れられないことをジョニーに告げる。 諦めて帰ろうとするジョニーだったが、リクエストには応じないはずのラジオ番組が、恋の歌と同じ”フランキーとジョニー”のために「月の光」を流す。 洗面所に閉じ籠っていたフランキーは、その曲を聴いて帰ろうとするジョニーを呼び止める。 爽やかな朝を迎えて吹っ切れたフランキーは、「月の光」を聴きながら、ジョニーに自分の本当の年齢を伝える。 そして、二人はベッドに戻り愛し合う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
出所したばかりのジョニーは、”アポロ・カフェ”のコックとして雇わる。
心に傷を負う、ウエイトレスのフランキーは、自分に好意を示すジョニーを受け入れる気になれない。
気のいいジョニーを、フランキーは意識はするのだが、辛い過去がある彼女は、男性との付き合いを拒んでいた。
しかし、フランキーが運命の女性だと考えるジョニーは、彼女を誘い続け、そして二人は愛し合う。
順調に愛を育てようとしたジョニーだったが、フランキーの心の傷は癒えることなく・・・。
__________
俳優、監督として着実にキャリアを重ねていたゲイリー・マーシャルは、前年の大ヒット作「プリティ・ウーマン」(1990)に続く作品。
ハリウッドを代表する演技派アル・パチーノと、トップ・スターの座を得たミシェル・ファイファーという豪華な顔合わせも注目の作品。
粋なマーヴィン・ハムリッシュの音楽、リアリティ溢れる、家族的なカフェの雰囲気なども楽しめる作品。
辛い過去を持つ女性の女心を動かす、軽薄そうに見えるものの、知的で包容力もある主人公を演ずるアル・パチーノは、味わい深い演技でファンを納得させてくれる。
ゴールデングローブ賞の主演賞にノミネートされたミシェル・ファイファーの、本作の演技は高く評価され、人気を確実なものにした。
女性としてかなり辛い体験をしたヒロインの胸の内を痛々しいほど伝える表現力、その複雑な役柄を、玄人受けする演技で見事に期待に応えたと言える。
また、主人公を取り巻く助演陣が魅力的だ。
心憎い言葉でスタッフを支える、人情味のあるカフェのオーナー、ヘクター・エリゾンド、私生活でもゲイである、ヒロインの向かいの部屋に住ネイサン・レイン、恋人のショーン・オブライアン、癖のある演技が印象的で表情もいい、主人公二人の同僚役ケイト・ネリガン、同じくジェーン・モリスとグレン・プラマーなどが共演している。