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フォックスキャッチャー Foxcatcher (2014)

アメリカの大富豪”デュポン家”のジョン・エルテール・デュポンによるアマチュア・レスリングの支援の末に起こす殺人事件を描く、製作、監督ベネット・ミラー、主演スティーヴ・カレルチャニング・テイタムマーク・ラファロヴァネッサ・レッドグレイヴ他共演の実録ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

スティーヴ・カレル / Steve Carell / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ベネット・ミラー
製作
ミーガン・エリソン
ベネット・ミラー
ジョン・キリク
アンソニー・ブレグマン
製作総指揮
チェルシー・バーナード
ロン・シュミット
マーク・バクシ
マイケル・コールマン
トム・ヘラー
ジョン・P・ジューラ
脚本
E・マックス・フライ
ダン・フッターマン
撮影:グリーグ・フレイザー
編集
スチュアート・レヴィ
コナー・オニール
ジェイ・キャシディ
音楽:ロブ・シモンセン

出演
ジョン・エルテール・デュポンスティーヴ・カレル
マーク・シュルツチャニング・テイタム
デイヴ・シュルツマーク・ラファロ
ジーン・デュポン:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
ナンシー・シュルツ:シエナ・ミラー
ジャック:アンソニー・マイケル・ホール
ヘンリー・ベック:ガイ・ボイド
フレッド・コール:ブレット・ライス
ダニエル・シュルツ:サマラ・リー
アレクサンダー・シュルツ:ジャクソン・フレイザー
ロージー:ジェーン・モーダー
ロバート・ガルシア:ダニエル・ヒルト

アメリカ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2014年製作 134分
公開
北米:2014年11月14日
日本:2015年2月14日
製作費 $24,000,000
北米興行収入 $12,096,300
世界 $19,033,080


アカデミー賞
第87回アカデミー賞

・ノミネート
監督
主演男優(スティーヴ・カレル
助演男優(マーク・ラファロ
脚本・メイクアップ賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1987年。
ロサンゼルス・オリンピック”レスリング・フリースタイル82kg級金メダリストのマーク・シュルツチャニング・テイタム)は、安定した生活も送れず苦しい日々を過ごしていた。

同じく同オリンピックの金メダリストであるマークの兄デイヴマーク・ラファロ)は、妻ナンシー(シエナ・ミラー)と二人の子供のために、コロラドでのコーチを依頼され、それを受けることを考える。

デイヴからコーチの件を知らされたマークは、ショックを受ける。

そんなマークは、”デュポン家”の”ジョン・エルテール・デュポン”の代理人からの電話を受けて、ペンシルベニア州の”フォックスキャッチャー農場”に来てほしいと言われる。

ファーストクラスの航空券を用意されたマークペンシルベニアに向かい、デュポンのスタッフであるジャック(アンソニー・マイケル・ホール)に迎えられ、空港からヘリコプターでフォックスキャッチャーに向かう。

大邸宅に到着したマークは、現れたジョン・デュポンスティーヴ・カレル)に挨拶し、トロフィー・ルームに案内されて話をする。
...全てを見る(結末あり)

デュポンから、世界選手権やトレーニングのことを訊かれたマークは、ここに来た理由と自分が誰かを訊かれるものの、分からないと答える。

自分はレスリングのコーチで、競技に深い愛情を持っていると話すデュポンは、マークの未来について考えたいと伝える。

望みは何かと訊かれたマークは、世界選手権で勝ちソウル・オリンピックで金メダルが欲しいと答える。

スポンサーのことを尋ねたデュポンは、ソ連は国を挙げてレスラー育成を強化しているにも拘らず、アメリカはマークに栄誉を与えていないという考えを話す。

それが社会的な問題だと語るデュポンは、敬意を払うべき者を大切にしない考えは間違っていると伝える。

炭鉱のカナリアと同じ扱いだと言うデュポンは、鳥に詳しい自分は鳥類学者であることも話す。

また愛国者であるため国の力を世界に認めさせたいと言うデュポンは、それに同意するマークに、建設した施設のジムを見せる。

屋敷内に宿泊したマークは、翌日、広大な敷地内を見せられ、デュポンから、二人で偉大なことを成し遂げようと言われる。

デイヴの元に戻り話したマークは、デュポンと考えが全て一致したことを伝える。

金の話をしたのかと訊かれたマークは、年棒2万5000ドルで選手も選べることを伝え、デイヴと共にチームを編成する考えを話す。

デュポンの狙いが理解できないデイヴは、家族のことやコーチ契約した責任があるので、自分は行けないとマークに伝える。

自分はこのまま単なる練習パートナーなのかと言うマークに、自慢の弟であり一人でもやっていけると伝えたデイヴは、彼を抱きしめて励ます。

車に荷物を積み込んだマークフォックスキャッチャーに向かい、デュポンの代理人であるヘンリー・ベック(ガイ・ボイド)に会い、経歴などを訊かれる。

現れたデュポンに挨拶したマークは、ジャックと共にゲストハウスの”シャレー”に向かい、内部に案内される。

マークは、、敷地内の馬はデュポンの母親ジーン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の所有物あり、超一流のサラブレッドえあるため近づかないことと、彼女にはかかわるなと言われる。

その後マークは、ジャックから渡されたデュポン家の歴史のビデオを見る。

夜になり、眠っていたマークは現れたデュポンに気づき、双眼鏡を渡され、敷地内の様々な鳥が観察できると言われる。

10年前に書いた自分の著書も渡したデュポンは、2か月を切った世界選手権の健闘を祈っていることをマークに伝える。

その後、他の選手達も集まり、マークは厳しいトレーニングを始める。

デイヴを誘いたいデュポンは、マークから、家族や契約があるので無理だと言われ、金で解決しようとしても無理だと言われる。

8月。
プライベートジェットでデュポンと共にフランスに向かったマークは、彼を失望させたくないために緊張する。

フランスクレルモン=フェラン1987年レスリング世界選手権
マークと共に順調に勝ち上がるデイヴの部屋に向かったデュポンは、デイヴと妻のナンシーが改まった挨拶もしようとしないために、声をかけただけでその場を去る。

子供達は騒ぎベッドの上で挨拶するデイヴやナンシーの態度を批判するマークは、寛大なデュポンのことを理解しない二人に憤慨して部屋を出る。

マークを呼び止めたデイヴは、決勝の相手に対する対戦方法を伝える。

決勝を制し見事に優勝したマークは、デイヴ、そしてデュポンと喜び合う。

フォックスキャッチャーに戻ったデュポンは選手達を祝福し、トロフィー・ルームの馬術競技のトロフィーを片づけて、金メダルを飾りマークの勝利を称える。

翌日。銃を持ってジムに現れたデュポンは天井に向かって発砲し、”ソウル”まで387日だと言って、トレーニングに励むよう選手達に伝えてその場を去る。

デュポンに呼ばれたマークは、1万ドルのボーナスを受け取り遠慮するものの、それだけの価値はあると言われる。

兄の陰に隠れて終わる人材ではないとデュポンから言われたマークは、そろそろ離れて生きるべきだと考えていることを伝える。

デイヴなしでも大丈夫だと励まされたマークデュポンに感謝し、友人だと思っていると言われる。

運ばれてきた装甲兵員輸送車”M113”を確認したデュポンは、機関銃の”キャリバー50”(ブローニングM2)が装備されていないため、受け取りを拒否して搭載するよう指示する。

ワシントンD.C.で行われる愛国者基金パーティーに出席するデュポンは、ヘリの中で、同行するマークにスピーチの練習をさせる。

デュポンからコカインを吸えと言われたマークは、体に悪いと伝えるものの、指示に従いスピーチの練習をする。

母ジーンも出席する会場に着いたデュポンは、金メダリストのマークを出席者に紹介する。

スピーチをしたマークは、デュポンに出会えたことを感謝する。

その後、生活が乱れたマークは、デイヴからの電話にも素っ気なく答えて切ってしまう。

デュポンとの奇妙な生活を続けたマークは、コカインに溺れてしまう。

マークにいい友人だと伝えたデュポンは、一人だけ幼馴染の親友がいたが、母親が金を払った雇われた友達だったことを話す。

自分の幼馴染はデイヴだったと言うマークの話を聞いて、デュポンは思わず笑ってしまう。

アリゾナ州、フェニックス
自らが後援するフリースタイルのレスリング大会に出場したデュポンは、勝利して満足をする、

話をつけていたジャックは、対戦相手に謝礼を渡す。

その大会で獲得したトロフィーを母ジーンに見せたデュポンは、自分は指導者であり、選手やアメリカに夢を与えていると話す。

レスリングが嫌いだと率直に話すジーンは、下品なスポーツだと言って、それをする息子の姿は見たくないことを伝える。

ジムに向かったデュポンは、誰もトレーニングしていないために選手の宿舎に向かう。

トレーニングをしていない理由をマークに訊いたデュポンは、午前中は休みだと伝え、彼が決めたことを知る。

デイヴが必要だと伝えたデュポンは、以前も話したことであり無理だと言うマークを殴り、恩知らずのサルと罵る。

選んで失敗したとマークに伝え、デイヴは金でチームに入れると言い残したデュポンは、その場を去る。

部屋に戻ったマークは、混乱しながら怒りがこみ上げる。

その後、デイヴと家族はフォックスキャッチャーに招かれ、デュポンと選手達に歓迎される。

迎えに来なかったマークの様子を見に行ったデイヴは、彼の素っ気ない態度が気になる。

デイヴは早速、指導を始め、それに加わらずにウェイトトレーニングをするマークは、声をかけて来たデュポンを相手にせずその場を去る。

マークと話したデイヴは、デュポンとの間に何があったのかを尋ねるが、何も答えを得られなかった。

車いすに乗るジーンが初めてジムに現れたため、選手を集めたデュポンは、3日後に出発が迫ったオリンピックの国内予選では、フォックスキャッチャーの代表に相応しい戦いをするようにと話し、選手に指導を始める。

寝技を始めたデュポンの姿を見ていられないジーンは、その場を去る。

1988年、フロリダ州、ペンサコーラ、オリンピック予選。
大会は始めり、精彩を欠くマークは、第一戦でリコ・チャッパレッリに敗れてしまう。

部屋に戻ったマークはショックを受け、自分を痛めつけて鏡に額をぶつけ、物を壊して涙し、ルームサービスを頼み大量の食事をとってしまう。

様子を見に来たデイヴは、荒れ果てた室内とマークの様子を見て失望し、彼を殴る。

一人で苦しむマークを抱きしめるデイヴは、自分がついているので絶対に勝たせると伝える。

食べ物を吐かせたデイヴは、マークの体重が5キロ以上オーバーしていることを知り、90分以内に減量しようとする。

その様子を見に来たデュポンに事情を話したデイヴは、減量に成功したマークをマイク・シーツとの最終戦に挑ませ、マークは接戦を制する。

デュポンの部屋に向かったデイヴは、対応したベックと話すものの、母親が急逝したためにデュポンが屋敷に戻ったことを知らされる。

フォックスキャッチャーに戻ったデュポンは、厩舎の母親の馬を放してしまう。

キャリバー50”が準備できたことを知らされたデュポンは、それを”M113”に装着するよう指示する。

ジムに向かったデュポンデイヴからお悔やみを言われ、オリンピックの金メダルを手にするために全力を尽くしてほしいと伝える。

精神が不安定気味のマークを心配するデュポンは、対処してほしいことをデイヴに伝える。

デュポンから声をかけられたマークは返事をしようとしない。

その後デュポンは、フォックスキャッチャーを全米レスリング協会のオリンピック・チームのための公式施設にすることを提案し、毎年50万ドルの寄付も考えていることを協会側が伝える。

オリンピック後のことなどを考えたマークは、フォックスキャッチャーを出る考えをデイヴに話す。

家族と共にこの場でやっていくと言うデイヴに、これ以上は無理だとマークは伝える。

子供時代の悲惨な生活を話すデイヴは、安定した生活を捨てられないと話し、マークは、勝つことに集中するようにと言われる。

ジムでドキュメンタリー用の撮影をしたデイヴは、デュポンの哲学を語るように指示される。

指示通りに話そうとしたデイヴだったが、デュポンについて本音で語ることができない。

オリンピックで試合のコーナーに入ることを望むデュポンに対し、デイヴは、自分がチームに残った場合はマークの給料も払うことを条件にする。

マークがチームを辞めた場合でもということを確認したベックは、思い上がってはいないかと伝えるが、それはオリンピックで証明されるとデイヴは答える。

自分の望みはフォックスキャッチャーの目的を果たすことだと話すデイヴに、デュポンは条件をのむことを伝える。

1988年、第24回オリンピック・ソウル大会
力を発揮できないマークは、結局6位に終わる。

デイヴと共にフォックスキャッチャーに戻ったマークは、荷物をまとめてその場を去り、デュポンはその様子を見つめる。

その後、孤独なデュポンデイヴの家を訪ねるものの、休日であったために、デイヴから家族と過ごす日だと言われて屋敷に戻る。

1996年1月26日。
ドキュメンタリーを見終わったデュポンは、警護のウェインに外が雪であることを確認し、車の準備をさせてデイヴの家に向かう。

家の外にいたデイヴは、車を運転してきたデュポンに近づき、いきなり銃撃される。

助手席にいたウェインの制止を無視するデュポンは再び発砲し、騒ぎに気づき家から出て来たナンシーにも銃を向ける。

這いながらもがくデイヴを更に銃撃したデュポンは、車で走り去る。

救急車を呼んだナンシーは、デイヴに駆け寄り泣き崩れる。

フォックスキャッチャーの捜査は始まり、二日間、屋敷に閉じこもったデュポンは逮捕される。

その後、ロサンゼルス・オリンピックのゴールドメダリストなど輝かしい経歴をアナウンスされたマークは、”総合格闘技”のリングに上がり、観客からの歓声を受ける。
__________

デイヴ・シュルツは、死後にレスリングの殿堂入りをした。
妻と二人の子供が残された。

マーク・シュルツは、1988年のソウル・オリンピック後にレスリング界から引退し、レスリング教室のオファーを受け、現在はオレゴン州で生活している。

ジョン・デュポンは、2010年12月9日に獄中で死亡した。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1987年。
ロサンゼルス・オリンピック”レスリング・フリースタイル82kg級金メダリストのマーク・シュルツは、安定した生活も送れず苦しい日々を過ごしていた。
そんなマークは、大富豪の”デュポン家”の”ジョン・エルテール・デュポン”に呼ばれ、世界選手権ソウル・オリンピックへの支援をすると言われる。
ゲストハウスを与えられ年棒も約束されたマークは、同じ金メダリストの兄デイヴと共にチームを組もうとする。
家族とコーチの契約があるデイヴから自分は参加できないと言われたマークは、指導者のデュポンと集められた選手達と共にトレーニングを始め、ようやく安定した生活を手に入れるのだが・・・。
__________

1996年1月に起きた、アメリカの大富豪”デュポン家”のジョン・エルテール・デュポンによる、”ロサンゼルス・オリンピック”レスリングの元金メダリストでありコーチだった、デイヴ・シュルツ殺人事件までの経緯を描く実録ドラマ。

アメリカ国民に衝撃を与えた殺人事件自体はよく知られている事実で、本作では、スポーツ支援者であるジョン・デュポンが、オリンピックの金メダリストのマーク・シュルツと兄デイヴの支援者となり、二人との関係が深く描かれている。

大富豪でありながら孤独なデュポンと混乱していくマークの、それぞれの精神状態や主従関係が崩れる様子や、二人を見守る冷静で思慮深いデイヴの気遣いなどを、製作も兼ねるベネット・ミラーが繊細且つ深く描いている。

第87回アカデミー賞では、監督、主演男優(スティーヴ・カレル)、助演男優(マーク・ラファロ)、脚本、メイクアップ賞にノミネートされた。

オスカーにノミネートされた見事なメイクにより、主人公のジョン・エルテール・デュポンになり切るスティーヴ・カレルの迫真の演技は絶賛され、彼自身もアカデミー主演賞候補になり、助演賞候補のマーク・ラファロ、そしてチャニング・テイタムと共に、幅広い演技ができる実力派として高く評価された。

オリンピックの金メダリストにも拘らず不遇な日々を送っていた青年が、思わぬチャンスを掴むものの結局は大きな挫折を味わうことになる、マーク・シュルツを演ずるチャニング・テイタム、彼を愛し見守る兄デイヴ・シュルツを講演するマーク・ラファロ、その妻シエナ・ミラー、主人公の母親ジーン・デュポンのヴァネッサ・レッドグレイヴフォックスキャッチャー農場のスタッフ、アンソニー・マイケル・ホールデュポンの代理人ガイ・ボイドなどが共演している。


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