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ファール・プレイ Foul Play (1978)

1988年に47歳の若さでエイズで亡くなったコリン・ヒギンズの監督デビュー作にして代表作となる、主演ゴールディ・ホーンチェヴィー・チェイスダドリー・ムーアバージェス・メレディス共演によるサスペンス・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:コリン・ヒギンズ
製作
トーマス・L・ミラー
エドワード・K・ミルキス
脚本:コリン・ヒギンズ
撮影:デヴィッド・M・ウォルシュ
編集:ペンブローク・J・ハーリング
音楽:チャールズ・フォックス

主題歌:バリー・マニロウ
”Ready to Take a Chance Again”

出演
ゴールディ・ホーン:グロリア・マンディ
チェヴィー・チェイス:トニー・カールソン刑事
ダドリー・ムーア:スタンリー・ティベッツ
バージェス・メレディス:ヘネシー
ブライアン・デネヒー:ファーガソン刑事
レイチェル・ロバーツ:ジェルダ・カズウェル/デリア・ダロウ
ユージン・ロッシュ:ソーンクレスト大司教/チャーリー・ソーンクレスト
ウイリアム・フランクファザー:ジャクソン/白い男
ドン・カルファ:スカーフェイス(顔に傷のある男)
マリリン・ソコル:ステラ
マーク・ローレンス:ルパート・スティルツキン/小人
ブルース・ソロモン:ボブ”スコッティ”スコット
ビリー・バーティ:J・J・マキューン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1978年製作 116分
公開
北米:1978年7月14日
日本:1979年1月
北米興行収入 $44,999,620


アカデミー賞 ■
第51回アカデミー賞
・ノミネート
歌曲賞“Ready to Take a Chance Again


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
サンフランシスコ
ソーンクレスト大司教(ユージン・ロッシュ)が何者かに暗殺される。

恋人もなく、寂しい日々を送るグロリア・マンディ(ゴールディ・ホーン)は、あるパーティーでトニー・カールソン(チェヴィー・チェイス)に話しかけられるが、素っ気無い態度でその場を引き上げる。

サンフランシスコに帰る途中、グロリアは、車の故障で困っていたボブ”スコッティ”スコット(ブルース・ソロモン)を街まで送り、その夜、映画に行く約束をする。

スコットはグロリアに、吸い過ぎてしまうからと言って夜までタバコを預かってもらうことにする。
...全てを見る(結末あり)

尾行する車を気にしていたスコットは、フィルムをタバコの箱に入れて車を降りると、追ってくる男から逃げるように走り去る。

その夜、スコットを待ちきれず、グロリアは先に映画館に入り映画を観ていると、そこに怪我をしたスコットが現れ、”殺人が起きる、警察に知らせろ、小人に気をつけろ”と言い残して息を引き取る。

グロリアは、叫び声を上げてロビーに向かい、支配人に殺人があったことを知らせる。

座席に戻ったグロリアだったが、スコットの姿はなく、彼女は支配人に追い払われて急いで帰宅する。

アパートの管理人ヘネシー(バージェス・メレディス)に相談したグロリアは、彼との会話で気分が落ち着き、部屋に向かう。

翌日グロリアは、勤め先の図書館の同僚ステラ(マリリン・ソコル)に自衛手段を叩き込まれる。

夕方、図書館を閉めようとしていたグロリアは、白い男/ジャクソン(ウイリアム・フランクファザー)に襲われる。

それを逃れたグロリアはバーに逃げ込み、客のスタンリー・ティベッツ(ダドリー・ムーア)に助けを求め、彼の家に匿ってもらおうとする。

スタンリーは、グロリアが自分を求めているものと勘違いして、それに気づいた彼女は、その場を立ち去る。

そしてグロリアは、部屋に侵入した顔に傷のある男/スカーフェイス(ドン・カルファ)に襲われる。

グロリアは、男から、スコットから預かった物を渡すように言われ、仕方なく、それがバッグのタバコだと伝える。

フィルムを確認した男は。グロリアを殺そうとするが、彼女はその男を編み棒で刺してしまう。

警察に電話したグロリアだったが、息のあった男がタバコを暖炉の横に隠し、再び彼女に襲い掛かる。

そこに、白い男が現れて窓からナイフを投げ、傷の男に止めをさし、それを目撃してしまったグロリアは、気を失ってしまう。

気がついたグロリアの部屋には、パーティーで会った刑事のトニーと相棒のファーガソン(ブライアン・デネヒー)、そしてヘネシーがいたのだが、傷の男の死体や、その痕跡も残っていなかった。

証拠も何もない支離滅裂なグロリアの話を、二人の刑事は信じようとしなかった。

翌日、グロリアは、仕事帰りに白い男に誘拐されるものの、同僚のステラから借りた、護身用具を使い。その場をから逃げ出し、警察のトニーの元に向かい助けを求める。

トニーは、グロリアをアパートに送り届けて、翌日、彼女が監禁されていたという場所で、グロリアのハイヒールを見つけ、聞き覚えがある部屋の借主”スティルツキン”の名前を聞く。

その後トニーは、おとり捜査官スコットの死体が発見されたことと、殺し屋ルパート・スティルツキン(マーク・ローレンス)、通称”小人”の存在を知り、グロリアの話しが真実だった分かる。

その頃、グロリアのアパートには、背が極端に低い男J・J・マキューン(ビリー・バーティ)が押し入ってくる。

グロリアは、その男が例の”小人”と思い込み、彼を窓から突き落としてしまう。

そこにトニーが現れるが、男は単なる聖書のセールスマンで、グロリアは翌日、彼を病院に見舞い、その後、警察に向かう。

グロリアはトニーから、傷の男が、仲間の白い男とボスの”小人”スティルツキンを裏切り、スコットに情報(フィルム)を渡したという説明を受ける。

二人は、タバコにその情報が隠されていたことに気づき、トニーが、命を奪われる危険性があるグロリアの警護にあたることになる。

その後、犯人達が乗っていた車が大司教のものだと分かり、トニーとファーガソン、そしてグロリアは、それを確かめようとする。

大司教の元に向かった三人は、使用人の女性ジェルダ・カズウェル(レイチェル・ロバーツ)に迎えられる。

しかし、車は盗難にあったということで、三人は大司教の話に納得して引き上げる。

三人が帰った後、実は犯人の主犯格デリア・ダロウ(レイチェル・ロバーツ)は、スティルツキンや白い男などと、対策を検討する。

トニーは、グロリアを四六時中護衛することになり、やがて二人は惹かれ合うようになる。

傷の男の死体が発見され、その現場にトニーが向かっている間に、ファーガソンが犯人に監禁され、グロリアもその場に誘い出される。

それに気づいたグロリアは、マッサージ・パーラーに逃げ込んでしまう。

ある個室に入ったグロリアは、そこにいた客がスタンリーと知り驚いてしまうが、彼女は急いで警察を呼ぼうとする。

それが身の破滅だと言うスタンリーに、無理矢理に電話をさせたグロリアだったが、彼女は結局スティルツキンらに捕らえられてしまう。

その頃ステラは、グロリアに頼まれていた”教会税連盟”の資料をトニーに渡し、彼は大司教らが偽者だと知る。

ヘネシーの元に向かったトニーは、グロリアが犯人に捕まったと考える。

トニーに同行しようとしたヘネシーだったが、暖炉の脇にあったタバコをペットの蛇が食べようとしたため、それを暖炉に投げ込んでしまう。

その後トニーは、偽の大司教一味に捕らえられていたファーガソンを助け出す。

そして、犯人の目的が、訪問中のローマ法王暗殺だということを知らされる。

トニーは、二人に気づいたスティルツキンを倒すものの、グロリアを人質にとったデリアに捕らえられてしまう。

しかし、部屋に侵入したヘネシーが、大司教の弟とデリアを倒し、トニーとグロリアは、法王が到着しているはずの暗殺現場のオペラ座に向かう。

その頃、法王を迎えたオペラ座では、スタンリー指揮による”ミカド”の公演が幕を開け、ジャクソン/白い男がその場に侵入し、狙撃の準備を始める。

トニーは現場に急行するが、ハンドルを誤りピザ店に突っ込んでしまう。

その後、トニーとグロリアは、車を乗り継いでオペラ座に到着し、ジャクソンを捜す。

グロリアがジャクソンに捕まってしまうが、トニーが彼を射殺し、暗殺計画は阻止される。

場内は一瞬静まり返り公演は中断するが、法王が拍手を贈りカーテンが降りる。

そして、トニーとグロリアがステージ上で抱き合い、二人は、カーテンコールと共に観客から大喝采を受ける。

トニーのバッジを見たスタンリーは、人相を隠すためにサングラスをかける。

その後も、観客は二人を称え、場内の拍手は鳴り止むことがなかった。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
恋人もいない寂しい毎日を送っていたグロリア・マンディは、ある日、車の故障で助けたスコットと映画を見る約束をする。
しかし、傷を負ったスコットは、謎の言葉を残し映画館で息絶えてしまう。
その後、スコットの死体は消えてしまい、彼からある物を預かったグロリアは、不審な男に追われ始める。
その後グロリアは、見知らぬ男に襲われて気を失ってしまい、駆けつけたトニー・カールソン刑事らに事情を話すが信じてもらえず、証拠も消されてしまう。
しかし、グロリアの話が真実だと分かったトニーは、彼女を警護しながら、犯人が企む陰謀を暴こうとする・・・。
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アルフレッド・ヒッチコック作品へのオマージュとも言える数々のシーンと、ユーモアを交えた軽快なコリン・ヒギンズの演出が注目の作品。

ヒロインが侵入犯を編み棒で刺すシーンは、「ダイヤルMを廻せ!」(1954)、クライマックスのオペラ”ミカド”は「知りすぎていた男」(1956)、また「めまい」(1958)を彷彿させる場面など、ヒッチコック・ファンならいくつものシーンを想い起すことが出来るはずだ。
*編み棒の場面では、「ダイヤルMを廻せ!」で使われるハサミを意識し、それをわざと目立つようにしている描写もある。

第51回アカデミー賞では、バリー・マニロウが歌う、大ヒットした“Ready to Take a Chance Again”が、歌曲賞にノミネートされた。

主演のゴールディ・ホーンは、あどけなさを残す大人の女性を見事に演じ、当時、アメリカで最も人気のある女優として、国民から愛された存在だった。 (当時33歳)
*娘のケイト・ハドソンと、仕草や表情などが似ている。

大きな目と愛くるしい笑顔は、いつ見ても癒される、私自身も好きな女優の一人だ。

チェヴィー・チェイスの、大柄の割にはやや頼りない、優しさだけが取り得の刑事役も、彼のキャリアの中では最高の役柄だったかもしれない。

ハリウッド初登場の、小柄なダドリー・ムーアの可笑しさも見逃せない。

また、70歳を過ぎても溌剌とした演技を見せてくれる、バージェス・メレディスの大活躍も痛快だ。

刑事ブライアン・デネヒー、暗殺計画の主犯格レイチェル・ロバーツ、大司教と共犯者の二役を演ずるユージン・ロッシュ、白い男のウイリアム・フランクファザー、小人のマーク・ローレンス、顔に傷のある男ドン・カルファ、グロリア(G・ホーン)の同僚マリリン・ソコル、おとり捜査官ブルース・ソロモン、小人の聖書のセールスのビリー・バーティなどが共演している。

序盤にゴールディ・ホーンが、アラン・ラッドのリバイバル映画を観る場面があるが、映画館のポスターや劇場の看板は、”THIS GUN FOR MINE”となっている。

しかし、実際の作品の題名は、”Appointment with Danger”で、本作と同じパラマウント映画であるにも拘らず、なぜか題名を変えてある。


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