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アパッチ砦 Fort Apache (1948)

ジョン・フォードジョン・ウェインのコンビによる、フォード一家総出演の騎兵隊3部作の1作。
アパッチの動きを警戒する騎兵隊司令官と部下達を描く傑作西部劇。
共演ヘンリー・フォンダウォード・ボンドシャーリー・テンプルヴィクター・マクラグレン

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

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スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード

製作
ジョン・フォード

メリアン・C・クーパー
原作:ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚本:フランク・ニュージェント
撮影:アーチー・スタウト
編集:ジャック・マレー
音楽:リチャード・ヘイグマン

出演
ジョン・ウェイン:カービー・ヨーク大尉
ヘンリー・フォンダ:オーウェン・サーズデー中佐
ウォード・ボンド:マイケル・オローク曹長
シャーリー・テンプル:フィラデルフィア・サーズデー
ペドロ・アルメンダリス:ボーフォート軍曹
ジョージ・オブライエン:サム・コリングウッド大尉
ジョン・エイガー:マイケル・シャノン”ミッキー”オローク少尉
ヴィクター・マクラグレン:フェスタス・マルケヒー軍曹
アンナ・リー:エミリー・コリングウッド
アイリーン・リッチ:メアリー・オローク
メエ・マーシュ:ケイツ夫人
グラントウィザース:シーラス・ミーチャム
フランシス・フォード:フェン
ガイ・キビー:ウィルケンス軍医
ジャック・ペニック:ダニエル・シャタック軍曹
ハンク・ウォーデン:補充兵
ディック・フォーラン:クィンケノン軍曹

アメリカ 映画
配給 RKO
1948年製作 127分
公開
北米:1948年3月5日
日本:1953年1月15日
製作費 $2,500,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アリゾナ準州
南北戦争で活躍した、無骨で厳格な騎兵隊のオーウェン・サーズデー中佐(ヘンリー・フォンダ)は、娘フィラデルフィア(シャーリー・テンプル)を伴い、駅馬車で、西部の辺境の地である”アパッチ砦”の、駐留連隊指揮官に赴任するため目的地に向かう。

途中、駅馬車の中継所で、二人は、士官学校を卒業したばかりのマイケル・シャノン”ミッキー”オローク少尉(ジョン・エイガー)と出会う。

その直後に、砦からオロークを迎えに来た4人、フェスタス・マルケヒー軍曹(ヴィクター・マクラグレン)、ボーフォード軍曹(ペドロ・アルメンダリス)、ダニエル・シャタック軍曹(ジャック・ペニック)、クィンケノン軍曹(ディック・フォーラン)らが到着する。

マルケヒーは、上官であるオロークに一応、敬意を表するが、名付け子である彼をからかいながら、自慢げにその場にいたフィラデルフィアに紹介する。

その後、サーズデーは、マルケヒーらが自分を迎えに来たのではないことを知るが、オロークに娘フィラデルフィアを紹介する。

オロークとフィラデルフィアは一目で惹かれ合い、その後、駅馬車は、マルケヒーらの護衛を従え砦に向かう。

砦に到着した一行は、ダンス・パーティーが開かれている中に加わる。

サーズデーは、指揮官のサム・コリングウッド大尉(ジョージ・オブライエン)とカービー・ヨーク大尉(ジョン・ウェイン)に歓迎される。

オロークは、父オローク曹長(ウォード・ボンド)と母メアリー(アイリーン・リッチ)の元に帰郷の挨拶に向かい両親を喜ばせる。
...全てを見る(結末あり)

翌日、現れたオロークに喜ぶフィラデルフィアだったが、彼が、規則で名刺を置きに来ただけだとヨークから知らされ気分を害してしまう。

その後、士官達を招集したサーズデーは、連隊の指揮権をコリングウッドとヨークから引継ぐ。

サーズデーは、コリングウッドを副官から解任し、乱れた連隊の雰囲気を一掃させる、厳しい態度で任務に就く。

コリングウッドだけを残して、士官を解散させたサーズデーは、彼の解任は軍の上層部の命令に従ったことだと告げて、部隊に愛着は示さず、自らの功績を残すことに執着しようとする。

サーズデーに酒を勧められたコリングウッドだったが、それを断り、オローク曹長に転任願いを確認する。

指揮官直属のオローク曹長に、オローク少尉との関係を聞いたサーズデーは、二人が親子だと知り、曹長が南北戦争名誉勲章を受けていたことを知る。

フィラデルフィアは、コリングウッドの妻のエミリー(アンナ・リー)やオローク曹長夫人メアリーに世話になり、部屋の模様替えなどに精を出す。

その夜、フィラデルフィアは、父サーズデーと食事が出来なかったため、コリングウッドの宿舎を訪ねる。

そこでは、オローク少尉の歓迎会が開かれ、その場に居合わせたヨークや、現れた軍医ウィルケンス(ガイ・キビー)らと共に、フィラデルフィアは楽しい時を過ごす。

翌日、オローク少尉とフィラデルフィアは馬で遠出に出かけ、アパッチに焼き討ちにあった部隊員の遺体を発見し、危険を感じて砦に戻る。

オローク少尉は、サーズデー中佐には士官としては評価されていたが、今回の無謀な行動を厳しく非難され、今後一切フィラデルフィアとの接触を禁じられる。

サーズデーは、オローク少尉に焼き討ち現場の処理に向かう命令を出し、自らはヨークと共にパトロールに出発する。

現場での作業を終えたオローク少尉らは、アパッチに襲われるものの、サーズデー指揮下の偵察部隊に救われる。

その後、サーズデーは、アパッチに武器や安酒を流していると思われる、交易商シーラス・ミーチャム(グラントウィザース)の店でライフルと酒を見つけ、その処分をマルケヒーらに任せる。

マルケヒーらは、安酒を飲み干して営倉送りになり、二等兵に降格されてしまう。

アパッチの動きを気にするサーズデーは、酋長コチーズとの交渉に、ヨークと、営倉から出され肥料作りを命ぜられていた、スペイン語の話せるボーフォートを向かわせる。

フィラデルフィアは、名刺を渡されたにも拘らず、最近顔を見せないオローク少尉を宿舎に訪ねる。

そこに、サーズデーが現れて娘を連れ戻そうとするが、彼の横柄な態度と、軍務を離れた我が家での無礼に対してオローク曹長は抗議する。

その時、オローク少尉は父を制止して、フィラデルフィアに求婚してしまう。

身分違いを指摘したサーズデーは、それを認めず、無礼を詫びてオローク家を立ち去る。

数日後、砦では下士官主催のダンスパーティーが開かれていた。

そこに、コチーズとの和平交渉の準備を整えたヨークとボーフォートが戻る。

ヨークは、サーズデーに経過を報告して、彼は直ちに連隊を編成し、出撃する命令を下す。

コチーズとの約束を尊重するヨークだったが、サーズデーは、最初から交渉する気はなく、野蛮人を誘き出す考えだったと言い放つ。

翌日、連隊は砦を出発するが、そこにコリングウッドの転任許可が届き、士官の妻達は、コリングウッドを呼び戻そうとする。

しかし、夫を臆病者にしたくない、コリングウッド夫人エミリーは、覚悟を決めて夫と連隊を見送る。

約束の場所に着いたサーズデーは、コチーズの妥協案を退け、交渉は決裂する。

アパッチの戦法を熟知する、ヨークの助言を一切無視するサーズデーは、あくまで正面突破で突撃しようとする。

サーズデーは、命令に背くヨークの指揮官の任を解き、後方の補給班に、オローク少尉と共に向かうよう命ずる。

そして、コリングウッド、オローク曹長やマルケヒーらと共に突撃したサーズデーは、落馬して取り残されてしまう。

オローク少尉を救援要請に向かわせたヨークは、部隊の守備を整えてサーズデーの元に向かう。

ヨークは、連隊の壊滅をサーズデーに伝えるが、サーベルを手にした彼は敵陣に向かう。

生き残っていた、オローク曹長やコリングウッドが陣取る場所にたどり着いたサーズデーは、彼らと共にアパッチの総攻撃を受けて戦死する。

コチーズは、勝利の証として奪った軍旗を、ヨークの目の前に突き刺し去って行く。

時は流れ、連隊を引き継いだヨークは、サーズデーの功績を取材する記者達の前で、国民の記憶に残る指揮官以外の隊員の武勲を称える。

既にオローク少尉はフィラデルフィアと結婚し、子供も生まれていた。

そして、ヨークはサーズデーに敬意を表し、彼と同じ軍帽をかぶり、連隊を率いて出撃する。


解説 評価 感想 ■

騎兵隊3部作の中の第1作。
最初の作品ではあるが、日本公開は3
部作のうち最後になった。

参考:他の騎兵隊3部作
・「黄色いリボン」(1949)
・「リオ・グランデの砦」(1950)

*(簡略ストー リー)
無骨で厳格な騎兵隊のオーウェン・サーズデー中佐が、”アパッチ砦”の駐留連隊指揮官に赴任する。
途中サーズデーは、同じ連隊の新任士官オローク少尉に出会い、彼と中佐の娘フィラデルフィアは、一目で惹かれ合ってしまう。
砦に着いたサーズデーは、前任のコリングウッド大尉から指揮権とカービー・ヨーク大尉から引継ぎ乱れた連隊の雰囲気を正す厳しい態度を示す。
オローク少尉とフィラデルフィアは親交を深めるが、サーズデーは、許可もなく娘を遠乗りに連れ出した少尉に交際を禁ずることを伝える。
その後サーズデーは、アパッチの動きを警戒して、和平交渉の準備のためヨークとボーフォート軍曹を酋長コチーズの元に向かわせる。
しかしサーズデーは、アパッチと交渉するつもりはなく、彼らを誘き出して壊滅させるために出撃命令を出す・・・。
__________

スピード感のある映像とは対照的な、詩情豊かな場面もあり、女性に対しての礼儀も示す、男らしく逞しい騎兵隊員らが登場する、ユーモアも加えた友情や連帯感、そして勇気などをストレートに表現する、フォード作品の全てが凝縮された映画史上に残る傑作西部劇。

黄色いリボン」(1949)では登場しないのだが、「リオ・グランデの砦」(1950)には登場する冒頭の場面。

何十回観ても、その度に味わいが違い感激で涙してしまう、個人的には西部劇のベスト5には入る作品。

モニュメントバレーの美しいロケ、お馴染みリチャード・ヘイグマンの、アイルランド民謡などを巧みに使った軽快な音楽も素晴しい。

主演のジョン・ウェインは、司令官の直属部下らしく、ヘンリー・フォンダを立てながら演ずる、やや控えめな演技がなかなかいい。

しかし、クライマックスからラストの貫禄や迫力たるや、40歳になったばかりとは思えない、さすがに他を圧倒する存在感を見せる。

ジョン・ウェインは、この年には本作以外に「赤い河」と「三人の名付け親」(1948)なども公開されるという、とんでもない当たり年になった。

一刻だが、類まれな勇気の持ち主を演ずるヘンリー・フォンダも素晴しかった。

娘の結婚を反対するも、自分達の孫に夢を託し娘の義父になるだろう部下ウォード・ボンドと共に最後には命を落とす、勇敢な司令官を見事に演じている。

この指揮官は、紛れもなくカスター将軍(正規軍での階級は中佐)がモデルである。

1930年代に、一世風靡したシャーリー・テンプルの可愛らしさも印象に残る。
彼女は実生活で、ドラマの中の恋人ジョン・エイガー夫人だった。

その他、語りだすと尽きないフォード一家、またはフォード作品の常連の面々は、出演しているだけでファンとしては涙ものだ。

自宅で司令官の無礼に抗議する姿が印象的な曹長ウォード・ボンド、その息子ジョン・エイガー、その母アイリーン・リッチ、連隊副官を解任される大尉役のジョージ・オブライエン、その妻アンナ・リー、3部作で同じようなキャラクターを怪演する、愛すべき軍曹ヴィクター・マクラグレン、軍曹ペドロ・アルメンダリスジャック・ペニックディック・フォーラン、士官夫人メエ・マーシュ、交易商のグラントウィザース、軍医ガイ・キビー、補充兵のハンク・ウォーデン、そして、冒頭の駅馬車の護衛役フランシス・フォードなどが共演している。


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