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愛のさざなみ Fools (1970)

引退した俳優と夫への気持ちが冷めた女性、偶然に知り合った2人の愛を描く、監督トム・グライス、主演ジェイソン・ロバーズキャサリン・ロススコット・ハイランズ他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト
監督:トム・グライス

製作
ヘンリー・ポリンジャー
ロバート・ヤミン
脚本:ロバート・ルドルソン
撮影:マイケル・ヒューゴ
編集:バイロン・ブラント
音楽:ショーティ・ロジャース

出演
マシュー・サウス:ジェイソン・ロバーズ
アナイス・アップルトン:キャサリン・ロス
デヴイッド・アップルトン:スコット・ハイランズ
公園の男:ロイ・ジェンソン
公園の男:マーク・ブラムホール
犬の飼い主:マーク・ハンニバル
ヒッピー:ジャック・ナンス
精神科医:マコ岩松

アメリカ 映画
配給 Cinerama Releasing Corporation
1970年製作 93分
公開
北米:1970年12月23日
日本:1973年9月22日
製作費 $900,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
サンフランシスコ
公園で昼のひと時を過ごしていた往年の怪奇俳優マシュー・サウス(ジェイソン・ロバーズ)は、幼い子供二人が、その場にいた犬を挑発して吠え始めたのを気にする。

読書をしようとしていたマシューは、犬の吠える声が気に障り、今度、近付いたら腕を噛まれてもぎ取られると言って子供を脅す。

子供達は泣きながら母親の元に戻り、腕を掴まれたと言いつける。

犬の飼い主(マーク・ハンニバル)は、その様子を見ていた二人の男性(ロイ・ジェンソン/マーク・ブラムホール)に犬を預けて、マシューに近付き、子供に何を言ったかを尋ねる。
...全てを見る(結末あり)

犬に腕をもぎ取られると注意したと答えたマシューは、気は確かかと言われる。

母親からも変態呼ばわりされたマシューは、犬の飼い主から彼女に謝るようにと言われる。

それを断ったために、警察に通報すると母親から言われたマシューは、その場を去ろうとして犬の飼い主に殴られる。

立ち上がって相手になろうとしたマシューだったが、犬の飼い主はその場を去る。

馬鹿げた行為だと、その場にいたアナイス・アップルトン(キャサリン・ロス)から言われたマシューは、犬から子どもを守っただけだと伝える。

落ち着きのない犬を公園に連れて来る気が知れないと言って苛立つマシューは、アナイスの名前を訊き、本名とは思えなかったために彼女をからかう。

気分を害したアナイスはその場を去り、彼女を追ったマシューは謝罪する。

その様子を見ていた男が二人の後をつけて、公衆電話で電話をする。

マシューが俳優であることを知ったアナイスは、ゴールデンゲートブリッジまで行くと言って歩き続ける。

俳優を引退したと言う、社会に対する不満を訴えるマシューの話を聞いたアナイスは、弁護士の夫と別れたことを伝える。

二人は立入禁止区域に向い、尾行していた男がそれを確認する。

フリーウェイとの境界にあるフェンスを乗り越えたマシューは、現れた警官から、その場から離れるように言われる。

アナイスと共にパトカーに乗せられたマシューは、身分証の提示を求められる。

マシューに代わり自分の身分を話し、疑われるような人間ではないことを警官に伝えたアナイスは、出口まで送ってくれればこれ以上、迷惑はかけないと伝える。

パトカーで送ってもらい再び歩いたマシューとアナイスは、池の畔の木陰で休み、惹かれ合う二人はキスをする。

アナイスを食事に誘ったマシューは、無理だと言われたために、映画に行く約束をする。

その後、アナイスと別れたマシューは、殴られて歯を痛めたために歯科医院に向かう。

歯科医は、隣の部屋の精神科医(マコ岩松)が患者に誘惑されていることに気づき、その場に向かう。

その間に、マシューは診察室から去る。

アナイスに未練がある夫のデヴッド(スコット・ハイランズ)は、尾行をさせた私立探偵から、彼女が男を誘っていたことを知らされる。

今後、どうしたいのかを探偵から訊かれたデヴィッドは、それを知る必要はなく、尾行を続けるよう指示する。

アナイスと共に、自分の出演するホラー映画を観に行ったマシューは、彼女を家に誘い愛し合いたいと伝える。

男に尾行されていることをマシューに伝えたアナイスは、その男が公園にもいたと言われる。

自分がつけられる理由がないため、問題を抱えているのかとアナイスに問うマシューだったが、動揺する彼女はタクシーに乗って去ってしまう。

帰宅したアナイスは、デヴィッドに電話をして尾行を止めるようにと伝えるが、話を聞き入れてもらえないために会う約束をする。

アパートのベルを鳴らしてもアナイスが出なかったため、マシューは電話をかける。

マシューの声を聴いて安心したアナイスは、尾行していた男が誰かを訊かれて、夫が雇った私立探偵だと答える。

夫が寄りを戻そうとしているのかと尋ねたマシューは、離婚していなかったことをアナイスから知らされる。

嘘をついたことを謝罪したアナイスは、翌日、マシューの家で会うことを約束する。

マシューと話していると安らぐアナイスは、幸せを感じ、マシューも同じ気持ちだった。

画家の友人の家でアナイスと愛し合ったマシューは、翌朝、現れたFBI捜査官に爆弾魔に間違えられる。

旅行中の友人が留守の間、滞在しているだけだと言うマシューは、部屋を間違えた捜査官から謝罪される。

気分を変えたマシューとアナイスは乗馬をして、愛を確かめ合う。

カフェでデヴィッドのことをマシューから訊かれたアナイスは、恐れていると答える。

マシューは夫に会うと言うアナイスに苛立つ。

デヴィッドと”引き分け”にしたいと言うアナイスは、彼と話した翌日にマシューと会う約束をする。

家でデヴィッドと食事をしたアナイスは、男との密会の件を訊かれ、それを否定して、愛し合っていることを伝える。

相手は暇を持て余しているだけの老人だと言うデヴィッドに、彼といると生きていることを感じら、必要としているものを与えてくれるとアナイスは話す。

尾行は無駄だと言うアナイスは、この関係を終らせたいことを伝える。

デヴィッドは愛を伝えるものの、時が流れれば気持ちは変わると言うアナイスは、単なる所有物になる気にはなれないと答える。

デヴィッドの愛が物質欲と変わらないと言うアナイスは、自分の価値の値段を尋ねる。

これ以上、話す気になれないアナイスはその場を去り、マシューの元に向い、デヴィッドとは終わったと伝える。

二人だけの時間を楽しむマシューとアナイスだったが、探偵の尾行は続いた。

森の中で愛を語り合っていた二人は、叫び声がしたために様子を見に行く。

ヒッピーの女性が取り乱し、二人の男といたので声をかけたマシューだったが、迷惑だと言われたため、彼らと揉めそうになる。

ヒッピーは去り、マシューは苛立つ。

家に戻ったマシューは、独り芝居の様に騒ぎ始め、アナイスはそんな彼を落ち着かせて、二人は愛し合う。

翌日、電話会社から請求の電話を受けたマシューは、アナイスと共に支払いに向かう。

料金を支払ったマシューは、ロサンゼルスに戻る準備が整ったことをアナイスに確認し、俳優に復帰して稼ぐことを伝える。

通りを歩いていたアナイスはデヴィッドが現れたことに気づき、話をしたいと言う彼を無視して教会に逃げ込む。

マシューに助けを求めて取り乱すアナイスは、デヴィッドに射殺されてしまう。

アナイスを抱きかかえたマシューは教会から出て、放心状態のまま、病院に向うためにタクシーを探す。

その後、アナイスを想いながら、マシューは浜辺を歩き続ける。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ
往年の怪奇俳優マシュー・サウスは、公園で出会った女性アナイスと惹かれ合う仲になる。
私立探偵に尾行されていたアナイスは、気持ちが冷めた弁護士の夫デヴィッドが、自分に未練があることを知る。
年齢が離れた奔放なマシューと過ごす時間に安らぎを感じるアナイスは、彼と愛し合う仲になるのだが・・・。
__________

実力派スター、ジェイソン・ロバーズと期待の若手スター、キャサリン・ロスの共演が話題になった作品。

監督は、活躍中の俳優ジョン・グリースの父であるトム・グライス(トム・グリースとも読む)。

引退して夢もなくした怪奇俳優と、経済的には恵まれているものの弁護士の夫への気持ちも冷めた女性の恋を描くドラマ。

生き方の違う、年齢差のある男女の愛が淡々と描かれるのだが、妻に未練がある夫の行動が、クライマックスの悲劇を引き起こすという衝撃的な結末となっている。

キャリアのある名優ジェイソン・ロバーズと「卒業」(1967)「明日に向って撃て!」(1969)で人気急上昇のキャサリン・ロスの個性は生かしているものの、トム・グライスの演出にいまいち切れがない。

とは言え、1970年代を懐かしく思える世代には興味深い作品で、当時の世相を反映した反戦運動なども随所で描写さる。

夢破れた俳優という役柄だが、奔放な自由人を彼らしく演ずるジェイソン・ロバーズ、何とも言えない魅力的な表情が印象的な美しいキャサリン・ロスの共演はファンには嬉しい。

ヒロインを追い回す弁護士の夫スコット・ハイランズ、公園の二人組ロイ・ジェンソンとマーク・ブラムホール、主人公と揉める犬の飼い主マーク・ハンニバル、ヒッピーのジャック・ナンス、精神科医役でマコ岩松などが共演している。


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