中国国民党軍を支援するアメリカの義勇軍”フライング・タイガース”の活躍を描く、主演ジョン・ウェイン、監督デヴィッド・ミラー、ジョン・キャロル、アンナ・リー、ポール・ケリー他共演の戦争ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・ミラー
製作:エドマンド・グレンジャー
原案:ケネス・ガメット
脚本
ケネス・ガメット
バリー・トリヴァース
撮影:ジャック・A・マータ
編集:アーネスト・J・ナイムス
音楽
ヴィクター・ヤング
ウォルター・シャーフ
出演
ジム・ゴードン大尉:ジョン・ウェイン
ウッドロー”ウッディ”ジャイソン:ジョン・キャロル
ブルック・エリオット:アンナ・リー
ハップ・スミス:ポール・ケリー
”アラバマ”スミス:ゴードン・ジョーンズ
ヴァーナ・ベイルズ:メエ・クラーク
R・T・リンゼイ大佐:アディソン・リチャーズ
”ブラッキー”ベイルズ:エドマンド・マクドナルド
デイル:ビル・シャーリー
レプキン:チャールズ・レイン
ツィン医師:リチャード・ロー
アメリカ 映画
配給 リパブリック・ピクチャーズ
1942年製作 102分
公開
北米:1942年10月8日
日本:未公開
■ アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・ノミネート
録音・特殊効果・ドラマ音楽賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
中国国民党軍を支援するアメリカの義勇軍”フライング・タイガース”のリーダー、ジム・ゴードン大尉(ジョン・ウェイン)は、日本軍爆撃機による攻撃を知り、部下達と共に”カーチス P-40”で飛び立つ。
敵機を発見したジムらは攻撃を仕掛け、戦果を上げて帰還する。
傷を負いながら何とか帰還するものの息絶えた部下デイル(ビル・シャーリー)の死をジムは確認する。
恋人の看護師ブルック・エリオット(アンナ・リー)からデイルの遺品を受け取ったジムは、大学生だった彼を死なせたのは自分の責任だと言って嘆く。
ブルックに励まされたジムは、パイロットを補充するためラングーン(現ヤンゴン)に向うことを、部下のハップ・スミス(ポール・ケリー)に伝えて旅立つ。 ラングーン。 旧知の中ではあるが、事件を起こした過去を持つブラッキーが、部隊の統率を乱すことをジムは心配したのだった。 ブラッキーは食い下がるものの、ジムはそれを断り席を立つ。 ジムを呼び止めたブラッキーの妻ヴァーナ(メエ・クラーク)は、夫を立ち直らせるためにチャンスを与えてほしいと言って、苦しい胸の内を伝える。 断る立場の辛さを語ったジムだったが、ヴァーナの気持ちを察し、ブラッキーを部隊に向かわせるよう指示してその場を去る。 ジムは、パイロットのウッドロー”ウッディ”ジャイソン(ジョン・キャロル)が操縦する、香港からの航空便が日本軍の攻撃を受け、損傷しながら飛行を続けているという報告を受ける。 飛行場の管制室に向かったジムは、車輪が片方でないことを確認し、ウッディに胴体着陸をするよう指示する。 ウッディは着陸に成功してジムに迎えられ、同僚の”アラバマ”スミス(ゴードン・ジョーンズ)と共に部隊に入隊することを航空会社のレプキン(チャールズ・レイン)に伝える。 ジムとアラバマと共に基地に着いたウッディは、その粗末な施設に驚く。 ウッディは、シャワーを浴びていたブルックに気づき近づくが、ジムの恋人である彼女に軽くあしらわれる。 現れたブルックにウッディを紹介したジムは、彼を知っていると言われる。 ウッディを紹介されたハップは、ブルックに手を出すなと忠告される。 宿舎に向かったウッディは、単純に稼ぎに来たと言い放ち、兄弟が戦死したパイロットは彼の言葉に気分を害す。 その時、基地は爆撃に遭い、ジムらは出撃して、ウッディは残るようにと指示される。 敵機を撃墜して報奨金を手に入れようとするウッディは、戦闘機で飛び立ってしまう。 その戦闘機が弾薬と無線機を積んでいないことを知ったブルックは、それをジムに知らせようとする。 報告を受けたジムは、敵機を撃墜しようとして弾薬がないことに気づき、被弾してしまったウッディの機を追う。 ウッディは、制御不能となった機体を何んとか不時着させる。 帰還して駆けつけたジムは、ウッディの無事を確認するものの、貴重な戦闘機を失ったことなどを追及して彼を非難する。 ジムは、今後は訓練に励み命令に従うことをウッディに約束させる。 その後の戦闘で、ウッディは敵機を撃墜し続けるが、金のための強引な飛行をブラッキーに避難される。 ウッディは過去の事件のことを持ち出して、真相を知っていると言い返し、二人は殴り合いになる。 そこに、敵機がメコン川に向かっているという連絡が入り、部隊は出撃する。 ウッディらは敵に攻撃を加えるものの、ブラッキーの機は被弾してしまう。 ブラッキーは脱出してパラシュートで降下するが、敵機の攻撃を受けて戦死する。 帰還したウッディは、ブラッキーを援護しなかったことで、味方よりも報奨金を選んだとハップらに言われて非難される。 ジムに打つ手はなかったことを伝え、納得してもらったウッディは、ブラッキーの妻ヴァーナの元に向かう。 ウッディは、ブラッキーの勇気と働きを称え、戦果の報酬としてヴァーナに現金も渡してその場を去る。 孤児院の様子を見に行ったブルックは、その場でウッディが、子供達に手品を見せていることを知る。 爆撃が始まり、ウッディは子供達をブルックと共に避難させる。 その後ウッディは、孤児となった子供達が悲惨な目に遭った話をブルックから聞き、戦争の現実を知る。 少女から感謝の印にお菓子を渡されたウッディは、ブルックを食事に誘うものの、ジムとの約束があると言われて断られる。 ブルックとの食事を楽しもうとしていたジムは、ハップが持参した文書を解読するため基地に戻る。 ジムは、昼夜を問わず偵察飛行を行うよう命令を受けたことを部下に伝える。 翌日隊員は、ツィン医師(リチャード・ロー)の身体検査を受け、夜間飛行に参加できるかを判断される。 ジムに呼ばれたハップは、検査の結果により今後の飛行を禁じられる。 ハップはそれに応じ、深視力がゼロの状態で飛行させるわけにはいかないことを付け加えるジムから、地上での機体整備を信頼できる者に任せたいと言われる。 ブラッキーの妻ヴァーナの件を知ったブルックは、ウッディを見直し、彼の食事の誘いを受ける。 ウッディは、ヴァーナに会ったことは内緒にしてほしいことをブルックに伝える。 夜間飛行には間に合わせるつもりのウッディは、アラバマに口裏合わせを頼む。 その夜、時間になっても現れないウッディを待つアラバマは焦る。 それを知ったハップが、ウッディの代わりにジムの2番機として飛び立ってしまう。 そこにウッディが戻り、ハップが飛び立ったことを知り、ブルックは飛行禁止の彼が飛び立ったことで大事になると言って心配する。 2番機に応答を求めたジムはハップが答えたため驚き、引き返すように命ずるが、敵機が来襲する。 戦闘は始まり、ハップは敵機を攻撃するものの、遠近感が掴めずに敵機に激突して墜落する。 編隊は帰還し、滑走路は車のライトで照らされ、ジムらは無事に着陸する。 ジムは、ウッディとブルックに、十分楽しんだかと問い、命の代償だと言って立ち去る。 ウッディはジムに謝罪しようとするが、部隊は必要としないと言われ、この場から去るよう命ぜられる。 1941年12月8日。 その演説をラジオで聴いたジムは、R・T・リンゼイ大佐(アディソン・リチャーズ)を迎え、蒋介石が体制を整える間の時間稼ぎのための攻撃を話し合う。 ジムは、目立ち過ぎる戦闘機ではなく、輸送機で飛びニトログリセリンを使い爆撃をする案をリンゼイに語る。 輸送機にニトログリセリンが運び込まれ、単独で飛行するジムは、ブルックに別れを告げる。 一人で十分だと言って、リンゼイに志願者を募らなかった理由を伝えたジムは輸送機に乗り込むが、機体は突然、離陸を始める。 操縦席に座るウッディに憤慨するジムは、パラシュートを付けさせて高度がに達した時点で降下するよう命ずる。 しかし、話し続けるウッディが、戦いの意味を理解したことを確認したジムは、降下しようとする彼を引き留める。 谷間を飛行する二人は、対空砲火を受けながら、目標の鉄橋にニトログリセリンを投下して破壊する。 機体は被弾してウッディは負傷し、火災が発生した為、二人は脱出しようとする。 ウッディは、ジムを突き落として操縦席に戻り、敵の輸送列車に突っ込む。 降下する途中でウッディが負傷していたことに気づいたジムは、彼の死を見届ける。 帰還したジムはウッディの遺書をブルックに読んで聞かせて、入隊したばかりの隊員に彼のスカーフを渡す。 出撃命令を受けたジムは、ブルックと夕食の約束をして出撃する。 ブルックは、大空に飛び立った編隊を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
ホテルで”ブラッキー”ベイルズ(エドマンド・マクドナルド)に会ったジムは、彼のパイロット志願を断る。
日本海軍がハワイの真珠湾を攻撃したため、ルーズベルト大統領は、大日本帝国に対し宣戦布告することを議会に要請する。
*(簡略ストー リー)
中国国民党軍を支援するアメリカの義勇軍”フライング・タイガース”のリーダー、ジム・ゴードン大尉は、パイロットを補充するためラングーンに向かう。
現地で、過去に事故を起こしたことのある旧知のブラッキーと妻に会ったジムは、パイロットを志願ずるブラッキーの申し出を断るものの、妻ヴァーナの説得でそれを許可する。
その後ジムは、民間パイロットのウッディとアラバマを伴い基地に戻る。
奔放な性格のウッディは、飛行を戦争と考えず、金を稼ぐための行為としか捉えないため、部隊員から批判される。
そんなウッディが優秀なパイロットであることは認めるジムは、出撃により部下を失っていく。
そして、1941年12月7日、大日本帝国海軍が真珠湾を攻撃した為、日本に対しアメリカは宣戦布告し、一気に戦況は激しくなる・・・。
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本作が撮影されていた期間が真珠湾攻撃の5か月後から、”ミッドウェー開戦”が始まった時期という、凄まじい戦況の中で製作された作品。
当時としては仕方のなかった描写かもしれないが、とにかく、アメリカ側から見る憎き日本軍が悪魔のように描かれ、真珠湾攻撃により、ルーズベルト大統領が日本に対し宣戦布告することを議会に要請する演説を、肉声で長々と聞かせる念の入れようだ。
民間人居住区への無差別爆撃、脱出した兵士を容赦なく銃撃する残忍な行為など、デヴィッド・ミラーの演出は”反日映画”そのもので、人気スター、ジョン・ウェインの主演作にも拘らず、戦後も日本では公開されなかったという理由が分かる。
本作はモノクロ作品なのだが、見事に着色処理されたカラー版もある。
第15回アカデミー賞では、録音、特殊効果、ドラマ音楽賞にノミネートされた。
オスカーにノミネートされた特殊効果も、当時を考えるとなかなか見事で、ミニチュアを駆使した映像と、実際の戦闘機”カーチス P-40”の戦闘シーンは見応えがある。
ジョン・ウェイン初の戦争映画であることも注目で、日本では「駅馬車」(1939)のことばかりが取り上げられる彼だが、それ以降、わずか3年で20作弱の作品に出演し、30代半ばにして既に貫録十分、いよいよ大スターの道を歩む頃の彼の勇士はファンには嬉しいばかりだ。
自由な考えの持ち主故に協調性に欠けるものの、最後には兵士としての役目を果たすパイロットのジョン・キャロル、ジョン・ウェインとは同じ”ジョン・フォード一家”として共演作多い、主人公の恋人役のアンナ・リー(ジョン・フォード作品8作出演/ジョン・ウェインは24作)、編隊パイロットのポール・ケリー、ゴードン・ジョーンズ、エドマンド・マクドナルド、その妻メエ・クラーク、パイロットのビル・シャーリー、航空会社職員チャールズ・レイン、医師リチャード・ローなどが共演している。