実在の大学教授ロバート・カーンズが人間の瞬きをヒントに発明した間欠ワイパーに関する訴訟に半生を捧げた闘いの日々を描く、主演グレッグ・キニア、ローレン・グレアム、ダーモット・マロニー他共演、監督マーク・エイブラハムによる感動のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・エイブラハム
製作総指揮
トーマス・A・ブリス
J・マイルズ・デイル
ジョナサン・グリックマン
エリック・ニューマン
製作
ゲイリー・バーバー
ロジャー・バーンバウム
マイケル・リーバー
原作:ジョン・シーブルック
脚本:フィリップ・レイルズバック
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ジル・セイヴィット
音楽:アーロン・ジグマン
出演
ロバート・カーンズ:グレッグ・キニア
フィリス・カーンズ:ローレン・グレアム
ギル・プレヴィック:ダーモット・マロニー
グレゴリー・ローソン:アラン・アルダ
マックリン・テイラー:ミッチ・ピレッジ
ミッチェル・フランクス判事:ビル・スミトロヴィッチ
フランク・サーティン:ダニエル・ローバック
スコット:ビル・レイク
チャールズ・デフォア:ティム・ケルハー
デニス・カーンズ:ジェイク・アベル
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2008年製作 119分
公開
北米:2008年10月3日
日本:未公開
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $3,744,790
世界 $4,802,950
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミシガン州、デトロイト。
雨の日曜、ミサの帰り道、”ケース・ウェスタン・リザーブ大学”の工学部教授ロバート・カーンズ(グレッグ・キニア)は、愛車”フォード・ギャラクシー”のワイパーが気になる。
車の構造やワイパーのことが頭から離れないカーンズは、妻フィリス(ローレン・グレアム)の相手もせず車の改造で徹夜してしまう。
ある日、カーンズは子供達の協力で、人間の瞬きをヒントに、機械的ではなく電気的に工夫をしたワイパーの動きに成功する。
カーンズは、フィリスや6人の子供達と祝杯を上げ、友人の実業家ギル・プレヴィック(ダーモット・マロニー)の資金援助を得て、自作の”瞬きワイパー”の構造を売り込むビジネスを始めようとする。
やがてカーンズは、ビッグスリー(ゼネラルモーターズ、フォードモーター、クライスラー)も”間欠ワイパー”を開発中だと知る。 カーンズはプレヴィックに説得され、自分のワイパーに興味を示しているフォードに売り込みをかける決心をする。 フォードの開発担当フランク・サーティン(ダニエル・ローバック)の前で、カーンズは技術を盗まれることを警戒しながら、見事に車に取り付けたワイパーを動かすことに成功する。 サーティンはその動きに感心し、重役のマックリン・テイラー(ミッチ・ピレッジ)に報告する。 テイラーと面会したカーンズは、安全装置であるワイパーの認可を受けるために、ワシントンD.C.へ試作機を送る必要があることを指摘され、それを提供することを彼に約束する。 カーンズは、自らワイパーの可動機を製造する構想を練っていたため、 製造工場用の物件を探し部品の供給などの準備も始める。 3ヵ月後。 18ヵ月後。 慎重に事を運ぼうとするプレヴィックを見限り、カーンズは妻フィリスと二人で、巨大企業フォードを相手に訴訟を起そうとする。 フィリスはストレスで皮膚炎になり、ワイパーの回路の基板が手に入らないカーンズは、フォードの社員の車からそれを盗んでしまう。 精神的に追い詰められたカーンズは、姿を消してしまい、長距離バスで移動中に警官に保護されて病院に入れられる。 2ヵ月後。 ローソンから力強い助言を受けたカーンズは、プレヴィックの同意を得て、”瞬きワイパー”の特許権を譲り受ける。 1年後。 しかしカーンズは、ワイパーの技術を盗んだことをフォードに認めさせた上で、製造権を得るため闘う決意を明らかにする。 その後、特許法について調べ始めたカーンズだったが、フィリスと子供達は家を出てしまいローソンもこの件から手を引く。 4年後。 そんな、独りで闘う父親カーンズの姿を見た長男のデニス(ジェイク・アベル)や他の子供達は、裁判を始めた父に協力する。 そして、ミッチェル・フランクス判事(ビル・スミトロヴィッチ)の下、自分で弁護する許可を得たカーンズは、デニスを助手にして裁判に挑む。 技術者やフォードのテイラーのへの尋問が続き、その後、カーンズが証言台に座り自分自身に質問をする。 カーンズは傍聴席の妻フィリスを前に、1953年の結婚式の夜、 シャンパンのコルクが左目に当たり弱視になったことで、車のワイパーの動きが煩わしくなったことが、発明のきっかけだということを話し始める。 その夜、カーンズの家にデフォアが現れ、示談額を3000万ドルにすることを伝える。 苦労をかけた子供達に意見を求めたカーンズだったが、彼らは父親の意見を尊重することを伝え、デフォアは引き下がる。 その後の裁判で、フォード側はカーンズの精神不安定時の状況や、既に自社でワイパーの研究開発は進んでいたことを主張する。 それに対しカーンズは、自分が始めてワイパーを装着した車を見せるまでは、フォード側がそれを知らなかったはずだと、発明家の意地を見せて最終弁論を終わる。 そして、フォード側が特許を侵害したとみなされ、故意の侵害でないことが考慮され賠償金1010万ドルの支払いを命ずる判決が下される。 カーンズは家族に祝福されるが、妻フィリスは、彼が闘い続けることを悟りその場を去っていく。
...全てを見る(結末あり)
運営資金の調達も整ったカーンズだったが、プレヴィックに呼び出され、フォードが一方的に手を引くと言い出したことを知らされる。
ある日プレヴィックは、フォードの新型”マスタング”発表セレモニーで、自分のワイパーのモーターが装着されていることに気づく。
退院したカーンズは、フィリスと共に訴訟に踏み切り、弁護士グレゴリー・ ローソン(アラン・アルダ)の協力を得る。
フォードから25万ドルの示談金が提示されたことを喜ぶローソンとフィリスだった。
フォードの代理人チャールズ・デフォア(ティム・ケルハー)がカーンズの元を訪ね、示談金を100万ドルまで吊り上げるが彼はそれを受け入れない。
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*(簡略ストー リー)
目に傷を負ったことのある大学教授ロバート・カーンズは、瞬きをヒントに、車のワイパーの動きに間隔を与える装置を開発する。
友人プレヴィックの支援を受け、その装置の製造販売を始めようとしたカーンズに、世界企業フォードから連絡を受ける。
フォード側に認められて、試作機を提供したカーンズだったが、突然フォードは手を引いてしまう。
その後カーンズは、フォードの新型車に自分の開発した装置が装着されていることを知りショックを受け、妻のフェリスと共に巨大企業を相手取り訴訟を起そうとする。
フォード側は示談を申し入れるが、特許侵害と製造権を主張し、カーンズは闘い続けることを決意する。
しかし、6人の子供を抱えながら生活に行き詰まる妻フェリスは、カーンズの元を去り、彼はたった独りで闘わなくてはならない状況に追い込まれる・・・。
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1993年、雑誌”ザ・ニューヨーカー”に掲載された、ジョン・シーブルックの記事を基に製作された作品。
今では当たり前の、間欠ワイパー発明秘話が描かれている序盤は、ほのぼのとした雰囲気で展開し、その発明を盗まれるあたりからの主人公の壮絶な闘いは悲壮感も漂う。
ここで疑問に思う、既に高性能なエンジンも開発され、ロケットも宇宙に飛ぶ時代に、間欠ワイパーを開発することがそれほど難しかったのか・・・。
しかし、それは本作の原題”Flash of Genius”(天才の閃き)で理解できることで、開発力の問題ではなく、多くの人々の役に立つものに気づく能力の素晴らしさ、その可能性を訴えたかったことが分かる。
派手さもない物語だが、普段使用していて、その実用性を実感している間欠ワイパーの開発がテーマだけに実に興味深い。
また、巨大権力と闘うドラマは数多くあるが、子供達の助けを借りての自弁訴訟で、世界企業に闘いを挑む主人公達の描かれ方はアメリカらしい。
結果的に主人公は、フォードとクライスラーから巨額の賠償金を勝ち取るのだが、それに至るまでの痛ましいまでの努力に心打たれる。
その、発明家のプライドを持ち続ける技術者を、グレッグ・キニアは熱演している。
主人公を支えきれずに、彼の元を去る妻やローレン・グレアム、長男のジェイク・アベル、支援者でもある友人のダーモット・マロニー、示談に持ち込むものの、それを断る依頼人から手を引く弁護士アラン・アルダ、フォードの重役ミッチ・ピレッジ、開発者のダニエル・ローバック、代理人ティム・ケルハー、判事ビル・スミトロヴィッチなどが共演している。