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レクイエム Five Minutes of Heaven (2009)

北アイルランド紛争”で青年を殺した加害者と犠牲者の弟がそれぞれの考えを持ちながら対決する姿を描く、監督オリヴァー・ヒルシュビーゲル、主演リーアム・ニーソンジェームズ・ネスビット他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル

製作総指揮
パトリック・スペンス
フランソワ・イヴェルネル他
製作
スティーヴン・ライト
オーエン・オキャラハン
脚本:ガイ・ヒバート

撮影:ルーリー・オブライエン
編集:ハンス・フンク
音楽
デヴィッド・ホームズ

レオ・エイブラハムズ

出演
アリスター・リトル:リーアム・ニーソン

ジョー・グリフィン:ジェームズ・ネスビット
ヴィカ:アナマリア・マリンカ
マイケル:リチャード・ドーマー
アリスター・リトル(少年期):マーク・デヴィソン
ジョー・グリフィン(少年期):ケヴィン・オニール
サラ:アンドレア・アーヴァイン
ジム・グリフィン:ジェラルド・ジョーダン

イギリス/アイルランド 映画
配給
BBC Television
IFC Films
パテ
2009年製作 89分
公開
北米:2009年8月21日
日本:未公開
北米興行収入 $13,220
世界 $87,910


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1975年、10月、北アイルランドラーガン
日常的にテロや暴動、そして殺人が行われていた時代、”アルスター義勇軍”(UVF)に所属する17歳のアリスター・リトル(マーク・デヴィソン)は、暫定派の青年ジム・グリフィン(ジェラルド・ジョーダン)殺害の命令を受ける。

仲間達と現場に向かったリトルは、目無し帽をかぶり、窓の外からジムを銃撃する。

襲撃の一部始終を、8歳のジムの弟ジョー(ケヴィン・オニール)は、建物の外で目撃してしまう。

その後、リトルは犯行に使った車に火をつけ、アリバイ作りのためパーティー会場に向かい、目的を果たした満足感に浸る。
...全てを見る(結末あり)

瀕死のジムは病院に搬送されるものの死亡し、ジョーは何もしなかったことで、取り乱す母親に責められてしまう。

33年後。
事件後、12年の刑で服役もしたアリスター・リトル(リーアム・ニーソン)と、彼に兄を殺されたジョー・グリフィン(ジェームズ・ネスビット)は、”和解”をテーマにしたテレビ番組で対談することになる。

あれ以来、母親に恨まれ続けて生きてきたグリフィンは、対談を前に動揺しながら収録現場の屋敷に到着する。

”真実にたどり着く”ことが目的であることを、グリフィンは番組ディレクターのマイケル(リチャード・ドーマー)に言われるが、化粧室に入り、所持していたナイフを取り出して、怒りを露に復讐を考える。

その後グリフィンは、ウラジオストック出身のアシスタント、ヴィカ(アナマリア・マリンカ)と会話を交わし、相手のリトルを過剰なまでに意識する。

同じ頃、会場に着いたリトルも、グリフィンの挙動に警戒するよう、迎えられたマイケルらスタッフと打ち合わせをする。

リトルの単独の収録が始まり、彼は淡々とグリフィンの兄を殺した経緯などを述べ、自分のするべきことが”正直になること”だと語る。

そして、会場や本人達に緊張が走る中、リトルとグリフィンは対面することになる。

リトルの待ち構えている部屋に向かおうとしたグリフィンだったが、撮影していたその様子が撮り直しになってしまう。

冷静なリトルも、さすがに動揺を隠せず、緊張の糸が切れたグリフィンに再びヴィカが寄り添う。

ヴィカは、既に会っていたリトルが好人物で、グリフィンのことを心配し、抜け殻のようだったことを彼に伝える。

それを聞いて驚くグリフィンだったが、それでも決着をつけると言って、リトルの元に向かう。

しかし、部屋のドアの前で、グリフィンはカメラの撮影を嫌い取り乱し、屋敷を離れて車に乗り込み立ち去ってしまう。

その様子を窓越しに見ていたリトルは、グリフィンには、たぶん殺意があったとヴィカから知らされる。

その後も、毎朝、頭の中に現れる少年グリフィンの表情に悩まされるリトルは、ラーガンに向かい彼にメッセージを渡そうとする。

それを受け取ったグリフィンは、リトルと決着をつけるために彼に会おうとする。

連絡を受けたリトルは、今では空き家になっていたグリフィンの家に向かう。

リトルを二階の部屋で待ち構えていたグリフィンは、彼に襲い掛かり格闘となり、二人は窓から転落してしまう。

傷を負ったリトルは、当時の状況と犯行の経緯をグリフィンに説明し、姿を消す自分を忘れろと伝えて、その場を去って行く。

その後、グリフィンはリトルに言われたように、妻そして娘達のことだけを考えて生きていこうとする。

ベルファスト
そして、リトルは、全てが終わったというグリフィンからの電話を受け安堵する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1975年、10月、北アイルランドラーガン
アルスター義勇軍”(UVF)に所属する17歳のアリスター・リトルは、暫定派の青年を殺害する。
それを目撃してしまった青年の弟ジョーとリトルは、それぞれが、その光景をトラウマとして引きずりながら生きていくことになる。
33
年後、テレビ番組で対談することになった二人だったが、リトルは少年ジョー・グリフィンの自分の見つめる眼差しを忘れられず、グリフィンは復讐心だけを抱いていた。
結局グリフィンは対談を拒否しその場を去って行く。
その後も、癒えない心に悩まされながら、リトルはグリフィンに会う決断をする・・・。
__________

第25回サンダンス映画祭で、監督賞と脚本賞を受賞した作品。

日本では劇場未公開に終わり、イギリスでもテレビ放映のみとなった。

イギリス最大の政治問題でもある、”北アイルランド問題”が大きなテーマではあるが、33年もの間、罪の意識を抱え悩む男と、それに対する復讐心を抱く男との心の闘いを、オリヴァー・ヒルシュビーゲルはスリリングに描いている。

特に、結局は実現しなかった二人のT対談で、両者が対面しようとする瞬間までを描写する、緊張感あるショットは目だ。

主演のリーアム・ニーソンは、意識ので毎日現れる少年の顔をトラウマとして抱える元テロリストを終始冷静に抑えた演技で彼らしく演じ、殆ど無表情で淡々と語る姿が印象的でもある。

一方、感情を抑えきれず動揺し取り乱してしまう男ジェームズ・ネスビットは、事件以来、母親に見捨てられてしまい、それが復讐の一因でもあるが自分の娘達に愛情を注ぐことで、苦しみから逃れられることになる、クライマックスの表情が忘れ難い。

番組アシスタントのアナマリア・マリンカ、ディレクターのリチャード・ドーマー、少年役のマーク・デヴィソン、少年ジョーのケヴィン・オニールなどが共演している。


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