恵まれた環境で育ちながら”愛”を拒絶してあるがままの人生を送る男の生き様を描く、原案、製作、監督ボブ・ラフェルソン、ジャック・ニコルソン、カレン・ブラック共演によるアメリカン・ニューシネマの秀作にして代表作となった作品。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ボブ・ラフェルソン
製作総指揮:バート・シュナイダー
製作
ボブ・ラフェルソン
リチャード・ウェクスラー
原案
ボブ・ラフェルソン
エイドリアン・ジョイス
脚本:エイドリアン・ジョイス
撮影:ラズロ・コヴァックス
編集
クリストファー・ホームズ
ジェラルド・シェパード
音楽:タミー・ウィネット
出演
ロバート”ボビー”エロイカ・デュピー:ジャック・ニコルソン
レイエット・ディペストロ:カレン・ブラック
エルトン:ビリー”グリーン”ブッシュ
キャサリン・ヴァン・オースト:スーザン・アンスパッチ
パティタ・デュピー:ロイス・スミス
カール・フィデリオ・デュピー:ラルフ・ウェイト
ニコラス・デュピー:ウィリアム・チャーリー
パーム・アポダカ:ヘレナ・カリアニオテス
テリー・グロース:トニー・ベイジル
スパイサー:ジョン・P・ライアン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1970年製作 98分
公開
北米:1970年9月12日
日本:1971年5月1日
製作費 $1,600,000
北米興行収入 $18,099,090
■ アカデミー賞 ■
第43回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演男優(ジャック・ニコルソン)
助演女優(カレン・ブラック)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カリフォルニア。
石油採掘現場で働く労働者のロバート・エロイカ・デュピー(ジャック・ニコルソン)は、その日暮らしに近い生活を送る無気力な男だった。
ロバートは、音楽一家に育ちながら、気ままな生活を選び家を出て旅を続けて、同棲するウエイトレスのレイエット・ディペストロ(カレン・ブラック)を、真剣に愛そうともしなかった。
友人である仕事の同僚エルトン(ビリー”グリーン”ブッシュ)とボウリングを楽しんだロバートだったが、スコアにならないレイエットに不満をぶつける。
気分を害したレイエットだったが、謝罪したロバートを許し、彼の愛を確かめる。
しかしロバートは、そんなことも忘れて、エルトンと共に他の女を相手にする。
再び自分の機嫌を取るロバートを、レイエットは再び許してしまう。
ある日、レイエットが妊娠したことを知ったロバートはショックを受け、責任をとれと世話を焼くエルトンと仲違いしてしまう。 仕事を辞めようとしたロバートは、エルトンが男達に襲われていたために、彼を助けようとする。 しかし、男達は警官で、ガソリンスタンドを襲い逮捕されて、保釈中に逃走した身のエルトンは、逮捕連行されてしまう。 その後、ピアニストの姉パティタ(ロイス・スミス)に会いに行ったボビーは、父ニコラス(ウィリアム・チャーリー)が倒れて、容態がよくないことを知らされる。 父に会うよう勧められたロバートは、気が進まないまま、実家に行くことをパティタに約束してその場を立ち去る。 女と愛し合った後、レイエットの元に向かったロバートは、実家に行くことを伝える。 涙を流すだけのレイエットに、将来を約束したわけではないと言い訳を残し立ち去ろうとしたロバートだったが、彼女の元に戻り、二人は一緒に実家に向かうことになる。 途中、車が横転したため立ち往生していたパーム・アポダカ(ヘレナ・カリアニオテス)とテリー・グロース(トニー・ベイジル)のレズビアンの二人を乗せたボビーは、彼女らがアラスカに向かおうとしていることを知る。 ロバートやレイエットの迷惑も気にせずに、世の中の全てが不潔だと言って、二人は持論をまくし立てる。 あるレストランに寄った4人だったが、自分の注文に応じようとしないウエイトレスに腹を立てたロバートは憤慨し、彼らは店を出る。 パームとテリーを降ろしたロバートは、モーテルに泊まった翌日、様子を見て来ると言って一人で実家に向かう。 ワシントン州、ピュージェット湾。 夕食の際、事故で首を痛めて、バイオリンが弾けなくなった兄のカール(ラルフ・ウェイト)と、彼の婚約者でピアニストのキャサリン・ヴァン・オースト(スーザン・アンスパッチ)らに、ロバートは、自分の生き方に干渉されて気分を害する。 魅力的なキャサリンが気になるロバートは、カイルが本土に向かった日、彼女にピアノを弾いて欲しいと頼まれる。 その演奏に感動したというキャサリンの意見を、素直に受け入れず、親密になれば理解できると答えるロバートの態度が気に障った彼女は、その場を去る。 キャサリンの部屋に向かったロバートは、自分に対し思わせぶりな態度をとったと彼女を責め、強引に愛し合ってしまう。 2週間も待たされたレイエットは痺れを切らし、ロバートの実家を訪ねてカールに歓迎される。 レイエットが来たことを迷惑に思うロバートは、外出して町の酒場に向かい、外で夜を明かしてしまう。 家に戻ったロバートは、キャサリンが連れてきた友人の話に我慢の限界に達し、ばかげた空想だと罵り、席を外してしまう。 ロバートは、同じように気分を害して席を立ったキャサリンを捜すが、パティタが、父の世話をするスパイサー(ジョン・P・ライアン)とベッドにいることに驚く。 憤慨したロバートだったが、スパイサーに抑え込まれて観念し、現れたキャサリンに話をしたいことを伝える。 ”愛”が欠如していることをロバートに指摘したキャサリンは、彼の考えを理解できないことを伝える。 自分には異常に思える家で暮らしたいのかと、キャサリンに問うロバートは、それを否定しない彼女に言葉を返せない。 何も語れない父ニコラスを連れて、散歩に出かけたロバートは、旅を続けるのは、自分がその場の状況を悪くしてしまうからだと語る。 ニコラスと、気持ちが通じ合えないことを察しているロバートは、涙しながら父に謝罪する。 カリフォルニアに戻ることにしたロバートは、パティタだけに別れを告げてレイエットと共に立ち去る。 車の中でレイエットは、ロバートが自分に優しくできないことに対して不満をぶつける。 ガソリンスタンドに寄ったロバートは、コーヒーを買うというレイエットに財布を渡す。 トイレでもの思いに更けるロバートは、外に停車していたトラックのドライバーに声をかけ、同乗させてもらう。 ロバートは、ジャケットや所持品、そしてレイエットを残して北に向かう。 レイエットは、姿を消したロバートを捜してトイレに向かう。
...全てを見る(結末あり)
実家に着いたロバートは、パティタに歓迎され、自分が誰か分からない様子の父ニコラスとも対面する。
*(簡略ストー リー)
カリフォルニア。
音楽一家に育ったロバート・デュピーだったが、気ままな人生を選び、石油採掘現場で働く労働者として、その日暮らしに近い日々を送っていた。
ロバートは、ウエイトレスのレイエットと同棲していたのだが、彼女を真剣に愛そうともせず、他の女も相手にする。
そんな自分を度々許すレイエットが、妊娠したことを知ったロバートはショックを受け、責任をとろうともしない。
仕事を辞めたロバートは、ピアニストである姉パティタに会い、父ニコラスの容態が悪いことを知らされる。
パティタに、父に会うよう言われたロバートは、気が進まないまま、レイエットを伴い実家に向かう。
途中、レイエットを残して一人で実家を訪れたロバートは、父と対面し、兄カールと婚約者のキャサリンに歓迎される。
自分の生き方に干渉されるのを嫌うロバートは、居心地の悪い日々を過ごす。
そんなロバートは、キャサリンが気になり、意見が合わないものの、カールの留守の間、彼女と愛し合ってしまう・・・。
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人生や”愛”に価値を見いだせない男の日常と苦悩を、製作、原案を兼ねるボブ・ラフェルソンがリアルに描いた演出は、各映画賞などで高く評価された。
ボブ・ラフェルソンは、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1981)でもジャック・ニコルソンと組むことになり、また、同作には本作でも登場するジョン・P・ライアンも出演している。
第43回アカデミー賞では、作品、主演男優賞(ジャック・ニコルソン)、助演女優賞(カレン・ブラック)、脚本賞にノミネートされた。
何んと言っても注目は、既にキャリアは十分だったが、前年の「イージー・ライダー」(1969)でアカデミー助演賞候補になったジャック・ニコルソンが、演技派として早くもその実力を確かなものにした記念すべき作品でもある。
不思議なもので、現在の彼よりも更に自然に見えるジャック・ニコルソンの素晴らしい演技は、全てがアドリブのようにも思える。
その彼と「イージー・ライダー」(1969)でも共演したカレン・ブラックの演技も見逃せない。
主人公の実家で、異質な雰囲気を漂わせる彼女だが、真剣に愛する気になれない彼女と、縁を切れない主人公の気持ちを理解できる存在として、実に印象深い役を演じている。
主人公の同僚ビリー”グリーン”ブッシュ、ジャック・ニコルソンとは私生活での隠し子騒動でも知られる、主人公の兄ラルフ・ウェイトの婚約者スーザン・アンスパッチ、主人公の姉ロイス・スミス、父親のウィリアム・チャーリー、旅の途中で主人公の車に同乗するヘレナ・カリアニオテスとトニー・ベイジル、主人公の父親の介護人ジョン・P・ライアンなどが共演している。