サイトアイコン That's Movie Talk!

H・G・ウェルズのSF月世界探検 First Men in the Moon (1964)

1901年に発表された、ハーバート・ジョージ・ウェルズの小説”月世界最初の人間”を基に製作された作品。
隣人の科学者が発明した物質と宇宙船で人類初の旅行を計画した青年の体験を描く、SFXレイ・ハリーハウゼン、出演エドワード・ジャドマーサ・ハイヤーピーター・フィンチ他共演、監督ネイサン・H・ジュランによるSFアドベンチャー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト ■
監督:ネイサン・H・ジュラン

製作:チャールズ・H・シニア
原作:ハーバート・ジョージ・ウェルズ月世界最初の人間
脚本
ナイジェル・ニール

ジャン・リード
撮影:ウィルキー・クーパー
編集:モーリス・ルーテス
SFX:レイ・ハリーハウゼン
音楽:ローリー・ジョンソン

出演
アーノルド・ベッドフォード:エドワード・ジャド

キャサリン・カレンダー:マーサ・ハイヤー
ジョゼフ・カヴォール:ライオネル・ジェフリーズ
スチュアート:ノーマン・バード
療養所の看護師:グラディス・ヘンソン
リチャード・チャリス:ヒュー・マクダーモット
廷吏:ピーター・フィンチ
ディムチャーチの記録係:マイルズ・メイルソン

イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1964年製作 103分
公開
イギリス:1964年8月6日
北米:1964年11月20日
日本:未公開
北米興行収入 $1,650,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1964年。
国連が打ち上げた探査船が月面に着陸する。
早速、船外活動が始められ、人類は初めて月面に立つ。

月面の調査は順調に進むのだが、岩の間から傷んだ”ユニオンジャック”が見つかる。

更に”ヴィクトリア女王に栄光あれ、キャサリン・カレンダー、1899年”と記されたメモも見つかる。

船長は、”ディムチャーチ”とあったその場所に、国連宇宙機関の調査団を向かわせるよう指示する。

調査団は、療養所にいる老人アーノルド・ベッドフォード(エドワード・ジャド)が、この件に関係することを知り彼の元に向かう。

ベッドフォードは、月面で発見された”ユニオンジャック”の写真などを見せられて驚きながら、調査団のリチャード・チャリス(ヒュー・マクダーモット)らに、に行き戻ったという信じ難い話を語り始める。
...全てを見る(結末あり)

1899年。
ディムチャーチの近くのコテージを借りたベッドフォードは、婚約者のキャサリン・カレンダー(マーサ・ハイヤー)の到着を喜ぶ。

ある日キャサリンは、隣人の科学者のジョゼフ・カヴォール(ライオネル・ジェフリーズ)が現れたために彼を歓迎する。

発明家のカヴォールは、危害を及ぼす可能性のある実験をしているため、コテージを買い取りたいことをキャサリンに伝える。

ベッドフォードが借金苦だと知っていたキャサリンは、それを承知してしまう。

帰宅したベッドフォードはそれを知り、慌ててガヴォールの屋敷に向かう。

ベッドフォードは家を売る話をする暇もなく、重力を失うと言う液状物質”カヴォナイト”の実験に付き合わされる。

それを塗った椅子が浮かんだことに驚いたベッドフォードは、それがビジネスになると考えて、カヴォールに家を売り投資することを伝える。

カヴォールが、カヴォナイトを何に使うのかという問いに旅行にでもと答えたため、ベッドフォードは驚く。

ベッドフォードは、コテージの名義を一旦キャサリンにして、カヴォールにそれを売り投資することを彼女に伝える。

キャサリンは、現金を手に入れても、結婚よりも実験への投資だというベッドフォードに呆れてしまい気分を害す。

早速、契約証明書をカヴォールに渡したベッドフォードは、には金塊があるかもしれないことを知らされ、温室にあった宇宙船を見せられる。

残りのカヴォライトが完成すれば、それを船体に塗ると言うカヴォールの夢は広がる。

ところが、カヴォライトを製造する釜戸が爆発してしまう。

それを実験の成功だと判断するカヴォールと旅行を計画するベッドフォードらの考えに、キャサリンは呆れてしまう。

その後、カヴォライトを船体に塗り始めたカヴォールは、仕方なくベッドフォードのために旅の荷物を運ぶ。

カヴォールは、スペースがないと言ってそれを拒み、旅への理解をキャサリンに求めるベッドフォードだった。

ベッドフォードは、自分かカヴォールのどちらを選ぶかうをキャサリン問われ答えを迫られる。

コテージに戻ったキャサリンは、権利証書の不正譲渡の疑いで召喚されることになる。

叔母から譲り受けた家だと言われていたキャサリンは、嘘をついたベッドフォードに説明を求めようとする。

出発を前に宇宙船内にいたベッドフォードは、怒って現れたキャサリンを仕方なく中に入れ、直後に船体は飛び立つ。

飛行を続けた宇宙船は何とか月面に着陸し、カヴォールとベッドフォードは船外活動の準備を始める。

カヴォールは、”ヴィクトリア女王に栄光あれ。1899年”とキャサリンにメモさせ、”ユニオンジャック”を持参して船外に出る。

興奮するカヴォールは、”ユニオンジャック”とメモを岩に置く。

その後ベッドフォードとカヴォールは、岩の向こうの地面の巨大なハッチが開いたことに気づき落下してしまう。

ベッドフォードのヘルメットは外れ、息ができることを確認した二人は、更に地下に向かい人影を見る。

の住人”セレナイト”に遭遇した二人だったが、カヴォールの忠告を無視してベッドフォードが彼らと戦ってしまう。

カヴォールはそれを批判し、一人で来るべきだと言って後悔する。

地上に戻った二人は、宇宙船がセレナイトに運ばれたことに気づき、ある扉から内部に入る。

その頃キャサリンは、宇宙船のハッチを開けたセレナイトに発砲する。

銃声を聞いたベッドフォードとカヴォールは、巨大なイモムシに襲われそうになりなる。

逃げ遅れたカヴォールは、セレナイトに捕えられるがのだが、ベッドフォードはその場を逃れる。

拘束され調べられていたキャサリンの元にカヴォールが現れ、彼はセレナイトと対話しようとする。

キャサリンとカヴォールは、太陽光線を利用した動力源装置がある場所にたどり着き、セレナイトが宇宙船を解体していることに気づく。

セレナイトはカヴォライトを複製しようとしていたが、物質が不足しているため、それを完成させることができなかった。

その場にたどり着いたベッドフォードは、日食で太陽光が遮られたため、動力装置が停止しセレナイトも動きが止まったことに気づく。

キャサリンを休ませたカヴォールは、銃を持つベッドフォードをセレナイトと対話をするべきだと言って説得する。

太陽光を受けた動力装置は再び作動し始め、カヴォールはセレナイトのリーダーの元に向かう。

ベッドフォードは、調査室にいたキャサリンを助けてその場を離れ、宇宙船を修復する。

カヴォールは、リーダーに地球の様子や戦争のことを聞かれる。

地球人の侵略を恐れたリーダーは、カヴォライトの秘密と共にこの場に残るよう命ずる。

しかし、宇宙船修復のためカヴォールを連れ戻そうとして現れたベッドフォードが、銃を発砲してセレナイトに危害を加えてその場を逃れる。

ベッドフォードの行為を批判しながら、飛び立つ準備をしたカヴォールだったが、彼はこの場に残ると言って宇宙船に乗ろうとしない。

そこにセレナイトの大群が現れ、ベッドフォードとキャサリンは飛び立つ。
____________

地球に戻れたことを国連調査団に伝えたベッドフォードは、月面から送られてくる映像で、地球上の細菌のせいで免疫のないセレナイトが滅んだことを知る。

ベッドフォードはカヴォールのことを考えながら、望遠鏡でを眺める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1964年。
人類最初の月面着陸は成功するが、その場で”ユニオンジャック”と1899年のメモが見つかる。
その件を国連調査団が調べ始め、療養所の老人アーノルド・ベッドフォードが旅行を成功させた話を始める・・・。
1899年、隣人の科学者カヴォールが重力を失わせる物質”カヴォナイト”を発明したことを知ったベッドフォードは、彼に家を売った現金をそれに投資しようとする。
ベッドフォードは、婚約者キャサリンの反対を押し切り、カヴォールが既に完成していた宇宙船にカヴォナイトを塗り旅行計画を準備する。
出発の日、カヴォールとベッドフォードは、仕方なくキャサリンも連れて行くことになりへと飛び立つ。
月面に着陸したベッドフォードとカヴォールは船外活動を始める。
二人は別世界を見て興奮し、の住人である”セレナイト”の地下都市を発見するのだが・・・。
__________

H・G・ウェルズの、旅行をテーマにした古典的なSFストーリーなのだが、冒頭は爆笑喜劇のような展開で進むところが実に興味深い。

月面到着と共に一転して神秘的な雰囲気となり、レイ・ハリーハウゼンによる特撮の効果が活かされた、ファンタジックでもある映像は、当時の人々を大いに楽しませただろう。

既にアメリカでは、への有人宇宙飛行”アポロ計画”が進められていたのだが、ロケットの弾道飛行すら行われていない段階だった。
本作公開の5年後に”アポロ11”で成功する、実際の月面着陸とは全く異なる冒頭の着陸シーンや船外活動だが、偉業現実に向けての夢が感じられてなかなかよろしい。

イギリス人気質を前面に出したコメディ、そして奇想天外な冒険映画として見応えがあり、終盤は、友好的な異星人に敵意を見せる人間の愚かさなども描く、深い内容となっているところなども注目だ。

隣人の科学者(ライオネル・ジェフリーズ)と共に旅行に向かう青年エドワード・ジャド、その婚約者マーサ・ハイヤー、月面着陸のクルー、ノーマン・バード、療養所の看護師グラディス・ヘンソン国連宇宙機関調査団のヒュー・マクダーモット、廷吏役での端役出演となる名優のピーター・フィンチ、ディムチャーチの記録係マイルズ・メイルソンなどが共演している。


モバイルバージョンを終了