スペインの無敵艦隊に国民と共に立ち向かうイングランドの女王エリザベス1世の戦いを描く、監督ウィリアム・K・ハワード、主演フローラ・ロブソン、レイモンド・マッセイ、レスリー・バンクス、ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー他共演の歴史ドラマ。 |
・ヴィヴィアン・リー / Vivian Leigh / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・K・ハワード
製作
エリッヒ・ポマー
アレクサンダー・コルダ
原作:A・E・W・メイソン”Fire Over England”
脚本
クレメンス・デイン
セルゲイ・ノルバンドフ
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
編集:ジャック・デニス
音楽:リチャード・アディンセル
出演
エリザベス1世:フローラ・ロブソン
フェリペ2世:レイモンド・マッセイ
”ロビン”ロバート・ダドリー/レスター伯:レスリー・バンクス
マイケル・インゴルビー:ローレンス・オリヴィエ
シンシア:ヴィヴィアン・リー
バーリー男爵:モートン・セルトン
エレナ:タマラ・デスニ
リチャード・インゴルビー:リン・ハーディング
ローレンス・グレゴリー:ジョージ・サールウェル
スペイン大使:ヘンリー・オスカー
ドン・ミゲル:ロバート・レンデル
ドン・ペドロ:ロバートニュートン
ドン・エスコバル:ドナルド・カルスロップ
ヴァルデス提督:チャールズ・カーソン
ヒラリー・ヴェイン:ジェームズ・メイソン
ジェームズ・タールトン卿:フランシス・デ・ウルフ
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1937年製作 92分
公開
イギリス:1937年2月25日
北米:1937年3月5日
日本:1937年5月日 未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1587年。
スペイン国王フェリペ2世に対し、小国イングランド王国の国民は立ち向かった。
民を導いたのは、女王エリザベス1世だった。
女王に仕える廷臣バーリー男爵(モートン・セルトン)の18歳の孫娘シンシア(ヴィヴィアン・リー)は、女王エリザベス1世(フローラ・ロブソン)の真珠を探していた。
廷臣ロバート・ダドリー/レスター伯(レスリー・バンクス)から、女王の警備についての意見を聞いていたバーリー男爵は、慌てているシンシアから真珠のことを知らされ、手元にあったそれを彼女に渡す。
スペインの脅威と、略奪を続けるフランシス・ドレーク提督の行動について話し合うバーリー男爵とレスター伯は、女王の到着を知らされる。 謁見に現れたスペイン大使(ヘンリー・オスカー)を歓迎しないレスター伯とバーリー男爵を黙らせた女王は、大使から、イングランド側の海上での最近の行動を批判される。 特にドレークだと言う大使は、挑発しているのはスペイン側だと反論する女王に、彼の出国禁止命令を求める。 無理だと言う女王は、ドレークを捕えることができれば処刑しても構わないと伝える。 武力行使も考えると言う大使を相手にしない女王は、その場から退席する。 レスター伯から意見された女王は、自分のために命を懸けて戦っているドレークらの行動を支持する。 その頃、スペイン艦隊と海戦を繰り広げていたドレークの部下リチャード・インゴルビー(リン・ハーディング)は、親友であった敵将のドン・ミゲル(ロバート・レンデル)と剣を交える。 そこに現れたインゴルビーの息子マイケル(ローレンス・オリヴィエ)は、加勢しようとするものの傷つけられ、父と共に捕らえられる。 友人ドン・ミゲルの恩情で、海に飛び込め息子は助けると言われたインゴルビーは、船から逃げるようにとマイケルに指示する。 泳いで陸に上がり、ドン・ミゲルの元に向かえば助けてくれると言われたマイケルは父に従う気になれない。 命令だと言われたマイケルは、仕方なくそれに従い海に飛び込む。 海岸にたどり着いたマイケルは、ドン・ミゲルの屋敷に向かう。 ドン・ミゲルが戻ったことを知った娘のエレナ(タマラ・デスニ)は、父を迎えて話をする。 異端審問所に引き渡し火刑になる友人のインゴルビーの話をするドン・ミゲルは、溺死したことになっている彼の息子マイケルが、この場に来るはずだとエレナに伝える。 結婚を控えるもののマイケルに興味を持つエレナは、スペイン人に見えて言葉も話せる彼を助けることを父から知らされる。 そこに疲労困憊のマイケルが現れ、ドン・ミゲルとエレナは、意識を失った彼を介抱する。 届いた手紙をシンシアから受け取ったバーリー男爵は、インゴルビーが捕えられたことを知る。 恋人マイケルのことを案ずるシンシアは、彼のことは分からないと祖父から知らされる。 回復したマイケルはエレナと親交を深め、リスボンの街から上がる煙を見つめる。 それがインゴルビーを処刑する煙だと気づいたエレナは、何も知らないマイケルを気の毒に思う。 その後、ドン・ミゲルと話したマイケルは、父の遺言を知らされ、リスボンの煙は火刑だったと言われる。 悲しむマイケルはドン・ミゲルとエレナを非難し、二人を許せない。 ドレークの略奪行為を女王らに報告するバーリー男爵は、スペインとの和平を第一に考えるべきだと伝え、略奪船か現金を返すか、ドレークを処刑することを提案する。 レスター伯と共にその件に反対する女王は、生還したマイケルからインゴルビーが火刑になったことを知らされ、彼と二人だけで話す。 スペインの野蛮な行為を知った女王は、敵の戦力を考えながら、戦う意志のあるマイケルを信頼する。 マイケルとの再会を喜ぶシンシアは、女王に呼ばれて身支度を任される。 女王からレスター伯を呼ぶことを指示されたシンシアは、それを忘れてマイケルの元に戻り、彼との愛を確かめる。 そこに現れた女王は二人を非難して追い払い、レスター伯を迎える。 フェリペ2世に手紙を書いた女王は、議会を通す必要はないことをレスター伯に伝える。 マドリッドに向かうヒラリー・ヴェイン(ジェームズ・メイソン)と話したレスター伯は、裏切り者という噂が流れていることを彼に伝える。 動揺するヴェインから誤解だと言われたレスター伯は、彼を下がらせた後で、ヴェインの出国は阻止するようにと部下に命ずる。 その後、市民の前に現れた女王に近づく女が銃を隠し持っていることに気づいたマイケルは、彼女を取り押さえる。 女王に姉メアリーを殺したと伝えた女は、自分には女王はいないと言って、女王を非難する。 女が持っていた銃が空砲だと知った女王は、彼女を解放しようとする。 殺されると言う女から、仲間がフランスにいることを知らされて女王は、海峡を渡らせると伝える。 駆け付けたレスター伯は女王の身を案じ、動揺する彼女からメアリーを救えたはずであり、自分に与えられた罰だと言う彼女を気遣う。 バーリー男爵らは女王のことを心配し、現れたスペイン大使が暗殺を企てていると興奮しながら話すマイケルは、敵艦隊の脅威を女王に知らせる。 マイケルを下がらせた女王は大使に謝罪し、父を亡くした彼は動揺しているのだろうと伝える。 その頃、出国しようとしたヴェインは、連行されそうになったために船から海に飛び込む。 マイケルに自分たちの立場などを話していたバーリー男爵は、女王に呼ばれ、その場にいたレスター伯から、ヴェインが溺死したことを知らされる。 女王は、自分の命令を無視したレスター伯を非難し、フェリペ2世の元に向かったヴェインを捕える計画だったことを、バーリー男爵はレスター伯に伝える。 ヴェインが裏切り者だったことを確認した女王は、バーリー男爵から、マイケルなら裏切らないと言われる。 シンシアには止められるものの、女王から命令を受けたマイケルは、ヴェインに扮して旅立つ。 マイケルとの別れを悲しむシンシアは、気遣ってくれる女王に寄り添い涙する。 バーリー男爵とレスター伯から指示を受けたマイケルは、情報を入手できない場合は戻らない覚悟だと伝える。 マドリッド、エル・エスコリアル修道院。 ドン・エスコバル(ドナルド・カルスロップ)と共にドン・ペドロ(ロバートニュートン)と歓談していたマイケルは、彼の妻エレナに気づかれる。 驚くエレナは何も話さなかったが、マイケルから父ドン・ミゲルのことを訊かれ、イングランドの海賊に殺されたと答える。 祝宴の後でエレナと話したマイケルは、自分のことを黙っていたのは、亡き父と共に好意を持っていたからだと言われる。 マイケルから別れのキスをされたエレナは、その場に現れたドン・ペドロに部屋に呼ばれ、マイケルのことを追及される。 ドン・ペドロは、話の内容からエレナとマイケルが知り合いであると考える。 国王の元に向かったマイケルは、帰国した後の指示を受ける。 エレナとマイケルとの関係を知ったドン・ペドロは、自分の立場があると言って彼女を責める。 イングランド側の裏切り者を知らないマイケルがヴェインでないことに気づいた国王は、ドン・ペドロを呼び彼を連行させる。 エレナから話を聞いたことをマイケルに伝えたドン・ペドロは、妻を巻き込みたくないため、彼に逃げる方法を知らせる。 ドン・ペドロの部下から逃れたマイケルは火を放ち、ドン・エスコバルから借りた馬に乗り、その場から走り去る。 気落ちするエレナと話したドン・ペドロは、敵は見極めなくてはならず、愛国心を捨ててはいけないと言って彼女を納得させる。 その後、スペイン艦隊がイングランドに近づき、それを知った町は騒然となる。 戦場のレスター伯から手紙を受け取った女王は、自国の軍団を励ましてほしいという要請で現地に向かうことを、バーリー男爵に伝える。 女王からバーリー男爵を頼むと言われたシンシアは、マイケルのことを祖父に尋ねるが、何も聞いていないので希望は捨てるようにと言われる。 ティルブリーに到着した女王は、兵士たちを励まし勝利のために戦うことを誓う。 戻ったマイケルから裏切り者を知らされた女王は、共に戦うつもりの彼の偉業を称えて、貴族の称号を授ける。 ローレンス・グレゴリー(ジョージ・サールウェル)ら裏切り者たちを前にした女王は恐れることなく、自分を殺すように指示する。 女王にひれ伏したグレゴリーらは牢獄か死かを選ばされ、忠誠を誓い戦う意志を伝える。 マイケルを呼んだ女王は、彼らを指揮して敵に立ち向かい、石炭を乗せた小舟で艦隊に近づき火を点けて突撃するよう命ずる。 指示に従い海に向かったマイケルらは、船に火を点けて海に飛び込む。 炎上した船は敵艦隊に突っ込み、マイケルらは敵の全滅を確認する。
...全てを見る(結末あり)
艦隊司令官ヴァルデス提督(チャールズ・カーソン)と話していた国王フェリペ2世(レイモンド・マッセイ)は、現れた”ヴェイン”(ヴェイン)マイケルからイングランド側の情報を入手する。
*(簡略ストー リー)
1587年。
スペイン国王フェリペ2世に対し、小国イングランドの女王エリザベス1世は国民と共に立ち向かった。
敵艦隊との戦いの指揮官インゴルビーと息子マイケルは、スペイン側に捕らえられてしまう。
友人である敵将ドン・ミゲルの恩情で、マイケルは助けてもらえることになったインゴルビーは、息子を逃がす。
ドン・ミゲルの屋敷に向かったマイケルは、彼の娘ヘレナと親交を深めるものの、父の死を知らされ失意の内に帰国する。
勇敢なマイケルを信頼した女王は、スパイとしてフェリペ2世の元に向かうよう命ずるのだが・・・。
__________
1936年に発表されたの小説、A・E・W・メイソン”Fire Over England”を基に製作された作品。
16世紀当時の大国スペインの脅威に対し、国民と共に立ち向かったイングランドの女王エリザベス1世の戦いを描く歴史ドラマ。
当時は小国だったイングランドが、フェリペ2世のスペインが誇る無敵艦隊に挑む、”アルマダの海戦”を背景にした物語がドラマチックに描かれている。
両者共に主演ではないが、ローレンス・オリヴィエとヴィヴィアン・リーが初共演した作品であり、その後、二人が恋に落ちたことはあまりにも有名だ。
内容としては、平和と繁栄の“ゴールデン・エイジ”(黄金時代)を迎えるきっかけとなった時期のイングランドの国内情勢と、エリザベス1世とその側近らとの関係などが興味深く描かれている。
そのエリザベス1世を演ずる主演のフローラ・ロブソンは、弱小国でありながら大国スペインに立ち向かい国民を支える女王を、圧倒的な存在感で熱演している。
スペイン国王フェリペ2世のレイモンド・マッセイ、エリザベス1世の愛人と言われた廷臣ロバート・ダドリー/レスター伯のレスリー・バンクス、ユーモアをまじえた軽快な身のこなしが印象的な、女王に仕えスパイも命ぜられるローレンス・オリヴィエ、美しさ際立つ彼の恋人で、祖父バーリー男爵(モートン・セルトン)と共に女王に仕えるヴィヴィアン・リー、スペイン艦隊の提督(ロバート・レンデル)の娘タマラ・デスニ、その夫ロバートニュートン、マイケル(ローレンス・オリヴィエ)の父親である艦隊指揮官リン・ハーディング、イングランド側の裏切り者ジェームズ・メイソンとジョージ・サールウェル、スペイン大使のヘンリー・オスカー、スペインの武将ドナルド・カルスロップ、同じくチャールズ・カーソン、他フランシス・デ・ウルフなどが共演している。