1977年に発表された、クレイグ・トーマスの同名小説の映画化。 ソ連の最新鋭戦闘機奪取作戦に選ばれた西側のパイロットの命を懸けた戦いを描く、製作、監督、主演クリント・イーストウッドによるサスペンス・アクション。 |
・クリント・イーストウッド / Clint Eastwood 作品一覧
・クリント・イーストウッド / Clint Eastwood / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:フリッツ・メインズ
製作:クリント・イーストウッド
原作:クレイグ・トーマス
脚色
アレックス・ラスカー
ウェンデル・ウェルマン
撮影:ブルース・サーティーズ
編集
フェリス・ウェブスター
ロン・スパング
音楽:モーリス・ジャール
出演
ミッチェル・ガント:クリント・イーストウッド
ケネス・オーブリー:フレディ・ジョーンズ
コンタルスキー大佐:ケネス・コリー
パヴェル・ウペンスコイ:ウォーレン・クラーク
ピョートル・バラノビッチ:ナイジェル・ホーソーン
セメロフスキー:ロナルド・レイシー
ウラディミロフ将軍:クラウス・ロウシュ
ブッフホルツ:デイヴィッド・ハフマン
書記長:ステファン・シュナーベル
アンドロポフ:ヴォルフ・カーラー
ナターリャ:ディミトラ・アーリス
ヴォルコフ:カイ・ウルフ
クツゾフ空軍元帥:アラン・ティルヴァーン
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1982年製作 136分
公開
北米:1982年6月18日
日本:1982年6月
製作費 $21,000,000
北米興行収入 $46,700,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アラスカ。
ベトナム戦争の退役軍人で、最高のパイロットと称されるミッチェル・ガント(クリント・イーストウッド)は、戦争後遺症を抱えていた。
イギリス秘密情報部(SIS)のケネス・オーブリー(フレディ・ジョーンズ)は、ソ連が開発した最新鋭戦闘機”MiG-31 ファイヤーフォックス”の情報を入手する。
マッハ5~6で飛行し、パイロットの思考で操縦操作ができ、そしてレーダーに映らない、ファイヤーフォックス同等の戦闘機開発には10年はかかると見られ、NATO側はそれを奪取する計画を立てる。 その作戦に、ロシア語が堪能で、パイロットとして申し分のない実績があるガントが選ばれ、アラスカからNATOの訓練基地に移送される。 オーブリーらによって、麻薬の密売人に仕立て上げられたガントは、モスクワ入りする。 その夜、ガントは協力者パヴェル・ウペンスコイ(ウォーレン・クラーク)と接触する。 その直後、ウペンスコイは、突然、一緒にいた密売人を殴り殺し、彼の遺体を川に捨てる。 別人に成り済ましたガントは、ウペンスコイに地下鉄に乗るよう指示されるが、尋問してきたKGBを駅で殺してしまう。 それを知ったウペンスコイは、その遺体の後始末を引き受け、ガントに駅を出るよう命ずる。 地元のトラック運転手に扮したガントは、ウペンスコイと共に目的地に向かうが、KGBのコンタルスキー大佐(ケネス・コリー)はそれを察知していた。 ウペンスコイもそれに気付き、正体を探るために、KGBに泳がされていることをガントに伝える。 KGBの尾行をまくためにトラックから飛び降りたガントは、ファイヤーフォックスの開発者セメロフスキー(ロナルド・レイシー)の協力で機体が格納されている基地に侵入する。 ガントが扮した運転手を捕らえたコンタルスキーは、部下に彼を拷問させるが、何も聞き出せないまま運転手を殺してしまう。 その後ガントは、同じファイヤーフォックスの開発者である、バラノビッチ(ナイジェル・ホーソーン)と妻のナターリャ(ディミトラ・アーリス)に匿われる。 バラノビッチから基地の様子を聞き、その後の計画を打ち合わせたガントは、バラノビッチらがKGBを憎み、死を覚悟していることを知らされる。 KGBは、潜入者(ガント)が諜報員でないことを見抜き、宇宙飛行士かパイロットのデータを集めて身元を探る。 そして、軍将校に扮したガントは、格納庫に侵入して、ファイヤーフォックスの異様な姿を目の当たりにする。 そこでガントは、コンタルスキーに声をかけられるが、疑われることはなかった。 ガントは、ファイヤーフォックスのパイロット、ヴォルコフ(カイ・ウルフ)を叩きのめし、彼に成りすます。 コンタルスキーが、ファイヤーフォックスの警備に目を光らせる中、ガントが格納庫に侵入したことを知る。 書記長(ステファン・シュナーベル)が基地を視察に訪れることになっていたが、その到着が早まり、コンタルスキーは対応に追われる。 その時、コンタルスキーは、ガントの身元が割れたという報告を受け、彼がファイヤーフォックスを奪おうとしていることを察し、バラノビッチらを逮捕しようとする。 その直後、破壊工作が始まりセメロフスキー、バラノビッチ、そしてナターリャは射殺される。 後遺症の発作をこらえながら、ファイヤーフォックスを混乱の隙に奪おうとしたガントは、コンタルスキーの追跡を逃れ、基地を飛び立つ。 ウペンスコイは、KGBに追われて負傷してしまうが、ファイヤーフォックスが飛び立ったのを確認して、自ら命を絶つ。 西側にもファイヤーフォックスが離陸したという情報が入り、ガントは、航空機にわざとニアミスして南下すると見せかける。 基地に到着した書記長は、無線でガントに警告を発して、失態を犯したKGB議長アンドロポフ(ヴォルフ・カーラー)とコンタルスキーを責める。 そして議長は、ウラディミロフ将軍(クラウス・ロウシュ)に即刻ファイヤーフォックスの撃墜命令を出す。 ウラディミロフは、優秀なパイロットのガントがニアミスしたことに疑問を抱き、南下したのはカモフラージュではないかと思い始める。 その後、書記長は、ファイヤーフォックスの2号機が飛び立てるという報告を受ける。 北に向かったと思われるガントに対し、ウラディミロフは、排出ガスの熱から推測した飛行目標に向けて、赤外線照準ミサイルを発射する。 ガントは、ファイヤーフォックスのミサイルを発射させて、ソ連側の追撃ミサイルを回避し、自分が撃墜されたかのように見せかける。 ファイヤーフォックスを撃墜したと思い込み、書記長らは安堵するが、ウラディミロフはそれを疑い、ガントが給油を企んでいると考える。 海上に出たガントだったが、諜報トロール船に目撃されてしまう。 燃料節約のため低空飛行に入ったガントは、巡洋艦からのミサイル攻撃を受けるが、ファイヤーフォックスの性能をフルに発揮してそれを振り切る。 そして、ヴォルコフが操縦するファイヤーフォックス2号機が、書記長の命令で発進する。 その頃ガントは、燃料補給のため、北極の氷原で待機していた潜水艦の元に着陸する。 ”ノールカップ”にガントが向かったと言い張る書記長に対し、ウラディミロフは、北極の氷原での燃料補給を主張して、強引に書記長を説得する。 ソ連側は2号機を北極に向かわせ、ヴォルコフは燃料補給を終え、氷原から飛び立ったガントを発見する。 激しい空中戦となり、ガントは後遺症の発作に襲われかけるが、後部ミサイルで2号機を撃墜して帰還の途につく。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
イギリス情報部(SIS)は、ソ連が開発した最新鋭戦闘機”MiG-31 ファイヤーフォックス”の情報を入手、その驚異の性能に、同等の戦闘機開発には10年はかかると考えられ、NATO側はそれを奪取する計画を立てる。
ロシア語が堪能で、最高のパイロットと称される、ベトナム戦争の退役軍人ミッチェル・ガントがそれに選ばれ、NATOの訓練基地に移送される。
その後、麻薬の密売人に仕立て上げられたガントはモスクワ入りする。
そして、協力者ウペンスコイに接触したガントは、警戒中のKGBの追跡を逃れ、目的地に向かうのだが・・・。
__________
イーストウッド作品を見続けていた当時、彼が50代になったこともあり、急激に老けてしまったと感じた作品でもある。
さらに、戦争後遺症を引きずる、精神的な弱さを見せる彼の演技は、ファンにとっては物足りなく思えた。
線が細くは見えても、頑強で野性味のある逞しいイーストウッドには、ハイテクが似合わないことを痛感した作品でもある。
その弱々しい主人公の言動のせいで、サスペンスとしての緊迫感もない。
クライマックスの空中戦はまずまずの迫力だが、「スターウォーズ」(1977)を意識した映像やセリフまでもが飛び出し、大スターのイーストウッドらしからぬ仕上がりも気になる。
内容から見ても、冷戦下のソ連での撮影が許可されるはずもなく、盗み撮りのようなショットで一瞬映る、赤の広場でのイーストウッドの姿が興味深い。
しかし、安っぽく見えて、これもドラマ展開には逆効果だ。
いかにも彼らしい、勇壮なモーリス・ジャールの音楽は聴き応えがある。
西側イギリス秘密情報部(SIS)の作戦指揮官フレディ・ジョーンズ、KGB大佐ケネス・コリー、現地協力員ウォーレン・クラーク、戦闘機の開発者であるナイジェル・ホーソーン、ロナルド・レイシー、ディミトラ・アーリス、ソ連側の陣頭指揮を取る書記長・ステファン・シュナーベル、主人公の逃亡経路を見抜く将軍役クラウス・ロウシュ、KGB議長役のヴォルフ・カーラー、2号機のパイロット、カイ・ウルフなどが共演している。