1929年に発表された、ゼイン・グレイの小説”Fighting Caravans”を基に製作された作品。 カリフォルニアに向かう幌馬車隊の過酷な旅を描く、監督オットー・ブローワー、デヴィッド・バートン、主演ゲイリー・クーパー、リリー・ダミタ、アーネスト・トレンス、フレッド・コーラー、ユージン・パレット他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督
オットー・ブローワー
デヴィッド・バートン
原作:ゼイン・グレイ”Fighting Caravans”
脚本
エドワード・E・パラモアJr.
キーン・トンプソン
アグネス・ブランド・リー
撮影
リー・ガームス
ヘンリー・W・ジェラード
編集:ウィリアム・シェイ
音楽
マックス・ベルガンカー
カール・ハホス
出演
クリント・ベルメット:ゲイリー・クーパー
フェリス:リリー・ダミタ
ビル・ジャクソン:アーネスト・トレンス
ジム・ブリッジャー:タリー・マーシャル
リー・マードック:フレッド・コーラー
セス・ヒギンズ:ユージン・パレット
カウチ:ロイ・スチュワート
ジェーン:メイ・ボーリー
エイモス:ジム・ファーレイ
鍛冶屋:ジェームズ・A・マーカス
ガス:ドナルド・マッケンジー
フェイス:イヴ・サザーン
ジェフ・モフィット:フランク・カンポー
連邦保安官:チャールズ・ウィニンガー
レネゲード:フランク・ハグニー
開拓民:ジェーン・ダーウェル
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1931年製作 92分
公開
北米:1931年2月1日
日本:1931年4月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
インディペンデンス。
幌馬車隊のスカウトであるクリント・ベルメット(ゲイリー・クーパー)は、留置場で目覚めて酒場に向かう。
酔った連邦保安官(チャールズ・ウィニンガー)に銃を向けられたクリントは、30日間拘留すると言われ、それを知った同じスカウトでクリントの育ての親ビル・ジャクソン(アーネスト・トレンス)とジム・ブリッジャー(タリー・マーシャル)は彼を助けようとする。
酒場から追い出されたビルとジムは、町に着いたフランス人女性フェリス(リリー・ダミタ)が幌馬車隊を探していることを知る。
クリントが逮捕されそうだと知ったフェリスは気の毒に思い、ビルのある考えに従うことにする。
皆の前で演説を始めたビルは、クリントとフェリスが結婚したことを伝える。
クリントとフェリスは夫婦を装い、保安官は、ようやく身を固めたクリントを祝福して彼を釈放する。
ビルとジムから、フェリスがサクラメントを目指していることを知らされたクリントは、旅には男の護衛が必要だと聞いていた彼女と共に幌馬車隊に加わり、西に向けて旅立つ。 その夜クリントは、自分たちが結婚していないことが隊長のカウチ(ロイ・スチュワート)にバレたら、一人旅の女は追い返されるとフェリスに伝える。 本当の夫婦になることをクリントに提案されて戸惑うフェリスは、皆に冷やかされてしまう。 これ以上カウチを騙せないと判断したビルは、ケンカをしたクリントが逮捕されそうだったので、彼とフェリスに夫婦のフリをさせたことを話してしまう。 追い返されることを恐れたフェリスだったが、カウチから、女一人でも、幌馬車に問題がなければ同行を許可したと言えわれ、騙したクリントを非難して罵倒する。 フェリスは、ビルとジムも同罪だと言って怒りをぶつける。 その後、フェリスに惹かれたクリントは、彼女に話しかけるものの相手にされない。 通り過ぎた駅馬車が向かった場所で、野営をしようとした幌馬車隊だったが、駅馬車が先住民に襲われたことを知る。 そこに騎兵隊が現れ、護衛に来たと思ったカウチは、部隊が戦地に向かうことを知る。 女は部隊と帰らせるべきだというビルの意見を聞いたカウチは、将校の了承を得てそうしようとする。 フェリスや女たちはインディペンデンスに戻るつもりはないため、騎兵隊はその場を去る。 その夜、偵察から戻ったクリントらは、先住民が襲ってくることをカウチに伝える。 元気がないフェリスと話をしたクリントは、一緒に旅に出た父が病死したことを知り、彼女を励まして頼りになる男が必要だと伝える。 クリントの気持ちを嬉しく思うフェリスは、彼に感謝して握手する。 その後、幌馬車隊は砦に着き、ビルとジムは友人のスカウト、ジェフ・モフィット(フランク・カンポー)との再会を喜び、鉄道で働いていることを知る。 暫くしてフェリスと開拓民の婦人(ジェーン・ダーウェル)は、早く出発してほしいとカウチに頼む。 クリントは、皆がまとまらないと出発はできないと考えるカウチに、自分とビルとジムに任せてほしいと伝える。 ビルとジムは、フェリスのおかげで人が変わったようなクリントの言動に驚く。 フェリスのことでビルとジムに冷やかされたクリントは、彼女と結婚する気はないと2人に伝える。 その場で喧嘩が始まり、外に出たクリントは、フェリスの前で女性を抱きかかえて仲がいいことを見せつける。 雨上がりで地面がぬかるむ中、幌馬車隊は出発する。 その後、幌馬車隊は雪が積もる山岳地帯を進む。 ビルとジムは、先住民に追われていることをカウチに伝えながら、行動が怪しいリー・マードック(フレッド・コーラー)を警戒する。 サクラメントで娼館を開くつもりのジェーン(メイ・ボーリー)から、クリントに対し行動を起こすべきだと言われたフェリスは、セス・ヒギンズ(ユージン・パレット)に頼み彼を呼んでもらう。 ビルとジムは、フェリスを無視するクリントからの伝言を彼女に伝える。 苛立ちながら出発したフェリスは、下り坂で馬車のブレーキが故障して暴走してしまい、クリントに助けられる。 クリントはフェリスにキスし、ビルとジムは、抱き合う2人を見つめる。 将来のことを話すフェリスは、クリントが、ビルとジムと別れてスカウト以外の仕事をする気がないことを知り、失望して彼を追い払ってしまう。 酔ったビルとジムは、フェイスに結婚の祝いを伝えようとするものの、クリントと再び別れたことを知る。 クリントがいないことに気づいたビルとジムは、彼を捜しに行く。 先住民と通じていたリーは、彼らと共に幌馬車隊襲撃を計画する。 クリントは、現れたビルとジムに、愛してはいるが、自由な生活ができず、フェイスの近くにいるのが辛いので逃げたと伝える。 もうすぐ鉄道の時代になり、幌馬車の時代は終わるので考えを変えるべきだと言われたクリントは、戻るようようにと2人に説得される。 先住民に気づいた3人は、川を渡る幌馬車隊を襲うつもりだと考える。 戻った3人からそのことを知らされたカウチは、先住民の襲撃に備える。 銃撃戦が始まり、クリントらはリーが裏切り者だと気づく。 クリントは、自分たちが食い止めるので、まとまって移動するようにと言うビルの指示に従う。 ジムがリーに射殺されたことを知ったビルは、先住民の矢を受けながらリーを撃ち殺し息絶える。 ビルとジムが殺されたことを知ったクリントはショックを受け、灯油の樽を積んだイカダから馬を離し、それに火を点けて川に飛び込む。 イカダは爆発して炎上し、その間に総攻撃を仕掛けたクリントらは、先住民を追い払う。 ビルとジムの元に向かったクリントは2人の死を悼み、彼らを含めた犠牲者は埋葬される。 幌馬車隊は、4か月の旅を終えてカリフォルニアに到着し、サクラメントから商人などが訪ねてくる。 クリントは、サクラメントでできることをフェリスに尋ね、スカウトを辞めることを伝える。 からかわれたクリントは、真面目に答えてほしいと言って、フェリスに結婚するか尋ねる。 フェリスから”ウイ ムッシュー”と言われたクリントは戸惑い、”イエス”と言い直した彼女と抱き合いキスする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
スカウトのクリント・ベルメットは、素行が悪いために逮捕されそうになり、育ての親である同じスカウトのビルとジムは、幌馬車隊に加わろうとするフランス人女性フェリスにあることを頼む。
フェリスと夫婦を装ったクリントは、ようやく身を固めたことで逮捕を免れ、彼女と共に幌馬車隊に加わり旅に出る。
惹かれ合うようになったクリントとフェリスは、先住民の襲撃を警戒しながらカリフォルニアを目指すことになるのだが・・・。
__________
ゼイン・グレイの原作を基に、多くの西部劇を手掛けたオットー・ブローワーとデヴィッド・バートンの共同監督作品。
カリフォルニアに向かう幌馬車隊の過酷な旅と、3人のスカウトの活躍と恋が描かれた西部劇。
西部劇の醍醐味と言える幌馬車隊の旅が続き、クライマックスでは、それを狙う先住民の襲撃が迫力ある映像で描かれている。
1934年にランドルフ・スコット主演で公開された「戦ふ幌馬車」は、本作のリメイク。
何と言っても、撮影当時まだ20代のゲイリー・クーパーの演技は注目だ。
デビュー間もないものの、既に20作以上の出演作があった彼は、やんちゃ坊主のようである、恋にも不器用な役柄を愉快に演じている。
主人公と衝突しながらも愛し合うようになる、幌馬車隊に加わるフランス人女性リリー・ダミタ(エロール・フリンの最初の妻)、主人公の育ての親であるスカウトをユーモアを交えて印象深く演ずるアーネスト・トレンスと、彼の相棒である実在したスカウトのジム・ブリッジャー役タリー・マーシャル、先住民と手を組み幌馬車隊を襲うフレッド・コーラー、幌馬車隊の一員ユージン・パレット、幌馬車隊の隊長ロイ・スチュワート、娼婦を引き連れた婦人メイ・ボーリー、連邦保安官のチャールズ・ウィニンガー、スカウトのフランク・カンポー、開拓民の婦人ジェーン・ダーウェル、他ジェームズ・A・マーカス、ジム・ファーレイ、ドナルド・マッケンジー、イヴ・サザーン、フランク・ハグニーなどが共演している。