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屋根の上のバイオリン弾き Fiddler on the Roof (1971)

1984年に発表された、ショーラム・アレイハムの短編”牛乳屋のテヴィエ”を基に1964年にブロードウェイで初演され約8年に及ぶロングランを記録したミュージカル”Fiddler on the Roof”(演出・振付:ジェローム・ロビンス)の映画化。
製作、監督ノーマン・ジュイソン、主演トポルレイモンド・ラヴロックポール・マイケル・グレイザー共演の傑作ミュージカル。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ミュージカル)


スタッフ キャスト ■
監督:ノーマン・ジュイソン

製作:ノーマン・ジュイソン
原作:ショーラム・アレイハム
脚本:ジョセフ・スタイン
撮影:オズワルド・モリス
編集
アントニー・ギブス

ロバート・ローレンス
美術・装置
ロバート・F・ボイル

マイケル・ストリンガー
ピーター・ラモント
音楽
ジェリー・ボック

シェルドン・ハルニック
ジョン・ウィリアムズ

出演
テヴィエ:トポル

ゴールデ:ノーマ・クレーン
モーテル・カムゾイル:レナード・フレイ
イエンテ:モリー・ピコン
ラザール・ウルフ:ポール・マン
ツァイテル:ロザリンド・ハリス

フョートカ:レイモンド・ラヴロック
パーチック:ポール・マイケル・グレイザー

当局員:ヴァーノン・ドブチェフ
治安巡査:ルイス・ゾリック
ナフム:ハワード・グーニー
メンデル:バリー・デネン
ツァイテル(祖母):ペイシェンス・コリアー

ホーデル:ミシェル・マーシュ
ハーバ:ニーバ・スモール
シュプリンシェ:エレイン・エドワーズ
ビルケ:キャンディス・ボンスタイン

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1971年製作 180分
公開
北米:1971年11月3日
日本:1971年12月25日
製作費 $9,000,000
北米興行収入 $50,000,000


アカデミー賞 ■
第44回アカデミー賞

・受賞
撮影・録音・音楽賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(トポル
助演男優(レナード・フレイ
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1905年、ウクライナ、アナテフカ村。
ユダヤ人の牛乳屋テヴィエ(トポル)は、貧しくも信心深く、仕来りを重んじる男で、当然、村人も同じ考えだった。

テヴィエは、妻ゴールデ(ノーマ・クレーン)、5人の娘ツァイテル(ロザリンド・ハリス)、ホーデル(ミシェル・マーシュ)、ハーバ(ニーバ・スモール)、シュプリンシェ(エレイン・エドワーズ)、ビルケ(キャンディス・ボンスタイン)とで、つましい生活を送っていた。

ある日、テヴィエの長女ツァイテルに、老婆のイエンテ(モリー・ピコン)が、妻に先立たれた精肉業者ラザール・ウルフ(ポール・マン)との縁談を持ち掛ける。

ゴールデは喜ぶが、テヴィエが学問のないラザールを嫌っているのが気がかりだった。
...全てを見る(結末あり)

ツァイテルには、働き者の仕立屋モーテル・カムゾイル(レナード・フレイ)という恋人がいたため、彼女はイエンテの話を迷惑に思う。

馬が怪我をしてしまい、貧乏な自分に嘆き、仕方なく荷車を手で引き牛乳を運ぶテヴィエは、ある村のユダヤ人が、政府の命令で追い立てられたという話を聞く。

そこに、キエフから来た革命思想を掲げる大学出の青年パーチック(ポール・マイケル・グレイザー)が現れる。

パーチックは学問を教えようとしていることをテヴィエに伝え、彼の娘達に教養を付けさせることになり家に招かれる。

帰宅したテヴィエはパーチックを家族に紹介し、妻ゴールデはラザールに会うよう夫を説得する。

ツァイテルは、イエンテの話を進めさせないために、モーテルを急き立て父テヴィエに話をさせようとする。

しかし、気の弱いモーテルはテヴィエに何も話ができず、ツァイテルは不安を抱えながら、安息日の祈りを捧げる。

ゴールデとの約束で、仕方なくラザールに会ったテヴィエは、彼と娘ツァイテルとの結婚を認め酒を酌み交わし、村人達はロシア人達も加わり祝福する。

その帰り道、テヴィエは仲のいいロシア人の治安巡査(ルイス・ゾリック)に、近く村で騒動を起こすことを知らされる。

テヴィエの娘達に学問を教え始めたパーチックは、ホーデルとの親交を深めていく。

翌日、二日酔いのテヴィエは、ラザールに結婚を許可したことをツァイテルに伝える。

妻ゴールデは喜ぶが、ツァイテルはそれを拒み、そこに現れたモーテルが、自分と彼女が1年前から結婚を誓い合っていることをテヴィエに伝える。

テヴィエは、仕来りと違うと言って憤慨するが、ツァイテルのモーテルを見つめる眼差しで彼女の心を理解し二人の結婚を認める。

その頃、テヴィエの娘ハーバは、ロシア人フョートカ(レイモンド・ラヴロック)に優しくされ、彼に心を奪われる。

妻ゴールデを説得するため、ツァイテル/祖母(ペイシェンス・コリアー)が甦った恐ろしい夢の作り話をしたテヴィエは、妻にラザールとの縁談を諦めさせるのに成功する。

そして、モーテルとツァイテルの結婚式は厳粛に行われ、村の人々も集まり盛大なパーティーが始まる。

しかし、済んだことは忘れたと言って、式に出席したラザールとテヴィエが言い争いを始めてしまう。

それにパーチックが割って入り、ツァイテルがモーテルを選んだ愛のある結婚だと言ってその場を鎮め、ホーデルをダンスに誘う。

その時、ユダヤ人を痛めつけるよう、当局員(ヴァーノン・ドブチェフ)の命令を受けた、巡査率いるロシア人の一団が会場に乱入し暴れ始める。

テヴィエに同情する巡査は部下を制止し、会場を引き上げるが、その後、ロシア人は村を襲撃する。

数日後、使命感に燃えるパーチックは旅立とうとするが、それを理解できないホーデルは彼に別れを告げようとする。

ホーデルを失いたくないパーチックは、彼女に結婚を申し込みそれをテヴィエに伝える。

またしても、仕来り通りにいかないことに腹を立てたテヴィエだったが、再び幸せそうな娘の眼差しを見た彼は結婚を許す。

帰宅したテヴィエは、今回もゴールデを説得し、自分達の愛も確かめ合う。

その後、革命に身を捧げ、運動の先頭に立つパーチックだったが、彼は当局に逮捕されてしまう。

パーチックからの手紙を受け取ったホーデルは、父テヴィエに見送られながらシベリアに向かう。

時は流れ、子供も授かっていたモーテルとツァイテルの元に、ミシンが届き今後の生活に希望を抱く。

フョートカとハーバは愛し合うようになり、それをテヴィエに伝えようとするが、彼はユダヤ人とロシア人の人種の違いを考えるよう娘に伝え、断固としてそれを許さない。

その後ハーバは姿を消し、ゴールデは東方正教会の司祭の元に向かう。

二人が結婚したことを知ったゴールデは、それをテヴィエに伝える。

テヴィエは、ハーバは死んだということでゴールデに納得させ、自分の元を去った三人の娘のことを愛しく思い呆然とする。

ハーバは、父テヴィエに自分達のことを認めてくれるように頼むが、娘を見捨てられないと思いながらも、彼は信仰を裏切ることは出来なかった。

そんな時、村のユダヤ人達は巡査から強制退去を命ぜられ、テヴィエは抵抗しようとするものの、仕方なく他の者達と共に村を去る決断をする。

準備を終えたテヴィエは、義兄がいるシカゴに向かうというラザールに別れを告げる。

ハーバとフョートカがテヴィエに会いに来るが、彼は二人を無視してしまう。

ツァイテルが旅立つハーバらに声をかけ、テヴィエも娘に神のご加護があるように願う。

モーテルとツァイテルを送り出したテヴィエは、家族と共にニューヨークに向かう旅に出る。

そして、常に村の様子を見守っていたバイオリン弾きが、曲を奏でながらテヴィエらの後に従う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1905年、ウクライナ、アナテフカ村。
信心深く仕来りを重んじるユダヤ人の牛乳屋テヴィエは、妻と5人の娘とでつましい生活を送っていた。
長女のツァイテルに縁談の話があり、それをまとめたテヴィエだったが、彼女は仕立て屋のモーテルと結婚を誓っていたため、仕方なくその結婚を許す。
国内にユダヤ人排斥の気運が高まる中、革命思想の青年パーチックが村に現れ、やがて、彼とテヴィエの次女ホーデルが愛し合うようにようになり結婚を誓う。
今回も仕来りを破り、二人の結婚を認めたテヴィエだったが、三女ハーバは、異教徒のロシア人青年と愛し合うようになる。
そんな時、村のユダヤ人は、政府の命令で強制退去を命ぜられてしまう・・・。
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パワフルでダイナミックな楽曲、ロケはクロアチアだが、ウクライナの寒村の雰囲気が良く出ている見事なセットと映像、地味なストーリー設定とアンバランスなほどの、エネルギッシュな役者の演技など、ノーマン・ジュイソンの躍動感溢れる演出は見る者の心を打つ。

原作のラストでは、主人公一家がエルサレムへと向うのだが、ミュージカルと映画では新天地ニューヨークを目指す。

アメリカ社会でも移民1世から2世に移り変わっていた時代、それを意識した脚色となっているのは明らかで、人種を問わず好評を得た作品でもある。

第44回アカデミー賞では8部門でノミネートされ、撮影、録音、音楽賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(トポル
助演男優(レナード・フレイ
美術賞

全ての村人もそうであるように、保守的で地道な人生を送る、主人公テヴィエを演じたトポルの代名詞にもなった役柄は、豪快な演技と共に家族への愛と包容力を体全体で表現し、圧倒的な存在感を示す熱演を見せてくれる。

1990年のリバイバル舞台でもトポルはテヴィエを演じたが、その際は本作の長女役ロザリンド・ハリスが妻役を演じた。

主人公の妻ノーマ・クレーン、長女ロザリンド・ハリス、その夫役レナード・フレイ、次女のミシェル・マーシュ、三女のニーバ・スモール、他にエレイン・エドワーズ、キャンディス・ボンスタイン、縁談を持ち掛ける老女のモリー・ピコン、その依頼人で精肉業のポール・マン、次女の恋人で革命思想の青年役ポール・マイケル・グレイザー、三女の恋人レイモンド・ラヴロック、当局員ヴァーノン・ドブチェフ、治安巡査のルイス・ゾリック、物乞いハワード・グーニー、祖母ペイシェンス・コリアーなどが共演している。


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