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可愛い配当 Father’s Little Dividend (1951)

前年公開され好評を得た「花嫁の父」(1950)の続編で、同作のヴィンセント・ミネリが監督、主演スペンサー・トレイシージョーン・ベネットエリザベス・テイラー共演。
娘を嫁がせた父親が自分の自由を奪いかねない孫が誕生すること知り素直に喜べない胸の内を描いたコメディ。

■ アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ヴィンセント・ミネリ

製作:パンドロ・S・バーマン
原作:エドワード・ストリーター
脚本
フランシス・グッドリッチ
アルバート・ハケット
撮影:ジョン・アルトン
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:アルバート・センドリー

出演
スタンリー・T・バンクス:スペンサー・トレイシー
エリー・バンクス:ジョーン・ベネット
キャサリン”ケイ”ダンスタン:エリザベス・テイラー
バックリー・ダンスタン:ドン・テイラー
ドリス・ダンスタン:ビリー・バーク
ハーバート・ダンスタン:モローニ・オルセン
アンドリュー・ノーデル医師:ヘイデン・ローク
トミー・バンクス:ラスティ・タンブリン
ベン・バンクス:トム・アイリッシュ

アメリカ 映画
配給 MGM
1951年製作 82分
公開
北米:1951年4月21日
日本:1953年3月12日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
弁護士スタンリー・T・バンクス(スペンサー・トレイシー)は、妻エリー(ジョーン・ベネット)と何不自由なく幸せな日々を送っていた。

娘のキャサリン”ケイ”(エリザベス・テイラー)を嫁がせて、自分の人生を楽しもうと考えるスタンリーは、ちょうど一年前のことを思い起こす。
__________

いつものように帰宅したスタンリーは、エリーと共にケイに呼ばれ、彼女とバックリー・ダンスタン(ドン・テイラー)のアパートを訪ねる。
...全てを見る(結末あり)

ケイとバックリーの、元気そうな様子に安心したスタンリーとエリーは、同じく招かれていたバックリーの父ハーバート(モローニ・オルセン)と母ドリス(ビリー・バーク)に挨拶する。

そして、ケイが妊娠したことが知らされ、皆が喜び祝福するのだが、スタンリーだけは何かが気になる。

スタンリーは、”おじいちゃん”と呼ばれることに抵抗があることに気づき、ショックを隠せない。

金もない上に、まだ子供のようなケイの出産を喜べないスタンリーは、帰宅するなりエリーに不満をぶつける。

しかし、エリーは自分達の時のことを思い起こし、孫が出来ることを素直に喜ぶべきだとスタンリーを説得し、これが”配当”のようなものだと言い切る。

スタンリーはそれに納得がいかず、孫の世話をする老人になる気のない彼は、ジム通いなどを初めてみる。

その効果もなく、周囲の騒ぎに翻弄されるスタンリーは、大学に行く長男ベン(トム・アイリッシュ)の部屋をケイとバックリーに提供し、同居することをエリーに提案される。

スタンリーにとっては寝耳に水で、生まれてくる子を独占しようとするエリーに賛成できず、それを聞いた彼女は気分を害してしまう。

そんな時、ハーバートが、自宅の敷地内にバックリーとケイ、そして孫のための家を建築する案を発表する。

エリーの計画は打ち砕かれ、孫を奪われてしまうことを嘆き、それをスタンリーのせいにして彼を責める。

しかし、バックリーとケイは、既に郊外に家を購入して引っ越すことを決めてハーバートに伝える。

それを知ったエリーは、俄然、協力しようと張り切り始める。

その後、エリーは二人の新居の改装に奮闘するものの、育児室だけはハーバートが譲らないために手を加えられずにいた。

冷静なスタンリーを除いて、バンクス、スタン両家の孫への思いはエスカレートするばかりで、ケイはそれを不満に思い負担にもなってくる。

我慢の限界に達したケイは、家族の前でそれを口に出してしまい、彼女の気持ちを察するスタンリーは、動揺する娘を慰める。

ケイの話を聞いたスタンリーは、主治医のアンドリュー・ノーデル(ヘイデン・ローク)のことが気になり、干渉しないと言いながら、エリーと共に医師を訪ねる。

ノーデル医師の話に納得したスタンリーは、その後、平穏な日々を過ごしていた。

しかしスタンリーは、ある夜、ケイが家出してしまったという連絡をバックリーから受ける。

バックリーの元に向かったスタンリーは、タクシー会社に電話を入れ、ケイが実家に向かったことを知る。

二人が口論になった原因を知らないまま、スタンリーは自宅に戻り、眠っていたケイを起こして話を聞く。

ケイは、仕事だと言って毎晩出かけるバックリーが、浮気をしていると思い込んでいたのだ。

スタンリーはケイを気遣い、それが誤解だと言うバックリーを許せない彼女だったが、結局は二人は愛し合っていることを確認して和解する。

周囲の緊張は高まり、病院に呼び出されるもののお産ではないことが分かり、スタンリーは、睡眠薬で眠る日々が続く。

そして、ケイは無事に男の子を出産するものの、スタンリーは、自分に懐かない子供を敬遠してしまう。

6ヵ月後。
バックリーの商用でケイも同行することになり、彼女は子供を実家に預けることにする。

恐れていたことが起きてしまったスタンリーは、孫と過ごせる喜びに浸るエリーに、日曜日も早朝から起こされ、子供の散歩を命ぜられる。

公園でサッカーを楽しむ少年達が気になり、それに参加してしまったスタンリーは、ベビーカーに乗せていた孫がいなくなっていることに気づく。

焦ったスタンリーは子供を捜し回り、エリーが連れ戻したと思い自宅に戻ると、なんとケイが帰っていた。

何も言えぬまま警察に向かったスタンリーは、子供が保護されていたことを知り安堵するが、警官に、子供を30分も放置したことで説教をされてしまう。

虐待も疑われたスタンリーは、子供の元に案内され、泣かれたら最後だと覚悟を決める。

子供が笑顔を見せたことで信用されたスタンリーは、それ以来、彼の僕となり溺愛するようになる。

洗礼式の日、子供には”スタンリー=バンクス”という名が付けられ、家族全員が納得する。

そしてスタンリーは、この上ない喜びを感じて、満面の笑みを浮かべる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
無事に娘のケイを嫁がせたスタンリー・バンクスは、今後は、自分の人生を大いに楽しもうと考えていた。
そんな時スタンリーは、ケイの妊娠を知らされて、祝福する家族達のように素直に喜ぶことが出来ない。
”おじいちゃん”と呼ばれる自分を想像したくないスタンリーだったが、妻エリーや婿バックリーの両親は、ケイを労り孫のために尽くそうとする。
冷静なスタンリーを除き、行動はエスカレートして行き、両家の間で、生まれてもいない孫の奪い合いが始まる。
バックリーの両親は、息子夫婦と孫のために家まで立てる計画を進めるが、ケイ達は自分達で家を購入してしまう。
それを知ったエリーは、娘夫婦を自宅に同居させようとしていた考えを改め、新居の改装に奮闘することになる。
自分達の思いを余所に、子供の名前までを勝手に決めようとする両家の両親に対し、我慢の限界に達したケイは不満を口にしてしまう。
そんな中、冷静ではいたスタンリーが、ケイの気持ちを察して慰め、過剰な干渉は止めようとするのだが・・・。
__________

孫が可愛くないはずもない思いを逆手に取り、主人公が、それを迷惑に思ってしまう姿を終盤まで引っ張り、子供が生まれても尚、自分に懐かないという、徹底した描き方の末に、祖父としての最高の幸せを手に入れる姿を描く、心憎いヴィンセント・ミネリの演出が実に心地よい。

前作は、圧倒的に主人公に大きな比重が置かれていたが、本作はそれが周囲の家族に分散された描き方になっている。

とは言え、今回も、老ける年ではないと、様々なジレンマに悩まされる父親そして祖父を、スペンサー・トレイシーが完璧に演じ、大いに笑わせてくれる。

主人公の妻役ジョーン・ベネットも、夫そっちのけで、娘や孫のために奮闘し熱演している。

前作で、”ヒルトン・ホテル”の創業者コンラッド・ヒルトンの御曹司ヒルトンJr.との結婚(1950年5月)を控えていたエリザベス・テイラーだったが、同じ年の10月には本作の撮影が始まり、実生活と同じ新妻を好演している。
*前作公開は1950年6月16日

本作でも飾り物のような娘婿ドン・テイラー、その母で、前作よりは出番が多いベテランのビリー・バーク、夫のモローニ・オルセン、主治医ヘイデン・ローク、主人公の息子達ラスティ・タンブリン、トム・アイリッシュなどが共演している。


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