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遙か群衆を離れて Far From the Madding Crowd (1967)

1874年に発表された、トーマス・ハーディの”Far from the Madding Crowd”を基に製作された作品。
農場を相続した若い女性の恋をめぐる男達との関係を描く、監督ジョン・シュレシンジャー、主演ジュリー・クリスティテレンス・スタンプピーター・フィンチアラン・ベイツ他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・シュレシンジャー

製作:ジョセフ・ジャニ
原作:トーマス・ハーディ
脚本:フレデリック・ラファエル
撮影:ニコラス・ローグ
音楽:リチャード・ロドニー・ベネット

出演
バスシェバ・エヴァーディーン:ジュリー・クリスティ

フランシス”フランク”トロイ:テレンス・スタンプ
ウィリアム・ボールドウッド:ピーター・フィンチ
ガブリエル・オーク:アラン・ベイツ
ファニー・ロビン:プルネラ・ランサム
ケイニー・ボール:フレディー・ジョーンズ
リディー:フィオーナ・ウォーカー

イギリス 映画
配給 MGM

1967年製作 167分
公開
イギリス:1967年10月16日
北米:1967年10月18日
日本:1968年2月


アカデミー賞 ■
第40回アカデミー賞

・ノミネート
作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
イングランドウェセックス
牧羊農民のガブリエル・オーク(アラン・ベイツ)は、隣人の美しい女性バスシェバ・エヴァーディーン(ジュリー・クリスティ)に結婚を申し込むものの、愛していないと言われ、それを断られてしまう。

その後、バスシェバは、おじの農場を相続することになり、牧草地を離れる。

ある夜、ガブリエルは、飼い犬のせいで羊を全て失い、その土地を離れ、一介の雇われ羊飼いになろうとする。

ある農場にたどり着いたガブリエルは、その場の火事に遭遇し、消火作業を手伝い、農場を相続していたバスシェバに雇われることになる。

農場の管理人が、小麦を盗んでいたことを知ったバスシェバは、その男をクビにして、自分が運営することを決めて、農場に残る者達を確認する。
...全てを見る(結末あり)

バスシェバは、隣人の大牧場主で、女性を寄せ付けようとしない独身のウィリアム・ボールドウッド(ピーター・フィンチ)をからかおうと、彼に”結婚して欲しい”というカードを送る。

農場の使用人ファニー・ロビン(プルネラ・ランサム)は、軍の軍曹フランシス”フランク”トロイ(テレンス・スタンプ)と結婚することになっていた。

ところが、挙式当日、ファニーは教会を間違えてしまい式に遅れてしまい、恥をかかされたトロイは憤慨し、彼女を見限ってしまう。

バスシェバからのカードを受け取ったボールドウッドは、彼女が気になる存在になり、話をすることになる。

ボールドウッドはバスシェバに結婚を申し込むが、彼女は軽率な行動を謝罪し、彼に愛していないことと、時間が必要なことを伝える。

それを知ったガブリエルが、バスシェバの行動を批判したために、二人は言い合いになり、彼はクビになってしまう。

その後、羊が病気になってしまい、治せるのがガブリエルしかいないことを知ったバスシェバは、意地を張りながらも仕方なく彼の助けを求める。

ガブリエルは、難なく羊達を治療し、バスシェバは彼に牧場に戻るよう伝え、二人のわだかまりは消える。

バスシェバは、現われたボールドウッドに結婚することを決めたことを伝えるものの、もう少し時間が必要だとも付け加える。

そんなバスシェバは、偶然に出会ったトロイに心奪われ、数日後、彼からも愛を告げられる。

その後、二人は親交を深めるのだが、バスシェバはトロイがプレイボーイであり、使用人に、自分が何人かの相手の一人だと噂され気分を害す。

トロイを嫌いだとまで言ってしまったバスシェバだったが、彼を愛している苦しい胸の内を、使用人のリディー(フィオーナ・ウォーカー)に伝え励まされる。

一方、バスシェバの答えが待ちきれないボールドウッドは、彼女の元に向かうものの会うことができない。

ボールドウッドはトロイに金を渡し、ファニーと結婚させて手を引かせようとするが、バスシェバが彼を愛していることでそれを諦める。

トロイに、バスシェバと結婚するように告げたボールドウッドだったが、既に二人は結婚していた。

二人の結婚を祝っていた夜、嵐が近づくために、ガブリエルは一人、収穫した小麦に覆いを被せようとする。

それを知ったバスシェバはガブリエルに手を貸し、トロイとの婚約は破棄するつもりだったことを伝え、皆を傷つけたことを後悔する。

”インターミッション”

翌朝、嵐の被害と共に、バスシェバの愛を受けられない失意のボールドウッドは、彼女のことは諦めないことをガブリエルに伝える。

姿を消していたファニーが農場に現われ、トロイは、家もなく惨めな生活を続ける彼女を助けようと、バスシェバに金をせびる。

しかし、妊娠していたファニーは、産まれた子と共に救貧院で息を引き取り、農場に運ばれ、その死因をバスシェバは気にする。

夜中に棺桶を開けたバスシェバは、ファニーと子供の遺体を確認して花を手向ける。

そこに、ファニーと待ち合わせていたトロイが戻り、彼女の死を知り、本当の妻であり最も大切な女性だったとバスシェバに伝える。

ファニーを埋葬したトロイは心を閉ざし、そして、バスシェバに彼が溺死したことが知らされる。

その後、トロイの遺体は見つからないまま、ボールドウッドは6年経てば結婚できると言って、バスシェバにその時を待つことを告げる。

バスシェバは、はっきりした返答は避けるものの、クリスマスには返事をすることをボールドウッドに伝える。

見世物芸人一座に身を寄せていたトロイは、それに気づいた農場の元管理人に脅されそうになる。

変装したトロイは、それをかわしながら、自分と気づかずに芸を見るバスシェバとボールドウッドの前で喝采を浴びる。

ボールドウッドは盛大なパーティーを開き、バスシェバから、6年経っても夫が戻らなければ、結婚することを約束される。

そこにトロイが現われ、バスシェバを連れて屋敷に戻ろうとするのだが、ボールドウッドは彼を射殺してしまう。

ボールドウッドは逮捕され、バスシェバは、トロイをファニーと共に埋葬する。

8ヵ月後。
バスシェバの元を訪れたガブリエルは、ボールドウッドの農場の管理人を断り、カリフォルニアに向かうことを彼女に告げる。

バスシェバは、なくてはならない存在になっていたガブリエルを引き止め、彼はその条件として結婚を申し込み、二人は結ばれる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
おじから農場を相続した若く美しい女性のバスシェバ・エヴァーディーンは、牧草地帯で求婚され、職を失っていた羊飼いの青年ガブリエルを雇うことになる。
主人と有能な使用人という立場をわきまえていた二人だったが、バスシェバは、隣人の独身の牧場主ボールドウッドをからかうつもりで、恋文を送ってしまう。
ボールドウッドは、バスシェバが気になる存在になり、彼女に求婚する。
バスシェバは、ボールドウッドに軽率な行動を謝罪し、愛のないことを告げる。
そんな時バスシェバは、プレイボーイである軍曹のトロイの魅力に惹かれ、やがて愛し合うようになる。
ガブリエルは、バスシェバの様子を気にしながらも、堅実な仕事を続け、彼女にとってなくてはならない存在になるのだが・・・。
__________

全くタイプの違う男性に求愛される主人公は、女手で農場を切り盛りする逞しさもあり、愛に対し情熱的でもある。
そんな彼女の、移り変わる女心や苦悩を、主演のジュリー・クリスティは見事に演じ、ジョン・シュレシンジャーの骨太な演出も光る。

同じJ・シュレシンジャー作品の「ダーリング」(1965)で、既にアカデミー主演賞を受賞していたジュリー・クリスティは、同年の「ドクトル・ジバゴ」(1965)の時の美しさとは違う魅力を漂わせている。

イングランド南部の、牧草地の美しい映像や、第40回アカデミー賞ノミネートのリチャード・ロドニー・ベネットの穏やかな音楽も心に残る。

息の長い名バイプレイヤーとして、活躍を続けるテレンス・スタンプの、美青年兵士役も注目で、主人公に恋焦がれる中年の牧場主、名優ピーター・フィンチの奥深い演技、実直な青年を控えめに演ずるアラン・ベイツなど、イギリスを代表する役者達の競演も見ものだ。

青年兵士との愛も完結できずに命を落とす、農場の使用人プルネラ・ランサム、同じくフレディー・ジョーンズフィオーナ・ウォーカーなどが共演している。


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