何不自由ない家族の生活を支えてきた平凡な主婦の乱れる心と自我の目覚めを描く、製作総指揮ジョージ・クルーニー、スティーヴン・ソダーバーグ、監督、脚本トッド・ヘインズ、主演ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイスバート、パトリシア・クラークソン、ヴィオラ・デイヴィス他共演のドラマ。 |
・ドラマ
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■ スタッフ キャスト ■
監督:トッド・ヘインズ
製作総指揮
ジョージ・クルーニー
スティーヴン・ソダーバーグ
ジョン・ウェルズ
エリック・ロビソン
製作
クリスティーン・ヴェイコン
ジョディ・アレン
脚本:トッド・ヘインズ
撮影:エドワード・ラックマン
編集:ジェームズ・ライオンズ
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演
キャシー・ウィテカー:ジュリアン・ムーア
フランク・ウィテカー:デニス・クエイド
レイモンド・ディーガン:デニス・ヘイスバート
エレノア・ファイン:パトリシア・クラークソン
シビル:ヴァイオラ・デイヴィス
ボウマン医師:ジェームズ・レブホーン
リーコック夫人:ベット・ヘンリッツ
スタン・ファイン:マイケル・ガストン
モナ・ローダー:セリア・ウェストン
アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2002年製作 107分
公開
北米:2002年11月22日
日本:2003年7月12日
製作費 $13,500,000
北米興行収入 $15,854,990
世界 $29,027,910
■ アカデミー賞 ■
第75回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優賞(ジュリアン・ムーア)
脚本・撮影・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1957年、コネチカット州、ハートフォード。
郊外で暮す主婦キャシー・ウィテカー(ジュリアン・ムーア)は、一流企業”マグナテック”の重役フランク(デニス・クエイド)と、二人の子供達とで平穏な暮らしをしていた。
ある夜、出かける準備をしていたキャシーは、警察にいるフランクから電話を受けて、使用人のシビル(ヴィオラ・デイヴィス)に子供を任せて家を出る。
警察に出向いたキャシーは、保釈金を払いフランクは釈放されるが、彼は誤解だと言って怒りが収まらない。
友人のエレノア・ファイン(パトリシア・クラークソン)に誘われていたパーティーに行けなくなり、彼女に謝罪したキャシーは、フランクを落ち着かせて眠らせる。 翌朝、慌しい中、地元ガゼット紙の記者リーコック夫人(ベット・ヘンリッツ)がキャシーを訪ねて来る。 キャシーは、大企業に勤めるフランクと共に、理想の夫婦ということで、取材を受ける。 その時、庭に現われた、黒人男性に気づいたキャシーは驚くが、彼は、知人の庭師の息子レイモンド・ディーガン(デニス・ヘイスバート)だった。 それを知ったキャシーは、レイモンドに親しげに声をかけ、それを、部屋の中からリーコック夫人が見つめていた。 その夜は残業だと、キャシーに連絡を入れたフランクは、会社を出た後に映画を観て、ある怪しげなバーに向う。 数日後、エレノアらとの時を過ごしたキャシーは、レイモンドと会話を交わし親交を持つ。 その夜も残業だと言うフランクに、キャシーは食事を届けようとする。 しかし、キャシーはフランクのオフィスで、彼が男性と愛し合おうとしている現場を目撃してしまう。 動揺して自宅に戻ったキャシーは、帰宅したフランクから、以前にあった自分の問題を告白される。 キャシーは、それを冷静に受け止め、夫婦の問題と考えて、フランクと、専門医のボウマン医師(ジェームズ・レブホーン)の診察を受ける。 同性愛が感知する確立が低いことを知らされたフランクだったが、必ず立ち直って見せると、彼は強い意思を見せる。 エレノアが主催する現代絵画展のパーティーに、フランクと共に誘われたキャシーは、そこに同性愛者の男性が来るらしいことを知らされる。 翌日、絵画展に出向いたキャシーは、モナ・ローダー(セリア・ウェストン)から、ニューヨークの画商を紹介される。 その場の取材をしていた、リーコック夫人にも挨拶したキャシーは、そこに、レイモンドが娘を連れて来ていることに気づく。 キャシーは、気軽にレイモンドに声をかけるのだが、その姿が、保守的な人々の目に留まり噂になる。 それを気にしたエレノアは、キャシーにそのことを伝えるが、彼女はそれを気にもしない。 その夜、ウィテカー家で、毎年恒例のパーティーが開かれ、酔って、いつになく陽気なフランクは、キャシーを侮辱するような発言をしてしまう。 心配するエレノアに、ただのストレスだと答えたキャシーは、来客が帰った後、そのことでフランクを責める。 フランクは、何も言わずにキャシーを求めようとするが、それが出来ずに苛立ち、彼女に手を出してしまう。 謝罪するフランクだったが、翌日、その傷を見たエレノアは、彼女とフランクの間に何があったのかを尋ねる。 キャシーは、エレノアの気持に感謝するが、難しい問題であるため、苦しい胸の内を伝えることが出来きない。 それに気づいたレイモンドは、キャシーを慰めるために、気分転換に彼女を植木の仕入れに誘う。 一度はそれを断ったキャシーは、レイモンドの誘いを受けて森林に向う。 顔の傷のことや、差別についてなどを率直に語り合い、落ち着いたキャシーはレイモンドと食事をすることになる。 それをモナが目撃し、レイモンドは、黒人だけの店にキャシーを連れて行く。 レイモンドは、一人だけ(白人が)の世界をキャシーに体験させ、逆の立場であっても、慣れてしまうことを彼女に理解させて、二人は、一目も気にせずに踊る。 自分の気分は晴れたキャシーだったが、街の噂のせいで、娘が友達やその親から疎外されていることに気づく。 帰宅したキャシーは、エレノアからの電話で、モナや街中の人々に、レイモンドとのことで噂をされていることを知る。 それを知ったフランクは、激怒してキャシーを責めるが、彼女はレイモンドをクビにしたと伝え、夫を落ち着かせる。 フランクは、会社から一ヶ月の休養を言い渡され、それを不安にも感じるが、キャシーは、それを会社の好意と捉えるべきだと告げる。 レイモンドに会ったキャシーは、彼に友達にはなれないということを伝えて別れを告げるが、街の人々の二人を見る視線は冷たい。 クリスマスを迎えて、平穏な生活に戻ったウィテカー家では、キャッシーが、新年に向けて旅行を計画し、フランクと共にマイアミに旅立つ。 二人は、愛を取り戻しつつあったかのように見えたが、フランクは、ある青年に誘われてしまう。 自宅に戻ったキャシーは、黒人の少女が、少年達に危害を加えられたことを知り、彼女は、全米黒人地位向上協会のボランティアに参加しようとも考える。 数日後、帰宅したフランクは泣き崩れ、別の人物を愛してしまったことをキャシーに伝え、彼女は、夫が離婚を望んでいると判断する。 キャシーは、話せなかった今回の件をエレノアに伝え理解を得るが、唯一人、全てを語り合える人物レイモンドのことを話した途端に、彼女は態度を変える。 その後キャシーは、被害にあった黒人の少女がレイモンドの娘だということを、シビルから知らされる。 レイモンドの家に向かったキャシーは、彼から、この地を去りボルチモアに行くという話を聞かされる。 黒人からも嫌がらせを受けるレイモンドは、傷ついた娘のために考えた結論であり、尚も自分を慕うキャシーに、価値ある人生を送るように伝え、別れを告げる。 失意のキャシーに、家を出ていたフランクから電話があり、離婚の手続きの準備が出来たことを知らされる。 2週間後。
...全てを見る(結末あり)
キャシーは、旅立つレイモンドを駅のホームで無言で見送り、新たな人生を歩み始める。
*(簡略ストー リー)
1957年、コネチカット州、ハートフォード。
郊外に住むキャシー・ウィテカーは、一流企業の重役である夫フランクと、二人の子供と共に、何不自由ない毎日を送っていた。
ある日キャシーは、夫フランクが、同性愛者だと知ってしまう。
昔のことだと考えていたフランクは、それが再発して動揺するが、キャシーは夫婦の問題だと考え、夫に専門医の診察を勧める。
その後、難しい問題だけに、親友のエレインなどにも相談できないでいたキャシーは、苦しい胸の内を誰にも伝えられない。
そんな時、物腰の穏やかな庭師レイモンドとの触れ合いで、キャシーは心和むようになる。
ところが、保守的な街の人々は、キャシーと黒人のレイモンドとの関係を疑い、悪い噂はたちまち広まる。
偏見などなく、ただ人としてレイモンドと接していたキャシーは、フランクのことに加えて苦悩する日々が続くのだが・・・。
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1950年代に一時代を築いた、名匠ダグラス・サークのメロドラマの世界を再現した作品。
ダグラス・サーク作品「天はすべて許し給う」(1955)をベースに、同性愛や人種問題を絡めた深い内容の作品で、当時を知るファンにはたまらない作風であり一見の価値あり。
トッド・ヘインズの、その時代へのオマージュ的な作品でもあり、ゲイとしてカミングアウトしている彼の思いも込められている。
それにしても、1950年代を再現した街並みやセット、衣装まで、アメリカの豊かさを強調したような、その耽美な雰囲気、紅葉などの美しい映像も含め、見応えのある一編に仕上がっている。
盟友のジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグが、製作に参加している。
第75回アカデミー賞では、主演女優賞(ジュリアン・ムーア)、脚本、撮影、作曲賞にノミネートされた。
約半世紀に渡り、様々なジャンルの楽曲でファンに親しまれたエルマー・バーンスタインの遺作でもある作品。
*アカデミー作曲賞ノミネート。
脚本も手がけるトッド・ヘインズは、夫婦役にジュリアン・ムーアとジェームズ・ギャンドルフィーニをイメージしていたが、ギャンドルフィーニはスケジュールが合わず、ラッセル・クロウからジェフ・ブリッジスの名もあがり、結局はデニス・クエイドが配役されたという経緯がある。
世界の各映画賞などで絶賛された、主演のジュリアン・ムーアは、問題に対処しながらも、心高ぶることなく、自我に目覚めていく女性を見事に演じている。
同性愛者のその夫デニス・クエイド、主人公の唯一人の心の拠り所となる庭師のデニス・ヘイスバート、主人公の友人役のパトリシア・クラークソン、その夫役のマイケル・ガストン、主人公の家の使用人役ヴィオラ・デイヴィス、医師のジェームズ・レブホーン、地元紙の記者ベット・ヘンリッツ、噂を流す街の住人役セリア・ウェストンなどが共演している。