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ファミリービジネス Family Business (1989)

窃盗犯の祖父から受け継いだ血で結ばれた3代の犯罪ファミリーが巻き起こす騒動を描く、監督シドニー・ルメット、主演ショーン・コネリーダスティン・ホフマンマシュー・ブロデリックロザンナ・デ・ソート他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:シドニー・ルメット
製作:ローレンス・ゴードン
製作総指揮
アーノン・ミルチャン
ジェニファー・オグデン
バート・ハリス
原作:ヴィンセント・パトリック”Family Business”
脚本:ヴィンセント・パトリック
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
編集:アンドリュー・モンドシェイン
音楽:サイ・コールマン

出演
ジェシー・マクマレン:ショーン・コネリー
ヴィトー・マクマレン:ダスティン・ホフマン
アダム・マクマレン:マシュー・ブロデリック
エレイン・マクマレン:ロザンナ・デ・ソート
マージ:ジャネット・キャロル
クリスティン:ヴィクトリア・ジャクソン
ミッシェル・デンプシー:デボラ・ラッシュ
ジミー・チュウ:B・D・ウォン
ダニー・ドヒーニ:ビル・マッカチオン
トーレス:ルイス・ガスマン
判事:ジェームズ・トールカン
マリー:マリリン・ソコル

アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ
1989年製作 113分
公開
北米:1989年12月15日
日本:1990年1月20日
北米興行収入 $12,195,700


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク
食肉業者のヴィトー・マクマレン(ダスティン・ホフマン)は、”過越”を祝うために妻エレイン(ロザンナ・デ・ソート)の両親の元に向かう。

義父母に迎えられたヴィトーは、既に食卓に着いていた息子のアダム(マシュー・ブロデリック)に気づく。

アダムが祈りを捧げて、食事が始まる。

かかってきた電話に出たアダムは、祖父ジェシー(ショーン・コネリー)から、留置場から出るための保釈金を払ってほしいと頼まれる。

何も話さなかったアダムは、ヴィトーから電話のことを訊かれ、ジェシーがバーで非番の警官を殴ったために逮捕され、その保釈金のことだと伝える。

ヴィトーから、悪党のジェシーには近づくなと言われたアダムだったが、父を説得して800ドルを借りる。
...全てを見る(結末あり)

法廷に向かったアダムは、ジェシーの保釈保証金500ドルを払い、チャイナタウンに向かい食事をする。

大学卒業間近でドロップアウトしたことを話すアダムは、年上の女性と暮らしていることをジェシーに伝える。

その後ジェシーとアダムは、バーやカフェにで朝まで話し込む。

スコットランド出身のジェシーと話が合うアダムは、あることで意見を求める。

大学の優秀な中国系の教授が、100万ドルが稼げる話があると言っていると、アダムはジェシーに伝える。

その話に乗ったジェシーは、アダムと共にヴィトーを仲間に引き入れようとする。

ダニー・ドヒーニ(ビル・マッカチオン)のバーに呼ばれたヴィトーは、アダムを犯罪に巻き込むなとジェシーに釘を刺す。

アダムのアイデアで、簡単にデカく稼げると言われたヴィトーは、泥棒稼業から足を洗おうとしないジェシーを非難する。

一人でもやると言い張るアダムは、ヴィトーに頬を叩かれたために席を外す。

呆れたジェシーも席を立ち、店で働く恋人マージ(ジャネット・キャロル)と話す。

翌早朝、市場に向かったジェシーはヴィトーと話し、三人目の仲間が見つかったことを伝えて、もう一度、彼を誘いその場を去る。

事務所に戻ったヴィトーは、従業員のトーレス(ルイス・ガスマン)が肉を盗んでいることを事務員のマリー(マリリン・ソコル)に伝える。

トーレスを呼び、昨日までの給料を渡したヴィトーは彼を解雇するが、脅してきたために痛めつけて追い出す。

数日後、元気だったダニーが急逝して葬儀が行われ、警官など多くの人々が参列する。

その場にいたアダムに謝罪したヴィトーは、例の件は諦めるようにと言って説得する。

二人に割って入ったジェシーは、”ファミリー・ビジネス”について話し合おうとする。

DNA研究の話を始めたアダムは、それで成果を上げた小さな企業が、世界的大企業になる可能性があると言ってヴィトーに詳しく説明る。

窒素を定着させる農業用酵母により、肥料を必要とせずに植物が育てられると話すアダムは、研究に参加した恩師のジミー・チュウ(B・D・ウォン)がチームから外され、彼をバックアップする別のスポンサーが、研究所の窒素固定酵母を必要としていることを伝える。

試験管とデータ帳を渡せば100万ドルになると言うアダムとジェシーは、納得して話に乗る気になったヴィトーと共に計画を練り実行することになる。

その後、参列者は、アイルランド出身のダニーを偲び”ダニー・ボーイ”を合唱する。

数日後、ジェシーと共に侵入する研究所を確認したヴィトーは、モーテルに戻り商売女を相手にしようとする父に呆れる。

アダムの恋人クリスティン(ヴィクトリア・ジャクソン)、ジェシーはマージを連れてヴィトーの家の食事に招待される。

マンションの売買をして儲けているクリスティンが、死期が近いガン患者を利用していることを知った家族は驚き、ジェシーは彼女を寄生虫呼ばわりする。

法を破ることが倫理的だと考えているようなアダムに意見したエレインは、ジェシーからそれと合法性を混同していると言われ、ヴィトーも味方してくれないために戸惑う。

皆が帰った後で、その件をヴィトーに問い詰めたエレインは、アダムが可哀相だったから何も言わなかったと話す彼に、甘やかすから、アダムはジェシーのことを尊敬すると伝える。

翌朝エレインは、結婚を前にしてヴィトーが27か月も投獄されていた時の話をして、もう若くないので無理はしないようにと彼に伝える。

準備をするためにモーテルに向かったヴィトーは、警備員が銃を持っているために、自分達も持参すると言うジェシーの意見に反対して譲らない。

研究所に侵入した三人は、警備員を拘束して脅す。

ある部屋に向かったアダムは、データ帳を確認して試験管を奪う。

建物を出た三人だったが、データ帳を忘れたことに気づいたアダムは研究室に戻る。

しかし、アダムがドアのキーカードを使わなかったために、警報ベルが鳴ってしまう。

パトカーが到着し、車に戻れないアダムはデータ帳を放り投げて諦め、警官に逮捕されてしまう。

その様子を見守るジェシーとヴィトーは、仕方なく車を出してデータ帳を拾って逃走する。

帰宅して動揺するヴィトーは、エレインにアダムのことを話さなかった。

弁護士のミッシェル・デンプシー(デボラ・ラッシュ)に会ったジェシーとヴィトーは、検事も被害に遭った会社もアダムに同情的だということを知らされる。

共犯者を教えて酵母を返却すれば、懲役6か月か話し合い次第では実刑を免れるかもしれないが、第一級窃盗罪と警備員に対する暴行罪で28年の刑もあり得ると言われたジェシーとヴィトーは、二人で話し合う。

自首すると言って興奮するヴィトーを落ち着かせたジェシーは、弁護士には話しをつけるので、アダムの元に向かい面会するようにと伝える。

自分が話をつけると言って弁護士に会ったヴィトーだったが、その間にジェシーは車で姿を消していた。

留置場のアダムに会ったジェシーは、ジミーは必ず100万ドル払うので、弁護士に10万払い、残りを三人で山分けしようと言われる。

警察署に着いたヴィトーはアダムの父親だと伝え、面会は一日に一人だと言われたためにジェシーが来たことを知る。

ジェシーのアパートに向かったヴィトーは、留守だったために上の階のマージの部屋に向かう。

ヴィトーに押し入られたマージは顔をドアで打ってしまい、”ブツ”はないと言うようにジェシーから指示されたと伝える。

冷蔵庫の中を調べて試験管を捜したヴィトーは、ジェシーとアダムで盗みをしたことをマージに話す。

アダムが捕まり懲役刑を受ける可能性があると伝えたヴィトーは、盗んだものを返して自首すれば釈放されるかもしれないのに、ジェシーは持ち逃げしたと言って嘆く。

アダムを巻き込んだことを批判されたヴィトーは、自首するようにと言うマージから、物置に隠してあった試験管を渡される。

マージに感謝したヴィトーは、彼女の顔の傷を気にしながら、ジェシーには自分に殴られたと言うようにと伝えてその場を去る。

試験管をミシェルに渡したヴィトーだったが、彼女からの電話を受けて、中身が水道水だったことを知らされる。

その場にいたエレインに、アダムが窃盗罪で逮捕されたことを話したヴィトーは、その理由を訊かれ、ジェシーが関係していることを伝える。

ジェシーを殺してやると言われたヴィトーは、自分も関係していると伝えて、アダムを止められなかったために、守ろうとして犯行に加わったことを話す。

三人の犯行だったがアダムだけが逮捕されたと伝えたヴィトーは、エレインからジェシーの居場所を訊かれ、分からないと答える。

エレインから、ジェシーと共に自首するようにと言われたヴィトーは、父親と祖父にそそのかされたと判事に伝えてアダムを救うようにと指示される。

そうしなければ自分が突き出すと言われたヴィトーは、高跳びしようとするジェシーを見つけて、試験管をすり替えたことを非難する。

試験管など持っていないと言ったためにヴィトーに殴られたジェシーは、顔色を見ながら甘やかして育てたことをアダムは理解していたために、本物の父親を求めてこんなことになったと伝える。

”本物のヴィトー”に認めてもらいたかったのだと伝えたジェシーは、自分を警察に突き出すと言われる。

ジミーを締め上げたジェシーは、データ帳と試験管を警察に渡すと言って脅す。

試験管の中身は最初から水で、会社に新発見をすると約束して1年遅れ、会社が8000万ドルの株式を発行するものの酵母は発見できなかったために、盗難騒ぎで時間を稼ごうとしたことをジミーはジェシーに話す。

データ帳と試験管が戻らない方が都合がいい理由を知ったジェシーは、アパートに戻る。

そこに現れた警官の捜査を受けたジェシーは、知人の刑事から、ヴィトーが自分を売ったことを知らされる。

ジェシーとヴィトーと共に起訴されたアダムは法廷で証言し、自分の思いつきだったことを判事(ジェームズ・トールカン)に話す。

弁護士は、60歳を過ぎたジェシーへの懲役刑は終身刑と同じだと判事に伝える。

判事は、ヴィトーに執行猶予3年、アダムは、被害を受けた会社からの減刑の要請と検察と弁護側の取引もあり執行猶予5年、ジェシーは実質的な犯人と判断するが年齢などを考慮し、強盗で15年、第一級窃盗罪で10年の実刑判決を言い渡す。

連行されるジェシーはアダムから声をかけられ、刑が怖ければ最初からやらないと伝える。

法廷から出る際に判事を侮辱したジェシーは、賄賂で捕まり一緒に刑を受けたら命はないと言って脅し、その場を去る。

その後ジェシーは、面会に来たアダムに心配しないようにと伝える。

刑務所に移送されるジェシーは、自分を侮辱する囚人を叩きのめす。

半年後、エレインとカフェで話をしたアダムは、ヴィトーの話をされたために気分を害して席を立つ。

店の外にいたヴィトーはアダムに話しかけ、仲直りしたいと伝える。

父親を売ったヴィトーを人間のクズだと言って非難するアダムは、息子のために自分も自首したと言われる。

ジェシーのように息子を認める父親でなかったと言ってヴィトーを非難したアダムは、その場を去る。

体調を崩したジェシーを見舞ったアダムは、ヴィトーはダメな男だが、自分は独り立ちできると言われる。

ジェシーから、自分からも抜け出せるかと訊かれたアダムは戸惑う。

エレインに電話をしたアダムは、刑務所病院に移されるジェシーの容態がよくないことを話し、ヴィトーに知らせるようにと伝える。

病院に向かったヴィトーは、ジェシーが亡くなったことを知り悲しむ。

過越”を祝うためにエレインの両親を尋ねたヴィトーは、現れたアダムと話をする。

アダムから、今までで一番、楽しかったことを訊かれたヴィトーは、盗みだと答える。

ジェシーの遺灰を受け取ったと言うアダムから二人で弔うことを提案されたヴィトーは、いいアイデアがあると伝える。

アダムと共に、少年時代を過ごしたアパートの屋上に向かったヴィトーは、家族や知人と共に葬儀を始める。

遺灰を撒いたヴィトーはアダムに謝罪し、自分もだと言う息子を抱きしめる。

ジェシーを偲び”ダニー・ボーイ”が合唱され、遺灰は風に舞う。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
窃盗犯の祖父ジェシー・マクマレンを父ヴィトーよりも慕う孫のアダムは、ある新発見の酵母を盗みだせば100万ドルで売れることを話す。
その話に乗ったジェシーから仲間に加わるよう説得されたヴィトーは、アダムを守るために仕方なくそれに同意する。
計画を練って研究所に忍び込み、酵母が入った試験管とデータ帳を盗み出した3人だったが、逃げ遅れたアダムが逮捕されてしまう。
孫、そして息子を救おうとするジェシーとヴィトーは、対立しながら対策を考えるのだが・・・。
__________

1985年に発表された、ヴィンセント・パトリックの小説”Family Business”を基に製作された作品。
ヴィンセント・パトリックは、本作の脚本も担当した。

監督はシドニー・ルメットローレンス・ゴードンアーノン・ミルチャンなどが製作に参加し、ショーン・コネリーダスティン・ホフマンの実力派のベテランに加え、若手期待のマシュー・ブロデリックが共演したことで話題になった作品。

個性的なキャラクターである3代の親子の駆け引きが、ユーモアを交えて軽快に描かれてはいるが、シドニー・ルメット作品にしては演出に深みがなく平凡で、肩の凝らないコメディとして楽しむ程度の作品に終わっている。

批評家、一般の評価は低く、これだけのスタッフ、キャストにも拘らず興行的にも成功しなかった作品。
*北米興行収入 $12,195,700

印象に残る曲ではあるものの、内容と合わない雰囲気のサイ・コールマン音楽もドラマの邪魔をしているように思える。

孫であり息子のマシュー・ブロデリックは違和感ないが、ショーン・コネリーダスティン・ホフマンが全く親子に見えない。
ドラマの中では20歳くらい離れた設定であり、メイクで年齢差を見せようとしているが、実際には7歳しか違わない二人は兄弟にしか思えない。

そんな中で、人間味あふれる祖父を好演するショーン・コネリーは実に魅力的であり、1980年代に復活し、「アンタッチャブル」(1987)でオスカーを受賞した実力を見せてくれる。

実業家ではあるが、今一、親として頼りない父親を演ずるダスティン・ホフマン、その息子で新鮮な演技を見せるマシュー・ブロデリック、その母親ロザンナ・デ・ソート、主人公の恋人ジャネット・キャロル、アダム(マシュー・ブロデリック)の恋人ヴィクトリア・ジャクソン、弁護士のデボラ・ラッシュ、酵母研究をする大学教授のB・D・ウォン、バーのオーナー、ビル・マッカチオン、精肉市場で働く従業員のルイス・ガスマン、事務員のマリリン・ソコル、判事のジェームズ・トールカンなどが共演している。


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