運命的に出会った既婚者の男女の恋を描く、主演ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、ハーヴェイ・カイテル、ダイアン・ウィースト、ジェーン・カツマレク、デヴィッド・クレノン、監督ウール・グロスバードによる恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウール・グロスバード
製作:マーヴィン・ワース
脚本:マイケル・クリストファー
撮影:ピーター・シャシスキー
編集:マイケル・カーン
音楽:デイヴ・グルーシン
出演
フランク・ラフティス:ロバート・デ・ニーロ
マーガレット”モリー”ギルモア:メリル・ストリープ
エド・ラスキー:ハーヴェイ・カイテル
アン・ラフティス:ジェーン・カツマレク
ブライアン・ギルモア:デヴィッド・クレノン
イザベル:ダイアン・ウィースト
ジョン・トレイナー:ジョージ・マーティン
ヴィクター・ローリンズ:ヴィクター・アルゴ
マイク・ラフティス:ウィリー・アール
ジョー・ラフティス:ジェシー・ブラッドフォード
医師:ケネス・ウェルシュ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1984年製作 106分
公開
北米:1984年11月21日
日本:1985年3月21日
製作費 $12,000,000
北米興行収入 $11,129,060
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
クリスマス・イヴ。
”メトロノース鉄道”でウエストチェスターのドブス・フェリーからマンハッタンに向かう建築家のフランク・ラフティス(ロバート・デ・ニーロ)は、クリスマス・ショッピングのためにデパートに寄る。
アーズレイから乗った同じ電車で着いたフリーのグラフィック・アーチスト、マーガレット”モリー”ギルモア(メリル・ストリープ)も、そのデパートで買い物をする。
同僚で友人のエド・ラスキー(ハーヴェイ・カイテル)とレストランで待ち合わせたフランクは、彼が離婚することを知り驚く。
親友で同僚のイザベル(ダイアン・ウィースト)に会ったモリーは、彼女が、関係が冷めている夫以外の男性とアカプルコに旅行することを知る。
その後、病気の父ジョン・トレイナー(ジョージ・マーティン)の家を訪ねたモリーは、彼の容態を気にする。 夜になり、様々なプレゼントを買い込み書店”リゾーリ”に向かったフランクは、入り口でモリーと接触して荷物を落としてしまう。 荷物を間違えたことに気づいたフランクは、それをモリーに渡し、お互いを気にしながら、二人は別れて帰宅する。 翌朝、妻アン(ジェーン・カツマレク)とベッドで寝ていたフランクは、息子のマイク(ウィリー・アール)とジョー(ジェシー・ブラッドフォード)に起こされる。 居間でプレゼントを開けたフランクは、アンのために買った本が選んだものと違うことに気づく。 ガーデニングがセーリングの本だったために、フランクは、書店の入り口で会った女性のものだと考える。 その頃、モリーも、夫ブライアン(デヴィッド・クレノン)のために買った本ではなかったために、書店にいた男性の本と間違えたことに気づく。 3か月後。 電車を降りたフランクはモリーとは”リゾーリ”で会ったことを思い出し、彼女にそれを伝える。 フランクのことを思い出したモリーは、本のことを話しただけで別れる。 ビルの建築現場に向かったフランクは、上司のヴィクター・ローリンズ(ヴィクター・アルゴ)からヒューストンへの赴任を頼まれ、考えておくと伝える。 入院したジョンを見舞ったモリーは、退院できない父の検査結果が悪いことを知る。 最悪の週末だったことをフランクに伝えたエドは、愛人との旅行を考えていたが、病気だと言う妻の代わりに子供の面倒見て映画館に向かうと、そこに彼女が男といたことを話す。 フランクは、電車である女性に会ったことをエドに話す。 同じ頃、モリーもフランクのことをイザベルに話し、気になる存在だと伝える。 エドから女性を誘うようにと促されたフランクは、アパートが空いているので使ってもいいと言われる。 駅で、モリーに再会した時に話しかける言葉を考えていたフランクは、馬鹿げていると思い帰りの電車に乗る。 同じ車両に乗ったモリーに気づいたフランクは、彼女の元に向かい話しかけて挨拶する。 二人は互いの仕事のことなどを話して、主婦だがフリーで広告用のイラストを書いていると言うモリーは、病気の父親の様子を見に頻繁に病院に行くことを伝える。 何か月も経って再会したことを不思議に思う二人は、互いが既婚者であることを確認する。 ドブス・フェリーに着くので、明日もこの電車に乗るかモリーに尋ねたフランクは、変な意味ではないと伝えて降りようとする。 モリーから、金曜日の9時4分の電車に乗ると言われたフランクは、その場を去る。 アンと子供達に迎えに来てもらったフランクは、修理に出していた車が直ったことを知るが、週末に取りに行くことにする。 帰宅したモリーは、考え込む。 金曜日。 ドブス・フェリーに着くものの、ホームにフランクの姿が見えないので戸惑うモリーは、発車寸前に乗っていた彼が隣に座ろうとしたために驚く。 フランクは、子供達のことなどをモリーに話す。 その後、建設現場でヴィクターから赴任の話をされたフランクは、好条件にも拘わらずそれを断り、その場のオフィスからモリーに電話をする。 ジョンの病室にかかってきたフランクからの電話を受けたモリーは、彼と会う約束をする。 病院の入り口で待っていたフランクからランチに誘われたモリーは、戸惑いながらレストランに向かうものの、彼の話を聞くだけで多くを語ろうとしない。 その後もモリーとデートしたフランクは、彼女が娘を出産したが、血管の病気で5日後に亡くなったことを知る。 それが1年前のことだと言うモリーは、医師である夫のブライアンは自自分を責めたことを話す。 数週間振りに会ったイザベルから、きれいになったと言われたモリーは、恋人ができたと考える彼女から、その件を訊かれる。 電車が同じで気が合う単なる友達だと話すモリーは、彼のことは何も知らないが、一緒にいたいとイザベルに伝える。 イザベルの意見を聞きたくないモリーは、連絡すると言ってその場を去り、フランクに電話をして会う約束をする。 チャイナタウンで待ち合わせたフランクとモリーは、楽しい時間を過ごす。 帰宅してブライアンと食事をしたモリーだったが、フランクのことが頭から離れない。 翌日、病院に向かったモリーは、動脈造影を行ったことを医師(ケネス・ウェルシュ)から知らされ、人工血管をつけるための本人の同意に半年かかっていると言われ、自分が話すと伝える。 建設現場に向かいフランクに会ったモリーは、父の容態が悪いと動揺しながら話し、悩んでいるのは、この関係を続けることだと伝えてその場を去ろうとする。 タクシーに乗るモリーに、5時45分に駅で待っていてほしいと伝えたフランクは、返事をしない彼女を見送る。 仕事があったフランクは遅れてしまい、6時過ぎまで待っていたモリーは、彼が現れないためにホームに向かう。 駅に着いたフランクだったが、電車は出たところだった。 フランクは気落ちするが、電車に乗っていなかったモリーは彼に声をかける。 その場でモリーにキスしたフランクは、彼女に愛を告げる。 週末、温室で花の世話をするアンから、明日は子供達とヤンキースの試合を見に行く約束だと言われたフランクは、仕事があることを伝える。 自分が連れて行くと言うアンに感謝したフランクは、エドが離婚を考えていることを伝えて考え込む。 翌日、フランクに会うために身支度をするモリーは、浮かれていることに気づき、自分がしていることを疑問に思う。 始めて会った場所”リゾーリ”で待ち合わせたフランクとモリーは、様々なことを考えながら、エドのアパートに向かい愛し合おうとする。 その気になれないと言うモリーはフランクに謝罪し、二人は電車でウエストチェスターに向かう。 今後のことを考えると辛いフランクとモリーだった。 ドブス・フェリーで電車を降りたフランクはアンと子供達に迎えられ、その様子をモリーは見つめる。 帰宅しモリーは、父ジョンが亡くなったことをブライアンから知らされる。 父の葬儀を行うモリーとブライアンは悲しみ、病院に電話をしたフランクは、彼女と連絡がとれない理由を知る。 墓地でモリーは取り乱してしまい、ブライアンが彼女を落ち着かせる。 その後、自宅で静養するモリーは、訪ねてきたイザベルに、フランクのことばかり考えていることを伝える。 ブライアンは父の死が原因だと思っていると話すモリーは、フランクを愛していることを伝え、イザベルの意見を聞くまでもなく、どうにもならないことだと考える。 一緒にならなくても愛し合う運命だと言うモリーは、生きる道を間違えたとイザベルに伝える。 帰宅したフランクは、ヒューストン赴任の件を受けることにしたとアンに話す。 自分は構わないと言うアンから、いつ引っ越すか訊かれたフランクは、家族で直ぐだと伝える。 隠し事があるのを察していたアンは、それをフランクに尋ね、何もないと言われるものの信じようとしない。 迷うフランクは電車である女性と出会ったと話し、間違いはなかったと伝える。 何もないまま終わり、もう会っていないと伝えたフランクは、アンから、その方がもっと酷いと言われる。 数週間、離れて暮らすと言うアンは、子供を連れてデンバーの母の家に行くとフランクに伝える。 何も話さないフランクの頬を叩いたアンは、席を立つ。 子供達の寝顔を見たフランクは、自分のしたことを後悔する。 車で出かけたフランクはモリーの家に向かい、考え込む。 その後、引っ越しの準備をしたフランクは、デンバーのアンに電話をする。 モリーにも電話をしたフランクは、互いに恋しいことを確認して、今夜ヒューストンに発つことを伝える。 どうしていたと訊かれたモリーは酷い状態だったと伝え、フランクから発つ前に会いたいと言われる。 無理だと伝えたモリーはフランクから自宅の住所を知らされ、ブライアンが部屋に入って来たため、成功を祈っていると伝えて電話を切る。 全てを察していたブライアンは、これで終わったわけだとモリーに伝える。 フランクに会うことを決めたモリーは、それをブライアンに伝えて、理解できないと言う彼の意見を聞かずに出かける。 タクシーは着くものの、フランクは暫く待たせる。 雨の中、車を飛ばすモリーはフランクの家に向かう。 モリーに電話をしたフランクは、対応したブライアンから、話したくない様子の彼女は寝ていると言われる。 焦るモリーは、列車が通過する踏切の手前で急停車する。 諦めたフランクは家を出て、車で駅に向かう。 踏切は開くものの、エンジンがかからなくなったモリーは車を降りて、雨の中たたずむ。 クリスマス・シーズン。 エドが離婚して結婚することを知ったフランクは、ヒューストンに永住することは未定で、アンは実家に帰ったと話す。 子供を預かっているので、デンバーに寄ってヒューストンに戻ることを伝えたフランクは、エドの再婚を祝福する。 イザベルと街に出ていたモリーは、旅行に誘われるものの、それを断り彼女と別れる。 タクシーで渋滞にはまったフランクは、”リゾーリ”の前だったためにそこで降りる。 店に入り、あの日を想い出すフランクは、その場にいたモリーから声をかけられる。 驚く二人は近況などを話し、モリーは、さよならを言えなかったことを謝罪し、会いに行こうとしたことを伝える。 気にしなくていいと言うフランクは、電話したのが間違いだったと伝え、家族のことなどを訊かれる。 子供達は元気だと伝えたフランクはブライアンのことを尋ね、自分達のことを話そうとしたモリーは、会えてよかったと言って彼と別れる。 心残りのフランクは、モリーを追う。 ウエストチェスター行きの電車に乗ったモリーはフランクに気づき、近づいてきた彼と抱き合う。
...全てを見る(結末あり)
いつものように電車に乗ったフランクは、同じ車両にいたモリーが気になり、彼女も同じだった。
ひとつ前の電車に乗れたにも拘らず、フランクは、モリーが乗ると言っていた電車の時間に合わせる。
ニューヨークでエドに会ったフランクは、再会を喜ぶ。
*(簡略ストー リー)
クリスマス・イヴ。
”メトロノース鉄道”でウエストチェスターからマンハッタンに通勤する建築家のフランク・ラフティスは、息子二人にプレゼントを買い、妻アンに贈る本を探すために書店”リゾーリ”に寄る。
店を出ようとしたフランクはモリーと接触して荷物を落としてしまい、互いを気にしながら別れる。
翌日、フランクとモリーは、互いの本を間違えて受け取ってしまったことに気づく。
3か月後、同じ車両に乗るフランクとモリーはクリスマスのことを思い出し、簡単な会話を交わして別れる。
お互いが気になる存在になったフランクとモリーは電車内で再会し、親交を深めていくのだが・・・。
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既婚者である男女の許されない恋を描く、大人のラブストーリー。
既に、共にアカデミー主演及び助演賞を受賞していたロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープという実力派スター共演の恋愛ドラマということで、大いに話題になった作品。
人生の様々なことを経験した、大人の男女の恋愛を描いた作品なのだが、周囲の離婚話や”雑音”とは裏腹に、主人公の二人の感情や表現が、初恋のような初々しさを感じさせる描写が実に興味深い。
些細なことがきっかけで運命的に出会った二人が徐々に接近し、燃え上がる前に別れが訪れる。
しかし、互いを想う気持ちにより二人は再び惹きつけられ、障壁が除かれただろうと思わせながら両者は結ばれるという結末も、なかなかよろしいのではないだろうか。
結構、深刻な状況に追い込まれる主人公二人の関係なのだが、それを和ませるようなデイヴ・グルーシンの軽快な音楽と、マイケル・カーンの見事な編集にも注目したい。
主演のロバート・デ・ニーロは撮影当時40歳の男盛りなのだが、平凡な中年男性の雰囲気で主人公を好演し、メリル・ストリープの”やわらかい”表情と感情表現が印象に残る。
主人公の友人である同僚のハーヴェイ・カイテル、主人公の妻ジェーン・カツマレク、ヒロインの夫デヴィッド・クレノン、恋多き女として登場するヒロインの友人で同僚のダイアン・ウィースト、ヒロインの父親ジョージ・マーティン、主人公の上司ヴィクター・アルゴ、主人公の息子ウィリー・アールとジェシー・ブラッドフォード、医師ケネス・ウェルシュなどが共演している。