社会に対する不満により過激な行動をとる男の一日を描く、監督ジョエル・シュマッカー、主演マイケル・ダグラス、ロバート・デュバル、バーバラ・ハーシー他共演の社会派犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョエル・シュマッカー
製作総指揮:アーノン・ミルチャン
製作
ティモシー・ハリス
アーノルド・コペルソン
ハーシェル・ワイングロッド
脚本:エブ・ロー・スミス
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
編集:ポール・ハーシュ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
D-フェンス/ウィリアム・フォスター:マイケル・ダグラス
マーティン・プレンダガスト刑事:ロバート・デュバル
エリザベス”ベス”トラヴィーノ:バーバラ・ハーシー
サンドラ・トーレス刑事:レイチェル・ティコティン
アマンダ・プレンダガス:チューズデイ・ウェルド
ヤードリー署長:レイモンド・J・バリー
ニック:フレデリック・フォレスト
フォスター夫人:ロイス・スミス
アデル:ジョーイ・ホープ・シンガー
アメリカ 映画
配給 Alcor Films
1998年製作 113分
公開
北米:1993年2月26日
日本:1993年7月31日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $40,903,590
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
ハイウェイの渋滞に巻き込まれて苛立つD-フェンス/ウィリアム・フォスター(マイケル・ダグラス)は、エアコンや窓の故障、周囲の雑音で、ついに我慢の限界に達して、車を捨てて帰宅しようとする。
退職の日を迎えた、マーティン・プレンダガスト刑事(ロバート・デュバル)がそれに気づき、パトロールの警官らとD-フェンスの車を路肩に寄せる。
D-フェンスは、別れた妻エリザベス”ベス”トラヴィーノ(バーバラ・ハーシー)と娘のアデル(ジョーイ・ホープ・シンガー)に電話をかけるが、それを切ってしまう。
もう一度電話をするために、D-フェンスは紙幣を崩しに韓国人が経営する食品店に行くが、ぼろうとする店主に激怒する。 店主からバットを奪い、商品を破壊したD-フェンスは、85セントのコーラを50セントに値切り、レジから自分でつり銭を出して立ち去る。 ベスに電話したD-フェンスは、彼女が話し中だったので電話を切り、絡んできたチンピラを、怒りに任せて撃退する。 一方、退職の準備をしていたマーティンは、D-フェンスが暴れた店の主人の被害届けを受け付けようとするが、窃盗担当の彼は、それを聞き流す。 ベスに電話がつながったD-フェンスは、娘のアデルの誕生日なので会いに行くと伝えるが、彼女はそれを歓迎しない。 そこに、叩きのめしたチンピラ達がD-フェンスを銃撃するが、弾は彼を外れて彼らは車に激突し、事故を起こしてしまう。 D-フェンスは彼らの銃を奪い、一人の足を撃ち抜き、その場を立ち去る。 ベスは、面会禁止令が出ているD-フェンスを警戒して、用心のため警察に連絡を入れる。 D-フェンスを撃ったチンピラの仲間の女が警察に連行され、白いシャツの白人に、仲間がバットで殴られていたことを話す。 それを聞いていたマーティンは、韓国人の店を壊した男と、銃撃された男が同一人物だと考える。 その頃D-フェンスは、バーガーショップで朝食メニューを拒否され、銃を天井に乱射し、粗末なハンバーガーに文句をつけるものの、金は払って去っていく。 再びベスに電話をかけたD-フェンスだったがつながらず、順番待ちで言いがかりをつける男の目の前で、彼は電話ボックスを銃撃してしまう。 バーガーショップの乱射事件の捜査に向かったサンドラ・トーレス刑事(レイチェル・ティコティン)は、乱射した犯人が白人の白シャツだということをマーティンに報告、彼は、その男が一連の事件の犯人と同一人物だと確信する。 事件が気がかりなマーティンだったが、更年期障害で、精神不安定な妻アマンダ(チューズデイ・ウェルド)から、定時に帰るよう電話でせがまれる。 D-フェンスを狙った、銃撃事件の流れ弾に当たり怪我をした少女を見たマーティンは、事件を放っておけない気持ちになる。 靴に穴があいたため、D-フェンスは、軍用品の払い下げ店でブーツを買おうとする。 そこにサンドラが聞き込みに現れるが、試着室にいたD-フェンスを、店主のニック(フレデリック・フォレスト)が助ける。 ニックは、D-フェンスが、バーガーショップの乱射犯だと知り、彼を、ネオナチである自分の同胞だと言い出す。 それを否定したD-フェンスとニックは小競り合いになり、D-フェンスはニックを殺害する。 ヤードリー署長(レイモンド・J・バリー)に、バッグを持った白シャツの男を追うように助言するマーティンだったが、署長以下、同僚はそれに耳を貸さない。 マーティンは最後の奉公だと言い、一連の事件現場を洗い始め、サンドラもそれに同行する。 韓国人の店に向かったマーティンは、そこが今朝、渋滞で車を路肩に寄せた場所の近くだということに気づく。 マーティンは、その車に乗っていた男が犯人だと考え、車のナンバープレートが”D-フェンス”だったことを思い出し、サンドラに所有者を探らせる。 D-フェンスから、脅迫まがいの電話を受けたベスは再び警察を呼ぶが、それが脅迫とは言えないと判断した警官は帰ってしまう。 ニックの店から、バズーカ砲を盗んだD-フェンスは、道路渋滞を起こす工事が意味のないことを知り、工事現場に一撃を加える。 D-フェンスの母親、フォスター夫人(ロイス・スミス)を訪ねたマーティンとサンドラは、彼が軍需工場で働く防衛産業”D-フェンス”に従事している男だということを知る。 ゴルフ場に侵入したD-フェンスは、自分のことを邪魔者呼ばわりした老人プレイヤーを脅し、心臓発作を起こさせて殺してしまう。 美容整形の医師の豪邸に侵入したD-フェンスは、彼らに危害は与えず、ベスに電話を入れる。 すぐ近くにD-フェンスがいることを知ったベスは、アデルを連れて家を飛び出す。 ベスの家の住所を突き止めたマーティンは、ヒステリーを起こして電話してきた妻アマンダを一喝し、現場に向かおうとする。 退職を祝おうとした同僚に、妻を侮辱されたマーティンは、その同僚を殴り倒してベスの家に急行する。 D-フェンスはベスの家で、アデルの誕生日のビデオを見ていたが、マーティンらが到着したことに気づく。 サンドラが撃たれた銃声を聞いたマーティンは、拳銃を忘れたことに気づき、彼女の銃を持って桟橋に向かう。 ベスとアデルを見つけたD-フェンスは銃を抜くが、そこにマーティンが現れる。 ベスに腰の拳銃を見せて、警官だと知らせたマーティンは、隙を見てD-フェンスの拳銃を蹴り彼に拳銃を向ける。 そして、ポケットに銃を忍ばせていることをマーティンに知らせ、D-フェンスは銃を抜こうとする。 制止も聞かずに銃を抜いたD-フェンスは、マーティンに銃撃される。 しかし、D-フェンスが手にしていたのは水鉄砲で、彼はそのまま海に転落する。 サンドラの無事を確認し、誕生会を始めようとするベスとアデルに声をかけたマーティンの背後で、D-フェンスとベス、そしてアデルが幸せそうに映るビデオが再生されていた。
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*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
ハイウェイの渋滞に巻き込まれ、不快感で苛立つD-フェンス/ウィリアム・フォスターは、我慢の限界に達し、車を捨てて帰宅しようとする。
D-フェンスは、別れた妻ベスと娘のアデルに電話をしようと、紙幣をくずすために食料品店に寄る。
店主が、ぼろうとしたしたことに激怒したD-フェンスは、バットを奪い商品を破壊して、コーラを買って立ち去る。
その後D-フェンスは、街のチンピラに絡まれ、それを撃退する。
ベスに電話をするものの、D-フェンスは歓迎されず、復讐に現れたチンピラの銃撃に遭い、それを撃退してしまう
その頃、退職の日を迎えた刑事マーティン・プレンダガストが、街で騒ぎを起こしている男、D-フェンスの情報を知り、気になり始める・・・。
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渋滞、暑さ、騒音・・・些細な事で思いつきの事件を起こしたように見える主人公の行動は、よくある家族のトラブルが原因で、一歩間違えれば、誰もが犯しかねないことだという怖さを訴え、社会への皮肉、そして警鐘を込めている。
短髪、メガネ、白いシャツ、ネクタイ、カバン、真面目さと平凡さを強調した容姿の主人公が犯す、過激な行為や言動だけに、余計に衝撃的で恐怖感を煽る。
バット一本から始まる武器が、次第にエスカレートしていくところなども、主人公の潜在的な凶暴さと異常な性格とが相まって、ドラマにさらに緊張感を与える。
過激になっていく主人公と、退職の日を静かに迎えようとする老刑事との心内の対比など、ジョエル・シュマッカーの、繊細な人間描写も注目だ。
ダンディな実業家かヒーロー的なイメージの強いマイケル・ダグラスの、眼光鋭い過激な役柄は、当時大いに話題になった。
精神不安定な妻を抱え、平凡なデスクワークで日々を過ごしていた刑事ロバート・デュバルが、クライマックスで一気に主役に転じていく、正義感溢れる男の姿は痛快ささえ感じる。
夫の恐怖に怯える妻バーバラ・ハーシー、退職する老刑事に同僚以上の思いを込めて接する刑事レイチェル・ティコティン、退職する夫を悩ませるヒステリックな妻役のチューズデイ・ウェルド、署長レイモンド・J・バリー、主人公の母親役ロイス・スミス、ネオナチの軍用品店店主フレデリック・フォレスト等が共演している。