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悪魔を憐れむ歌 Fallen (1998)

悪霊”アザゼル”にとり憑かれた凶悪犯を逮捕して死刑にしたために霊に追われることになる刑事の苦闘を描く、監督グレゴリー・ホブリット、主演デンゼル・ワシントンジョン・グッドマンドナルド・サザーランドジェームズ・ガンドルフィーニ他競演のミステリー・ホラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー

デンゼル・ワシントン / Denzel Washington 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:グレゴリー・ホブリット
製作総指揮
ニコラス・カザン
ロバート・キャヴァロ
テッド・カーディラ

製作
チャールズ・ローヴェン
ドーン・スティール

脚本:ニコラス・カザン
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
編集:ローレンス・ジョーダン
音楽:タン・ドゥン

出演
デンゼル・ワシントン:ジョン・ホブズ
ジョン・グッドマン:ジョーンジー
ドナルド・サザーランド:スタントン警部補
エンベス・デイヴィッツ:グレタ・ミラノ
ジェームズ・ガンドルフィーニ:ルー
イライアス・コティーズ:エドガー・リース
ガブリエル・カソーズ:アート・ホブズ
マイケル・J・ペイガン:サム・ホブズ
アイダ・タートゥーロ:ティファニー
ロバート・ジョイ:チャールズ・オロム/ミッキー・ヌーンズ

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1998年製作 124分
公開
北米:1998年1月16日
日本:1998年7月11日
北米興行収入 $25,188,010


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
フィラデルフィア
刑事ジョン・ホブズ(デンゼル・ワシントン)は、自分が逮捕した、死刑囚で連続殺人犯エドガー・リース(イライアス・コティーズ)の死刑執行に立ち会うことになる。

上司のスタントン警部補(ドナルド・サザーランド)から、知事の刑執行許可が出たと言われたホブスは、リースの元に向かう。

リースと言葉を交わし握手を求められたホブズは、快くそれに応じるが、彼は意味不明な呪文を唱え、”霊は次々と乗り移る”と言われる。

処刑室に向かったリースは、ホブズやスタントンらの前で処刑される。

その後ホブスは、同僚のジョーンジー(ジョン・グッドマン)やルー(ジェームズ・ガンドルフィーニ)らと、バーで気晴らしをする。
...全てを見る(結末あり)

リースの処刑を担当した係官は、街に出て人に接し、チャールズ・オロム(ロバート・ジョイ)は、ホットドック・スタンドの主人に意味不明な言葉を伝える。

夜中にアパートで眠っていたホブズは、無言電話を受ける。

翌日、居候している弟アート(ガブリエル・カソーズ)の息子サム(マイケル・J・ペイガン)を学校に送りだしたホブズは、迷惑をかけているとアートから言われるものの、遠慮はいらないと伝える。

目覚めたチャールズは、バスタブに横たわるロシア人亡命者の死体を気にもせずに出かける。

その不審死体の通報が入り、ホブズはジョーンジーと共に現場に向かう。

死体の胸には”18”という数字が書かれ、犯人が朝食を食べた様子を気にするホブズは、リースが処刑前に言った、ライオンズとスパコフスキーの間に空白がある言葉が壁に書かれていた文字を見つけて驚く。

署に戻ったホブズは、リースに共犯者がいた可能性をスタントンに伝える。

リースが話した言葉の意味を考えたホブズは、同僚のティファニー(アイダ・タートゥーロ)に意見を聞き、ルーから、南署にスパコフスキーという警官がいたことを知らされる。

叙勲を受けたスパコフスキーの間に、もう一人の警官がいることに気づいたホブズホブズは、30年以上前の1965年に叙勲し、山小屋で謎の死を遂げたロバート・ミラノという警官に目を付ける。

それをスタントンに報告したホブズは、一度会ったことがあると言われるが、何かが分かっても口外しないようにと言われる。

ミラノの娘グレタ(エンベス・デイヴィッツ)の居場所を調べたホブズは、スタントンから受け取ったリースのビデオを見る。

グレタに会ったホブズは、リースを逮捕した刑事だと伝えて、その件を調べていた結果、父ミラノの名が浮かんだことを彼女に話す。

神学の教授でもあるグレタから、処刑されるリースが歌い、彼に触れたかを訊かれたホブズは、握手したと答える。

絶対に秘密にするという条件で話を始めたグレタは、父が、ある事件で容疑をかけられて叙勲を無効にされてしまい、その後、山小屋で死亡(自殺)した事実をホブズに伝える。

神学者であるグレタが何かを隠し、なぜ、神について質問したかを考えながら、通りを歩くホブズは、チャールズとすれ違ったことも気にせずに帰宅する。

ソファーで眠っていたアートとサムに、ベッドに入るよう伝えたホブズは、一度かかってきた無言電話に出なかった。

記憶がなくなったチャールズは、何者かに襲われる。

街でチャールズに触れられた男は電話をかけ続けるが、ホブズはまともに対応しない。

翌日、言語学者の協力を得てリースの処刑前のビデを分析したホブズは、リースの話した言葉が、2000年前のアラム語だということしか分からなかった。

そして再び、同じ手口を使った殺人事件が起きる。

被害者のチャールズがロシア人と同じ状況で殺されていることを知ったホブズは、”??? 鏡を見ろ”という壁の文字を見つける。

それをジョーンジーに知らせたホブズは、チャールズが、昨晩、自分とすれ違った男だと話す。

ロシア人と同じ毒が使われ、チャールズの胸には”2”という数字が書かれていた。

スタントンは、事件に執着しているホブスのことを報告するようジョーンジーに指示する。

翌日、非番だったホブズは、現れたジョーンジーから、カナダ人の不法入国者だったチャールズの本名はミッキー・ヌーンズで、指紋が一致したため、彼がロシア人を殺した犯人だということを知らされる。

ホブズは、ロシア人とチャールズは同じ人物に殺されたと考える。

ミラノが自殺した荒れ果てた山小屋を調べたホブズは、地下室である書物を見つける。

それに挟まっていた写真を参考にして、ホブズは、塗られた壁に隠されていた”AZAZEL”(アザゼル)という文字を確認する。

グレタに会い、”荒野の悪霊”という意味の”アザゼル”のことを尋ねたホブズは、悪霊が接触で乗り移ると、ミラノの本に書いてあったとことを伝える。

大切な人がいるなら関わるなとホブズに忠告したグレタは、その場を去る。

署に向かい、事件の犯人やリースが自分に電話を掛けているとスタントンから言われ、記録を見せられたホブズは、犯人は内部に通じている警官の可能性があることを指摘される。

アザゼル”が善人に乗り移ると知ったホブズは、街角で誰かに付けられている気配を感じる。

翌日ホブズは、アザゼルが署に現れて接触することで、ティファニーやルーらに次々と乗り移っていることに気づく。

再びグレタに会ったホブズは、アザゼルの正体を知らされ、リースの握手で乗り移れなかったため、他の方法を考えていると言われる。

戦う方法を尋ねたホブズは秘密のネットワークがあると言われ、神から命の限界を与えられた悪霊は、人格と知識を備えた選ばれた者ならば対応できることを知る。

グレタが、悪霊と戦うための準備をしてきたことを知ったホブスは、それが理由で孤独でいる彼女に、自分でよければ話し相手になると伝える。

その言葉には感謝してホブスと別れたグレタは、アザゼルに襲われるものの、何とか難を逃れる。

それを知ったホブズは、自分のせいだと言ってグレタに謝罪して気遣う。

スタントンに呼ばれたホブズは、現場から指紋が出たため事件の容疑者になったことを知らされる。

隠していることを話すようにとスタントンから言われたホブズは、ミラノに起きたことが自分にも起きていると伝えるものの、信じてもらえない。

帰宅したホブズは、アートが息子のサムに殴られたことを知り、アザゼルがごく身近に迫ったと考える。

アザゼルが、サムからその友人に乗り移ったことに気づいたホブズは、次に乗り移った男から発砲される。

銃を手にする男を射殺したホブズは、宿主は死ぬものの霊はその場にいた女性に移動したことを確認し、アザゼルから遊びの段階だと言われる。

現場検証が始まり、ホブズが射殺た相手は善良な教師で、銃には弾もなかった。

スタントンはホブズを責めるが、教師の胸には”APO”という文字が書かれていたため、ホブズからメッセージだと言われる。

署に戻ったホブズは、スタントンから審問にかけると言われ、ジョーンジーと話して帰宅する。

アザゼルについて調べたホブズは、グレタと電話で話してその日は眠る。

翌朝、洗面所の窓が開き、鏡に”CAL”という文字が書かれていることに気づいたホブズは、誰かに胸をくすぐられたと言うサムの胸に、”y”という文字が書かれているのを確認する。

寝ているというアートが死んでいることに気づいたホブズは、毒の注射器を見つける。

ジョーンジーからの電話を受けたホブズは、自分に逮捕状が出てルーが迎えに行ったことを知らされる。

荷物をまとめたホブズは、サムと共に逃亡する。

繫ぎ合わせた一連の文字が”APO-CAL-Y-PSE/黙示録”であることに気づいたホブズは、列車を降りた際に警官から話しかけられたため、相手を殴ってその場から逃げる。

ホームレスが屯する場所で休んでいたホブズは、父の死に気づいていたサムに、苦しまなかったアートは天国に行く資格があることを伝える。

グレタの家に向かったホブズは、アザゼルがサムの胸に文字を書いたことを伝える。

アザゼルが乗り移る時間などをグレタに確認したホブズは、サムを預けて、ジョーンジーに電話をしてミラノの山小屋に向かう。

山小屋に着いたホブズは、車の鍵を投げ捨てる。

夜になり、アザゼルが森に潜んでいる気配がしたホブズだったが、現れたのはスタントンとジョーンジーだった。

スタントンはホブズを連行しようとするが、ジョーンジーがホブズを逃がそうとする。

ジョーンジーはホブズに銃を捨てさせるが、スタントンを射殺してアザゼルとしての正体を現す。

発砲されたホブズは身を隠し、ジョーンジーに襲い掛かって銃で傷を負わせ、自分に乗り移れないように時間を稼ぐ。

そして、ホブズは毒入りのタバコを吸い、ジョーンジーを射殺する。

アザゼルはホブズに乗り移り、捨てた車の鍵を探そうとするものの、彼は毒によって息絶える。

ホブズが死にかけていいる際に現れたアザゼルの猫は、文明社会に向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
フィラデルフィア
刑事ジョン・ホブズは、逮捕した連続殺人犯リースの死刑執行に立ち会う。
ホブズに意味不明な呪文を唱えたリースは、霊は次々と乗り移ると言い残して処刑される。
その後、リースの言葉を裏付けるような事件が多発し、ホブズは、彼に共犯者がいたのではないかと考える。
リースの言葉と事件現場に残された文字を頼りに、ある自殺した刑事のことに関心を持ったホブズは、その娘である神学者のグレタに会う。
捜査を続けたホブズは、グレタの協力を得ながら、事件には”悪霊/アザゼル”が関わっていることを知るのだが・・・。
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悪霊が人にとり憑くというストーリーに斬新さはないが、何かを内に秘めたような雰囲気がある主人公、いかにも犯行に関与していそうな同僚と上司など、ミステリーとして期待を膨らませる展開は、魅力的なキャスティングと共に実に興味深い。

悪霊の視線では色彩のトーンを変えている工夫や、霊が憑いても容姿をは変貌することがない演出などが、かえって不気味な雰囲気を漂わせて効果を上げている。

連続殺人の犯人が悪霊であることがわかり、特殊な事件を周囲には知らせずに捜査を進め、普段関りのない分野に勤勉且つ地道に取り組む温厚な刑事をデンゼル・ワシントンは好演し、どんな役を演じても、柔軟に対応し演ずる彼の演技を見るだけでも十分満足できる。

主人公の同僚でよき理解者であったジョン・グッドマン、主人公の反りが合わない上司ドナルド・サザーランド、同僚刑事のジェームズ・ガンドルフィーニ、主人公に協力する、謎の死を遂げた警官の娘で神学者のエンベス・デイヴィッツ、主人公の弟ガブリエル・カソーズ、その息子のマイケル・J・ペイガン、悪霊がとり憑く死刑囚のイライアス・コティーズ、主人公の同僚アイダ・タートゥーロ、悪霊がとり憑く男ロバート・ジョイなどが共演している。


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