治療法のない難病”ポンペ病”を患う娘と息子の命を救おうとするビジネスマンが化学者と共に新薬開発のために闘う姿を描く、ブレンダン・フレイザー、ハリソン・フォード、ケリー・ラッセル共演、監督トム・ボーンによる実話を基にしたドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:トム・ボーン
製作総指揮
ハリソン・フォード
ナン・モラレス
製作
ステイシー・シェール
マイケル・シャンバーグ
カーラ・サントス・シャンバーグ
原作:ジータ・アナンド
”The Cure: How a Father Raised $100 Million – And Bucked the Medical Establishment – in a Quest to Save His Children”
脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス
撮影:アンドリュー・ダン
編集:アン・V・コーツ
音楽:アンドレア・グエラ
出演
ジョン・クラウリー:ブレンダン・フレイザー
ロバート・ストーンヒル:ハリソン・フォード
アイリーン・クラウリー:ケリー・ラッセル
メーガン・クラウリー:メレディス・ドローガー
パトリック・クラウリー:ディエゴ・ベラスケス
ジョン・クラウリーJr.:サム・H・ホール
ケント・ウェバー博士:ジャレッド・ハリス
マーカス・テンプル:コートニー・B・ヴァンス
エリック・ローリング:パトリック・ボーショー
レンズラー博士:デヴィッド・クレノン
ピート・サトフェン:アラン・ラック
サル:ディー・ウォレス
アメリカ 映画
配給 CBS Films
2010年製作 105分
公開
北米:2010年1月22日
日本:2010年7月24日
製作費 $31,000,000
北米興行収入 $11,854,690
世界 $15,134,290
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
オレゴン州ポートランド。
ビジネスマンのジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)は、妻アイリーン(ケリー・ラッセル)と、8歳の娘メーガン(メレディス・ドローガー)、6歳の息子パトリック(ディエゴ・ベラスケス)、ジョンJr.(サム・H・ホール)と暮らしていた。
しかし、ジョンとアイリーンは、難病”ポンペ病”に苦しむメーガンとパトリックの看病をする毎日を送っていた。
ボーリング場で、メーガンの8歳の誕生日を祝ったジョンは、その夜もポンペ病について調べていた。
”筋ジストロフィー”の一種とされるポンペ病の発病患者の寿命は、長くても9年ということだった。
”ネブラスカ大学”の教授、ロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)が、ポンペ病研究の第一人者だと知っていたジョンは彼に電話をする。 ストーヒルは電話には出たものの、コードが外れてしまい会話が途切れ、ジョンは諦める。 翌朝、メーガンの容態が悪化し、医師は限界だということをジョンとアイリーンに伝える。 しかし、メーガンの容態は安定し、ジョンとアイリーンは安堵する。 翌週ジョンは、メーガンのことが頭から離れず、会議中に席を立ちネブラスカに向かう。 ”ネブラスカ大学”生化学研究所。 ジョンはストーンヒルを追い、あるバーに立ち寄った彼に話しかける。 自己紹介をして、数回連絡したことを伝えたジョンは、二人の子供がポンペ病だということをストーンヒルに話す。 不愛想なストーンヒルは、気の毒に思うことを伝えるが、単なる研究員の自分は力になれないことを付け加える。 話を聞くことにしたストーンヒルは、糖質”グリコーゲン”を分解する酵素がないことが原因の難病について、ジョンに説明する。 ビジネス的に価値のない研究に資金を出す者がいないことを指摘したストーンヒルに対し、ジョンは、50万ドルの実験費を出すことを約束する。 帰宅したジョンは、会社を抜け出して、自分にも黙ってネブラスカに向かったことをアイリーンに非難される。 会社をクビになれば、月4万ドルもかかる医療費を健康保険でまかなえなくなることは分かっていたが、ジョンは、メーガンのことを思うと、行動しない訳にはいかなかったことをアイリーンに伝える。 その後二人は、ストーンヒルに約束した50万ドルを用意するために、各方面に援助を求める。 翌月、ジョンを訪ねたストーンヒルは、メーガンに迎えられ、その夜、約束した金額の一回目の支払い分9万ドル余りを受取る。 ジョンのことを調べていたストーンヒルは、研究のことを理解する彼に、ベンチャー・ビジネスを始めることを提案する。 ストーンヒルの率直な意見に戸惑うジョンとアイリーンだったが、二人は子供達のために闘うことを決意する。 ジョンは、会社を辞めることを、同僚のピート・サトフェン(アラン・ラック)に伝える。 昇給間近の状況から、破産を覚悟するビジネスの世界に入ることを心配するピートだったが、ジョンの考えは変わらなかった。 ネブラスカ。 シカゴ。 しかし、細部にこだわるレンズラー側とストーンヒルは意見が合わず、個人攻撃だと考えた彼は、ジョンの制止も聞かずにその場を去る。 パトリックの症状の悪化を知ったジョンは、時間がないことをアイリーンに伝えて、レンズラーに、自分の案を強引に渡して受け入れられる。 それをストーンヒルに伝えたジョンは、レンズラーに共同経営権を与えてしまったことを非難される。 それしか資金を得る方法がないことを訴えるジョンの言葉に納得したストーンヒルは、契約書にサインする。 2ヵ月後、ネブラスカ。 その後レンズラーは、研究成果を上げられないジョンに対し、年度内に臨床テストを行えない場合は、資金提供を止めることを伝える。 ライバル社”ザイマジェン”の新薬開発の噂もあり、ジョンは、確信があるというストーンヒルの説を、相手の前で話し、買収も伝えてあるこの件を進める考えを語る。 ジョンとストーンヒルは、ザイマジェンのCEO・エリック・ローリング(パトリック・ボーショー)とケント・ウェバー博士(ジャレッド・ハリス)を迎えて話し合いをする。 ストーンヒルは感情を抑え、ジョンは、新薬の利潤について説明し、相手側は納得して契約は成立する。 シアトル、ザイマジェン本社。 ポートランド。 シアトル。 ジョンとアイリーンは、メーガンが1年、パトリックはそれ以下の命であると医師から診断される。 同じ研究チームが別行動をして、科学者が話し合う機会もないことに疑問を感じたジョンは、ポンペ病の子供を持つマーカス・テンプル(コートニー・B・ヴァンス)らの協力を得て、ローリングを含め研究員を集めたシンポジウムを開く。 それに意見するウェバーは、協調性のないストーンヒルを外すよう指示する。 ジョンは、それを自分の意見だと言ってストーンヒルに伝える。 その後、マーカスの娘は亡くなり、Jr.は、彼女が9歳だったことを知り両親と共に悲しむ。 各チームで酵素の完成が近づき、どれが選ばれるか会社側の判断が始まる。 ジョンは、それをストーンヒルに伝えるが、納得しない彼に、裏切り者呼ばわりされて研究室から追い払われる。 資料を読んだストーンヒルは、理論は正しいが、製品化は難しい自分の酵素が選ばれないことをジョンに伝える。 子供達のためだと言って、選ばれる酵素をストーンヒルから知らされたジョンは、臨床テストが幼児を対象にするというウェバーからの連絡にショックを受ける。 研究所に向かったジョンは、酵素を盗み出そうとして警備員に見つかるが、ストーンヒルが彼を助ける。 遺伝子が同じ兄弟姉妹に薬のテストを行う同胞間研究を利用し、ストーンヒルとジョンはそれを病院側に提案する。 テストをする病院側からの連絡を喜んだジョンは、それをストーンヒルに伝えて、ウェバーを説得しようとする。 ウェバーは、公私混同だと言ってジョンの行動を非難する。 会社の規則にも反したジョンは、仕方なく謝罪文を書こうとする。 ストーンヒルに抗議を受けるもののウェバーは、ジョンに解雇を通達する。 しかしウェバーは、それにより臨床テストが受けられることをジョン伝え、二人は握手して別れる。 テストを受けられることをアイリーンに伝えたジョンは、子供達と共に喜びを噛みしめる。 メーガンとパトリックの治療は始り、ジョンとアイリーンはその様子を見守る。 ジョンは現れたストーンヒルに、子供達のためにしてくれたことを感謝する。 その直後、子供達の笑い声がしたため、ジョンらは病室に向かう。 ストーンヒルは、酵素が筋肉の糖を分解している効果が表れたことを、ジョンとアイリーンに伝える。 新薬は内臓器官肥大を食い止め、子供達の命を救った。 夏になり、メーガンは幼児以来、初めて車の座席に座りジョンと共にドライブに出かける。 ジョンは、ポンペ病及び他の遺伝性疾患を対象にして、次世代の治療薬を開発中である。 マーカスのもう一人の娘も歩けるようになり、新薬は、幼児期であればポンペ病の発病を抑えることができる。 ストーンヒル博士/ウィリアム・キャンフィールドの学説は、最近の研究結果で正しいことが証明され、小切手も現金化した彼は、研究所を持つことができる。
...全てを見る(結末あり)
ストーンヒルに面会を求めたジョンは、一日中待つものの彼は帰ってしまう。
ジョンは、ストーンヒルを訪ねて事業の準備をしようとするが、ビジネスマンと化学者の意見は噛み合わない。
投資会社のレンズラー博士(デヴィッド・クレノン)に会ったジョンとストーンヒルは、まずまずのプレゼンをする。
設備が整い若い研究員達も集まり、苦労しながらも研究は始まる。
オフィスを与えられたストーンヒルは、買収金額の600万ドルは、酵素が完成するまで現金化しないことをジョンに伝える。
ジョンは自然豊かな場所に引っ越して、アイリーンと共に、新たな闘いの日々が始まることを覚悟する。
ローリングに迎えられたジョンは、ウェバーから、必要としたのはストーンヒルのアイデアであると言われる。
*(簡略ストー リー)
オレゴン州ポートランド。
エリート・ビジネスマンのジョン・クラウリーは、妻アイリーンと共に、難病”ポンペ病”を患う8歳の娘メーガンと6歳の息子パトリックの看病を続けていた。
余命短い子供達のために、ジョンは行動に出ることを決心し、”ネブラスカ大学”の教授で、ポンペ病研究の第一人者ストーンヒル博士に会う。
ストーンヒルに実験の資金提供を約束したジョンは、会社を辞めて、アイリーンと共に各方面に援助を求める。
頑固なストーンヒルは、自分の思い通りに研究を進めるために、自分達で起業することをジョンに提案する。
融資を受けて事業を始め、研究を続けた二人だったが、成果が得られずに資金提供を止められる危機に直面する。
ジョンはストーンヒルと衝突しながらも、子供達の命を優先することを考え、ライバル社の”ザイマジェン”に買収を打診して契約を済ませ、研究を続けようとするのだが・・・。
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2003年にピューリッツァー賞を受賞したジータ・アナンドの著書”The Cure: How a Father Raised $100 Million – And Bucked the Medical Establishment – in a Quest to Save His Children”を基に製作された作品。
”筋ジストロフィー”の一種とされる”ポンペ病”と闘う家族と化学者らを描くドラマなのだが、まず、患者の子供達を含めて悲壮感漂うこともなく、殆どの場面で人々の考えがポジティブなところがいかにもアメリカ映画らしい。
二人の子供を同じ病気で看病する家族にとって”悲劇”とも言える状況も、苦労する表情は描写されるものの、闘う意思が感じられる、力強さを前面に出す描き方をしている。
子を持つ親なら誰でも理解できる、前進あるのみという雰囲気の知的な男性、理想の父親をブレンダン・フレイザーは好演し、どこか古風なキャラクターでもある、風変わりで頑固な化学者を演ずるハリソン・フォードの熱演も光る。
主人公を支える妻ケリー・ラッセル、難病の娘メレディス・ドローガー、同じく息子のディエゴ・ベラスケス、長男サム・H・ホール、大手製薬会社の重役ジャレッド・ハリス、CEOのパトリック・ボーショー、同じ難病の子を持つコートニー・B・ヴァンス、投資会社のデヴィッド・クレノン、主人公の同僚役アラン・ラック、ウエイトレスのディー・ウォレス、そして製作者であるマイケル・シャンバーグと、主人公本人ジョン・クラウリーが投資会社顧問としてカメオ出演している。