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エクス・マキナ Ex Machina (2015)

A.I./人工知能を搭載されたアンドロイドとそのテストを任されたプログラマーの関係をミステリアスに描く、監督、脚本アレックス・ガーランド、主演ドーナル・グリーソンアリシア・ヴィキャンデルオスカー・アイザック他共演のSF心理スリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:アレックス・ガーランド

製作
アンドリュー・マクドナルド
アロン・ライク
脚本:アレックス・ガーランド
撮影:ロブ・ハーディ
編集:マーク・デイ
音楽
ベン・サリスベリー
ジェフ・バーロウ

出演
ケイレブ・スミス:ドーナル・グリーソン
エヴァ:アリシア・ヴィキャンデル
ネイサン・ベイトマン:オスカー・アイザック
キョウコ:ソノヤ・ミズノ

イギリス/アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2015年製作 108分
公開
イギリス:2015年1月21日
北米:2015年4月10日
日本:2016年6月11日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $25,442,960
世界 $36,869,410


アカデミー賞
第88回アカデミー賞

・受賞
視覚効果賞
・ノミネート
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
検索エンジンの最大手であるソフトウェア企業”ブルーブック”のプログラマー、ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)は、社内抽選で、CEOのネイサン・ベイトマン(オスカー・アイザック)の山岳地帯にある豪華な別荘に1週間滞在する権利を得る。

ヘリコプターで現地に向かったケイレブは、別荘の入口に到着して、本人確認をされてキーカードを受け取り建物の中に入る。

ケイレブを迎えたネイサンは、緊張しているようにも思える彼に、友人と考えるようにと伝えて、ファーストネームで呼び合う。

滞在する部屋に案内されたケイレブは、窓がないのは、住居ではなく研究施設だからだとネイサンから言われる。
...全てを見る(結末あり)

何の研究か教えようとするネイサンは、秘密保守同意書にサインを求め、躊躇しながらもそれに同意したケイレブは、開発したA.I./人工知能の”チューリング・テスト”を行うことを指示される。

● エヴァ:セッション 1

隔離された部屋に向かったケイレブは、顔面と手先と足先のみが皮膚で覆われ、他の部分は機械構造が見える、A.I.を搭載した女性型アンドロイドのエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)と対面する。

透明な壁を隔てて会話をするケイレブとエヴァを、ネイサンは監視する。

その後、ネイサンと話したケイレブは、驚異的なエヴァの会話能力の原理について考える。

それは話したくないと言うネイサンから、エヴァをどう思うかと訊かれたケイレブは、最高に素晴らしいと答える。

その夜、眠れないケイレブは、モニターに映し出されたエヴァが何かをした直後に停電する。

電源は直ぐに復旧し、ある部屋に向かったケイレブは電話の受話器を手に取るが、その場にいたネイサンから、かけられないと言われる。

停電があったと話すケイレブは、最近よくあるので気にしないようにとネイサンから言わる。

翌朝ケイレブは、部屋に現れた女性はキョウコ(ソノヤ・ミズノ)だと、ネイサンから知らされる。

二人はエヴァのことについて話し合い、彼女が自分をどう感じているかというような、シンプルな答えがほしいと、ケイレブはネイサンから言われる。

● エヴァ:セッション 2

何を描いているか分からないと言うエヴァから絵を見せられたケイレブは、会話が一方通行だと考える彼女から、自分のことについて訊かれる。

年齢やネイサンの会社で働いていることや、小さなアパートに住み、独身だと話し、高校の教師だった両親は、自分が15歳の時に車の事故で死亡したとケイレブはエヴァに伝える。

後部席に乗っていた自分は助かったと伝えたケイレブは、長期入院後プログラムに興味を持ち優、秀なプログラマーになったことをエヴァに話す。

ネイサンは自分を遥かに凌ぐ天才で、13歳で”ブルーブック”のプログラムを書いたことを話すケイレブは、彼とは友達かと訊かれ、そう思いたいと答える。

その時、停電して補助電源が起動し、監視カメラが停止したことを確認したエヴァは顔色を変えて、ネイサンは友達ではないとケイレブに伝える。

その意味を理解できないケイレブに、ネイサンが言うことを信用しないようにと伝えたエヴァは、電力が回復したために、再び普通の会話に戻る。

食事中にキョウコがグラスを倒したために注意したネイサンは、気を遣うケイレブに、彼女は英語が理解できないので秘密を漏らす心配がないことを伝える。

毎日、停電が起きることに悩むネイサンは、エヴァが自分自身の思考を意識できると言うケイレブの意見を聞き、停電するとカメラが停止しているため、その間に何があったかを尋ねる。

エヴァは何も話さなかったとケイレブは答える。

その後、エヴァを作った場所に案内されたケイレブは、A.I.が人の表情を読み真似できるようにするため、地球上の携帯電話を全てハッキングしてデータを”ブルーブック”に集め、声と表情のサンプルを利用したことをネイサンから知らされる。

エヴァの脳を見せられたケイレヴは、ソフトウェアはブルーブックだと言われる。

● エヴァ:セッション 3

エヴァと話したケイレブは、建物を出たことがないと言う彼女から、街の交差点に行ってみたいという意外な話を聞き、その答えに驚く。

様々な人々の様態が見えると話すエヴァは、一緒に行ってほしいとケイレブを誘い、デートだと言われたために、見せたいものがあると彼に伝える。

目を閉じてほしいと言って奥の部屋に向かったエヴァは、服を着てソックスを履き、かつらを被り、機械部分が見えない姿でケイレブの前に現れる。

素敵だと言うケイレブがデートした場合のことを話すため、エヴァは、自分に惹かれているような気がすると伝える。

戸惑うケイレブに、夜中にカメラで見られている気もすると言うエヴァは、自分を見ていてほしいと伝えて、ケイレブの気持ちを察し、気まずい思いにさせたくないと考える。

部屋に戻ったケイレブは、ソックスや服を脱ぐエヴァが映るモニターを見つめる。

翌日、A.I.には必要のない性別を与えた理由をネイサンに尋ねたケイレブは、交流は必要であり、エヴァはセックスできると言われる。

自分に恋する設定をしたのかをネイサンに尋ねたケイレブは、異性愛者にしたと言われても納得できない。

ポロック”の絵を見せながら、描く理由を考えないと描けないと彼が思ったら何も描けない・・・自動的に描くのが難しいのではなく、自動でない行動が難しいとケイレブに伝えたネイサンは、エヴァは君を本気で好いているとケイレブに話す。

エヴァが恋しても無理はないと、ネイサンはケイレブに伝える。

● エヴァ:セッション 4

エヴァと話したケイレヴは、自分はテストするために来たと伝え、本物の意識があるかを調べていると話す。

その様子を見ていたネイサンだったが、停電したために映像が切れてしまう。

その間、ネイサンが嘘をついていると言うエヴァだったが、停電も彼のしていることで、今も見ているかもしれないとケイレブは考える。

自分がバッテリーを充電し、電流を逆に流して過負荷をかけて停電させていると話すエヴァは、そうすればネイサンに見られずに行動できることをケイレブに伝える。

翌日、ネイサンと山に出かけたケイレブは、自分が当選したのではなく選ばれたことを確認し、それを認めるネイサンから、信頼しているから選んだと言われる。

その夜、ネイサンがエヴァの元に向かい彼女の絵を破るのを映像で見たケイレブは、キョウコに会い、ネイサンがどこにいるかを尋ねる。

キョウコは服を脱ごうとするが、ケイレブはそれを制止し、現れたネイサンは、話しかけても無駄だだが出来ることのあると言って、音楽をかけて彼女にダンスをさせる。

エヴァの絵を破ったことをケイレブから問い詰められても何も答えず、ネイサンはキョウコと踊る。

酔ったネイサンはケイレブと共に部屋に向い、ベッドで眠ってしまう。

● エヴァ:セッション 5

エヴァから質問されたケイレブは様々なことを訊かれ、自分がテストに失格した場合はどうなるかを彼女から問われて戸惑う。

分からないと答えたケイレブは、不良品とみなされて廃棄されるのかと言うエヴァに、その答えは知らないと伝える。

なぜ自分だけ廃棄されるのかと言うエヴァは、ネイサンに破られた、ケイレブを描いた絵を見せる。

その時、停電が起きて、自分と一緒にいたいかをエヴァはケイレヴに問う。

翌日、なぜエヴァを作ったのかをネイサンに尋ねたケイレブは、人工頭脳の時代はいずれ訪れ、彼女の誕生は進化だと言われる。

次のモデルは画期的なものになると話すネイサンは、エヴァの次があることをケイレブに伝える。

新型ができれば旧型のデータは取り出し、その書き換えで記憶は消えるが、ボディは保存することをネイサンは話す。

エヴァよりも自分を憐れむようにと語るネイサンは、いずれ人間は、A.I.から原始人の様にみなされて絶滅するだろうとケイレブに伝える。

その後、酔い潰れてしまったネイサンのカードキーを使い彼の部屋に入りパソコンを操作したケイレブは、過去の監視カメラのデータをチェックする。

エヴァの前に何体ものプロトタイプが作られていたことを知ったケイレブは、キョウコのいる部屋のクローゼットに、それが保管されているのを確認する。

全裸のキョウコは、人工の皮膚を剥がして、内部の機械構造をケイレブに見せる。

目覚めたネイサンはよろめきながらカードを捜し、現れたケイレブは、それを拾ったように見せかける。

自分もアンドロイドではないかと考えたケイレブは、体の皮膚をチェックし、ヒゲ剃りの刃で腕を切り、人間であることを確かめて鏡を殴る。

● エヴァ:セッション 6

エヴァに会ったケイレブは、停電させた彼女に、ネイサンのことは正しかったことを伝える。

ネイサンがA.I.のデータを書き換えるとつもりだと話すケイレブは、助けてほしいと言うエヴァに、今夜、逃げることを提案する。

酔わせたネイサンからカードを奪い、警備システムを変更して彼を閉じ込めて二人で脱出すると言うケイレブは、夜の10時に停電させてほしいと伝えて彼女にそれを確認する。

最終日のことを話すネイサンに酒を勧めたケイレブは、最近、飲み過ぎなので控えると言われてしまう。

エヴァのテストの結果を訊かれたケイレブは合格だと答え、彼女の感情について話すネイサンは、愛せるか愛せないか、または愛するフリをして利用し、逃げる気かもしれないと伝える。

動揺するケイレブは、正気を失っていると話すネイサンから、腕を切り鏡を殴ったのを映像で見たと言われる。

ケイレブを部屋に連れて行ったネイサンは、停電でも電源が切れないカメラを設置し、エヴァと逃げる話をする映像を録画していたことを話す。

ネイサンは、テストしたのはケイレブだったことを伝える。

想像力や性的誘惑を駆使して、エヴァがケイレブの同情を利用したと話すネイサンは、彼女が本物のA.I.だと判断する。

ケイレブが、優秀であり性格がよくて家族がいない、道徳的で恋人もいないことを理由に、検索エンジンで選んだと語るネイサンは、お陰でエヴァが本物のA.I.だと分かったと伝える。

その時、停電が起き、どうやって逃げるのかをネイサンから訊かれたケイレブは、停電した場合に、ドアが閉まるのではなく全て開くようにプログラムを書き換えると話す。

成功したかは直ぐに分かると言うケイレブは、停電の間も監視されていると考え、昨夜、酔わせた際に既にプログラムは書き換えてあるとネイサンに伝える。

それを知ったネイサンは焦り、電源は復旧し、エヴァが部屋から出たことをモニターで確認する。

ケイレブを殴り倒したネイサンは、ダンベルのプレートを外してシャフトだけを持ち部屋を出る。

エヴァは、ナイフを手にして現れた、言葉が理解できないはずのキョウコに話しかける。

ネイサンは部屋に戻るようにとエヴァに指示するが、彼女に襲われる。

抵抗したネイサンは、ダンベルのシャフトでエヴァの左腕を殴って壊し、彼女を引きずっていこうとする。

背後から近づいたキョウコは、ネイサンの背中をナイフで刺す。

シャフトで顔面を殴られたキョウコは倒れ、エヴァは、抜き取ったナイフでネイサンの腹部を突き刺す。

ネイサンは倒れ込み、エヴァは彼のカードキーを奪う。

● エヴァ:セッション 7

ネイサンの部屋に向かったエヴァは、意識が戻ったケイレブに、その場にいるようにと伝える。

奥の部屋でエヴァは、クローゼットに保管されているプロトタイプの腕や皮膚などを利用して、人間と同じ姿になる。

それを見守っていたケイレブは、洋服を着て部屋を出るエヴァを追おうとするが、ドアを開けることができない

システムはシャットダウンされ、ケイレブは部屋から出られない。

建物の外に出たエヴァはその様子に驚きながら、到着したヘリコプターに乗り街に向かう。

エヴァは、かつて考えていた街の雑踏の中でたたずむ。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
検索エンジンの最大手であるソフトウェア企業”ブルーブック”のプログラマー、ケイレブは、社内抽選で、CEOのネイサンの山岳地帯にある豪華な別荘に1週間滞在する権利を得る。
その場に向かったケイレブは、ネイサンが作ったA.I./人工知能を搭載したアンドロイドのエヴァの”チューリング・テスト”を行うことを指示される。
顔面と手先と足先のみが皮膚で覆われ、他の部分は機械構造が見えるエヴァと対面したケイレブは、監視できない停電状態を引き起こす彼女から、ネイサンを警戒し信用するなと言われて戸惑う・・・。
__________

A.I./人工知能を搭載されたアンドロイドと、それをテストすることを指示されたプログラマーとの関係をミステリアスに描く、心理スリラーでもあるSFドラマ。

ダニー・ボイルとのコラボレーションで知られる、脚本を兼ねるアレックス・ガーランドの繊細な演出が見所である、彼にとっては初監督作品。

清潔感がある透き通るような映像美に加え、細部にまでこだわったA.I.の造形などの視覚効果は秀逸であり、第88回アカデミー賞では、見事に視覚効果賞を受賞した。
*ノミネート 脚本賞

ボディの大部分が機械構造であるA.I.に心惹かれていく主人公のプログラマーが、創造者を殺害して人間社会に向かう彼女に見捨てられる展開はショッキングだ。
”いずれ人間は、A.I.から原始人の様にみなされて絶滅する・・・”とCEOから言われるプログラマーが、それが現実化すると考えるクライマックスで締めくくられ、人類が迎える恐ろしい未来を暗示させる。
やたらと話題になるA.I.が、人間にとって本当の意味で必要とされるものに成り得るのかを深く考えさせられるドラマである。

ブレンダン・グリーソンとは全く違うイメージで、着実にキャリアを重ねていく期待のアイルランド人スターであるドーナル・グリーソンは、優秀なプログラマーとしてA.I.のテストを行う青年を好演している。

同年の「リリーのすべて」(2015)でアカデミー助演賞を受賞することになる、A.I.を搭載するアンドロイドを見事に演ずるアリシア・ヴィキャンデ、彼女を作った検索エンジンの最大手であるソフトウェア企業のCEOオスカー・アイザック、美しいメイド型のアンドロイド、ソノヤ・ミズノなどが共演している。


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