冷え切った恋人との関係を断ち切ることができない男性の思いが再び新たな愛を生み出すまでを描く、監督ミシェル・ゴンドリー、ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルスティン・ダンスト、マーク・ラファロ、トム・ウィルキンソン他共演のSFタッチのファンタジー・ロマンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作総指揮
チャーリー・カウフマン
グレン・ウィリアムソン
デヴィッド・バッシェル
ジョージズ・バーマン
製作
スティーヴ・ゴリン
アンソニー・ブレグマン
脚本
チャーリー・カウフマン
ミシェル・ゴンドリー
ピエール・ビスマス
撮影:エレン・クラス
編集:ヴァルディス・オスカードゥティル
音楽:ジョン・ブライオン
出演
ジョエル・バリッシュ:ジム・キャリー
クレメンタイン・クルシェンスキー:ケイト・ウィンスレット
メアリー・スヴェヴォ:キルスティン・ダンスト
スタン・フィンク:マーク・ラファロ
ハワード・ミュージワック博士:トム・ウィルキンソン
パトリック:イライジャ・ウッド
キャリー・イーキン:ジェーン・アダムス
ロブ・イーキン:デヴィッド・クロス
ホリス・ミュージワック:ディードラ・オコネル
アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2004年製作 107分
公開
北米:2004年3月19日
日本:2005年3月19日
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $34,126,140
世界 $72,258,130
■ アカデミー賞 ■
第77回アカデミー賞
・受賞
脚本賞
・ノミネート
主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2004年、ニューヨーク州、ロックビル・センター、バレンタインデー。
出勤しようとしていたジョエル・バリッシュ(ジム・キャリー)は、会社をさぼりモントークの浜辺に向かう。
浜辺とカフェ、そして駅でも見かけたクレメンタイン・クルシェンスキー(ケイト・ウィンスレット)と、帰りの電車の中で言葉を交わしたジョエルは、行先を訊かれてロックビル・センターだと答える。
偶然にも同じ場所に向かうクレメンタインから、以前に書店で見かけたことがあると言われたジョエルは、彼女がそこで5年間働いていることを知る。
思い出せないジョエルに様々なことを話しかけるクレメンタインは、彼に好意を示す。
電車を降りて別れた二人だったが、車のジョエルは、クレメンタインに声をかけて彼女を送る。 クレメンタインからアパートに誘われたジョエルは、彼女の部屋に向かい、泊ってほしいと言われるものの帰ることにする。 帰宅したら電話してほしいと言われたジョエルは、アパートに着き、クレメンタインに電話をして、翌日のデートの約束をする。 翌日の夜、二人は、夜明けまで氷の上で語り会い、クレメンタインのアパートに立ち寄ったジョエルは、彼女を待つ間に見知らぬ若者(イライジャ・ウッド)から声をかけられる。 困ったことはないかと訊かれ、なぜここにいるのかと言われたジョエルは、彼の言動を不思議に思う。 二人の愛は冷めていたが、 ジョエルは、バレンタインのプレゼントを贈ろうとしてクレメンタインの書店を訪ねる。 しかし、ジョエルに対し見知らぬ者に接するような態度のクレメンタインは、彼の目の前で恋人といちゃつき始める。 ショックを受けたジョエルは、その後、友人のロブ・イーキン(デヴィッド・クロス)から、ある書面を見せられ、クレメンタインが”ジョエル・バリッシュ”の記憶を消し去る施術を受けたことを知る。 ジョエルは、その書面の送り主である会社”ラクーナ”のハワード・ミュージワック博士(トム・ウィルキンソン)を訪ねる。 受付のメアリー・スヴェヴォ(キルスティン・ダンスト)に案内されたジョエルはミュージワックに会い、自分との関係が不満なクレメンタインが環境を変えることを望んだため、その手助けをしたことを知らされる。 それをロブの妻キャリー(ジェーン・アダムス)に話し、納得できずに悲しむだけのジョエルは、自分の記憶からもクレメンタインを消し去ろうと考え、ミュージワックに施術を依頼する。 身の回りにあるクレメンタインに関する物を全て集めるようにと、ミュージワックから指示されたジョエルは、それを利用して彼女の記憶図を作ると言われる。 ジョエルのアパートで施術は始まり、ミュージワックの助手スタン・フィンク(マーク・ラファロ)が、装置を使いジョエルの脳からクレメンタインの記憶を消していく。 その過程でジョエルは、もう一人の助手パトリック(イライジャ・ウッド)の名前に聞き覚えがあるような気がする。 仕事に集中しないパトリックから、施術中の女性に惹かれてしまい恋人になったと言われたスタンは呆れて、思わず笑ってしまう。 スタンとパトリック、そして様子を見に来たメアリーの声を聴きながら、ジョエルは、クレメンタインと過ごした日々のことが次々思い出されていく。 恋人に電話をしたパトリックは、パニクっている彼女の元に行こうとするが、スタンに引き留められる。 パトリックを嫌っている様子のメアリーが手伝うことになり、スタンは納得する。 恋人のクレメンタインを落ち着かせたパトリックは出かけることにり、スタンに電話をして戻れないことを伝える。 楽しいことと諍いを繰り返すクレメンタインとの記憶の中で、ジョエルは、忘れ去りたくない思い出があることに気づき、施術を止めさせようとするのの、それができない。 愛し合っていたスタンとメアリーが目を離している間に、ジョエルの記憶消去は中途半端に終わってしまう。 ミュージワックに連絡を入れたスタンは情況を話し、彼が来ることになる。 クレメンタインを知らない4歳の記憶の中で戸惑うジョエルは、朝になり、まだ自分を覚えていたらやり直すことを彼女から提案される。 記憶を消す際にパトリックが自分に惹かれてしまい、現在、付き合っていることをジョエルから知らされたクレメンタインは驚く。 スタンと共に急いで部屋の中を片付けたメアリーは、現れたミュージワックからなぜこの場にいるのかと訊かれ、施術について知っておくべきだと考え助手をしていたと答える。 スタンから説明を受けたミュージワックは、記憶図からはみ出していたジョエルを元の状態に戻そうとする。 ジョエルは、記憶の中で再び抵抗を始め、それを知ったミュージワックが軌道修正をする。 スタンが外の空気を吸いに行った間、ミュージワックにキスして愛を告白したメアリーは動揺する。 自分には妻子がいると伝えたミュージワックは、スタンの連絡で駆けつけた妻ホリス(ディードラ・オコネル)に、つい魔が差したと弁解する。 自分からキスしたとメアリーから言われたホリスは、全てを教えるようミュージワックに指示する。 何のことだと尋ねるメアリーにホリスは、ミュージワックはあなたのものだったと伝えてその場を去る。 不倫していとミュージワックから言われたメアリーは、関係を忘れるために記憶を消すことを自ら希望したと知りショックを受ける。 ミュージワックは作業に戻り、スタンから送ると言われたメアリーは、何も答えずに立ち去る。 オフィスに向かったメアリーは、記憶を消し去る前に録音した自分のテープを聴く。 消されようとする、クレメンタインと出会った日の記憶の中でジョエルは、別れ際に”モントークで会いましょう”と彼女から言われる。 そして施術は終了し、ミュージワックとスタンは、ジョエルを寝かせたまま彼のアパートから去る。 目覚めたジョエルは、仕事をさぼってモントークに向かう。 オフィスに戻ったスタンは、荷物をまとめて去ろうとするメアリーに声をかける。 自分とミュージワックとの関係のことなどをスタンに尋ねたメアリーは、深いことは知らずに疑っただけだと言われる。 心から好きだとスタンから言われたメアリーは、大量の資料を車に乗せてその場を去る。 モントークに向かったジョエルはクレメンタインと出会い、 二人は恋に落ちる。 氷の上で一晩過ごした二人は、クレメンタインのアパート立ち寄り、彼女が部屋に行っている間に、ジョエルは見知らぬ若者(イライジャ・ウッド) に声をかけられる。 郵便物を持ってジョエルの車に戻ったクレメンタインは、全ての患者に送られた、メアリーからの資料に同封されていたテープを車内で聴く。 その内容は、ジョエルの記憶を消す前の、彼に対するクレメンタインの気持ちを語ったものだった。 二人は混乱し、車を降りたクレメンタインはアパートに戻り、入り口にいたパトリックを追い払う。 ジョエルのアパートに向かったクレメンタインは、彼の元にも同じ内容のテープが送られて来たことを知る。 互いを中傷し合う内容のテープにショックを受けた二人は、本心ではないことを確認するものの、クレメンタインはその場を去る。 ジョエルはクレメンタインを呼び止め、二人は、お互いの欠点を知りつつ再び愛し合うことを決意する。
...全てを見る(結末あり)
__________
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク州、ロックビル・センター、バレンタインデー。
ジョエル・バリッシュは、冷め切った関係ではあるが、恋人クレメンタインが自分を無視し、新しい恋人といるのを目撃してショックを受ける。
帰宅したジョエルは、クレメンタインが、自分の記憶を消し去る施術を受けたことを知る。
ジョエルは、その送り主である会社”ラクーナ”のミュージワック博士に会い、クレメンタインが記憶を消し去った事情を知り愕然とする。
そしてジョエルも、クレメンタインを自分の記憶から消し去る施術を受けようとするのだが・・・。
__________
作品の原題は、ドラマの中で、ラクーナの受付係のメアリー(キルスティン・ダンスト)が暗唱する、イギリスの詩人アレキサンダー・ポープの詩”Eloisa to Abelard”からの引用。
監督はミュージック・ビデオを 多く手がけるフランス人の、ミシェル・ゴンドリー。
オープニングからクレジットが始まるまでの18分間の一区切りの物語が、中盤からクライマックスにかけてボディーブローのように効いてくる、見事な脚本と演出は素晴らしいの一言。
第77回アカデミー賞では、脚本賞を受賞し、ケイト・ウィンスレットが主演賞にノミネートされた。
大人しい平凡な男性を演ずる主演のジム・キャリーは、後半でコミカルな演技も見せるものの、シリアスな役柄に徹しているのは注目だ。
同年に、いかにも彼らしい作品「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」(2004)にも出演していることを思うと、変幻自在に役柄を演じられる、彼の演技者としての実力を改めて確認できる。
若くして才能を評価されたケイト・ウィンスレットは、20代で早くも4度目となるアカデミー賞候補となり、どことなく冴えない風変わりな女性を見事に演じている。
ノーメイクに近い、彼女の素朴な美しさと感情表現は実に自然だ。
それぞれの個性を生かした共演陣の好演も光る。
内部の人間である自分が実は患者だったと言う驚きの事実が判明する、ラクーナ社の受付係キルスティン・ダンスト、彼女を愛する同僚のマーク・ラファロ、記憶除去の考案者である博士のトム・ウィルキンソン、その助手であり、施術をしたクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)に惹かれてしまい付き合うようになるイライジャ・ウッド、主人公の友人夫婦デヴィッド・クロスとジェーン・アダムス、ミュージワック(トム・ウィルキンソン)の妻ディードラ・オコネルなどが共演している。