自由奔放なマジシャンと結婚した女性の苦悩をコミカルに描く、 監督テイ・ガーネット、主演ロレッタ・ヤング、デヴィッド・ニーヴン、ヒュー・ハーバート、ビリー・バーク、C・オーブリー・スミス、ブロデリック・クロフォード他共演のロマンチック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:テイ・ガーネット
製作:ウォルター・ウェンジャー
脚本
C・グレアム・ベイカー
ジーン・タウン
撮影:メリット・B・ガースタッド
編集
オソー・ラヴァリング
ドロシー・スペンサー
音楽:ワーナー・ジャンセン
出演
アニータ・ハルステッド:ロレッタ・ヤング
トニー”グレート・アーチュロ”:デヴィッド・ニーヴン
ベントン:ヒュー・ハーバート
アビー:ビリー・バーク
ヒューバート・ピーボディ司教:C・オーブリー・スミス
ハーレー・ビンガム:レイモンド・ウォルバーン
キャリー・ビンガム:ザス・ピッツ
ドン・バーンズ:ブロデリック・クロフォード
ローラ・デ・ヴェール:バージニア・フィールド
グロリア:イヴ・アーデン
モリッシー:ラルフ・グレイヴス
ハワード:ライオネル・ペイプ
セレモニーのマスター:フレッド・キーティング
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1939年製作 95分
公開
北米:1939年10月7日
日本:未公開
製作費 $790,880
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・ノミネート
作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
”天使の館”。
ヒューバート・ピーボディ司教(C・オーブリー・スミス)を迎えに来たドン・バーンズ(ブロデリック・クロフォード)は、司教の孫で婚約者のアニータ・ハルステッド(ロレッタ・ヤング)がパーティーの最中だと知り車で待つ。
おばのアビー(ビリー・バーク)や友人グロリア(イヴ・アーデン)と食事をしていたアニータは、すべてがわかるというマジシャン、”グレート・アチューロ”(デヴィッド・ニーヴン)に憧れていた。
アニータは、ドンの車で出かけるヒューバートに、グレート・アーチュロのショーを見に行く許可を求める。
グレート・アーチュロことトニーのショーは始まり、女性客をステージに呼んだ彼は、その中にいたアニータに一目惚れしてしまう。
その後2人は結婚し、アニータはトニーのアシスタントになる。 ロンドン。 客席にいたグロリアは楽屋に行こうとするが、ドンの友人だった夫ラルフは遠慮する。 グロリアとの1年半ぶりの再会を喜んだアニータは、女好きではあるが、憧れていたトニーとの生活に満足していることを伝える。 アニータは、コネチカットに建てる予定の家のスケッチと計画書を見せて、トニーには内緒だとグロリアに伝える。 そこに現われたトニーはグロリアに挨拶し、新聞社のベティ・オグレソンからの電話を受ける。 ベティが記事を書いてくれることになり、アニータと向かおうとしたトニーは、一人で行くようにと言われて出かける。 翌朝、酔って帰り眠っていたトニーの洋服を片付けるアニータは、口紅に気づきながら彼を起こす。 アニータは、今月4回目の”口紅”のことをトニーに追及するものの、それを気にしない彼との愛を確かめる。 ベントンから新聞を渡されたトニーは、両手に手錠をかけたまま、パラシュートで飛行機から飛び降りるとベティに話してしまったことに気づき、アニータと共に驚く。 劇場の支配人ハワード(ライオネル・ペイプ)からの電話で、既に空港は手配したと言われたトニーは焦り、アニータは心配する。 ハワードの元に向かい話をしたトニーは、チャレンジするしかなくなり、ベントンとどうするか考えて悩む。 トニーは、アニータには遊んでいたと思わせた方がいいと考え、ウエイトレスに金を払い襟にキスしてもらう。 トニーが再び口紅をつけて戻って来たことを気にしながら、アニータは、彼が腕を骨折したことにするため、石膏でギブスをさせて空港に向かわせる。 アニータは、キスして出て行ったトニーのことが心配になる。 空港に着いたトニーは、多くの人々を見て気が変わり、ベントンの制止も聞かずにギブスを外して準備を始める。 パラシュートを背負い手を後ろに回し手錠をかけられたトニーは、飛行機に乗り飛び立つ。 到着したアニータは、トニーを引き留めようとするものの間に合わなかった。 1万5000フィートの上空から飛び降りたトニーは、手錠を外してパラシュートを開き地上に着地する。 トニーの無事を喜ぶアニータは駆け寄り、観客を見て引き下がる分けにはいかなかったと言う彼の話を聞く。 手の筋肉を訓練して柔らかくすれば手錠が外せると言うトニーが、再びチャレンジするつもりであるため、アニータは次に飛んだら離婚すると伝える。 二度とやらないと約束したトニーだったが、彼はその後、世界中でそれにチャレンジする。 リオデジャネイロ。 戻って来たトニーから、3万5000ドルの”チンチラ”のコートを贈られたアニータは、彼が世界ツアーの契約をしたことを知り驚く。 アニータが故郷に行きたいことを知ったトニーは、契約を破棄することはできないと伝える。 家のことを話したアニータだったが、トニーが興味を示さないために悲しく思う。 その後もトニーのショーのアシスタントを務めたアニータだったが、姿を消して彼の元を去る。 それを知ったトニーは、ツアーをキャンセルしてアメリカに向かう。 トニーとの離婚を考えるアニータは、アビーと共にリノに向かう。 ニューヨークに着いたトニーはヒューバートの元に向かうものの、アニータの行方は分からなかった。 その後トニーは、ヒューバートから離婚が成立したと言われ、アニータが船旅に出たことを知る。 劇場のステージに上がったトニーは、アニータのことが気になり、何もできないまま、客に非難されてその場を去る。 アビーを伴い客船の旅を楽しむアニータは、ドンを乗船させた彼女に、トニーへの思いは変わっていないことを伝える。 そうは言っても生活を変えたいアニータは、船上でドンと結婚することを考え、アビーを喜ばせる。 アニータとの結婚式を済ませたドンは、上司のハーレー・ビンガム(レイモンド・ウォルバーン)からの電報を受け取り、下船後に慈善興業とパーティーに出席することになる。 慈善興業が行われ、特別ゲストとして1年活動を休止していたトニーが紹介される。 かつてのアシスタント、ローラ・デ・ヴェール(バージニア・フィールド)と楽屋で準備をするトニーは、会場に向かった彼女の隠しマイクで、客が自分にする質問を知る。 ビンガムの質問も聴いたトニーは、その内容をメモしてステッキに隠し、会場に向かう。 トニーは客の質問に答え始め、そこにドンに伴われたアニータが現われ、ビンガム夫妻のテーブルに着く。 ビンガムの質問になり、アニータに気づいたトニーは動揺し、ショーの後で答えると伝える。 ベントンは、モリッシー(ラルフ・グレイヴス)から、万国博覧会の出演依頼を知らされる。 ビンガムの席に向かったトニーは、戸惑うアニータに声をかけ、ビンガムの質問に答える。 ビンガムと妻キャリー(ザス・ピッツ)の前で、何でも言い当てられることを証明したトニーは、ドンとアニータの手相を見て2人は合わないと伝える。 トニーは、嫌味な言い方をしながら、アニータに自分たちのことを話す。 動揺するアニータは、リゾート地で会うことをビンガムに約束して、ドンと共にその場を去る。 部屋に戻ったドンは苛立ち、彼と話したくないアニータは、戸惑いながらヒューバートの元に向かう。 ヒューバートは、トニーのことを気にするアニータに、一生、逃げられないだろうと伝え、今夜はここに泊まりたいと言う彼女の好きなようにさせる。 その後、ローラと共にリゾート地に向かったトニーは、ビンガム夫妻に歓迎され、その場にいたアニータとドンとも話をする。 食事が終り、ローラが酔ったために、トニーはアニータに余興を手伝ってもなおうとする。 それを拒むアニータは、ドンからビンガムのためにやるようにと言われ、仕方なくトニーの催眠術の相手になる。 アニータに催眠術をかけたトニーは、彼女にしてほしいことを客たちに尋ねる。 すべて終わったら自分にキスするとアニータに話しかけたトニーは、彼女を目覚めさせる。 アニータは、客たちの希望に従った後でトニーにキスし、苛立つドンには、やらされたと言って、いつもショーでやっていた習慣のようなものだと伝える。 それぞれが部屋に向かうことになり、6部屋しかないために、女性同士、男性同士でそれぞれ別れて眠ることをアニータが提案する。 酔ったローラとアニータが同室になり、トニーと同室のドンは、彼にからかわれて苛立つ。 アニータは自分の元に戻ってくると言うトニーは、今夜のキスで確信したことをドンに伝える。 ドンに殴られたトニーは、反撃して彼を懲らしめ、ベッドに寝かせて眠る。 翌日、トニーとアニータは、2人で話をするために、凍っている湖に向かう。 アニータは、自由になるために離婚したので、ローラと幸せになってほしいとトニーに伝える。 トニーは、君が自分を愛しているとドンに話したと伝え、アニータの気持ちを確かめる。 それを認めるアニータに、パートナーは君でないとだめだと伝えたトニーは、泣きながら悩む彼女と解決策を考える。 無理だと言って去ろうとするアニータを引き留めたトニーは、彼女にキスして抱きしめ、別れを告げる。 ニューヨーク。 ジャンプは成功してトニーは水中に落下し、意識を失いながら救出される。 駆け寄ったアニータは、意識が戻ったトニーを抱きしめる。 その後、寄りを戻したトニーとアニータは、コネチカットの家に向かう。 ショーで使うウサギを持参したトニーは、それが野ウサギを追いかけていく様子を見つめながら、アニータと共に家に入る。
...全てを見る(結末あり)
付き人のベントン(ヒュー・ハーバート)と共にショーの準備を終えたトニーは、”女性の創造”という、アニータが登場するマジックで観客を驚かせる。
心配な日々が続くアニータは、ヒューバートからの手紙を受け取り、家が完成して、宝石を売り支払いも済んだことを知り、幸せな気分になる。
万博会場で再びジャンプに挑戦するトニーは、ドンと見学に来てくれたアニータに声をかけられ、飛行機に乗り飛び立つ。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
結婚を控えたアニータ・ハルステッドは、憧れのマジシャン、グレート・アーチュロことトニーに会った瞬間に惹かれ合い、婚約者ドンが入る身でありながら結婚してしまう。
トニーのアシスタントとして活躍するようになったアニータは、夢のような日々を過ごす。
酔った勢いで記者に話したことがきっかけで、トニーは、拘束されたままの飛行機からのジャンプに挑戦することになる。
何とか止める方法を考えたトニーだったが、大観衆を前にして気が変わり、見事にジャンプを成功させる。
それに味をしめたトニーは、アニータの心配を気にせずにジャンプを続け、世界中を回り始めるのだが・・・。
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サイレント時代から活躍するテイ・ガーネットが監督し、ウォルター・ウェンジャーが製作した作品。
フィアンセを捨てて自由奔放なマジシャンと結婚した女性の様々な苦悩をコミカルに描くロマンチック・コメディ。
第12回アカデミー賞では、作曲賞にノミネートされた。
20代半ばではあるが、子役時代からの経験で既にキャリア十分の美しいロレッタ・ヤングが、同じくまだ20代のデヴィッド・ニーヴンと夫婦役を演じ、息の合った演技を見せてくれる。
衝撃的な出会いで結婚した主人公2人の結婚生活は長続きせず、それがきっかけとなり巻き起こる出来事が愉快に描かれた内容なのだが、テイ・ガーネットの演出は平凡であり、何もかも欲張り過ぎているような忙しない演出が気になる。
マジシャン”グレート・アーチュロ”/トニーの付き人ヒュー・ハーバート、ヒロインのおばビリー・バーク、ヒロインの良き理解者である祖父で司教のC・オーブリー・スミス、ヒロインの婚約者ブロデリック・クロフォード、その上司レイモンド・ウォルバーン、その妻ザス・ピッツ、トニーの元アシスタント、バージニア・フィールド、ヒロインの友人イヴ・アーデン、興行主のラルフ・グレイヴスとライオネル・ペイプ、セレモニーのマスター、フレッド・キーティングなどが共演している。