実在の犯罪者である囚人フランク・モリスらが実行した”アルカトラズ刑務所”からの脱獄計画を描く、製作、監督ドン・シーゲル、主演クリント・イーストウッド、パトリック・マクグーハン、フレッド・ウォード他共演のサスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ドン・シーゲル
製作:ドン・シーゲル
製作総指揮:ロバート・デイリー
原作:J・キャンベル・ブルース”Escape from Alcatraz”
脚本:リチャード・タッグル
撮影:ブルース・サーティース
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:ジェリー・フィールディング
出演
フランク・モリス:クリント・イーストウッド
刑務所長:パトリック・マクグーハン
チェスター”ドク”・ダルトン:ロバーツ・ブロッサム
クラレンス・アングリン:ジャック・チボー
ジョン・アングリン:フレッド・ウォード
イングリッシュ:ポール・ベンジャミン
チャーリー・バッツ:ラリー・ハンキン
ウルフ:ブルース・M・フィッシャー
リトマス:フランク・ロンジオ
ジョンソン:フレッド・スタスマン
受刑者:ダニー・グローヴァー
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1979年製作 112分
公開
北米:1979年6月22日
日本:1979年12月15日
製作費 $8,000,000
北米興行収入 $43,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1960年1月18日、サンフランシスコ。
各地の刑務所で刑期を務めた犯罪者フランク・モリス(クリント・イーストウッド)は、アルカトラズ島の連邦刑務所に護送される。
翌朝、看守の指示で食堂に向かったモリスは、ネズミを飼っているリトマス(フランク・ロンジオ)から自己紹介され、自分を見つめて挑発するウルフ(ブルース・M・フィッシャー)を相手にしない。
その後、監房にいたモリスは、現れた看守のジョンソン(フレッド・スタスマン)と共に所長(パトリック・マクグーハン)の元に向かう。 岩でできた島”ザ・ロック”の模型を前に、所長から刑務所内のルールを知らされたモリスは、脱獄は不可能だと言われる。 モリスを下がらせた所長は、彼が並外れた”IQ”であることを書類で確認する。 爪切りを奪ったモリスは、監房に戻りそれを聖書に隠す。 シャワーの際、ゲイのウルフに言い寄られたモリスは、彼を相手にせず叩きのめす。 図書館の仕事を手伝うよう指示されたモリスは、その場の担当者である黒人の囚人イングリッシュ(ポール・ベンジャミン)から、自分は殺人罪で出所はできないと言われる。 入所時に気が変になり、自分でアキレス腱を切ったと言うイングリッシュは、物怖じしない知性を感じるモリスが気に入る。 D棟に向かったモリスは、本と雑誌を配ろうとするものの、黒人の囚人(ダニー・グローヴァー)に罵倒される。 中庭で絵を描くチェスター”ドク”・ダルトン(ロバーツ・ブロッサム)と話したモリスは、絵に描かれた菊の花に気づく。 花は”自分の中”から咲いたと言うドクは、鉄格子にも壁にも囚われないとモリスに伝える。 ドクから死について訊かれたモリスは怖くないと答えるが、ウルフに仕返しされると言われる。 イングリッシュの元に向かったモリスは、黒人達の場所だったために制止される。 モリスを呼び寄せたイングリッシュは、自分が黒人のリーダーであること伝える。 イングリッシュは、厳しい監視の下と岩の島でトンネルを掘ることもできないため、脱獄は困難だとモリスに話す。 房に戻ったモリスは、ジョンソンから、賃金も出る木工作業の仕事を与えると言われる。 翌日、庭にいたモリスは、ウルフが近づいてくることをドクから知らされ、刃物を持った彼に立ち向かう。 止めに入った看守を傷つけたウルフは、監視塔からの威嚇射撃で刃物を捨てる。 ウルフとモリスは、D棟の懲罰房に入れられる。 明かりもない場所での苦痛に耐えたモリスは自分の房に戻り、リトマスのネズミがが運んだ”お帰り”というメッセージを確認する。 隣りの監房に来たチャーリー・バッツ(ラリー・ハンキン)と話をしたモリスは、彼と共に庭に向かう。 チャーリーは、ジョークで”アル・カポネ”だと言うリトマスとドクに挨拶する。 監房を見回っていた所長は、ドクの房に爪切りを落としていまい、中に入り、自分を描いた絵があることに気づく。 所長は、ドクの絵を禁じるよう副所長に指示し、ジョンソンが彼の房に向かい、絵の特典を取り上げる。 絵は自分の命だとジョンソンに伝えて悲しむドクだったが、聞き入れてもらえなかった。 その後、ドクの様子がおかしいため、モリスはそれを気にする。 木工作業を始めたドクは、許可を得て渡された手斧を手にし、看守の前で自分の右手の指を切り落とす。 ドクを追うモリスは看守に制止され、ポケットに入っていた、ドクが入れたと思われる菊の花に気づく。 血のついた斧を手にしたモリスは、それを作業台に振り下ろし、ドクの指を拾って箱に入れて看守に渡し報告しろと伝える。 房に戻り、ゴキブリが通気口の中に入ることに気づいたモリスは、壁の向こう側に空間があると考える。 本を運んできたイングリッシュと話したモリスは、所長がドクの絵の特典を取り上げたことを知らされる。 翌日、食堂で所長に呼ばれたモリスは、作業場の事故の件を訊かれたため、皮肉を込めて答える。 その場にいた顔見知りの銀行強盗ジョン(フレッド・ウォード)とクラレンス(ジャック・チボー)のアングリン兄弟から声をかけられたモリスは、この場が脱獄不可能だという話をする。 その後モリスは、房の通風口や壁の劣化状況などを確認する。 庭にいたイングリッシュとチャーリーは、面会室に呼ばれる。 イングリッシュは、会いに来た娘と話す。 母が危篤であることを妻から知らされたチャーリーは、脱獄する気なら自分も行くとモリスに伝える。 この場から出る方法があるとアングリン兄弟に話したモリスは、通風口から屋上に抜けられると言って、出口は雑誌などで厚紙を作り、格子の絵を描き穴を塞ぐと伝える。 点呼で気づかれると言われたモリスだったが、夜なら朝まで見つからないので、石膏やボール紙で頭部を作り、ベッドに置いて看守を騙すことを考えていた。 理髪所で髪の毛を集めるようクラレンスに指示したモリスは、ジョンから海のことを訊かれ、衣服係の彼に、レインコートと接着剤を盗めばイカダと救命衣を作れると伝える。 本土ではなくエンジェル島に向かいというモリスは、チャーリーには見張りを任せる。 モリスから成功の可能性は低いと言われるものの、アングリン兄弟とチャーリーは話に乗る。 その夜から壁を壊し始めたモリスは、チャーリーに見張りをさせる。 爪切りでは作業が進まないため、モリスは食堂でスプーンを盗む。 面会に来た娘が白人と結婚することをイングリッシュから聞いたモリスは、二つの金属を房の中で溶接できるか尋ね、難しいが可能だと言われる。 リトマスに10セント硬貨を調達してもらったモリスは、爪切りのヤスリでそれを削り、束ねたマッチに火を点けてスプーンと鋭利は刃先を溶接して道具を作る。 看守が来たことをチャーリーから知らされたモリスは、通風口をアコーディオンのケースで隠し、ベッドに横たわる。 看守から焦げ臭いと言われるものの、何とか見つからずに済んだモリスは、再び壁を壊す。 壁の破片をズボンのポケットに入れて外に持ち出して捨てたモリスは、格子に留め金があることをチャーリーに話し、クサビのようなものがあれば外せるだろうと伝える。 作業場からクサビを持ち出したモリスは、金属探知機でわざと見つかり、靴の底に別のものを隠して房に持ち帰る。 それを使い格子を外したモリスは、壁の向こう側の空間を確認する。 その後、チャーリーとアングリン兄弟も同じことを始めて、モリスは、通風口と頭部のダミーを作る。 クラレンスから髪の毛を渡されたモリスは、チャーリーが手に入れた絵の具と筆も受け取る。 通風口と頭部を完成させたモリスは、それを設置して壁の向こう側に向かい、屋上に出ることができるダクトを確認する。 早い時間に眠っているモリスが気になった看守は、彼に声をかける。 戻っていたモリスは、目覚めた振りをする。 翌朝、外に出て上に向かい屋上へのダクトを確認したことをアングリン兄弟とチャーリーに話したモリスは、鉄格子が高くて一人では手が届かないと伝える。 三人の進行状況を確認したモリスは、今夜、連れて行くつもりのジョンにレインコートの件などを尋ねる。 その夜、ジョンと共に屋上に向かったモリスは、ダクトの鉄格子を抜ける方法を考える。 娯楽室で、ドリルとコードの調達をリトマスに頼んだモリスは、その場にあった扇風機を盗む。 出口でのチェックをパスしたモリスは、その夜もジョンと現場に向かい、パイプで鉄格子を広げて通り抜け、扇風機を利用したドリルでリベットを壊す。 物音に気づいた看守は見回るが、何も異常はなかった。 火曜にはイカダと救命衣の用意ができることをジョンに確認したモリスは、その日に決行することを彼に伝える。 食堂で、ドクのためにテーブルに菊を置いたモリスは、規則違反だと言う所長にそれを握りつぶされてしまう。 憤慨して興奮したリトマスは、発作を起こして倒れてしまい、そのまま息を引き取る。 結局は生きては出られなかったと言う所長は、睨み返すモリスの足元に菊の花を投げ捨ててその場を去る。 房に本を運んできたイングリッシュに別れを告げたモリスは、彼と握手する。 所長の立ち入り検査を受けたモリスは、何も見つからずに済む。 最近のモリスの様子を看守に確認した所長は、チャーリーと遅くまで話していると言われ、火曜の朝までに房を移動させることを指示する。 翌日、戻ってきたウルフに仕返しすると脅されたモリスは、その日の消灯後に脱獄を決行することをアングリン兄弟とチャーリーに伝える。 庭に出たウルフは、仲間から刃物を渡されてモリスに近づくが、背後から現れたイングリッシュに制止される。 その夜、房から出たモリスは、リトマスのネズミを見つけてポケットに入れ、屋上に向かう。 動揺するチャーリーは、房から出ることに躊躇してしまう。 ダクトの鉄格子を抜けたクラレンスが、フードを外して物音を立てたため、モリスとジョンは、警戒しながら屋上に向かい外に出る。 通風口を壊したチャーリーも、壁の向こう側に出て屋上に向かう。 移動したモリスらは救命衣を着て、地上に下りてフェンスを越える。 チャーリーは、ダクトの鉄格子に手が届かない。 海にたどり着いたモリスらは、イカダを膨らませて水に入り沖に向かう。 翌朝、諦めたチャーリーは房に戻っていた。 モリスの房に向かった看守は、彼を起こして移動させようとする。 ダミーの頭部に気づいた看守は笛を吹き、所内には警報が鳴り響く。 モリスらの捜索を始めた所長はヘリコプターでエンジェル島に向かい、三人が見つからないために溺死だと思う。 所長は、アングリン兄弟の写真を発見した巡査部長から、溺死を装っているのではないかと言われる。 岩場で菊の花を見つけた署長は、副所長から、ワシントンD.C.に向かう指示を受けたと言われる。 この島に菊の花はあるのかと副所長に尋ねた所長は、島では咲かないと言われる。 昨夜は海は穏やかで9時間半前の脱獄であるため、モリスらが逃げ切った可能性を訊かれた所長は、溺死したと考える。 菊の花を握りつぶした所長は、それを波間に投げ捨てる。 当局による徹底的な捜査が行われたが、フランク・モリスとアングリン兄弟の遺体は発見されなかった。 アルカトラズ刑務所は、この事件後、1年も経たずに閉鎖された。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
1960年。
犯罪者フランク・モリスは、アルカトラズ島の連邦刑務所に護送される。
所長から脱獄不可能と言われたモリスは、調達屋のリトマスや絵が趣味のドクらと知り合い親交を深める。
所内の様子を観察しながら、監房の通風口から屋上に迎えると考えたモリスは、老朽化した壁を壊して脱出する方法を考える。
隣りの房のチャーリーや、銀行強盗のアングリン兄弟を仲間に引き入れたモリスは、様々な準備をして脱獄計画を実行する・・・。
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1963年に発表された、J・キャンベル・ブルースの著書”Escape from Alcatraz”を基に製作された作品。
1970年代No.1のドル箱スターとなったクリント・イーストウッドが、盟友であるドン・シーゲルと組み、製作総指揮ロバート・デイリー、撮影ブルース・サーティースらと共に自らの”マルパソ・カンパニー”で製作した意欲作。
”アルカトラズ刑務所”に収監されたフランク・モリスが、1962年にアングリン兄弟と共に脱獄に成功して失踪した事件を基にしたサスペンス。
人格を無視される囚人たちの生活が淡々と描かれる中、人並外れた”IQ”の持ち主である冷静沈着なフランク・モリスが、綿密な計画を立てて脱出計画を進める興味深い展開に引き込まれる。
アクション・スターとしてハリウッドの頂点に上り詰めたクリント・イーストウッドのキャリアの中で、極めて評価の高い作品であり、名コンビであるドン・シーゲルの、整然とした刑務所の雰囲気の中で緊張感を高めてクライマックスを迎える見応えある演出に注目したい。
実際にアルカトラズ島で行われたロケも興味深く、ブルース・サーティースの撮影も素晴らしい。
主演のクリント・イーストウッドは、知性と共に逞しさも感じさせる主人公フランク・モリスを見事に演じている。
自分のルール以外は認めない、近寄りがたい雰囲気の刑務所長を好演するパトリック・マクグーハン、主人公と親交を深める絵が趣味の囚人ロバーツ・ブロッサム、主人公と共に脱獄するアングリン兄弟のジャック・チボーとフレッド・ウォード、主人公に一目置く黒人の囚人のリーダー、ポール・ベンジャミン、主人公の隣の房で協力する囚人ラリー・ハンキン、主人公を恨む囚人ブルース・M・フィッシャー、主人公が頼りにする調達屋の囚人フランク・ロンジオ、看守のフレッド・スタスマン、そして、受刑者としてダニー・グローヴァーが端役出演している。