生活苦のシングルマザーが弁護士事務所の雑用の身でありながら大企業PG&Eから史上最高額の和解金を勝ち取るまでを描く、製作ダニー・デヴィート他、監督スティーヴン・ソダーバーグ、主演ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカート他共演、実話を基に製作されたヒューマン・ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
製作総指揮
ジョン・ハーディ
カーラ・サントス・シャンバーグ
製作
ダニー・デヴィート
マイケル・シャンバーグ
ステイシー・シェア
脚本:スザンナ・グラント
撮影:エドワード・ラッハマン
編集:アン・V・コーツ
音楽:トーマス・ニューマン
出演
エリン・ブロコビッチ:ジュリア・ロバーツ
エドワード・L・マズリー:アルバート・フィニー
ジョージ:アーロン・エッカート
ドナ・ジェンセン:マージ・ヘルゲンバーガー
パメラ・ダンカン:チェリー・ジョーンズ
カート・ポッター:ピーター・コヨーテ
チャールズ・エンブリー:トレーシー・ウォルター
ブレンダ:コンチャタ・フェレル
ジュリア/ウエイトレス:エリン・ブロコビッチ
アメリカ 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)
コロンビア・ピクチャーズ(世界)
2000年製作 131分
公開
北米:2000年3月17日
日本:2000年5月27日
製作費 $52,000,000
北米興行収入 $125,548,690
世界 $256,271,290
■ アカデミー賞 ■
第73回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ジュリア・ロバーツ)
・ノミネート
作品・監督
助演男優(アルバート・フィニー)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
二度の離婚を経験した三人の子持ちのシングルマザー、エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)は、就職の面接に失敗した帰りに、車で事故を起こしてしまう。
弁護士のエドワード・L・マズリー(アルバート・フィニー)のオフィスに駆け込んだエリンは、その後、簡単に勝てると思っていた賠償請求で負けてしまう。
エリンは、痛めた首の治療費の借金を抱え、職も決まらず、マズリーに連絡するものの無視されてしまう。
憤慨したエリンはマズリーのオフィスに向かい、自分を雇うよう訴え強引に職を得る。
ある夜、子供を寝かしつけたエリンは、バイクのエンジンを吹かす隣人ジョージ(アーロン・エッカート)に噛み付き黙らせてしまう。 ミスコンの優勝経験もあるエリンは、容姿には恵まれているのだが、その服装が職場の他の女性に不快感を与えると、彼女はマズリーに注意されてしまう。 そんなことは意に介さず仕事を続けていたエリンは、子育てに苦労していたが、見かけによらず子煩悩なジョージが、彼女に手を差し伸べる。 親密にはならない条件で、エリンは子供が好きだというジョージに世話を頼むことにする。 そんなエリンは、不動産関係の書類の整理をしていた時、カリフォルニア州の北部地域に天然ガスや電力を供給する企業PG&Eと、その工場があるヒンクリーの住人ドナ・ジェンセン(マージ・ヘルゲンバーガー)の関係に気づく。 PG&Eは、近隣に住むドナの家を買い取ろうとしていたのだが、エリンは、彼女の健康状態が会社側に報告されていたのを疑問に思う。 ドナは、自分や家族の医療費をPG&Eが全額負担していて、それは”クロム”が原因であるlことをエリンに伝える。 大学でそれを調べたエリンは、工場が使用した有害な”6価クロム”が水質汚染を起こした可能性を知り水質管理局に向かう。 そしてエリンは、そこで6価クロムによる地域の汚染地下水浄化命令書などを見つける。 その件で1週間欠勤したエリンは、マズリーから解雇を言い渡されてしまい、帰宅して今後の生活に絶望してしまう。 その場にいたジョージはエリンを慰め、そして二人は心を通わせて愛し合う。 その後、家計に四苦八苦するエリンは、彼女が調べていた水質汚染が、ドナの健康状態と関わりがあるということを知ったマズリーの訪問を受ける。 エリンを復職させ、PG&Eとドナの家族との関係などを聞いたマズリーは、水質管理局の資料のコピーを持っているという彼女の生活を保障し、その件を調査し始める。 水質管理局で他の資料もコピーしたエリンは、ドナに地域の水が汚染されているのが明らかだと正直に伝える。 マズリーは、PG&Eの苦情センターにファックスを送るが、たちまち相手側から会合の申し出がある。 PG&E側は、ドナの家を25万ドルで買い取るとの提案をするが、マズリーは証拠を突きつけそれを拒否する。 マズリーは、売上高280億ドルの大企業PG&Eから、高額な和解金を請求できることを確信して興奮する。 その後エリンは、ドナの近所に住んでいた住民からも異変や体調の件で相談を受けるなど、子供達との時間を犠牲にする日々を送る。 マズリーはエリンと共に被害者家族を集め、和解金の40%を得るが、負けた場合は弁護料を請求しないことで合意する。 近隣家族の家を回り続けるエリンは、ガンで苦しむ少女などを目の当たりにし、訴訟を起こすことをマズリーに提案する。 調停の和解金で譲歩しようとするマズリーだったが、エリンはそれを譲らず昇給まで請求し彼を説得する。 PG&Eの目を盗み、周辺の水質などを調べるエリンは脅迫までされるが、それを心配するジョージの助言も彼女は聞き入れない。 それでもエリンを支えるジョージだったが、400人以上の原告を抱え、後には引けなくなったエリンは益々多忙になってしまう。 ドナの腫瘍が悪性と分かり、落胆する彼女を励ましたエリンは、ヒンクリーの住民の提訴を認められ、マズリーと共に公判に挑むことになる。 PG&E側との調停は始まり、原告側は2000万ドルを提示されるものの、エリンが先制攻撃を仕掛け、金額の低さを非難して話し合いは決裂する。 そんな時、エリンを見守り続けたジョージは限界に達し、彼女の元を去って行く。 子供を連れ原告の家を回るエリンは、マズリーが活動資金を提供した弁護士カート・ポッター(ピーター・コヨーテ)と組んだことに腹を立てる。 しかし、エリンはそのお陰で、マズリーから5000ドルの小切手と新車を贈られる。 ポッターのオフィスに呼ばれたマズリーとエリンは、PG&Eとの調停が最善策だと伝えられる。 それを不満に思うエリンは、自分が排除されることを知り、誰よりも原告に詳しいことを主張して一歩も引かない。 その後、原告のパメラ・ダンカン(チェリー・ジョーンズ)の呼びかけで調停に反対し、弁護士に疑いを持ち始め住民が分裂してしまう。 自分の知らないところで、ポッターと事を進めていたことに気づいたエリンは憤慨するが、マズリーは、住民に信頼のある彼女が必要だと説得する。 原告との集会で調停の件を説明したマズリーだったが、住民の理解は得られない。 しかし、マズリーは訴訟は長引く可能性が高いことを説明して、人々を納得させる。 原告全体の合意が必要な状況の中、その数字に達しないことが分かったエリンは、ジョージに謝罪して再び子供達を預ける。 そしてエリンは、マズリーと共に数日間で原告全員の戸別訪問を始める。 母エリンの仕事が、病気の子供や人々のためだと知った息子はそれに理解を示すようになる。 順調に調停の合意書のサインを集めていたエリンは、行き付けのバーで、チャールズ・エンブリー(トレーシー・ウォルター)という男から、彼がPG&Eの書類を処理したという事実を知らされる。 工場と本社との間にあったはずの、事件の接点を探していたエリンは、興奮してマズリーに連絡を入れる。 マズリーとエリンは、原告全員の同意書を持参してポッターのオフィスに向かい、エンブリーから手に入れた内部文書も見せ彼を驚かせる。 ジョージと共にドナの家に向ったエリンは、裁判所がPG&Eに対し3億3300万ドルの支払いを命じたことを彼女に伝える。 ドナの家族には500万ドルが支払われることになり、彼女はエリンを固く抱きしめて感謝する。 その後、高層ビルにオフィスを移していたマズリーは、エリンにボーナスを渡そうとするが、彼はその金額が約束とは違うことを伝える。 いつものように、自分を正当に評価するべきだとマズリーにまくし立てるエリンだったが、それに応える金額が200万ドルだと知り絶句してしまう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
三人の子供を抱える身で失業中のシングルマザー、エリン・ブロコビッチは、自動車事故で賠償金請求に失敗した、弁護士エドワード・L・マズリーの事務所の雑用の仕事を得る。
隣人のバイカー、ジョージの好意で、彼に子供を預けたエリンは、ようやく仕事に専念できる。
そんなエリンは不動産資料の整理を任され、大企業PG&Eが、工場近隣の住民の健康状態を管理していることに疑問を抱く。
調査したエリンは、工場が使用した有害な”6価クロム”が、水質汚染を引き起こしていた事実に気づく。
そしてはエリンは、それをマズリーに知らせ、住民達のために巨額の賠償金請求に奔走するにだが・・・。
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堕落した生活を続ける元ミスコンの女王が、何かを成し遂げる予感を感じつつ、そのきっかけを掴んだ結果にパワー全開する奮闘記と、命の尊さや家族の信頼関係、企業のモラルや傲慢さを鋭く描く、スティーヴン・ソダーバーグの演出が光る快作。
社会性のあるドラマではあるが、押し付けがましいところはなく、上司である弁護士や家族と恋人、そして住民達との触れ合いで人間的に成長していく主人公の姿を描いた、ヒューマニズム溢れる作品。
北米興行収入は約1億2600万ドル、全世界で約2億5600万ドルのヒットとなった。
第73回アカデミー賞では、ジュリア・ロバーツが主演女優賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(アルバート・フィニー)
脚本賞
生活苦ではあるが、ミスコンの女王だっただけに人目を引く美しさを保ちつつ、一本気な主人公を熱演するジュリア・ロバーツは、念願だったオスカーを獲得し、ハリウッドのトップ女優としての実力を見せる。
主人公を甘やかすことなく、また公平にパートナーとして評価もする弁護士エドワード・L・マズリーを演ずるアルバート・フィニーも、人間味のある人物を魅力的に演じている。
一度は見限るものの、主人公を支える恋人アーロン・エッカート、原告マージ・ヘルゲンバーガー、チェリー・ジョーンズ、主人公らに協力する弁護士のピーター・コヨーテ、PG&E内部文書を主人公に渡すトレーシー・ウォルター、弁護士事務所の秘書コンチャタ・フェレル、そして、エリン・ブロコビッチ本人が、ウエイトレス役で出演している。