夫の暴力と死の恐怖から逃れようとする女性の戦いを描く、監督マイケル・アプテッド、主演ジェニファー・ロペス、ビリー・キャンベル、テッサ・アレン、ジュリエット・ルイス、ダン・ファターマン、ノア・ワイリー、フレッド・ウォード他共演のスリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・アプテッド
製作
ロブ・コーワン
アーウィン・ウィンクラー
製作総指揮:E・ベネット・ウォルシュ
脚本:ニコラス・カザン
撮影:ロジェ・ストファーズ
編集:リック・シェイン
音楽:デヴィッド・アーノルド
出演
スリム・ヒラー:ジェニファー・ロペス
ミッチ・ヒラー:ビリー・キャンベル
グレイシー・ヒラー:テッサ・アレン
ジニー:ジュリエット・ルイス
ジョー:ダン・ファターマン
ロビー:ノア・ワイリー
ジュピター:フレッド・ウォード
ヒラー夫人:ジャネット・キャロル
ジム・トラー:ビル・コッブス
フィル:クリストファー・マー
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2002年製作 116分
公開
北米:2002年5月24日
日本:2003年月1日25
製作費 $38,000,000
北米興行収入 $40,007,740
世界 $51,801,190
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
ダイナーで働くスリム(ジェニファー・ロペス)は、客である作家だと言うビリー(ノア・ワイリー)に声をかけられる。
ビリーを意識していることを同僚のジニー(ジュリエット・ルイス)に冷やかされたスリムは、彼が作家ではなく警官になろうとしていることを知る。
スリムにバラを渡し口説こうとしたビリーは、隣の席にいたミッチ・ヒラー(ビリー・キャンベル)から、いくら賭けたのかを聞かれる。
答えないビリーを問い詰めるミッチは、昨日も店に来て、仲間とスリムを口説けるかを賭けていたと話す。
それを認めて嫌みを言ったビリーは、二度とこの店には来るなとミッチに脅されてその場を去る。
ミッチに感謝したスリムは、店を出た彼に心惹かれる。
その後、スリムとミッチは結婚して、ジニーや元恋人のジョー(ビリー・キャンベル)らに祝福され幸せを実感する。 スリムは、父親代わりのダイナーのオーナー、フィル(クリストファー・マー)に感謝する。 やがてスリムは妊娠し、ミッチは彼女が気に入ったと言う家に向かい、家主と話をして強引にその家を買い取る。 引っ越したスリムは、女の子を出産してグレイシーと名付け、ミッチと共に喜びあう。 成長したグレイシー(テッサ・アレン)と共に幸せな日々を送っていたスリムだったが、ミッチがダーセルという女性と浮気していることに気づく。 責められたミッチは謝罪し、スリムは彼を許す。 その後、諍いの絶えない二人は言い合いになり、スリムの考えを理解しないミッチは彼女を殴り倒す。 自分のルールに従うことを強要したミッチは、愛人ダーセルの元に向かう。 翌日、ミッチの実家を訪れたスリムは、義母(ジャネット・キャロル)に迎えられる。 顔の傷に気づいた義母は驚くが、何をミッチに言ったのかをスリムに尋ねる。 ダイナーに向いジニーに苦しい胸の内を伝えたスリムは、このまま耐えるか、グレイシーを連れてミッチと別れるかを決断するしかないと助言される。 幼稚園にグレイシーを迎えに行ったスリムは、ミッチが来たことを知らされて帰宅する。 ミッチに電話をしたスリムは、彼とグレイシーが動物園にいることを知る。 帰宅したミッチから、自由と幸せを奪われるような話をされたスリムは警察に向い、友人が夫から逃れようとしていると言って相談をする。 子供が関係した場合は家庭裁判所の管轄だと言われたスリムは、諦めてその場を去る。 その夜、ミッチが眠っている間にグレイシーを連れて家を出ようとしたスリムは、彼に見つかり痛めつけられる。 外で待機していたジニーとフィルが家に押入るが、ミッチに銃を向けられる。 ジニーはスリムの無事を確認して、フィルは警察に訴えるとミッチに伝えるが、銃を突きつけられて脅される。 しかし、眠っていたグレイシーを起こしたフィルはミッチを見るよう指示し、ドライブだと言ってその場を去る。 グレイシーに銃を見せたくないミッチは、手出しができない。 スリムは病院に行くことを拒み、休める場所を探す。 ホテルに向かったスリムは、クレジットカードが使えないと言われ、その後、キャッシングもできないことに気づき銀行口座 も凍結される。 モーテルに泊まったスリムだったが、ミッチに場所を知られて襲われ、その場から脱出する。 バスに飛び乗りミッチの追跡を逃れたスリムは、フィルの協力を得てシアトルに向かう。 ジョーを訪ねたスリムは、誰かが現れたためにグレイシーと共に身を隠す。 FBIだと言う三人を部屋に入れたジョーは、彼らがミッチに雇われた者達だと気づく。 男達に脅されたジョーは、彼らが帰った後で迷惑はかけられないと言うスリムを気遣う。 ミッチからの電話を受けたジョーは脅され、スリムはその場を去る。 サンフランシスコ。 ジュピターが母親に贈った指輪を渡し、スリムはその場を去る。 行き場所もないスリムは路上で佇み涙し、グレイシーに励まされる。 ミシガン州、北部。 フィルから転送されてきたジュピターの手紙が届き、三人組に脅されたという彼から協力すると言われたスリムは、同封されていた大金に驚く。 一軒家を手に入れたスリムは、グレイシーを幼稚園に預ける。 離れた町の公衆電話で義母と話したスリムは、警察に知り合いがいるミッチが、親権裁判で争う気であることを知らされる。 ミッチに電話してグレイシーと話をさせるべきだとも言われたスリムは、仕方なく彼に電話をする。 スリムを罵るミッチの話を聞いてしまったグレイシーは、心を痛める。 警官のロビーに協力を求めていたミッチは、スリムがミシガンから電話をかけていることを知る。 ロビーの弱みを握るミッチは、これ以上の協力は無理だと言う彼にミシガンに向かうよう指示する。 心細いスリムはジョーを呼び寄せるが、その場でロビーが二人を監視する。 ロビーから連絡を受けたミッチはスリムの家に侵入し、彼女の前に現れて脅し襲い掛かる。 それを見たグレイシーがミッチに乱暴を止めさせようとするが、払いのけられる。 腕時計に隠してあった催涙スプレーをミッチに浴びせたスリムは、グレイシーを連れてその場を逃れる。 ミッチを家に閉じ込めたスリムは車で逃走するが、停車した場所にロビーが現れたため急発進する。 車を追突されながらロビーに追われたスリムは、工事中の橋にに向かう。 スリムは鉄骨をすり抜けるが、車高の高いロビーの車は衝突する。 車を替えたスリムは、動揺して考え込むグレイシーを気にしながら、法律事務所の弁護士ジム・トラー(ビル・コッブス)を訪ねる。 トラーのオフィスに押し入り何とか話を聞いてもらったスリムだったが、ミッチを二度訴えるチャンスがあったにも拘らずそれを逃したため全てが手遅れで、グレイシーの親権も失うと言われる。 親権裁判はスリムを誘き寄せる罠で、追われた後で殺害されるだろうとトラーは付け加える。 ジニーを呼び寄せたスリムはグレイシーを預け、ミッチーと対決するために体を鍛えて戦いの準備を始める。 ジュピターの協力を得たスリムは、自分に似た女性をホテルに滞在させるよう彼に指示してロサンゼルスに向かう。 夜中にミッチの家に侵入したスリムは朝を待ち、彼が出かけた後で、電話線を切り照明に細工し、刃物を隠して銃を探し出し、手紙を隠して戦いに備える。 帰宅したミッチは照明が消えたことで不審に思い、暗闇の中でスリムに声をかけられる。 銃を奪われて電話線を切られ、携帯電話の電波も妨害してあることを知らされたミッチは、照明をつけて現れたスリムを見下す。 スリムに殴られたミッチはやり返すものの、自己防衛だと言われ、自分が送った手紙も隠してあると言われる。 会いに来たところを襲われて抵抗しただけだと言うスリムは、ミッチを叩きのめして止めを刺そうとする。 しかし、それができないスリムはジニーに電話する。 ミッチに殴られたスリムは抵抗し、今までに受けた仕打ちを思い出しながら、怒りを込めて彼を二階から階下に突き落として死亡させる。 ジニーから通報を受けた警官が駆けつけ、家の前で佇むスリムに、運が良かったと伝える。 数日後、ジニーに連れられて来たグレイシーと再会したスリムは彼女を抱きしめる。 その後スリムは、ジョーとグレイシーと共にシアトルでで暮らし、幸せを手に入れる。
...全てを見る(結末あり)
疎遠だった富豪の父親ジュピター(フレッド・ウォード)に会ったスリムは、何人もの女性と関係しているために娘と認めない彼から、わずか12ドルを渡されそうになる。
フィルの友達を頼り共同生活を始めたスリムは、死亡者の名を調べ、”エリー・アン・シュリーター”という女性に成り済まして出征証明書を発行してもらい、社会保障カードを申請する。
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
ダイナーで働くスリムは、客だったミッチに心惹かれて親交を深め結婚する。
やがて二人には娘グレイシーが誕生するのだが、ミッチの浮気が発覚し、彼はスリムに対して暴力的になる。
耐え切れなくなったスリムは、ダイナー時代の同僚ジニーと店主のフィルの協力を得て、グレイシーを連れてミッチから逃れる。
シアトルに向かったスリムは、元恋人のジョーのアパートを訪れる。
しかし、ミッチの手が回りジョーが男達に脅されたため、スリムはその場を去りサンフランシスコに向い、疎遠だった父親ジュピターの元に向かう。
自分を娘と認めようとしないジュピターに母親の指輪を渡したスリムは、フィルの友人を頼りミシガンに向かう。
ジュピターからの援助を得られたスリムは、一軒家を手に入れて身分を変え、グレイシーと共に新生活を始めるのだが・・・。
__________
ドメスティック・バイオレンスから発展した死の恐怖と逃亡劇を扱った作品で、幼い娘を抱える母親の苦悩を描くドラマでもある。
逃れられない追い詰められた状況を脱するため、主人公がとる最終手段が”戦い”であるという展開がいかにもアメリカ映画らしい設定で、やや単調に思えるマイケル・アプテッドの演出も、終盤で一気に盛り上がる。
男勝りの雰囲気のある主演のジェニファー・ロペスが、幼い娘や周囲の人々を気を遣い、攻撃的に出ない展開に苛立ちも感じるのだが、上記のように、娘を守り幸せを手に入れるために、女戦士のように変貌して戦いを仕掛ける姿は実に頼もしい。
その夫で、傲慢で暴力的な男を演ずるビリー・キャンベル、なかなかの演技を見せる可愛らしいその娘テッサ・アレン、主人公の友人ジュリエット・ルイス、主人公の元恋人ダン・ファターマン、夫に協力する警官ノア・ワイリー、主人公を援助する父親フレッド・ウォード、主人公の義母ジャネット・キャロル、弁護士ビル・コッブス、ダイナーの店主クリストファー・マーなどが共演している。