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スターリングラード Enemy At the Gates (2001)

第二次大戦ソ連軍の伝説的狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフの戦いを描く、製作、監督、脚本ジャン=ジャック・アノー、主演ジュード・ロウジョセフ・ファインズエド・ハリスレイチェル・ワイズボブ・ホスキンス他共演の戦争ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■
監督:ジャン=ジャック・アノー
製作総指揮
アラン・ゴダール

アリサ・テイガー
製作
ジャン=ジャック・アノー
ジョン・D・スコフィールド
脚本
ジャン=ジャック・アノー
アラン・ゴダール

撮影:ロベール・フレース
編集
ノエル・ボイソン

ハンフリー・ディクソン
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演
ジュード・ロウヴァシリ・ザイツェフ
ジョセフ・ファインズ:ダニロフ
エド・ハリス:エルヴィン・ケーニッヒ少佐
レイチェル・ワイズ:ターニャ・チェルノワ
ボブ・ホスキンスニキータ・フルシチョフ
マチアス・ハビッヒフリードリヒ・パウルス将軍
ガブリエル・トムソンサーシャ・フィリポフ

ロン・パールマン:クリコフ

アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
2001年製作 131分
公開
北米:2001年3月16日
ドイツ:2001年3月15日
イギリス:2001年3月16日
日本:2001年4月14日
製作費 $70,000,000
北米興行収入 $ 51,396,780
世界 $96,971,290


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1942年、第二次大戦、東ヨーロッパ戦線。
ドイツ軍の攻勢は続き、アジアの油田を手中にするためソ連に侵攻する。

ソ連軍は、スターリングラードで必死の防衛戦を展開していた。

9月20日。
現地に移送され、ヴォルガ川を渡り最前線に送られた青年兵ヴァシリ・ザイツェフ(ジュード・ロウ)は、数発の弾丸だけを受け取り、ドイツ軍が待ち受ける戦地に向かう。

突撃したザイツェフらは敵の攻撃を受けて次々と死亡し、撤退する者は味方に射殺された。

政治将校ダニロフ(ジョセフ・ファインズ)は、車で戦場に突進するものの、攻撃を受け兵士の死体の中に身を潜める。

戦いで味方が全滅する中、ザイツェフは奇跡的に生き残り、敵兵が去った後で銃を手にしたダニロフに声をかける。
...全てを見る(結末あり)

ダニロフの銃が空だと知ったザイツェフは、持っていた弾丸を装着して渡す。

撃ち方を知っているかをダニロフに問われたザイツェフは、銃を受け取り、敵の将校らをミスることなく5人射殺する。

ザイツェフは、祖父から教えられた猟で身に着けた射撃の腕前に自信を持っていた。

銃を渡されたダニロフは驚き、ザイツェフに自己紹介をする。

仲間達の元に戻ったダニロフは、ザイツェフの功績を称えたチラシを刷り彼に渡す。

9月22日。
スターリンの使者で陸軍中将でもあるニキータ・フルシチョフ(ボブ・ホスキンス)が現地に到着し、敵の圧倒的有利な状況を報告される。

責任者を自決させたフルシチョフは、スターリンの名を付けたこの地を守り抜く必要があることを、ダニロフら政治将校に伝える。

軍の士気を高め、国民の支持を得るために英雄を作り出す提案したダニロフは、フルシチョフに一目置かれる。

ダニロフは、ドイツ軍将校を撃殺したザイツェフを英雄的な狙撃兵として、共産党プロパガンダに利用しようとする。

狙撃班に配属されるザイツェフは、それに満足してダニロフと共に喜ぶ。

その後もザイツェフは次々と敵兵を倒し、数十人を射殺して国民の支えとなる。

ある日、少年サーシャ・フィリポフ(ガブリエル・トムソン)の家に招かれたザイツェフは、その場に現れたレジスタンスのターニャ・チェルノワ(レイチェル・ワイズ)に出会う。

ザイツェフは、サーシャの同居人のターニャを、戦地に移動する列車で見かけていた。

ターニャは、ザイツェフに見覚えがあることを伝えるが、彼が有名な狙撃手であることで、顔を知っていたと考える。

10月21日、ドイツ軍本部。
ドイツ軍ザイツェフを仕留める為に、狙撃の名手であるエルヴィン・ケーニッヒ少佐(エド・ハリス)を派遣する。

司令官フリードリヒ・パウルス将軍(マチアス・ハビッヒ)に迎えられたケーニッヒは、相手に自分を狙わせるという戦法を伝える。

ターニャに惹かれたダニロフは、彼女の語学力を評価して同行を求めるが、それを拒まれてしまう。

新たな情報を得たザイツェフは、その日も敵兵を倒すが、敵の罠に気づく。

敵が近くにいることに気づいたザイツェフは警戒するが、爆撃が始まる。

その場にいた女性兵士は、留まれと言うザイツェフの指示に従わずに移動したため狙撃される。

敵を倒したケーニッヒは、ザイツェフについて徹底的に調べ、靴を磨かせたサーシャが彼を知っているという話を聞く。

狙撃相手が気になったザイツェフは、ダニロフにその件を伝え、狙撃兵ケーニッヒの存在を知らされる。

本部に向かったザイツェフは、クリコフ(ロン・パールマン)と行動を共にするようダニロフに指示される。

結局はダニロフと本部に異動したターニャはザイツェフと再会する。

フルシチョフに対面したザイツェフは、英雄としての歓迎を受ける。

10月23日。
クリコフと行動したザイツェフは、彼がドイツで訓練を受け、開戦でソ連側に戻ったことなどを知る。

ケーニッヒはクリコフの部下を捕え、彼を囮に使い敵の位置を知ろうとする。

しかし、クリコフもそれを承知で警戒し、ケーニッヒがその場にはいないと判断する。

ザイツェフとクリコフは、崩れた建物の通路を飛び越えようとする。

ケーニッヒはクリコフを狙撃し、流石のザイツェフも物陰で震える。

フルシチョフに呼ばれたダニロフは、ケーニッヒの件を早急に片付けるよう迫られる。

ダニロフは、ターニャに食料などを与えて特別な待遇をするが、彼女は転属を申し出る。

ケーニッヒがかなう相手ではないと、戻ったザイツェフに言われたダニロフは、情報を手に入れて反撃するよう伝える。

ターニャに好意を抱くダニロフに頼まれ、その件を彼女に伝えたザイツェフは、転属を諦めるよう説得する。

ある名簿を目にしてしまったターニャは、その中に家族の名があり、敵に殺されたことをザイツェフに伝える。

その話を聞いたザイツェフは、ターニャにクリコフの銃を渡す。

ケーニッヒは、サーシャに食料を与えザイツェフの居場所を知ろうとする。

11月5日。
工場内でケーニッヒに待ち伏せされたザイツェフは、撃たれた仲間に戻るよう伝える。

手放してしまった銃を手元に引き戻そうとしたザイツェフだったが、それをケーニッヒに阻止される。

レジスタンスの仲間達の元に戻っていたターニャは、ダニロフに説得されるものの、サーシャからザイツェフの居場所を聞きその場に向かう。

現れたターニャの協力でガラスを反射させ、ケーニッヒの目をくらませたザイツェフは、その隙に銃を拾い銃撃する。

弾丸はケーニッヒの手に命中し、その場を逃れた彼は隠れ家に戻り、サーシャからザイツェフの情報を得る。

仲間達の元に戻ったザイツェフは、ダニロフやターニャのような教養のあるものは生き残るべきだと語る。

自分が生き残った場合は、平凡な工員になりたいというザイツェフの素朴な夢を聞いたターニャは彼に惹かれる。

サーシャにケーニッヒのスパイをさせていたダニロフは、ザイツェフを含めた狙撃兵が、工場に配備されることを伝える。

ターニャはザイツェフの元に向かい、兵士達の中で声を潜めながら愛し合う。

翌日、ダニロフの元に向かったザイツェフは、作り上げられた者でなく、普通の兵士として戦いたいことを伝える。

現況ではそれができないことを伝えたダニロフは、スパイとして送り込まれたサーシャを利用していることをザイツェフに知らせる。

サーシャは、ケーニッヒのブーツに黄色い泥がついていることをザイツェフに話す。

それが、化学工場のボタ山だという情報を得たザイツェフは、サーシャを利用したダニロフを非難する。

ザイツェフは、サーシャが自分を信じて自らしたことだと知らされて、化学工場でケーニッヒを倒すようダニロフに指示される。

サーシャに案内されたザイツェフは、身を潜めて夜明けを待つ。

味方の攻撃は始まり、ザイツェフは死体に扮して待機するものの眠ってしまう。

ケーニッヒも現場に向かうが、ザイツェフの身分証が見つかり、パウルス将軍は、彼が死んだものと判断する。

任務が終わったことをパウルスに告げられたケーニッヒは、ベルリンに戻るよう命ぜられる。

埠頭が奪われ激怒するフルシチョフは、ザイツェフ死亡の情報についてもダニロフに問う。

それが敵の偽情報だと意見したダニロフは、ターニャの元に向かい、ザイツェフが死んだという情報を敵が流していることを知る。

ザイツェフが死んだと聞いたサーシャは悲しむが、ケーニッヒは、自分が殺していないため彼は生きていると伝える。

ケーニッヒは、翌日ザイツェフが現れる場所を伝え、秘密を守るようサーシャに約束させる。

戻ったザイツェフは、眠っていたため命は助かったものの、敵を逃がしたことを悔やみそれをダニロフに伝え、サーシャから、ケーニッヒが駅で待ち伏せすることを知らされる。

その後ケーニッヒは、駅で監視を続けてチャンスを待つ。

ターニャはザイツェフを見つけ、二人は愛を確かめるが、その様子をダニロフが目撃してしまう。

ダニロフは、ザイツェフには共産主義への献身が足りないと指摘し批判する記事を書く。

ケーニッヒは、現れたサーシャを捕えて、裏切ったことを彼に確認する。

ターニャと一夜を共にしたザイツェフは、戦場に来る途中、列車で彼女を見かけて以来、想い続けていることを伝える。

その時、ターニャが、吊るされているサーシャを発見して取り乱す。

銃を手にするターニャに、ザイツェフはケーニッヒの罠だと伝えて落ち着かせ、敵を必ず仕留めることを約束する。

ダニロフの元に向かったターニャは、彼と共にサーシャの母親に息子が敵に寝返ったことを伝え避難させる。

ターニャは爆撃で負傷し、サーシャの母親と共に船に乗せられて運ばれる。

ザイツェフの元に向かったダニロフは、ターニャが砲弾で死亡したことを伝える。

ダニロフは自ら標的になり、それを確認するため姿を現したケーニッヒは、ザイツェフに待ち伏せされる。

ザイツェフは、覚悟を決めたケーニッヒを容赦なく射殺する。

ダニロフの元に戻ったザイツェフは、ケーニッヒの銃を彼に抱かせる。

1943年2月3日。
攻防の末、ドイツ軍ソ連軍の抵抗を受けて降伏した。

野戦病院に向かったザイツェフは、ターニャが生き延びていたことを知り彼女に寄り添う。
__________

レーニン勲章を受けたヴァシリ・ザイツェフは、その後、ソビエト連邦の英雄となる。

スターリングラード歴史博物館には、勝利の記念品として彼の銃が展示されている。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1942年9月、第二次大戦
ソ連軍は、東ヨーロッパ戦線でドイツ軍の攻勢を受け、スターリングラード防衛戦を展開していた。
最前線に送られた青年兵ヴァシリ・ザイツェフは、戦いで味方が全滅する中、奇跡的に生き残り、政治将校ダニロフに出会う。
ザイツェフは、猟で身に付けた射撃の腕で、その場のドイツ軍将校を次々と狙撃する。
その後ザイツェフは、ダニロフの提案で軍の士気を高めるため、英雄的狙撃兵としてソ連共産党プロパガンダに利用される。
やがてザイツェフとダニロフは、ドイツ語を話せるレジスタンスのターニャに出会い、二人は密かに彼女に惹かれる。
その頃ドイツ軍は、ザイツェフを抹殺するために、狙撃兵ケーニッヒ少佐を スターリングラードへと派遣する・・・。
__________

ヴォルガ川の対岸から見る、攻撃を受ける側のスターリングラードの街並みや、廃墟化した市街は、スターリングラード攻防戦の参考資料を見る限り、かなり忠実に再現されている。

ジャン=ジャック・アノーの演出と脚本は、ややドラマチック過ぎるようにも思える。
戦争かロマンスか、どちらを重点に描きたかったのかも曖昧である。

スクリーンに登場するだけで、見栄えがして魅力的なジュード・ロウ、「ドクトル・ジバゴ」(1965)のトム・コートネィを彷彿させる役柄の、政治将校のジョセフ・ファインズ、勇敢に戦う体を張った演技を見せるレイチェル・ワイズら若手実力派による熱演は見ものだ。

そして、ドイツ軍将校役が、これほどまでに似合うと惚れ惚れしてしまう、狙撃兵役のエド・ハリスの存在と演技力で、作品の格が数段上がったとも言える。

戦場に駆り出された猟師なので仕方がないが、一撃必殺のスナイパーにしては、ジュード・ロウの甘いマスクは精悍さが足りない。
ジャッカルの日」(1973)の主人公エドワード・フォックスのような、外見的美的感覚に加えた、銃の扱いや身のこなしが欲しかった気もする。
そちらはプロの殺し屋、役柄が違うので比較もできないが・・・。

ただエド・ハリスのキャラクターとぶつかってしまうので、このくらいで良かったのかもしれない。

ニキータ・フルシチョフ役のボブ・ホスキンスフリードリヒ・パウルス将軍マチアス・ハビッヒ、少年サーシャ・フィリポフを演ずるガブリエル・トムソン、狙撃兵ロン・パールマンなどが共演している。


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