アメリカ人初のノーベル文学賞受賞者にして20世紀のアメリカを代表する作家シンクレア・ルイスが1927年に発表した同名小説を基に製作された作品。 人並みはずれた巧みな話術の放浪者と伝道師の教祖女性との関係を描く、監督リチャード・ブルックス、バート・ランカスター、ジーン・シモンズ共演の異色のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・ブルックス
製作:バーナード・スミス
原作:シンクレア・ルイス
脚本:リチャード・ブルックス
撮影:ジョン・アルトン
編集:マージョリー・フォウラー
音楽:アンドレ・プレヴィン
出演
バート・ランカスター:エルマー・ガントリー
ジーン・シモンズ:シスター・シャロン・ファルコナー/ケイティー・ ジョーンズ
ディーン・ジャガー:ウィリアム・L・モーガン
アーサー・ケネディ:ジム・レファーツ
パティ・ペイジ:シスター・レイチェル
シャーリー・ジョーンズ:ルル・ベインス
ジョー・マロス:ピート
エドワード・アンドリュース:ジョージ・F・バビット
ジョン・マッキンタイヤ:ジョン・ペンギリー牧師
ヒュー・マーロウ:フィリップ・ギャリソン牧師
フィリップ・オバー:プランク牧師
デイトン・ルーミス:エディントン
ジョン・クゥオーレン:サム
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1960年製作 146分
公開
北米:1960年7月7日
日本:1961年4月
製作費 $3,000,000
■ アカデミー賞 ■
第33回アカデミー賞
・受賞
主演男優(バート・ランカスター)
助演女優(シャーリー・ジョーンズ)
脚色賞
・ノミネート
作品・音楽賞(ドラマ・コメディ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
自称セールスマンのエルマー・ガントリー(バート・ランカスター)は、何をしても人より抜きん出た才能を発揮する男だったが、実は口からでまかせの放浪者に近い生活を送る身だった。
そんなガントリーは、たまに顔を出す町にたどり着き、サム(ジョン・クゥオーレン)の雑貨店で、人々から慕われている伝道団の女教祖シスター・シャロン・ファルコナー(ジーン・シモンズ)の存在を知る。
その夜、シャロンの集会に参加したガントリーは、彼女に心惹かれてしまう。
ガントリーは、シャロンに声をかけるものの相手にされず、翌日も集会場に顔を出し、伝道師だと偽り彼女に話しかける。 軽い会話を交わしただけで、シャロンは会場を後にしてしまい、ガントリーは、一団のシスター・レイチェル(パティ・ペイジ)に言い寄り気に入られる。 そして、ガントリーは、一団の乗車する列車に便乗して、シャロンの秘書ウィリアム・L・モーガン(ディーン・ジャガー)を、同行する新聞記者ジム・レファーツ(アーサー・ケネディ)の元に追いやりシャロンに近づく。 ガントリーは、言葉巧みにシャロンに語りかけ、彼女の心を捉え、伝道団の仲間入りをすることになる。 その後、シャロンはガントリーに説教を任せ、その語り口とオーバーアクションに人々は酔いしれるようになる。 シャロンは感激の涙を流し、モーガンやレファーツは、歓喜する人々を見て驚きを隠せない。 やがてシャロンは、個性的でバイタリティー溢れるガントリーを拒否できなくなってしまうが、神を本当に信じている自分と彼の違いを指摘して距離を置く。 影で二人の様子を見ていたレファーツは、ガントリーの巧みな話術に感心するが、彼が最高の道化とも言えると、記者らしい分析をして笑いを誘う。 モーガンは、芝居じみた乱暴で下品なガントリーの言動に苦言を呈するものの、彼の行動力に屈してしまう。 実業家ジョージ・F・バビット(エドワード・アンドリュース)やフィリップ・ギャリソン(ヒュー・マーロウ)、ジョン・ペンギリー(ジョン・マッキンタイヤ)、プランク(フィリップ・オバー)ら各牧師が集まった会合で、シャロンは、教会運営には資金が必要なことを訴える。 宗教は商売ではないと言い切るギャリソンは、不満をぶつけて退席し、ペンギリーも、それに続こうとするもののプランクに説得される。 結果、シャロンの教会はバビットらに歓迎されることになり、かくして、ガントリーの演出する”華やかな”信仰活動が始まる。 初めての都会での集会で、信仰復興反対派も押し寄せる中、モーガンは不安を募らせるが、ガントリーはシャロンを人々の前に送り出す。 神との対話を始めたシャロンの前に、人々はひざまずき、その後、興奮と熱狂の中、集会は大成功に終わる。 しかし、レファーツは伝道団について辛辣な記事を書き、同時に中傷されたバビットは手を引こうとする。 バビットを半ば脅迫し、新聞社に連れて行ったガントリーは、激怒するシャロンに対し伝道が偽善だと言い切るレファーツに言葉を浴びせる。 ガントリーは、イエスと神が同じかという質問に、自分の満足する答えを返せないレファーツを黙らせる。 新聞社社主エディントン(デイトン・ルーミス)に、疑いをかけられた信仰心を、回復させる機会を与えるようガントリーは要求し、それを納得させてしまう。 ガントリーにかかると、さすがのシャロンも普通の女になってしまい、ついに彼女は心を許してしまう。 その後ガントリーは、ラジオのマイクの前に立ち、見事な演説で、シャロンと伝道団の名誉挽回を果たす。 街頭で語り続けるガントリーは、街にはびこる罪人を撲滅しようと人々を扇動し、ある売春宿に押し入る。 そこでガントリーは、かつて、自分のせいで売春婦になってしまった、ルル・ベインス(シャーリー・ジョーンズ)を見かける。 動揺したガントリーは、売春婦達を追放するよう警察署長に指示する。 そして、名誉が回復し浮かれるガントリーに、ルルから連絡が入り、彼女に呼び出される。 ルルは、ガントリーに復讐するため彼を陥れようとするが、彼に、自分の元に戻ってもらいたい気持ちもあった。 しかしルルは、ガントリーと自分とを盗み撮りさせた写真を伝道団に送り、それを受け取ったモーガンが彼に写真を見せる。 ガントリーはシャロンにもそれを見せて、要求された2万5000ドルを、彼女がルルの元に届けることになる。 レファーツは、ルルと接触していたが記事にしなかったが、他の新聞がそのスキャンダルを記事にする。 伝道団は偽善者呼ばわりされ、集会場に現れたガントリーを嘲り笑うルルの前で、彼らは罵倒され、打ちのめされてしまう。 ルルは金を受け取らずにいたため、それを指図した男に痛めつけられるが、現れたガントリーが彼女を救う。 その後、レファーツは、ルルが真相を話したことをガントリーに伝える。 そして、シャロンの夢だった教会が完成した伝道団は復活するが、ガントリーは姿を消していた。 再会された集会の始まる直前、ガントリーはシャロンの元に戻り、彼女を新生活に誘う。 しかし、自分の教会を持つことが出来たシャロンは、何かが起きる予感を感じながら人々の元に向かう。 そして、シャロンが耳の聞こえない男性に軌跡を起こした直後、教会は火事になってしまう。 人々はパニックとなり、ガントリーはシャロンを救うおうとするが、彼女は教会から逃げようとせずに焼死してしまう。 翌朝、シャロンを失ったガントリーは、自らの人生を見つめ直すため、引き止めるモーガンに別れを告げて旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
自称優良セールスマンのエルマー・ガントリーは、人の心を引き付ける才能はあるものの、放浪者寸前の日々を送っていた。
ある町で、女教祖シスター・シャロンの伝道団の存在を知ったガントリーは、美しい彼女に惹かれる。
巧みな話術でシャロンに近づいたガントリーは、伝道師として一団に迎えられる。
ガントリーの説教は、たちまち人々の心を捉え、実業家や他の教会の協力もあり、シャロンを中心とした信仰復興は広まっていく。
しかし、一団に同行し取材を続ける記者レファーツの容赦ない辛辣な記事や、反対派の抗議、さらには、かつてガントリーが傷つけてしまった娼婦ルルが姿を現し、彼らを窮地に陥れる・・・。
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悲劇的な結末にも拘らず、リチャード・ブルックスのダイナミックな演出が、人間の逞しさや力強さと共に希望を感じさせる。
第33回アカデミー賞では、主演男優(バート・ランカスター)と助演女優賞(シャーリー・ジョーンズ)を受賞した。
脚色賞
・ノミネート
作品・音楽賞(ドラマ・コメディ)
圧倒的な迫力と存在感を示したパワフルなバート・ランカスターだが、終始オーバーアクションで演ずる彼が、時より見せる静の演技も素晴らしい、出色の名演を見せてくれる。
アクションからシリアスな役柄までこなす、脂ののりきった、彼の演技は見ものだ。
教会建設の夢をかなえながら、図らずも火事で焼死してしまうジーン・シモンズも、主人公ガントリーと出会い、女の喜びに目覚めていく女性の心の動きを見事に表現している。
*彼女は同年にリチャード・ブルックスと結婚する。
ガントリーの行き過ぎた言動を憂慮する、教祖の秘書ディーン・ジャガー、良識ある記者のアーサー・ケネディ、見事な歌声も披露してくれる、教祖を支えて、ガントリーにも好意的なパティ・ペイジ、アカデミー助演賞を受賞した、あどけなさも残る、主人公を完全に陥れることができない娼婦役シャーリー・ジョーンズ、伝道を利用する実業家のエドワード・アンドリュース、伝道集会の商業利用に反対する牧師のヒュー・マーロウ、同じくジョン・マッキンタイヤ、フィリップ・オバー、新聞社社主デイトン・ルーミス、そしてジョン・フォード一家の名優ジョン・クゥオーレンが、雑貨店店主役で端役出演している。