”ヴァージン・クイーン”エリザベス1世の即位から国の分裂を回避しようとする苦悩の日々と暗殺計画を描く、監督シェカール・カプール、主演ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、ジョセフ・ファインズ、リチャード・アッテンボロー他共演の歴史ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:シェカール・カプール
製作
アリソン・オーウェン
エリック・フェルナー
ティム・ビーヴァン
脚本:マイケル・ハースト
撮影:レミ・アデファラシン
編集:ジル・ビルコック
美術・装置
ジョン・マイアー
ピーター・ハウイット
衣装デザイン:アレクサンドラ・バーン
音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー
出演
エリザベス1世:ケイト・ブランシェット
フランシス・ウォルシンガム:ジェフリー・ラッシュ
ロバート・ダドリー:ジョセフ・ファインズ
ウィリアム・セシル:リチャード・アッテンボロー
ノーフォーク公:クリストファー・エクルストン
アランデル伯:エドワード・ハードウィック
メアリ・オブ・ギーズ:ファニー・アルダン
アンジュー公:ヴァンサン・カッセル
ローマ教皇:ジョン・ギールグッド
ジョン・バラード:ダニエル・クレイグ
カット・アシュレー:エミリー・モーティマー
イザベル・ノリス:ケリー・マクドナルド
メアリー1世:キャシー・バーク
ド・フォア:エリック・カントナ
アルヴァロ・デラクアドラ:ジェームズ・フレイン
イギリス 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ
Gramercy Pictures
1998年製作 123分
公開
イギリス:1998年10月23日
北米:1998年11月22日
日本:1999年8月28日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $30,082,700
世界 $82,150,640
■ アカデミー賞 ■
第71回アカデミー賞
・受賞
メイクアップ賞
・ノミネート
作品
主演女優(ケイト・ブランシェット)
撮影・美術・衣装デザイン・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1554年、イングランド。
国王ヘンリー8世の死後、宗教対立で国は分裂し、カトリック信者の女王メアリー1世には世継がいなかったため、王位継承者は、プロテスタントのエリザベスだった。
女王メアリー(キャシー・バーク)による、プロテスタントへの弾圧が続く中、女王の懐妊がノーフォーク公(クリストファー・エクルストン)に知らされる。
メアリーは、エリザベスの王位継承を阻止するため、謀反に関与した証拠を見つけるようノーフォーク公らに命ずる。
ロバート・ダドリー(ジョセフ・ファインズ)との愛を確かめ合っていたエリザベスは、謀反の共謀罪でロンドン塔に幽閉されてしまう。
厳しい尋問に遭いながらも、エリザベスは謀反について自白しないまま、メアリーの元に呼び出され、身に覚えのないことを伝える。 その後メアリーは想像懐妊と分かり、卵巣腫瘍が発病してしまう。 同じ頃、新教派のフランシス・ウォルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)がフランスから帰国したことを知り、ノーフォーク公は彼の暗殺を企む。 エリザベスを支持するウィリアム・セシル卿(リチャード・アッテンボロー)は、プロテスタントの信者が続々と帰国していることを彼女に伝える。 ノーフォーク公は、病に伏すメアリーに、エリザベスの処刑命令書にサインすることを迫る。 1558年11月17日。 戴冠式を迎えたエリザベスは、イングランドとアイルランドの女王となる。 困窮する国情を、エリザベスは宰相ウィリアム卿から説明され、一刻も早く結婚して、世継をもうけるようよう助言される。 そんな周囲の意見を聞き入れもせず、エリザベスはロバートとの愛をはぐくむ。 その後、スコットランドの摂政メアリ・オブ・ギーズ(ファニー・アルダン)が、フランスから兵を増強する。 ノーフォーク公らは、即刻、戦いに向け準備を始めるようにとエリザベスに提言するものの、護衛として側近となっていたウォルシンガムは、慎重にことを運ぶよう女王に助言する。 スコットランドに攻め入ったイングランドは、大敗を喫してしまい、エリザベスは屈辱を味わう。 メアリは、甥であるアンジュー公(ヴァンサン・カッセル)との結婚を条件に、行軍を止めることをエリザベスに伝え、仕方なく彼女は公爵に会うことを承諾する。 その後エリザベスは、”国王至上法”を発令し”礼拝統一法”によってイングランド国教会を国家の新教に統一することを決める。 バチカン。 アンジュー公を迎えていた宴の夜、エリザベスは命を狙われてしまい、ウォルシンガムはノーフォーク公の監視を強化する。 スペイン大使アルヴァロ・デラクアドラ(ジェームズ・フレイン)は、ロバートに近づき、異端を排除する手助けを求めようとする。 フランス大使ド・フォア(エリック・カントナ)やウィリアム卿から、アンジュー公への返事を急かされたエリザベスは、妻帯者のロバートとの結婚はありえないと言われる。 エリザベスは、アンジュー公が女装をする趣味があることを知り、民のために身を捧げることと、縁談は消滅したことをウィリアム卿に伝え、ロバートには、自分が誰の所有物でもないことを告げて突き放す。 バチカン。 イングランドに戻ったバラードは、ノーフォーク公に迎えられ、彼の目の前でウォルシンガムのスパイを殺し、アルヴァロと接触する。 同じ頃、ロバートと愛し合っていたエリザベスの侍女イザベル・ノリス(ケリー・マクドナルド)が、女王のドレスに仕組まれた毒で死亡する。 スコットランド。 ロバートを避けていたエリザベスは、危険を回避するために、スペイン国王(フェリペ2世 )との結婚を彼から提案される。 その後の情勢を懸念するウィリアム卿だったが、エリザベスから”バーリー男爵”の位を授けられ、引退するよう告げられそれに従う。 ウォルシンガムは、バチカンから指令を受けた僧侶が戻り、ノーフォーク公がさらなる陰謀を企てていることをエリザベスに報告する。 バラードを捕らえたウォルシンガムは、今回の件にロバートが絡んでいることと、ノーフォーク公が、スコットランド女王メアリー・ステュアートと内通していたことをエリザベスに知らせる。 その証拠となる書簡を入手し、ノーフォーク公の謀反の成立を確認したウォルシンガムは、彼をロンドン塔に幽閉し、陰謀を企てた者達を抹殺する。 エリザベスは、自分への戒めのためにロバートを生かしておくことを告げ、ノーフォーク公らは斬首刑となる。 そして、侍女カット・アシュレー(エミリー・モーティマー)に髪の毛を切らせたエリザベスは、側近や要人らを集めた場に現われ、バーリー(ウィリアム)卿に、自分がイングランドと結婚したことを伝える。 エリザベスは、その後40年間、国を統治し、ウォルシンガムは終生、女王の忠臣として仕えた。 女王は生涯独身を通すが、死の床でロバートの名を囁いたとも言われている。
...全てを見る(結末あり)
メアリーは崩御し、エリザベスは”エリザベス1世”として、イングランドの新女王となる。
イングランドの使者である、イエズス会の僧侶ジョン・バラード(ダニエル・クレイグ)は、ローマ教皇(ジョン・ギールグッド)に国情を報告する。
ローマ教皇は、エリザベスを悪の僕とする勅書をバラードに渡し、暗殺者は天国に導かれると伝える。
ウォルシンガムは、メアリに接触して探りを入れ、その後、彼女は死亡する。
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参考:
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(2007)
*(簡略ストー リー)
カトリック信者のイングランド女王メアリー1世に世継がいないため、プロテスタントの異母妹であるエリザベスが王位継承者であった。
国を分裂させる宗教対立の混乱の中、病に伏したメアリーは崩御し、エリザベスは”エリザベス1世”として、イングランドの新女王となる。
宰相ウィリアム卿は、困窮する国情の正常化を図るのため、エリザベスに、結婚と世継をもうけるようにと助言する。
エリザベスはその意見を無視し、ロバート・ダドリーとの愛をはぐくむ。
プロテスタントの信者が帰国する中、スコットランドの摂政メアリ・オブ・ギーズが増兵し、それに対抗したイングランドは、攻撃を仕掛けるものの大敗を喫してしまう。
メアリは、甥であるアンジュー公との結婚を条件に、行軍を止めることをエリザベスに伝え、彼女は仕方なく公爵と会うことを承諾する。
その後エリザベスは、イングランド国教会を国家の新教として統一することを決めて結果ローマ教皇の怒りを買う。
ノーフォーク公を中心とするカトリックの信望者らはバチカンの指令を受け、エリザベス抹殺のために行動を開始する。
しかしエリザベスは、側近ウォルシンガムの協力を得て、その陰謀を打ち砕こうとするのだが・・・。
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9年後に公開する「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(2007)はほぼ同じスタッフ、ケイト・ブランシェットとジェフリー・ラッシュ共演で製作されているが、本作の続編という雰囲気を保ちつつ、単独作品としても十分に楽しめる。
歴史劇としては目新しいものではないが、巡るめく陰謀を描いたサスペンス・ドラマとして、シェカール・カプールの緊迫感あるシャープな演出は見応え十分だ。
スケールで圧倒するものではない、当時の様子を見事に表現した、どりらかと言うと小ぢんまりとまとめられた美術セット、衣装などの仕上がりも素晴らしい。
第71回アカデミー賞では、作品賞をはじめ7部門にノミネートされ、メイクアップ賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演女優(ケイト・ブランシェット)
撮影・美術・衣装デザイン・作曲賞
本作で世界的スターとなったケイト・ブランシェットは、ほぼノーメイクで演ずる控えめな即位前の演技から、愛を捨て独身を通す決意と共に、次第に逞しくなる女性を見事に演じている。
年齢を重ねた設定のせいか、2作目の方が人間味を感じる、護衛官で側近フランシス・ウォルシンガムを演ずるジェフリー・ラッシュは、クールな役柄に徹している。
女王の愛を受けながら、その暗殺計画に巻き込まれ翻弄されるロバート・ダドリーのジョセフ・ファインズ、実際はドラマの人物ほどの高齢者ではない宰相のウィリアム・セシル卿役のリチャード・アッテンボロー、女王失脚を企てる陰謀の首謀者であるノーフォーク公役のクリストファー・エクルストン、アランデル伯役エドワード・ハードウィック、スコットランド女王メアリー・ステュアートの母メアリ・オブ・ギーズ役のファニー・アルダン、その甥アンジュー公のヴァンサン・カッセル、ローマ教皇を演ずる、90歳を過ぎている名優ジョン・ギールグッド、イエズス会の僧侶ジョン・バラード役のダニエル・クレイグ、女王の侍女カット・アシュレー役のエミリー・モーティマー、同じくケリー・マクドナルド、メアリー1世役のキャシー・バーク、サッカー元フランス代表選手でフランス大使役エリック・カントナ、スペイン大使アルヴァロ・デラクアドラ役のジェームズ・フレインなどが共演している。