ブロードウェイのスターが舞台のパートナーとなったダンサーを一流の芸人に育てるまでをロマンスを交えて描く、製作アーサー・フリード、監督チャールズ・ウォルターズ、音楽アーヴィング・バーリン他、主演ジュディ・ガーランド、フレッド・アステア、ピーター・ローフォード、アン・ミラー他共演によるミュージカルの傑作。 |
・ジュディ・ガーランド / Judy Garland / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:チャールズ・ウォルターズ
製作:アーサー・フリード
原作
フランセス・グッドリッチ
アルバート・ハケット
脚本
フランセス・グッドリッチ
アルバート・ハケット
シドニー・シェルダン
撮影:ハリー・ストラドリング
音楽
ジョニー・グリーン
アーヴィング・バーリン
ロジャー・イーデンス
出演
ジュディ・ガーランド:ハナー・ブラウン
フレッド・アステア:ドン・ヒューズ
ピーター・ローフォード:ジョナサン・ハーロウ3世
アン・ミラー:ナディーン・ヘイル
ジュールス・マンシン:フランソワ
アメリカ 映画
配給 MGM
1948年製作 103分
公開
北米:1948年6月30日
日本:1950年2月5日
製作費 $2,503,654
北米興行収入 $6,803,000
■ アカデミー賞 ■
第21回アカデミー賞
・受賞
作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1912年。
ブロードウェイのスター、ドン・ヒューズ(フレッド・アステア)は、イースター・サンディ(復活祭)を明日に控え、パートナーのナディーン・ヘイル(アン・ミラー)へのプレゼントを届ける。
しかし、ナディーンは、他のショーとの契約を済ませてしまい、ドンとのコンビを解消しようとする。
憤慨したドンは、その場に現れた親友ジョナサン・ハーロウ(ピーター・ローフォード)の制止を振り切り立ち去る。
ドンは、バーで自棄酒を飲み、バーテンに愚痴をこぼしていたが、そこに彼の後を追ったジョナサンが現れる。
ジョナサンは、ドンに戻るよう説得するが、プライドを傷つけられた彼は、その店のダンサーでもナディーンと同じようなパートナーにしてみせると意地を張る。
そして、その場で踊っていたハナー・ブラウン(ジュディ・ガーランド)に声をかけ、歌と踊りを仕込むため彼女に名刺を渡す。 ハナーは、からかわれていると思ったのだが、彼が有名なスター”ドン・ヒューズ”だったと知り驚いてしまう。 翌朝、ドンは、稽古場に現れたハナーにダンスの指導を始めるのだが、彼女が殆ど素人に近いダンサーだったことを知り呆れてしまう。 それでもドンは、仕方なくハナーにレッスンを始める。 その後、ドンとハナーは、”イースター・パレード”で賑わう街に出かけ、 カメラマンに向いポーズをとる、ナディーンの得意満面の姿を見かける。 ドンは、ハナーを一流のダンサーにして、来年の”イースター・パレード”では、彼女に脚光を浴びさせることを誓う。 独立したナディーンはショーの準備を始め、ジョナサンは彼女を食事に誘い、ハナーとのコンビも順調とは言えないドンも呼び寄せる。 しかし、プライドのある双方は歩み寄ることもなく、ナディーンは、ドンが新しいパートナーのハナーに、自分の真似をさせているとまで言い放つが、彼は相手にしない。 ある雨の日、食事の後に雨宿りしていたハナーと出会ったジョナサンは、彼女に一目惚れしてしまう。 ジョナサンに送られたハナーは、ドンのアパートでレッスンを始める。 ドンは、ナディーンとの会話で、ハナーに自分らしさが欠けていることに気づき、彼女に着飾ることを止めさせ、ありのままの姿を表現するショーを考案する。 それがきっかけとなり、二人の芸は人気を得て評判になり、成功していく。 そして、ついにドンとハナーは、ナディーンと同じステージに立つ誘いを受けるまでになる。 ナディーンと会ったハナーは、彼女がドンの前パートナーで、彼が愛していた相手だと知り、憤慨しその場を立ち去ってしまう。 楽屋口でハナーに再会したジョナサンは、彼女がドンのパートナーだと知り驚き、その夜の食事に誘う。 その後、ハナーのアパートに現れたドンは、ナディーンのショーへの出演を断ったことを彼女に告げる。 ナディーンを立てるようなショーには、出たくないことを強調するドンは、彼女よりもハナーの方が上だと言って、彼女を満足させる。 そこにハナーを迎えに来たジョナサンが現れ、ドンはそれを知らずに、彼女には明日会うと言ってその場を立ち去る。 ハナーと食事をしたジョナサンは、自分の彼女への気持ちを正直に伝える。 しかし、ジョナサンはハナーがドンを愛していることを知る。 その頃、心の片隅でナディーンを思うドンは、”ジークフェルド・フォリーズ”の彼女のステージを見に行く。 イースター直前、ついにブロードウェイに進出することになったドンとハナーのことを知ったジョナサンは、彼女とのデートを諦め、自分に気のあるナディーンに連絡を入れる。 ドンのアパートで、ささやかなお祝いをしたハナーは、彼から愛を告げられる。 そして、ドンとハナーのブロードウェイのステージの初日、彼のナンバーから始まり、 二人は絶妙な芸を披露して、見事にショーを成功させる。 ドンとハナーは、ステージの後にナディーンのショーを見に行くが、彼女はドンを誘い、二人は以前のナンバーを披露する。 それを見て、心穏やかでないハナーは席を立ってしまう。 アパートに帰ったハナーは、その場で待っていたドンに、全てがナディーンを取り戻すための行為で、自分が利用されたと言って彼を追い返そうとする。 ドア越しに誤解を解こうと、ハナーの素晴らしさを語るドンだったが、警備員に追い払われてしまう。 ハナーはドンの気持ちを受け入れ、部屋に招きいれようとするが、彼はその場にいなかった。 翌日、ドンへの態度を後悔していたハナーは、ジョナサンに励まされ”イースター・サンディ”の準備を始める。 ジョナサンは、役目を果たしてナディーンに連絡を入れ、彼女を誘う。 ハナーはドンにプレゼントを届け、その後アパートに現れ、彼を誘い外出する。 去年、約束した通り、ドンとハナーは”イースター・パレード”に出かける。 そして、ドンは婚約指輪をハナーに渡し、二人はスタートして、カメラマン達の注目を集める。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ブロードウェイのスター、ドン・ヒューズはパートナーであるナディーンが、独立を望んでいることに腹を立てる。
自棄酒を飲んでいたバーでドンは、二人のことを心配する親友のジョナサンに対し、ナディーンの代わりなど直ぐに見つかると豪語してしまう。
そしてドンは、安酒場で踊っていたダンサーのハナーに声をかけ、パートナーとしてレッスンを始める。
しかしドンは、ハナーが殆ど素人に近いダンサーだったことを知り愕然とする。
その後、街に出た二人は、”イースター・パレード”で賑わう通りで、カメラにポーズをとるナディーンを見かけてしまう。
それを見たドンは、来年のこの日には、ハナーを一流のダンサーにして脚光を浴びせることを誓うのだが・・・。
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1948年に公開で、日本では2年後の1950年に公開された作品であり、鮮やかな総天然色カラーによる絢爛豪華なセットや衣装の見事さや映像美に、戦後間もない日本人は圧倒されたと言われているMGMミュージカルの傑作。
アーヴィング・バーリンのタイトル曲をはじめ、全15曲中7曲が本作のために作られたオリジナルであり、いずれの曲も心に残る名曲ばかりだ。
第21回アカデミー賞では、作曲賞を授賞した。
振付師でもある監督チャールズ・ウォルターズの、二大スターの個性を活かした演出や、映画史上に残るミュージカル・ナンバーの数々による、出演者のパフォーマンスの素晴らしさは圧巻だ。
当時のMGMの看板スター、ジュディ・ガーランドは、酒場の踊り子からスターの思いつきでスカウトされ、傷つきながらも栄光と愛を勝ち取る、健気な女性を好演している。
しかし、前年に精神に異常をきたし長期入院をしていた後遺症か、場面により表情が変わり、かなりやつれて見えるシーンもある。
ジーン・ケリーの怪我のために、急遽主役に抜擢されたフレッド・アステアは、見事な代役を勤め、彼の代表作に数えられるまでになった。
本作のフレッド・アステアのエレガントさが、ジーン・ケリーの場合ならばどうだったかを想像するのも楽しいが、引退しかけていたアステアの健在ぶりは見事だ。
特に、ブロードウェイに復活したステージでの、”Steppin’ Out Wth My Baby”から続く、アステアだけスローモーションでステップを踏む、後方のバックコーラスとの合成シーンは、その映像と共に秀逸だ。
忘れてならないのは、アン・ミラーの輝くばかりの美貌と見事なタップダンスだ。
個人的には、彼女が”ジークフェルド・フォリーズ”で単独で歌い踊る”Shakin’ The Blues Away”が、本作で最も気に入っている。
いかにもお坊ちゃま風のピーター・ローフォードも、嫌味がなく、潔いところが好感が持てる。
アン・ミラーとは、翌年の「踊る大紐育」(1948)でカップルになるジュールス・マンシンのウェイター役も楽しい演技を見せてくれる。