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狂へる悪魔 Dr. Jekyll and Mr. Hyde (1920)

1886年に発表された、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説”ジキル博士とハイド氏”を基に製作された作品。
人間の内面に潜む善悪を知った医学博士が人格分裂する姿を描く、監督ジョン・S・ロバートソン、主演ジョン・バリモアブランドン・ハーストマーサ・マンスフィールドチャールズ・ウィリス・レーン他共演のホラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト
監督:ジョン・S・ロバートソン

製作
アドルフ・ズーカー
ジェシー・L・ラスキー
原作:ロバート・ルイス・スティーヴンソンジキル博士とハイド氏
脚本:クララ・S・ベレンジャー
撮影:ロイ・F・オーヴァーボウ

出演
ヘンリー・ジキル博士/エドワード・ハイド氏:ジョン・バリモア
ジョージ・カルー卿:ブランドン・ハースト
ミリセント・カルー:マーサ・マンスフィールド
リチャード・ラニョン博士:チャールズ・ウィリス・レーン
エドワード・エンフィールド:セシル・クローバリー
ジーナ:ニタ・ナルディ
ミュージック・ホールの支配人:ルイス・ウォルヘイム
ジョン・アターソン:J・マルコム・ダン
プール:ジョージ・スティーヴンス

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1920年製作 79分
公開
北米:1920年3月18日
日本:1921年2月18日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1880年代後半、ロンドン
理想主義者、博愛主義者である医学博士のヘンリー・ジキル(ジョン・バリモア)は、神秘的な考えの持ち主だった。

一方、ジキルの友人リチャード・ラニョン博士(チャールズ・ウィリス・レーン)は保守的だった。

忠実な使用人プール(ジョージ・スティーヴンス)から診察の時間だと言われてジキルは、ラニョンと共に研究室を出る。

ジキルは、貧しい人々のために診療所を運営していた。

優雅に暮らすジョージ・カルー卿(ブランドン・ハースト)の娘ミリセント(マーサ・マンスフィールド)は、何不自由なく育ちジキルとは恋仲だった。

カルー邸を訪れたジョン・アターソン(J・マルコム・ダン)は、心を寄せるミリセントからジキルのことを訊かれ、実験に明け暮れ研究室にこもる生活をしていると答える。
...全てを見る(結末あり)

ミリセントは、人々のために尽くすジキルの考えを支持していた。

少年の治療が長引いたジキルは、招待されていたカルー邸に、遅れるという伝言を届ける。

ジキルからの伝言を受け取ったカルーは、夕食会の出席者にそれを伝え、ミリセントは残念に思う。

エドワード・エンフィールド(セシル・クローバリー)が到着し、夕食会は始まる。

夕食後の男性だけの席でカルーは、ジキルは変わり者だが、彼ほどの善人はいないと話す。

他にも様々な意見がでて、ジキルの話題は続く。

そこに現れたジキルはミリセントに迎えられ、カルーらの席に向かう。

カールから、すべての人間は基本的には絶え間なく対立し、2つの自己で構成され、野蛮な側面を破壊することはできず、その誘惑を排除するのは困難で屈することだと意見されたジキルは、反論したい気持ちを抑える。

席を立ったアターソンは女性たちの元に向かい、ミリセントのピアノの演奏を聴く。

ミュージック・ホール。
支配人(ルイス・ウォルヘイム)に紹介されたイタリア人ダンサーのジーナ(ニタ・ナルディ)は、踊り始める。

その後カルーは、ラニョンとエンフィールドを伴い、議論するためにジキルを誘いミュージック・ホールに向かう。

エンフィールドが支配人と交渉し、ジーナを席に呼んだカルーは、彼女にジキルを誘惑させる。

それを拒むジキルはその場を去り、ラニョンが彼を追う。

ジキルは、生まれて初めて、心に潜む別の性格に気づく。

ラニョンは、人間の永遠の魂について見落としているカルーだが、ミリセントの育て方は正しく、愛情を注ぎ守っているとジキルに伝える。

人間の2つの精神、善と悪を分離させて、別の身体に移せれば素晴らしいと言うジキルだったが、ラニョンは不可能だと考える。

ラニョンから危険な考えだと言われたジキルは、奇跡は起こせると信じて実験を始め、研究室に閉じこもる。

その結果、完成させた薬を試飲したジキルは、おぞましい男”エドワード・ハイド”の姿に変わる。

別の薬を調合して飲んだハイドは、ジキルに戻る。

ハイドという友人がいることをプール知らせたジキルは、彼に研究室を使わせることを伝え、大きな鏡をつけるよう指示する。

その後、自分の人生を探るハイドは、貧しい危険地帯の下宿を借り、ジキルとは別の二重生活を始める。

ミュージック・ホールに向かったハイドはジーナを呼び、彼女がはめている指輪に毒が隠せることを知る。

ミリセントに求婚したアターソンだったが、彼女から返事がもらえない。

ジキルは、自分が亡くなった際にはすべてをハイドに残すことを記録し、その人物が何者か尋ねるアターソンに、プライベートなことなので説明したくないと答える。

アターソンから、傷ついているミリセントに会いに行くべきだと言われたジキルは考え込む。

その後、一緒に暮らしていたジーナに飽きたハイドは、彼女を追い出してしまう。

別のパワーを得たことで、ジキルは自分に嫌気がさすものの、ミリセントを愛そうとする。

ジキルは、ハイドの邪悪さを抑圧しようとしていた。

ハイドは、アヘン窟に向かい楽しむ。

暫く姿を見せないジキルのことを心配するミリセントが気になるカルーは、アターソンと共にジキルの家を訪ねる。

ポールと話したカルーは、何も聞いていないと言う彼から、ジキルは留守だと知らされる。

その後カルーとアターソンは、通りで幼い子供を痛めつけるハイドを制止する。

ハイドを追ったアターソンは、彼がジキルの研究室に入ったために不思議に思う。

研究室から出てきたハイドは、憤慨する少年の父親に100ポンドの小切手を渡す。

小切手を確認したアターソンは、ジキルのサインを確認する。

少年の父親は、ハイドと共に銀行に向かう。

ポールと話したカルーとアターソンは、ハイドに鍵を渡し自由に出入りさせるよう、ジキルから指示されていることを知る。

その頃、ハイドの邪悪さを後悔するジキルは、自分の人生を破滅させかねないと考える。

研究室に向かいジキルと話したカルーは、ハイドとの関係を説明できなければ、ミリセントとの結婚は許さないと伝える。

自分の善良な心を侮辱し、悪魔を創造させたのはあなただとカルーに伝えてジキルは、憤慨して興奮する。

ジキルはハイドに姿を変え、驚いて逃げ出したカルーに襲い掛かる。

カルーを杖で撲殺したハイドは、その場から逃げて下宿に向かう。

騒ぎに気づいたポールは、カルーの死体を見つけて警察に連絡し、アターソンに知らせるよう使用人に指示する。

警察の捜査は始まり、アターソンはハイドの下宿の住所を警官に伝える。

アターソンは、駆けつけたラニョンに、ミリセントに知らせてほしいと伝える。

下宿に着いたハイドは、実験の証拠を廃棄して逃亡する。

その場を調べた警官は、証拠を見つけることはできず、凶器と思われる杖だけを確認する。

父の死を知ったミリセントは、遺体に寄り添い泣き崩れる。

研究室に戻ったハイドは、薬を調合してジキルに戻る。

杖を持ってジキルの家に戻った警官は、彼が研究室にいることを知る。

ポールからカルー殺害の件を知らされたジキルは、悲しむミリセントを抱きしめながら、犯人の捜索に協力することを伝える。

その後、感情の変化でハイドに姿を変えてしまうジキルは苦しむ。

ジキルが会ってくれないことを嘆くミリセントは、ラニョンに相談する。

自分もアターソンも会えないと言うラニョンは、ミリセントからハイドのことを訊かれ、姿を消したと答える。

その後、研究室から出ないジキルは薬の原料がなくなってしまい、それを探すプールは、ロンドンでは手に入らないことを主人に伝える。

期待していた薬が手に入らないことを知ったジキルは、絶望する。

ポールに呼ばれたミリセントが現れたことを知ったジキルは、ドアを開けない。

ハイドに変身し始めたジキルは、ミリセントに帰るよう指示して、指輪(ハイドがジーナから奪った毒入りの指輪)の毒を飲む。

ミリセントを中に入れたハイドは、おぞましい姿を見て怯える彼女を抱きしめるが、苦しみ始める。

その場から出て叫び声をあげたミリセントはうずくまってしまい、それに気づいたラニョンらが彼女に駆け寄る。

息を引き取ったハイドを見てラニョンは驚き、その姿はジキルに戻る。

ラニョンは、ジキルの指にはめられた指輪のフタが開いていることに気づく。

毒を確認したラニョンは、ジキルが自ら命を絶ち償いをしたと考える。

ラニョンは、ハイドがジキルを殺したことをミリセントに伝える。

悲しむミリセントは、ジキルに寄り添う。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1880年代後半、ロンドン
医学博士のヘンリー・ジキルは、慈善家として貧しい人々のために診療所を運営していた。
恋人ミリセントの父カルーから、人間には善と悪の二面性があり、野蛮な側面による誘惑を排除することはできないと言われたジキルは、ある実験を始める。
試薬が完成して飲んだジキルは、邪悪な心の持ち主”エドワード・ハイド”に姿を変え、闇の世界を探ろうとするのだが・・・。
__________

ロバート・ルイス・スティーヴンソンの代表的な小説”ジキル博士とハイド氏”を基に製作された作品。

善良で慈悲深い医学博士ヘンリー・ジキルが、人間の内面にある善と悪について研究し、別人格である邪悪な”エドワード・ハイド”に姿を変えた末に、破滅への道を歩む姿を描く物語。

1920年公開当時の技術を駆使した特撮などが興味深い作品なのだが、善良な慈善家である上品な青年医師が、悪魔のような別人格に姿を変えるシーンでの、派手なメイクは使わず表情だけでそれを伝える、主人公を演ずるジョン・バリモアの演技は注目だ。

19世紀のロンドンの街並みを再現したセットの仕上がりなども見事で、ゴシック・ホラー的な雰囲気を伝える映像も素晴らしい。

主人公のジキルに生き方について意見する貴族のブランドン・ハースト、その娘であるジキルの恋人マーサ・マンスフィールド、ジキルの友人である医師チャールズ・ウィリス・レーン、カルー(ブランドン・ハースト)に招待される友人セシル・クローバリー、ミュージック・ホールのダンサー、ニタ・ナルディ、ミュージック・ホールの支配人ルイス・ウォルヘイム、ヒロインに惹かれる青年J・マルコム・ダン、ハイドの忠実な使用人ジョージ・スティーヴンスなどが共演している。


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