1987年度のピューリッツァー賞を受賞した、アルフレッド・ウーリーの同名舞台劇の映画化。 ユダヤ人老婦人と黒人運転手の25年間にも及ぶ友情を描く、監督ブルース・ベレスフォード、主演モーガン・フリーマン、ジェシカ・タンディ、ダン・エイクロイド、ペティー・ルポーン共演によるヒューマン・ドラマの傑作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ブルース・ベレスフォード
製作総指揮:デヴィッド・ブラウン
製作
リチャード・D・ザナック
リリ・フィニー・ザナック
原作/脚本:アルフレッド・ウーリー
編集:マーク・ワーナー
撮影:ピーター・ジェームズ
美術:ヴィクター・ケンプスター
音楽:ハンス・ジマー
出演
ホーク・コバーン:モーガン・フリーマン
デイジー・ワサン:ジェシカ・タンディ
ブーリー・ワサン:ダン・エイクロイド
フローリン・ワサン:ペティー・ルポーン
アイデラ:エセル・ロール
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1989年製作 99分
公開
北米:1989年12月13日
日本:1990年1990年5月
製作費 $7,500,000
北米興行収入 $106,593,300
世界 $145,793,300
■ アカデミー賞 ■
第62回アカデミー賞
・受賞
作品
主演女優(ジェシカ・タンディ)
脚色・メイクアップ賞
・ノミネート
主演男優(モーガン・フリーマン)
助演男優(ダン・エイクロイド)
編集・美術・衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1948年、ジョージア州、アトランタ。
72歳になるユダヤ人の未亡人デイジー・ワサン(ジェシカ・タンディ)は、家政婦アイデラ(エセル・ロール)を雇い、独り暮らしをしていた。
ある日、車で出かけようとしたデイジーは、誤って事故を起こしてしまう。
デイジーは幸い怪我もなかったが、彼女の息子ブーリー(ダン・エイクロイド)は、保険会社からの再加入を拒否されてしまう。
そこでブーリーは、母デイジーに運転手を付けることを提案するが、彼女はそれを拒絶する。
綿織物工場を経営しているブーリーは、ホーク・コバーン(モーガン・フリーマン)という初老の黒人男性をデイジーの運転手に雇う。 ブーリーは、ホークを母デイジーの元に無理矢理に連れて行く。 しかし、デイジーはそれを認めず、ホークのすることに全てけちをつける。 ユダヤ人のつましい家庭で育ち、教師をしていたデイジーは、運転手つきの生活など望んでいなかった。 ある日、アイデラから買い物を頼まれたデイジーは、歩いて出かけようとするが、ホークはそれを車で後から追っていく。 人目を気にし、決まり悪さを感じたデイジーは、仕方なく車に乗るが、運転手を雇うほど裕福だと思われるのを気にしていた。 街のスーパーに向かった二人は、デイジーが買い物をする間、ホークは、1週間で彼女が自分の運転する車に乗るようになったと、ブーリーに自慢げに報告する。 その後ホークは、続け様に口にするデイジーの小言に、自分の考えを率直に伝えてしまったりもする。 ある日、ブーリーは母デイジーに呼び出され、ホークがサケ缶を盗だと息巻く彼女に呆れてしまう。 直後にホークが姿を現すと、サケ缶を黙って食べてしまったことを謝罪し、代わりの缶を買ってきたことをデイジーに伝え、彼女の誤解は解け、この件は解決してしまう。 墓参りに行ったデイジーは、墓石を探すよう言われたホークが、字が読めないことを知る。 アルファベットだけは読めるホークは、最初と最後の文字だけデイジーに教わり、墓石を探すことができる。 それを見たデイジーの顔はほころび、ホークは彼女に感謝する。 1953年、クリスマス。 ホークは、デイジーの車を新車に替える際に、デイジーからではなく、彼女が手放したディーラーから、以前の車を購入する律儀な一面もみせる。 その後デイジーは、アラバマの兄の90回目の誕生パーティーに行くため、ブーリーに見送られホークと共に出発する。 州境でホークは、自分が生まれて初めてジョージアから出ることをデイジーに告白する。 途中、自分達を奇異な目で見るパトロール警官に質問されたりして、デイジーとホークは偏見を実感する。 道を間違えながらも、デイジーとホークは目的地に到着し、そして彼女は有意義な時を過ごす。 その後、ホークはブーリーに、他からの仕事の誘いがあったことを伝え、週給を大幅にアップしてもらうことになる。 1963年のある日、アイデラは、テレビを見ながら台所で倒れ、そのまま息を引きる。 デイジーは、自分に仕え良き親友でもあったアイデラの死を悲しみ、彼女の葬儀に参列する。 アイデラの葬儀に出席した白人は、デイジーとブーリー、そして妻のフローリン(ペティー・ルポーン)だけだった。 時は流れ、デイジーとホークは、何をするにも一緒に時間を過ごすようになる。 その頃には、デイジーはホークに心を開き、彼を高く評価するようになっていた。 1966年。 そしてデイジーは、マーティン・ルーサー・キング牧師のパーティーに出席することを決める。 デイジーはブーリーを誘うものの、商売上の関係で彼はそれを断り、ホークに声をかける。 しかし、それを聞いたホークは、最初から誘わないのはおかしいと言って気分を害し、彼の態度を見たデイジーも腹を立ててしまう。 数年後、ホークは、自宅にいたデイジーに異変が起きたことに気づき、ブーリーを呼び寄せる。 ホークは動揺するデイジーをなだめ、彼女は友としてホークの手を握り締める。 ブーリーは母デイジーの家を売りに出し、彼女を施設に入れる手配をする。 1973年。 ブーリーは、ホークを連れて母デイジーの様子を見に施設に向かう。 ホーク85歳、デイジー97歳、今では人生最高の友となった二人だった。 デイジーはホークを追い払い、淡々とホークに語りかける。 そして、ホークはデイジーに優しく接し、彼女に一口ずつパイを食べさせてあげる。
...全てを見る(結末あり)
ブーリーの家のパーティーに招待されたデイジーは、ホークに自分が使っていた読み方教本をプレゼントする。
デイジーの通う礼拝堂が爆破される事件が起きた時、彼女は自分達ユダヤ人も、ホークと同じ多くの偏見を持たれていることを意識し始める。
デイジーの家は売られ、ホークは車の運転を止めていた。
*(簡略ストー リー)
72歳の未亡人イジー・ワサンは、家政婦を雇い独り暮らしをしていた。
ある日、デイジーは屋敷内で車の事故を起こしてしまい、実業家の息子ブーリーは、母に運転手を雇おうとする。
初老の黒人運転手であるホーク・コバーンを雇ったブーリーだったが、運転手を雇うような身分を嫌うデイジーは、それを拒もうとする。
ホークは、デイジーの小言を聞き流しながら、何とか賃金分の仕事をしようと努力するが、なかなかそれが受け入れられない。
しかし、献身的に仕事をこなし、謙虚な中に率直意見するホークに、デイジーは次第に心を開き始める・・・。
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第62回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品、主演女優(ジェシカ・タンディ)、脚色、メイクアップ賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(モーガン・フリーマン)
助演男優(ダン・エイクロイド)
編集・美術・衣装デザイン賞
作品賞を受賞しながら監督賞にノミネートされなかったケースは非常に珍しく、ハンス・ジマーの軽快な音楽もノミネートされなかったのは残念。
物語の中で、一つの大きなテーマでもある”偏見”が、オーストラリア人のブルース・ベレスフォードに対してあったとも思えないが、外国人に、数十年にも及ぶアメリカの時代背景を描けるものかとでも言いたげな、アカデミー協会の傲慢さが見え隠れしないでもない。
*ノミネートは協会が決めることではないが・・・。
そのブルース・ベレスフォードは、老人の男女の生き方や考えの違いを、1940年代から70年代前半までの、アメリカ社会の移り変わりを見事に描いている。
話題にもなった、アカデミー賞を受賞したメイクも素晴らしい。
北米興行収入は1億ドルを突破して、全世界では約1億4600万ドルのヒットとなった。
オフ・ブロードウェイでも、オリジナルキャストとして同じ役を演じた演じたモーガン・フリーマンは、惜しくもアカデミー主演賞を逃すものの、頑固な老婦人に手こずる運転手役をひょうひょうと演じ、演技派の実力を発揮している。
彼の語り口、そして時より見せる、演技には思えないあの笑い方と笑顔が実に印象的だ。
撮影時に80歳を迎えたジェシカ・タンディは、その演技の確かさと表現力は秀逸であり、最高齢者のアカデミー主演賞受賞に相応しいパフォーマンスを見せてくれる。
特に、アラバマの兄の誕生祝に出かけ、一休みしている場面で見せる、初めて海を見た時の話をする、彼女の表情の自然さは素晴らしい。
突然、演技派へと転向した当時のダン・エイクロイドには驚かされたが、気の効いたユーモアのセンスを忘れない彼の演技も、アカデミー助演賞ノミネートに値する好演だった。
義母と気の合わない嫁役のペティー・ルポーンや、マイペースの家政婦エセル・ロールも、出番は少ないが印象に残る。