シャーロック・ホームズの殺しのドレス Dressed to Kill (1946)

ワトソンにホームズを紹介されたエモリーは、額の絆創膏について訊かれ、自宅で何者かに殴られたことを伝える。

ワトソンがハドソン夫人（メアリー・ゴードン）にお茶を用意してもらうために席を外している間、ホームズはエモリーの話を聞く。

5000ポンドのオルゴールがあったにも拘らず、犯人は5ポンド以下のオルゴールを盗んだと話すエモリーは、大した物ではないので気にしていない様子だった。

その話に興味を持つホームズは、コレクションを見せてくれると言うエモリーとワトソンと共にポーツマスに向かう。

エモリーの家で高価なオルゴールを見せてもらったホームズは、盗まれたごく普通のオルゴールについての話を聞く。

エモリーは、昨日のオークションで2ポンドで手に入れた、盗まれた物と似たオルゴールをホームズに見せる。

オークションのことを尋ねたホームズは、クラブツリーが主催者だと知り、襲われた時刻をエモリーに確認する。

手元にあるオルゴールが事件に関係すると考えたホームズは、それを隠しておくことをエモリーに勧めて、ワトソンと共にその場を去る。

ワトソンから心配し過ぎだと言われたホームズは、エモリーの身の安全を第一に考える。

眠ろうとしたエモリーは、知人であるヒルダ・コートニー（パトリシア・モリソン）からの電話を受ける。

ヒルダが訪ねて来ることになり、エモリーは、暫くして現われた彼女を歓迎する。

オルゴールのコレクションを見せてもらったヒルダは、2ポンドのオルゴールに興味を持つ。

昨晩、同じ様な物が盗まれたと言うエモリーは、友人のワトソンと共にホームズが来たことをヒルダに話す。

ホームズの噂を知るヒルダは、彼の話を聞きながら、オルゴールを手に入れる方法を考える。

エモリーは、帰ろうとするヒルダを引き留めようとする。

気づかれないようにして侵入したハミドは、ナイフを投げてエモリーを殺害する。

エモリーを殺害したハミドを非難したヒルダは、ホームズとスコットランドヤードのことを気にしながら彼を追い出し、オルゴールを持ち去る。

ハミドが運転する車に戻ったヒルダは、待っていたカヴァノー大佐にオルゴールを見せて、一人死んだことを伝える。

翌日、現場に向かったホームズとワトソンは、レストレード警部から指示された、連絡をよこしたホプキンス警部（カール・ハーボード）などから状況を聞く。

顔見知りの犯行だと考えたホームズは、オルゴールがなくなっていたために、2度目の犯行でオークションの品を手に入れたとワトソンらに伝える。

ホプキンスにオルゴールを捜すよう指示したホームズは、ワトソンと共にオークション会場に向かう。

クラブツリーと話したホームズは、オルゴールがダートムーア刑務所で作られたことを知る。

オークション後に、ある紳士が現れてオルゴールの話を聞いたことを知ったホームズは、1つを買った女性（イヴリン）が明日また来ることを確認して帰ったと言われ、ワトソンと共にその場を去る。

キルゴアの家に向かったホームズとワトソンは、本人が留守中だったために、出かけようとする使用人らしき老女（パトリシア・モリソン）から、居間で待つようにと言われて家に入る。

暫くして物音に気づいたホームズは、拘束されて閉じ込められていた少女（トプシー・グリン）を見つけて助ける。

涙する少女から話を聞いたホームズとワトソンは、閉じ込めた者がオルゴール持ち去ったことを知る。

老女が持ち去ったことに気づいたホームズは、彼女は女優だとワトソンに伝えて少女のことを任せる。

ホームズは、手遅れにならないうちに3つ目を買った女性を捜そうとする。

老女に扮していたヒルダは、オルゴールを手に入れてカヴァノー大佐の元に向かう。

翌日、オークションが開かれ、イヴリンはある人形を落札する。

車で待機していたカヴァノー大佐らは、会場から出てきたイヴリンを追う。

店に戻ったイヴリンは、現われたカヴァノー大佐とヒルダがオルゴールに興味を示したために、店内の商品を見せる。

例のオルゴールがないことに気づいたヒルダは、昼過ぎに平凡なオルゴールが売れたことを知り、イヴリンから購入者が置いて行った名刺を見せてもらう。

名刺のホームズの名前を確認したヒルダは、それをカヴァノー大佐に見せて店を出る。

店を監視していたトンプソン刑事は、車に乗って去るカヴァノー大佐らを追う。

尾行に気づいたヒルダは、運転するハミドに指示して路地に誘い込む。

スコットランドヤード。
イヴリンからの報告を受けたホームズは、長官（イアン・ウルフ）とホプキンスと共に女（ヒルダ）の件で話し合い、老女に扮していた彼女に会えば自分なら分かると伝える。

オルゴールのX線写真などを確認したホームズは、何も見つけられなかった。

刑務所長からの報告が届き、オルゴールを作った受刑者ジョン・デヴィッドソンは紙幣の原板工で、2年前にイングランド銀行から5ポンド紙幣の原板のコピーを盗んだ男だった。

ホプキンスは、デヴィッドソンを問い詰めても原板の在処を聞き出せなかったと話す。

ホームズから、デヴィッドソンが服役中に、5ポンド紙幣を一新する考えがなかったかと訊かれた長官は、困難だと答える。

原板が見つかるのを恐れたデヴィッドソンが、共謀者に連絡を取った可能性をホームズから指摘された長官は納得する。

何らかのメッセージが隠されているはずだと言うホームズは、3つのオルゴールが揃った時点で分かる暗号ではないかと考える。

オルゴールの曲を聴いたホームズは、エモリーの物と同じ曲だが、一部、違うことに気づく。

連絡を受けたホプキンスは、尾行していたトンプソンが事故死したことを知るが、ホームズは殺されたと考える。

ホームズはワトソンと共に役者のたまり場である酒場に向かい、音楽に詳しいジョーに協力を求める。

二つのオルゴールの曲をピアノで弾いたホームズは、間違っている箇所を指摘するジョーに、正しい曲を弾いてもらう。

それが暗号だと確信したホームズは、ジョーに曲を楽譜にしてもらう。

下宿に戻ったホームズとワトソンは、部屋が荒らされていることに気づく。

ハドソン夫人を呼んだホームズは、若い女性と初老の紳士が来たことを知り、盗まれなかったオルゴールはビスケットの缶に隠してあることをワトソンに伝える。

その場にあったタバコの吸い残しに気づいたホームズは、曲のことを一晩考える。

ワトソンから、子供時代にピアノを習った際、鍵盤に番号を振ったと言われたホームズは、オルゴールの曲の音符を抜き出し、それをアルファベットに置き換え、”SHELF/棚”という暗号が隠されていたことに気づく。

”S博士の書棚　3段目　本の奥”という暗号を解いたホームズは、それをホプキンスと長官に話し、メッセージの2と3番目だと伝える。

犯人は最初と最後を知るものの、動けない状況にあると言うホームズは、自分たちの情報を奪うために行動に移すと考える。

”S博士”のことをスコットランドヤードに任せたホームズは、気になっていたタバコの吸い残しを調べる。

それを売ったタバコ店でヒルダの名前を知ったホームズは、彼女の家を訪ねる。

ヒルダに迎えられたホームズは、キルゴアの家で会ったことを伝える。

シラを切るヒルダからタバコを勧められたホームズは、使用人に扮した老女だったことを確信していると言いながら、下宿の部屋のタバコの吸い残しを見せる。

ヒルダが罠にはめたことに気づいたホームズは、ハミドと共に現われたカヴァノー大佐に銃を向けられる。

手錠をかけられたホームズは車に乗せられ、カヴァノー大佐の隙を見て手錠の鍵を盗む。

倉庫に連れて行かれたホームズは、車のエンジンオイルの中に硫酸を混ぜたガスの中で吊るされる。

カヴァノー大佐とハミドはその場を去り、拘束を逃れたホームズは脱出する。

訪ねて来たヒルダを歓迎したワトソンは、彼女から、失踪した妹の件でホームズの助けを借りたいと言われ、協力しようとする。

涙するヒルダに同情するワトソンは、水がほしいという彼女のために席を外す。

その間に戸棚に煙幕を入れたヒルダは、戻って来たワトソンに火事だと伝える。

慌てるワトソンが手にした缶の中にオルゴールがあると考えたヒルダは、彼に消火器を取りに行くよう指示する。

ワトソンが缶を置いて奥の部屋に行った隙に、ヒルダはオルゴールを持ち去る。

戻って煙を消したワトソンは、ヒルダがいないこととオルゴールがなくなっていることに気づく。

オルゴールを持ち帰ったヒルダは、カヴァノー大佐と共に曲を聴いて暗号を解き、原板が隠されている場所を知る。

戻ったホームズは、ワトソンが女に騙され、オルゴールを奪われたことを知る。

ワトソン口にした文学者”サミュエル・ジョンソン”が”S博士”だと気づいたホームズは、博物館になっている彼の家に原板が隠されていると考える。

サミュエル・ジョンソンの家に向かったヒルダらは、ツアーガイド（レイランド・ホジソン）の案内について行き、二階の部屋の本棚を確認する。

ヒルダらは、そこに隠されていた原板を見つけるものの、現われたホームズに銃を向けられる。

抵抗しようとしたハミドはホームズに肩を撃たれ、ホプキンスらが銃声に気づき、ヒルダとカヴァノー大佐は警官に連行される。

原板をホプキンスに渡したホームズは、サミュエル・ジョンソンの名を出してくれたワトソンの手柄だと言いながら、その場を去る。