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殺しのドレス Dressed to Kill (1980)

アルフレッド・ヒッチコックに影響を受けオマージュ的なブライアン・デ・パルマによるサスペンス・ホラーの秀作。
主演マイケル・ケインアンジー・ディキンソンナンシー・アレンキース・ゴードンデニス・フランツ共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー


スタッフ キャスト ■
監督:ブライアン・デ・パルマ

製作:ジョージ・リットー
脚本:ブライアン・デ・パルマ
撮影:ラルフ・D・ボード
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:ピノ・ドナッジオ

出演
ロバート・エリオット医師:マイケル・ケイン

ケイト・ミラー:アンジー・ディキンソン
エリザベス”リズ”ブレイク:ナンシー・アレン
ピーター・ミラー:キース・ゴードン
マリーノ警部:デニス・フランツ
レヴィー医師:デヴィッド・マーギュリーズ
ウォーレン・ロックマン:ケン・ベイカー
マイク・ミラー:フレッド・ウェバー

アメリカ 映画
配給 Filmways

1980年製作 104分
公開
北米:1980年7月25日
日本:1981年4月4日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $31,899,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
中年女性ケイト・ミラー(アンジー・ディキンソン)は、ひげを剃る夫マイク(フレッド・ウェバー)の姿を見ながらシャワーを浴びていたが、突然、背後から男に犯される幻想を抱く。

そんなケイトは、マイクとの性生活で、満足できない日々を送っていた。

ケイトの息子ピーター(キース・ゴードン)は、科学コンクール出品のための、コンピューターの組み立てに没頭していた。

その後、精神科医ロバート・エリオット(マイケル・ケイン)の治療を受けたケイトは、彼に性生活の不満を訴え、彼を誘ってみたりもする。
...全てを見る(結末あり)

帰りに寄ったメトロポリタン美術館で、ケイトは、ある男性(ケン・ベイカー)に誘われて、彼のアパートでベッドを共にする。

夜になり、帰宅しようとしたケイトは、男性がウォーレン・ロックマンという名前だと知り、彼にメッセージを残す。

しかし、ウォーレンが性病だと知ってしまったケイトは困惑し、部屋を出てエレベーターに乗る。

指輪を忘れたことに気づいたケイトは、再びウォーレンの部屋に戻ろうとする。

そして、開いた扉から押し入ってきた、カミソリを持つブロンド女性に、ケイトは切り付けられてしまう。

そのエレベーターに乗ろうとした、高級娼婦エリザベス”リズ”ブレイク(ナンシー・アレン)は、瀕死のケイトと犯人を目撃する。

リズは、犯人が落としたカミソリを拾い、それをメイドに見られ、動揺してその場から逃げ去る。

その夜、オフィスに戻ったエリオットは、カミソリを盗んで、ある犯行を犯して目撃者も殺すという、”ボビー”と名乗るトランスジェンダー(性倒錯者)患者からの電話メッセージを聞く。

そしてエリオットは、自分のカミソリが盗まれていることを確認して、ケイトが殺されたというメッセージを残してあった、マリーノ刑事(デニス・フランツ)に呼び出される。

リズは、既に警察で事情聴取を受け、エリオットもマリーノを訪ねてくる。

ピーターを見つけたエリオットは、彼に声をかけて連絡先を知らせ、マリーノと話を始める。

二人の話を盗聴したピーターは、母ケイトが男を物色していた可能性を指摘するマリーノが、エリオットの患者を疑っていることを知る。

オフィスに戻ったエリオットは、目撃者リズの存在を知り、彼女にコンタクトをとろうとする。

その後、マリーノはアリバイのないリズに詰め寄り、事件を目撃した客を捜すよう指示するが、彼女は客に連絡がとれない。

ピーターは、エリオットのクリニックの入り口を、フィルム撮影して怪しい患者を突き止めようとする。

その日の仕事を終えたリズは、何者かにつけられていることに気づく。

それが、犯人らしきブロンド女性だと気づいたリズは、地下鉄のホームに向かう。

チンピラに絡まれたリズは地下鉄に逃げ込むが、再び彼らに追われて車両を移動する。

そこに現れた犯人が、リズを待ち構えて襲い掛かるのだが、彼女は危ういところをピーターに助けられる。

ピーターは、エリオットのクリニックから出てきた、怪しい患者の後をつけていたのだった。

リズのアパートで、彼女にそれを知らせたピーターは、エリオットの患者リストを見ることを提案する。

マリーノに相談に行ったリズだったが、エリオット自身が患者リストを見せなければ手がだせないと、彼女に違法行為はできないことを説明する。

エリオットは、”ボビー”を知るレヴィー医師(デヴィッド・マーギュリーズ)を訪ね、”彼女”の危険性を知らせて対処するように伝える。

ピーターが撮ったフィルムにも、自分を襲った怪しい患者が写っていたことを確認したリズは、エリオットの元に向かい、彼を誘惑して患者のリストを見ようとする。

雨の中、ピーターがその様子を監視していたが、リズは席を外してリストを探し、犯人らしき患者の住所を知る。

ピーターは何者かに羽交い絞めにされ、オフィスに戻ったリズは、窓の外で叫ぶ彼に気づく。

リズの背後から、カミソリを持った女性が迫るが、ピーターといたマリーノが犯人を銃撃する。

銃撃された犯人は、なんとエリオットだった。

その後マリーノは、当初からブロンドの女性警官に、尾行させていたことをリズに話す。

性倒錯者(トランスジェンダー)だったエリオットの、ケイトに刺激されもう一人の人格”ボビー”が、彼女に復讐したのだということを、リズとマリーノはその場にいたレヴィー医師から知らされる。

レヴィーは、エリオットと会った瞬間に、彼が”ボビー”であることが分かったということも二人に伝える。

そのことをピーターに話したリズは、彼に自宅に誘われる。

精神病院に入れられたエリオットは、看護師に襲い掛かり変装して逃亡する。

エリオットは、ピーターの家いたリズを殺そうと、カミソリを持ち彼女に襲い掛かる・・・

しかし、それはリズの見た悪夢で、目覚めて取り乱す彼女をピーターが抱き寄せる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
夫との性生活に不満を持つケイト・ミラーは、それを精神科医ロバート・エリオットに相談する。
その帰りに、美術館である男性に誘われたケイトは、彼とベッドを共にした後、エレベーターで惨殺されてしまう。
それを目撃した娼婦リズは、担当のマリーノ刑事に容疑者として疑われてしまい、アリバイもなく困惑する。
エリオットの患者が疑わしいことを知ったケイトの息子ピーターは、犯人を突き止めるために行動を起こす。
その後、犯人に襲われたリズを助けたピーターは、エリオットのクリニックから出てくる、犯人らしき患者を写真撮影する。
そして、リズはピーターと協力して、エリオットの患者のリストを見ようとするのだが・・・。
__________

冒頭やクライマックスの、シャワーのシーンは「サイコ」(1960)、美術館のシーンは「めまい」(1958)を思い起こさせる、ヒッチコックへのオマージュ的な作品。

エロチシズムの描写を除けば、ヒッチコック作品を観ているような錯覚受けてしまうが、亜流のようには感じない、ブライアン・デ・パルマの巧みな演出が冴える。

中盤でほぼ犯人は判明するのだが、その犯人と、どのような対決で決着をつけるかが見どころだ。

精神科医でありながら、性倒錯者(トランスジェンダー)である、女装までするマイケル・ケインの熱演は光る。

欲求不満の人妻役のアンジー・ディキンソン(50歳目前)は、ボディダブルを使っているとはいえ、その怪しげな魅力は出色だ。
1970年代は映画界から遠ざかっていた彼女の熱演は、序盤で姿を消すものの、キャリアの中でもベストと言えるかもしれない。

アンジー・ディキンソンとは違った魅力の、当時のブライアン・デ・パルマ夫人である高級コールガール役のナンシー・アレンの美しさも際立っている。
彼女は1979年にデ・パルマと結婚して1983年に離婚するが、彼の監督作品「キャリー」(1976)や「ミッドナイトクロス」(1981)などにも出演している。

下品で嫌味のある刑事を演じたデニス・フランツが、終盤で頼もしく物分りの良い警官だと分かり、リズ(N・アレン)と意気投合するところがなかなか面白い。

事件解決に貢献する被害者の息子を好演するキース・ゴードン、義父フレッド・ウェバー、精神科医デヴィッド・マーギュリーズ、美術館で被害者を誘う男ケン・ベイカーなどが共演している。


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