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ダウン・バイ・ロー Down by Law (1986)

獄中で出会った3人の男達の奇妙な関係を描く、監督、脚本ジム・ジャームッシュ、主演トム・ウェイツジョン・ルーリーロベルト・ベニーニニコレッタ・ブラスキエレン・バーキン他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:ジム・ジャームッシュ

製作:アラン・クラインバーグ
撮影:ロビー・ミューラー
編集:メロディ・ロンドン
脚本:ジム・ジャームッシュ
音楽:ジョン・ルーリー

出演
ザック:トム・ウェイツ
ジャック:ジョン・ルーリー
ロベルト:ロベルト・ベニーニ
ニコレッタ:ニコレッタ・ブラスキ
ロレッタ:エレン・バーキン
ボビー:ビリー・ニール
ギグ:ロケッツ・レッドグレア
マンディーノ:ジョイ・N・ホックJr.
プレストン:ヴァーネル・バグネリス

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1986年製作 107分
公開
北米:1986年9月20日
日本:1986年11月22日
製作費 $1,100,000
北米興行収入 $1,419,840


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ルイジアナ州、ニューオリンズ
ポン引きのジャック(ジョン・ルーリー)に、情婦のボビー(ビリー・ニール)は不満を持っていた。

DJのザック(トム・ウェイツ)に愛想をつかした恋人のロレッタ(エレン・バーキン)は取り乱し、彼を罵倒する。

大切な靴を捨てられたザックはアパートを出て行き、路上で靴を拾い履き替える。

自分が稼いでも使ってしまうジャックを批判するボビーだったが、彼は反論もしない。

仲間のギグ(ロケッツ・レッドグレア)からの電話で、いい話があると言われたジャックは、用心のためだと言ってボビーに銃を渡す。

現れたギグは、迷惑をかけたことをジャックに謝罪し、償いをしたいと伝える。
...全てを見る(結末あり)

贈り物をすると言うギグは、19歳の白人であるフランス系の女を紹介するので、ホテルで待っている彼女の元に向かうようにとジャックに伝える。

騙される気がしたジャックは警戒するが、行って確かめるべきで、仲直りしたいだけだとギグに言われる。

ハメたり嘘だった場合はダダでは済まないと言ってギグを脅したジャックは、ホテルに向かう。

部屋に入り、暗がりの中で女に話しかけたジャックだったが、マンディーノ刑事(ジョイ・N・ホックJr.)らが押し入る。

自分の恋人だと言って弁解するジャックだったが、明かりが点けら、相手が少女だったために逮捕連行される。

その場に残ったマンディーノはベッドに入り、少女に話しかけて安心させる。

イタリア人旅行者のロベルト(ロベルト・ベニーニ)は、通りにいたザックに話しかけるものの、相手にされずに追い払われる。

現れたプレストン(ヴァーネル・バグネリス)から儲け話があることを知らされたザックは、外国の高級車を運ぶだけの仕事だと言われる。

1000ドルの半分を前金で、残りは終わった後に払うとプレストンから言われたザックは、彼を疑う。

前金で1000ドル払えばやると言われたプレストンは、仕方なく”ジャガー”の鍵と全額をザックに渡す。

酔いながら車を走らせるザックは、パトカーに追われて停車させられ、トランクの中を調べられる。

死体を確認した刑事は、ザックを逮捕して連行する。

OPP(オリンズ・パリッシュ・プリズン)の監房に入れられていたザックは、連れてこられたジャックと気が合わずに3日間も口をきかなかった。

ようやくまともな話をしたザックは、シャバで何していたかをジャックから訊かれて、DJだと答える。

DJ風に話せと言われたザックは、その気になってしゃべり始めたため、ジャックは驚く。

その後、監房の生活に耐えられなくなったジャックは苛立ち、ザックと喧嘩になる。

そこにロベルトが連れてこられ、メモしてあった意味不明な英語でザックとジャックに話しかける。

無視されたロベルトは、名前を伝えて握手を求めるが、応えてもらえない。

その後、シャックリを止めるためにタバコを吸いたいと言うロベルトに、アメリカでは効かないと言いながらも、ジャックは仕方なくタバコを渡す。

しかし、ジャックもザックも火をもっていないために、ロベルトはタバコをくわえるだけで我慢する。

眠っているザックが持っていたチョークを手にしたロベルトは、壁に窓を描く。

ジャックとザックから、この場に入れられた理由を聞いたロベルトは、二人とも無実だと言って、自分は人を殺したと伝える。

カードでイカサマをしたのがバレたロベルトは、逃げたために追われ、ビリヤードのボールを相手に投げて、それが頭に当たった大男は倒れたということだった。

その後、三人はカードをして暇をつぶし、ロベルトが、庭で逃げ道を見つけたことをザックとジャックに話す。

運動をするため外に出された三人は脱獄し、川に向かうものの、ロベルトが泳げないために、ザックとジャックは彼を置いて行く。

追っ手と犬が近づき覚悟を決めたロベルトは、戻って来たザックと共に川に入り逃げる。

湿地帯を歩く三人は小屋を見つけるが、内部は監房にそっくりだった。

今夜はここで寝て、明日になったら外のボートで逃げることをザックが提案して、三人は眠る。

翌日、ボートで沼地を行く三人だったが迷ってしまう。

その後、船底に穴が開いてしまい、ボートは沈んでしまう。

夜になり、ロベルトが姿を消し、空腹だったザックとジャックは言い合い喧嘩になる。

そこに、ウサギを捕まえたロベルトが戻るが、ザックとジャックは姿を消す。

ザックとジャックは林の中をさ迷い、ロベルトは、母に習ったやり方でウサギを調理する。

暫くするとザックとジャックは戻り、ロベルト共にウサギを食べる。

翌日、道路に出た三人は歩き続けて、”ルイジの店”にたどり着き、ロベルトが様子を見に行く。

日が暮れてもロベルトが戻らないため、店を覗いたザックとジャックは目を疑う。

イタリア人だった女主人ニコレッタ(ニコレッタ・ブラスキ)と意気投合していたロベルトは、彼女と食事をしようとしていたのだ。

店に入ったザックとジャックは、ロベルトとニコレッタに歓迎される。

ロベルトは恋をしたことをザックとジャックに伝え、ニコレッタは、亡くなったおじのルイジから店を譲り受けたことや、恋人に捨てられた話をする。

一生ここで暮らすことにすると言うロベルトは、ニコレッタから、行きたかったテキサスが近いことを知らされて喜び、ザックとジャックに祝福される。

翌朝、ザックとジャックは、ニコレッタからおじの服を譲ってもらい、ロベルトに引き留められるものの、この場が危険であるため旅立つことにする。

ザックとジャックから別行動をとると言われたロベルトは、音楽をかけてニコレッタと踊る。

店の外で、分かれ道がそれぞれ東と西に向かうとザックとジャックに教えたニコレッタは、感謝する二人をロベルトと共に見送る。

分かれ道に着いたザックとジャックは、上着を交換して、多くを語らず、暗黙のうちに友情を確かめながらそれぞれの道に向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ルイジアナ州、ニューオリンズ
DJのザックとポン引きのジャックは、それぞれが罠にはめられてOPP(オリンズ・パリッシュ・プリズン)に入れられる。
監房の中で話も合わない二人だったが、そこにイタリア人のロベルトが加わる。
ザックとジャックは、片言で意味不明な英語しか話せないひ弱なロベルトを相手にしなかったが、彼が殺人犯だと知り驚く。
ロベルトは、裏庭で逃げ道を見つけたとザックとジャックに話し、運動のため外に出た三人は、脱獄に成功するのだが・・・。
__________

全く共通点がない同じ監房に入れられた三人が、相容れない関係でありながらも、ほのかな友情が芽生えるというコメディ・ドラマ。

原題の”Down by Law”は、”親しい関係、相棒、兄弟”という意味のスラングで、そんな関係とは程遠いDJとポン引き、そして気のいいイタリア人の、終盤にかけてジワリと感じさせる友情の描写が実にいい。

得意とする無表情コメディの域を脱したジム・ジャームッシュの演出は、前作の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(1984)と同じく、モノクロ映像により退廃的なムードを漂わせるのだが、ドタバタ喜劇でもないのにこれほど笑える作品も珍しく、全編に溢れる奇妙な可笑しさは絶妙だ。

どちらも主演と言える、仲間に騙されるDJのトム・ウェイツとポン引きのジョン・ルーリーもいい雰囲気で演じているのだが、国際的映画に初出演した、イタリア人旅行者役のロベルト・ベニーニの軽妙な演技は出色だ。
ロベルト・ベニーニは、ドラマの中で恋をするダイナーの女主人役のニコレッタ・ブラスキと1991年に結婚する。

ドラマを盛り上げる、ジョン・ルーリーの楽曲とトム・ウェイツの歌なども素晴らしい。

ザック(トム・ウェイツ)を見限る恋人のエレン・バーキン、ジャックの情婦ビリー・ニール、ジャックを騙すロケッツ・レッドグレア、ジャックを逮捕する刑事ジョイ・N・ホックJr.、ザックに遺体が隠してある車の移動を依頼するヴァーネル・バグネリスなどが共演している。


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