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深夜の告白 Double Indemnity (1944)

1943年に発表された、ジェームズ・M・ケインのミステリー小説”Double Indemnity”の映画化。
保険金詐欺に絡む殺人に加担した保険外交員の苦悩を描く、レイモンド・チャンドラービリー・ワイルダーの共同脚色、主演フレッド・マクマレイバーバラ・スタンウィックエドワード・G・ロビンソン他共演によるフィルム・ノワールの名作にしてサスペンス映画の傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:ビリー・ワイルダー

製作総指揮:バディ・デシルヴァ
製作:ジョセフ・シストロム
原作:ジェームズ・M・ケインDouble Indemnity
脚本
レイモンド・チャンドラー

ビリー・ワイルダー
撮影:ジョン・F・サイツ
編集:ドーン・ハリソン
音楽:ミクロス・ローザ

出演
ウォルター・ネフ:フレッド・マクマレイ

フィリス・ディートリクスン:バーバラ・スタンウィック
バートン・キーズ:エドワード・G・ロビンソン
ジャクソン:ポーター・ホール
ローラ・ディートリクスン:ジーン・ヘザー
ディートリクソン:トム・パワーズ
ニーノ・ザケッティ:バイロン・バー
本を読んでいる男:レイモンド・チャンドラー

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

1944年製作 107分
公開
北米:1944年4月24日
日本:1953年12月15日
製作費 $980,000
北米興行収入 $5,000,000


アカデミー賞 ■
第17回アカデミー賞

・ノミネート
作品・監督
主演女優(バーバラ・スタンウィック
脚色・撮影・録音・音楽賞(ドラマ)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1938年7月16日、ロサンゼルス
肩を銃撃されながら、自分のオフィスに戻ったパシフィック保険の外交員ウォルター・ネフ(フレッド・マクマレイ)は、あるメッセージをボイスレコーダーに録音する。

ネフは、同僚の調査員バートン・キーズ(エドワード・G・ロビンソン)宛てに、ある保険金詐欺事件に絡んだ殺人の自供を始める・・・。

5月。
自動車保険の更新のため、ディートリクスン邸を訪ねたネフは、夫人のフィリス(バーバラ・スタンウィック)が気になる存在になる。

ディートリクスン(トム・パワーズ)が不在のために出直すことになったネフは、フィリスから傷害保険のことを尋ねられたことも忘れ、彼女のことを考えながら会社に戻る。

キーズのオフィスに呼ばれたネフは、迷惑な客を保険に入れたことで小言を言われるのの、そんな彼を信頼し尊敬もしていた。
...全てを見る(結末あり)

オフィスに戻ったネフは、訪問日の変更についてのフィリスからの伝言を受け取る。

約束の日にフィリスを訪ねたネフは、油田で働く危険な仕事の夫のために、損害保険をかけたいとの相談を受ける。

フィリスに、夫には内緒で保険に入りたいと言われたネフは、彼女が殺人を企んでいることを察し、口論となり立ち去ってしまう。

しかし、アパートに戻ったネフは迷う気持ちと、フィリスとの関係が終わりではなく始まりだと感じ、そこに現われた彼女を見ても驚かなかった。

わだかまりを捨てた二人は自然に惹かれ合い、病気だった前妻の看護師だった自分が虐げられ、義理の娘に財産がいってしまうことなどで、夫を憎んでいることをネフに伝える。

ネフは、保険金詐欺に成功しても、キーズが黙っていないことをフィリスに告げ、企みを諦めさせようとする。

しかし、保険金目当ての、あらゆる不正の手口を知るネフは、自分がフィリスに手を貸すことを考える。

数日後、ディートリクソンを訪ねたネフは、娘ローラ(ジーン・ヘザー)が同席する場で、彼に傷害保険を勧める。

それに関心がないディートリクソンだったが、ネフは、自動車保険の証書の控えだと言って、彼に傷害保険の加入書へのサインさせてしまう。

そしてネフは、特定の事故に倍額支払われる特約を生かすために、スタンフォード大学の同窓会に向かう予定のディートリクソンを、必ず汽車に乗せるようにフィリスに伝える。

ネフは帰ろうとするが、父親に反抗するローラを、元医学生の恋人ニーノ・ザケッティ(バイロン・バー)の待つ街に送り届けることになる。

ネフとフィリスの密会場所だった食料品店で、彼は保険の件は順調に手続きが進んだことを伝える。

しかし、ディートリクソンが足を骨折してしまい、フィリスは夫が旅立てなくなったために焦ってしまう。

それが、計画を中止するチャンスであったかもしれなかったのだが、精神的に追い込まれているフェリスのために、ネフは犯行を実行に移そうとする。

そんな時、キーズがネフを保険調査員の助手にすると言い出したため、彼はそれを断ろうとする。

そこに、フィリスからの連絡で、夫が怪我を押して旅立ち汽車に乗ることになったとの連絡を受け、ネフはその場で待っていたキーズの誘いを断る。

そしてその夜、いくつかのアリバイを作ったネフは、ディートリクスン邸に徒歩で向かい、ガレージの車に忍び込む。

車にネフが潜んでいることを確認したフィリスは、夫を乗せて運転し、駅と違う場所に向かい犯行を済ませる。

ディートリクスンに扮したネフは、ギプスをしているように見せかけて、松葉杖をつきながら汽車に乗車する。

暫くしてネフは汽車を飛び降り、先回りしていたフィリスと、撲殺したディートリクスンの死体を線路脇に置き去りにしてその場を去る。

アパートに戻り、再びアリバイを作ったネフだったが、突然、不安に駆られてしまう。

翌日の事故の報道や、キーズが調査に動き出したことでネフは怯えてしまう。

キーズは、この件を事故と判断しようとしていたが、会社側は多額の保険金を支払うことになり、フィリスの話を聞くことになり、彼女に夫は自殺だったという見解を示す。

自殺の場合は保険金は支払われず、裁判を起してもかまわないという会社側は、フィリスに和解金の提示もちらつかせる。

気分を害したフィリスはその場を立ち去り、キーズは状況から自殺は有り得ないことを上司に伝え、ネフは、恐れていた彼が味方になったことで安堵する。

アパートに戻ったネフは、フィリスからの電話で彼女を迎える準備をするが、そこにキーズが現われる。

キーズは、ディートリクソン本人が承知して保険に入ったはずなのに、骨折して保険金を請求しなかったことを疑問に思っていることをネフに伝える。

疑いを抱き始めたキーズに探りを入れたネフだったが、フィリスが現われ、彼女は、その場を去ろうとするキーズに気づかれぬよう部屋に入る。

ネフは、キーズが徹底的に調査することを恐れ、フィリスと暫く会うことを控えるべきだと伝える。

数日後、ネフを訪ねたローラは、母親の看護師だったフィリスが、その死に関っていたことなどを彼に話し、今回の件も彼女が仕組んだことだと訴える。

ネフは、その話を忘れさせるために、動揺するローラを誘い食事などをして、彼女の気を落ち着かせる。

キーズに呼び出されたネフは、今回の件が完璧な殺人だったと言う、ほぼ犯行通りの彼の推理を聞かされる。

さらに、汽車の中でディートリクソンに声をかけたというジャクソン(ポーター・ホール)が呼ばれ、その場で会った男が本人よりかなり若かったことなどをキーズに指摘する。

ジャクソンは、その場にいたネフと会ったことがあるような気がしたため、彼にそれを確かめるが否定される。

密会場所の食料品店で、キーズが保険金支払いを拒否し、告訴しようとしていることをネフはフィリスに伝える。

フィリスも告訴すると言い始めたため、ネフはローラの話などから不利な立場だと告げる。

ネフがローラと会っていることに嫉妬したフィリスは、計画が失敗したと言う彼に、逃れられないことを伝えその場を立ち去る。

その後もローラと会っていたネフは、恋人ニーノとフィリスが共謀して父を殺したと告げられる。

翌日、フィリスに告訴されていたキーズに呼び止められたネフは、共犯の男が割れたということを知らされる。

焦ったネフだったが、キーズのボイスレコーダーを聞いた彼は、自分が疑われていないことと、やはり彼女がニーノと会っていたことを確認する。

その夜、複雑な思いのネフはフィリスの元に向かい、彼女との関係を断ち切るために、ニーノに罪をかぶせることを告げる。

フィリスは、ローラに会いに来るニーノを何度も追い返していただけだと告げるが、ネフはもはや彼女を信じられなかった。

明かりの消された部屋の中で、フィリスはネフを銃撃し、利用していただけと告げるものの、彼を求めている自分を抑えきれなかった。

しかし、ネフはフィリスを射殺し家を出て、現われたニーノに、ローラが彼を愛していることを伝え連絡するように告げる。

瀕死のネフは、フィリスのことを考えながら、ローラやニーノが疑われないように対処してほしいことを語り、そこにキーズが現われる。

全てを知ったキーズは、国境越えて逃げて見せるというネフを見逃すが、彼は力尽きてしまう。

キーズは、救急車と警察を呼び、同僚以上にに思っていたネフに寄り添い彼を見守る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
保険外交員ウォルター・ネフは、顧客のディートリクスンの妻フィリスが、保険金詐欺による夫の殺害を考えていることを察する。
一旦はその場を去ったネフだったが、フィリスの魅力に惹かれた彼は、保険金目当ての不正を知り尽くしている自分が、彼女に手を貸すことを考える。
書類を偽り、ディートリクスンに傷害保険加入のサインをさせたネフは、綿密な計画を立てそれを実行に移そうとする。
倍額支払いの特約を活かすために、汽車での事故を装うことを考えたネフは、足を骨折しているディートリクスンを撲殺し、自分が彼に成りすまし汽車に乗する。
その後、汽車から飛び降りたネフは、先回りしていたフィリスと共に、ディートリクスンの死体を線路脇に置き去りにして立ち去る。
完璧な犯行を済ませたネフは、同僚の保険調査員バートン・キーズの徹底した仕事振りを知っているため、彼は不安と共に怯えてしまう・・・。
__________

当時としては、その不道徳な内容から問題になった作品であり、脚色のスタイルが違うレイモンド・チャンドラービリー・ワイルダーの折り合いは最悪に近く、共同執筆は難航を極めたという。

しかし、作品自体はヒットし、破滅寸前の主人公の回想から始まる手法などはその先駆けとなり、不安を煽る映像表現やミクロス・ローザの音楽なども秀逸だ。

1992年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第17回アカデミー賞では、作品、監督、主演女優(バーバラ・スタンウィック)、脚色、撮影、録音、音楽賞(ドラマ)にノミネートされた。

様々な考えが錯綜する、追い詰められた主人公を熱演するフレッド・マクマレイと、精力に仕事をこなし変幻自在の演技を見せる同僚の調査員エドワード・G・ロビンソンとの、互いを認め合いながら、最後まで友情を貫き通す姿を根底に置いているところがポイントで、主人公は彼の影響もあり、度々、外れた考えの修正を試みようとする、細やかな描写や演出なども実に興味深い。

強かであり、とてつもない悪女の雰囲気を漂わせながらも、男にすがる弱い女の一面も見せるバーバラ・スタンウィックの、上記の二人に負けない存在感も見逃せない。

汽車内で被害者に扮した主人公に声をかける男ポーター・ホール、被害者(トム・パワーズ)の娘役ジーン・ヘザー、その恋人役バイロン・バー、そして、序盤で、主人公がキーズ(E・G・ロビンソン)のオフィスから出た際に、廊下のベンチに腰掛て本を読んでいる男性役でレイモンド・チャンドラーも出演している。


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