ブルックリンのピザ店を舞台に、人種差別問題をストレートに描いた衝撃の問題作としてスパイク・リー(製作、監督、脚本、出演)の名を世界に知らしめた作品。 主演ダニー・アイエロ、オジー・デイヴィス、ルビー・ディー、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・タトゥーロ他共演。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:スパイク・リー
製作:スパイク・リー
脚本:スパイク・リー
撮影:アーネスト・ディッカーソン
編集:バリー・アレキサンダー・ブラウン
音楽:ビル・リー
出演
サルヴァトーレ”サル”フラジオーネ:ダニー・アイエロ
ダー・メイヤー:オジー・デイヴィス
ムーキー:スパイク・リー
マザー・シスター:ルビー・ディー
セニョール・ラブ・ダディー:サミュエル・L・ジャクソン
ピノ・フラジオーネ:ジョン・タトゥーロ
ヴィト・フラジオーネ:リチャード・エドソン
レディオ・ラヒーム:ビル・ナン
ティナ:ロージー・ペレズ
バギナウト:ジャンカルロ・エスポジート
スマイリー:ロジャー・グーンヴァー・スミス
クリフトン:ジョン・サベージ
スィート・ディック・ウィリー:ロビン・ハリス
ジェイド:ジョイー・リー
シー:マーティン・ローレンス
チャーリー:フランク・ヴィンセント
マーク・ポンテ巡査:ミゲール・サンドヴァル
グレイ・ロング巡査:リック・アイエロ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1989年製作 120分
公開
北米:1989年6月30日
日本:1990年4月21日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $27,545,450
世界 $37,295,450
■ アカデミー賞 ■
第62回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優(ダニー・アイエロ)
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ブルックリン、ベッドフォード・スタイベサント地区。
うだるような暑さになりそうな夏の日、”ウイ・ラブ・ラジオ”のDJセニョール・ラブ・ダディー(サミュエル・L・ジャクソン)の放送で一日が始まる。
ピザ店を経営するイタリア系アメリカ人のサルヴァトーレ”サル”フラジオーネ(ダニー・アイエロ)は、二人の息子ピノ(ジョン・タトゥーロ)とヴィト(リチャード・エドソン)と共に店を開ける。
店の前を掃除しろという、サルの指示で押し問答となったピノとヴィトは、ようやく現われた店員ムーキー(スパイク・リー)にそれをやらせようとする。
ムーキーは、自分は配達係だと言ってそれを拒み、そこに、毎日、雑用を求めて来る、気のいい酔っ払い老人ダー・メイヤー(オジー・デイヴィス)が現われ、サルは彼に1ドル与えて掃除をさせる。 仕事を済ませたメイヤーは、缶ビールを買って街角で喉を潤すが、それを見たマザー・シスター(ルビー・ディー)は、彼に小言を言って追い払う。 開店した店は客で賑わい始めるが、ムーキーの友人バギナウト(ジャンカルロ・エスポジート)が、店内にイタリア系スターなどの写真しかないことに不満を訴え、サルと言い合いになり追い出されてしまう。 通りでは、暑さのため消火栓を開けて水浴びするシー(マーティン・ローレンス)らが、通りがかったチャーリー(フランク・ヴィンセント)のヴィンテージ・カーに水をかけてしまい騒ぎになる。 ヴィトと共にラブ・ダディーに注文の品を届けたムーキーは、曲を恋人のティナ(ロージー・ペレズ)に捧げる。 バギナウトは、スニーカーを踏んで汚した白人クリフトン(ジョン・サベージ)を呼び止めて言いがかりをつける。 通りに座り仲間と話をしていたスィート・ディック・ウィリー(ロビン・ハリス)らは、ニューヨーク市警のパトロール警官マーク・ポンテ(ミゲール・サンドヴァル)とグレイ・ロング(リック・アイエロ)と睨み合い、向かいの韓国人達の商売のうまさなどをひがみ、愚痴をこぼす。 ムーキーは、店の電話を使いティナに連絡し、自分と子供に愛情が足りないと言われ彼女に責められる。 ピノが仕事中の電話を非難したため、ムーキーは、彼が明らかに黒人に対し偏見を持っていることを非難し言い合いになる。 配達に出かけたムーキーは、シャワーを浴びるために家に立ち寄るものの、妹のジェイド(ジョイー・リー)から、給料をもらう分の義務を果たすべきだと説教されてしまう。 休憩時間となり、ピノは、この黒人地区での商売をすることへの不満を父サルにぶつける。 しかし、自分のピザで、地区の若者達などを育てたことを誇りにするサルは、それを拒む。 一方、サルに追い出されたバギナウトは、店のボイコットをするよう人々に呼びかけるが相手にされない。 戻ってきたムーキーに、給料分の仕事をするよう言い聞かせたサルは、現われたジェイドには優しく接する。 ダー・メイヤーは、韓国人の店で花を買い、思いを寄せるマザー・シスターにそれを贈る。 その後ダー・メイヤーは、少年が車に轢かれそうになったところを救い母親に感謝されるものの、子供の教育には口出し無用だと言われてしまう。 サルがジェイドに対して下心があると考えたムーキーは、妹にそれを伝え、店に来ることを禁じて口論になる。 ムーキーは、サルにもジェイドに近寄るなと警告し、二人はいがみ合いながらも閉店までの仕事を続ける。 日が暮れて、マザー・シスターはダー・メイヤーに声をかけ、花のこともあり、彼が少年を救ったことなどを含め感謝する。 ティナの家にピザを届けたムーキーは、蒸し暑さの中で愛し合い店に戻る。 ピノは、ムーキーと仲のよいヴィトに、彼を信用するなと警告をする。 バギナウトは、昼間、サルの店でトラブりそうになった、巨大な”ブームボックス”を持ち歩くレディオ・ラヒーム(ビル・ナン)と、店をボイコットすることで意見が一致する。 閉店時間となり、売り上げが好調だったサルは、店名に”息子達”と入れることを提案し、代が変わった後も働いていいことをムーキー伝える。 そこに、シー達が現わ、サルは彼らにピザを食べさせるために、彼らを店に入れるよう指示するが、バギナウトとレディオが押し入ってくる。 サルとバギナウトらは罵り合いを始め、バットを持ったサルは、大音量の”ブームボックス”を叩き壊してしまう。 そして、サルとレディオらは通りで乱闘を始め、近所の人々が集まってくる。 警察も駆けつけ、警官のポンテとロングらは、抵抗するレディオを力ずくで取り押さえようとして、彼を殺害してしまう。 バギナウトは逮捕連行され、警官らはレディオの死体を運び走り去る。 人々は、警官の暴挙に怒りを露にして、サル親子に言い寄り彼らを責め、ムーキーがゴミ箱を店に投げつけたことをきっかけに、破壊と略奪が始まる。 店は火を放たれ、警察と消防が事態を鎮めようとする中、障害を持つ青年スマイリー(ロジャー・グーンヴァー・スミス)が、壊れて燃えるレディオの”ブームボックス”の脇を通りながら、店の壁に”マルコムX”と”キング牧師”の写真を貼る。 翌朝、ラブ・ダディーは、事件の惨状を見て嘆き、ティナの家に泊まったムーキーは、暴動のきっかけを起したにも拘らず、給料をもらいに行こうとする。 夜を共にしたダー・メイヤーとマザー・シスターは、通りを眺めながら励まし合う。 サルの元に向かったムーキーは給料を請求し、自分の手で造った店を焼かれ嘆くサルは激怒するが、ムーキーに500ドルを投げつける。 ムーキーは給料分の250ドルだけを受け取ろうとするが、意地を張り合う二人は、和解を求め合う雰囲気ともなる。 ムーキーは、息子に会いに行くと言って金を受け取り、その場を立ち去る。 そして、ラブ・ダディーのトークは続き、レディオに曲を捧げる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、ブルックリン。
暑い夏の日、ピザ店の経営者イタリア系のヴァトーレ”サル”フラジオーネは、息子ピノとヴィトと共に店を開ける。
恋人ティナとの間に子供までいるにも拘らず、自堕落な生活を続ける青年ムーキーは、サルの店の配達係として働いていた。
サルの息子ピノは偏見を持ち、あからさまに黒人を嫌いムーキーの言動に苛立つ。
ムーキーの友人バギナウトは、毎日通うサルの店に
イタリア系スターの写真しか飾っていないことに不満をぶつける。
サルと言い合いになったバギナウトは追い出されて
店をボイコットしようと人々に呼びかけるが相手にされない。
ピノは我慢の限界に達し、店の移転を父サルに提案するが、それが受け入れられない。
そして、暑さも峠を過ぎた、一日も終わりを迎えようとする中、昼間、店でトラブルになりかけたレディオがバギナウトに賛同して、サルの元に向かい双方は罵り合いを始める・・・。
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軽い乗りの、ユーモアもまじえて始まる序盤、所々で一触即発となる危険なムード、何気ない人々の生活を描写しながら、独特のスタイルで人種問題を飾り気なく描く、スパイク・リーの感性と演出は秀逸だ。
多くの登場人物そろぞれの、不満や怒りをさりげなく映し出しながら、些細なことが火種となり、暴動にまで発展する衝撃のクライマックスに至る展開も圧巻だ。
第62回アカデミー賞では、助演男優(ダニー・アイエロ)と脚本賞にノミネートされ、各映画賞でも高い評価を得た。
人種の偏見はないものの、自分が造り上げた店を誇りに思い、手堅く商売を続けるビザ店の店主ダニー・アイエロはキャリア最高とも言える熱演を見せる。
アル中気味のため信頼は薄いものの、町の様子を常に監視している気のいい老人で、いい味を出しているオジー・デイヴィス、彼が心引かれる老女ルビー・ディー、子供を持つ大人の男として成長しきれないピザ店店員スパイク・リー、その恋人ロージー・ペレズ、まだ無名に近いものの、その後の活躍を予感させる、存在感ある演技を見せるラジオDJのサミュエル・L・ジャクソン、同じく、なかなか印象的な演技の主人公の息子役ジョン・タトゥーロとリチャード・エドソン、ピザ店に因縁をつけて、暴動のきっかけを作る青年ビル・ナンとジャンカルロ・エスポジート、精神異常の青年ロジャー・グーンヴァー・スミス、バギナウト(J・エスポジート)に言いがかりをつけられる白人青年ジョン・サベージ、街角に陣取り語り合う男ロビン・ハリス、役でも妹を演ずるS・リーの実妹ジョイー・リー、町の若者でマーティン・ローレンス、彼らに嫌がらせを受ける男性フランク・ヴィンセント、警官のミゲール・サンドヴァルとD・アイエロの実の息子リック・アイエロなどが共演している。