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黙秘 Dolores Claiborne (1995)

1992年に発表された、スティーヴン・キングの長編小説”Dolores Claiborne”の映画化。
約20年の時を経て2つの事件の接点と謎が明らかになる過程を描く、製作、監督テイラー・ハックフォード、主演キャシー・ベイツジェニファー・ジェイソン・リークリストファー・プラマーデヴィッド・ストラザーンジョン・C・ライリー他共演によるサスペンス・スリラーの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:テイラー・ハックフォード
製作
テイラー・ハックフォード
チャールズ・マーヴヒル
原作:スティーヴン・キングDolores Claiborne
脚本:トニー・ギルロイ
撮影:ガブリエル・ベリスタイン

編集:マーク・ワーナー
音楽:ダニー・エルフマン

出演
キャシー・ベイツ:ドロレス・クレイボーン
ジェニファー・ジェイソン・リー:セリーナ・セントジョージ
クリストファー・プラマー:ジョン・マッケイ警部
デヴィッド・ストラザーン:ジョー・セントジョージ
ジュディ・パーフィット:ヴェラ・ドノヴァン
ジョン・C・ライリー:フランク・スタムショー
エレン・ミュース:セリーナ(少女時代)
エリック・ボゴシアン:ピーター
ボブ・ガントン:ピース

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1995年製作 131分
公開
北米:1995年3月24日
日本:1995年10月28日
北米興行収入 $24,361,870


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
メイン州。
小島にある小さな町で、中年の住み込みメード、ドロレス・クレイボーン(キャシー・ベイツ)が、雇い主である富豪夫人ヴェラ・ドノヴァン(ジュディ・パーフィット)殺害容疑で身柄を拘留される。

ニューヨーク
ジャーナリスト、セリーナ・セントジョージ(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、母ドロレスの起こしたと思われる事件をFAXで知らされる。

事件のあった町の役場を訪ねたセリーナは、州警察のジョン・マッケイ警部(クリストファー・プラマー)と会い、保安官の弟フランク・スタムショー(ジョン・C・ライリー)に事件の内容を聞く。

母ドロレスと再会したセリーナは、彼女を引き取り実家に帰るが、母娘仲はしっくりいかず、まともな会話が成り立たない。

ドロレスは久し振りの娘との再会で、彼女の少女時代や、自分が殺したという疑いがかけられた夫ジョー(デヴィッド・ストラザーン)の姿が幻影として現れる。
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...全てを見る(結末あり)

一見、気さくでユーモアのあるジョーだったが、ドロレスを罵り酒を飲み、彼女に暴力を振るっていた。

ドロレスは、我慢の限界に達してジョーの頭を殴り、以後、屈服はしないことを夫に誓う。
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22年間ドノヴァン夫人に仕えてきたドロレスは、たった週40ドルの辛い仕事を、セリーナのためだけに続けてきたことを彼女に話す。

鑑識検査のため、毛髪を採取しに来たマッケイ警部を毛嫌いする母ドロレスを見て、セリーナは疑問に思う。

マッケイは、父が死んだ時に、ドロレスを厳しく尋問した担当刑事だったのだ。

セリーナは町でマッケイと出くわし、彼が検挙できなかった事件が、唯一ジョーの殺害事件だったと言われ、彼に対して、あからさまに不快感を示す。

父ジョーの殺害事件以来セリーナは、住民からの嫌がらせなどを受け、それを引きずり精神を病み、薬を常用していた。

翌日、ドロレスは、ドノヴァン夫人の屋敷に私物を取りに行き、夫人を殺す動機で、その場にいたマッケイと言い争いになる。

しかしドロレスは、夫人の遺産160万ドルが、自分に遺されていたことを知る。

8年前に書かれたその遺言状が、夫人殺害の動機となることを確信しているマッケイは、今回は必ず決着をつけるということをドロレスに伝える。

遺産で弁護士が雇えるというセリーナに、ドロレスは夫人の死の真相を語り始める。

自分一人で何一つ出来ない、惨めな生き方に嫌気が差したドノヴァン夫人は、自ら階段から転げ落ち、ドロレスに止めを差すよう懇願したのだった。

弁護士のリストを作ったセリーナは、ドロレスとの会話の中で、父ジョーが暴力を振るったことを知らないと言い出し、子供時代を思い出す。
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飛び級ができるほど、成績優秀だったセリーナ(エレン・ミュース)は、突然成績が落ちてドロレスは心配する。

セリーナを問い詰めたドロレスは、11年間貯めていた娘の学資預金を夫ジョーが解約し、さらに彼は娘に対して性的虐待を加えていることを知る。

ドロレスの落ち込む姿を見たドノヴァン夫人は、彼女から全てを聞き、セリーナと逃亡するという彼女に、”所詮この世は男の世界、世間では夫が毎日殺されている、私は経験者”という衝撃的告白を聞く。

愛人のいた夫人の夫は、自動車事故に見せかけられて、彼女に殺されていたのだ。

さらに、”生きるため、悪女になることも必要で、それを生きるよすがとすることも・・・”と、ドロレスは夫人から夫殺害を後押しされる。

日食の日、ジョーに酒を飲ませ、もてなしたドロレスは、セリーナの預金と虐待の話を持ち出し、興奮した彼を裏庭に誘い込み古井戸に転落させてしまう。
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弁護士を手配し、実家を後にしたセリーナは、ドロレスからの伝言が入ったテープを聴き、父親の死の真相を知る。

帰りのフェリーの上で、セリーナは父ジョーにされた忌まわしい行為を思い出し、審理中の母ドロレスの元に向かい、彼女の弁護を始める。

あくまでドロレスを罪人扱いするマッケイに対して、セリーナは、彼の母への仕打ちは、キャリアで唯一の汚点である、父ジョーの殺害を検挙できなかった腹いせでしかないことを主張する。

セリーナは言葉を荒げるが、やがて冷静さを取り戻し、告訴されても、ニューヨークには母を救おうとする弁護士がいくらでもいることをマッケイに伝える。

マッケイは言葉を返せず、ドロレスはセリーナに手をとられて退席する。

そしてセリーナは、ドロレスが何をしたとしても、全ては自分のためにしてくれたことだと理解し、母と固く抱き合い旅立つ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
メイン州
小島にある小さな町で、住み込みのメード、ドロレス・クレイボーンが、雇い主である富豪ドノヴァン夫人殺害容疑で身柄を拘留される。
母ドロレスの起こしたと思われる事件を知らされたセリーナは、州警察のマッケイ警部と会い、その内容を知る。
ドロレスは娘セリーナと再会し、彼女と家に戻り、自分が殺したという疑いがかけられた、夫ジョーのことを思い起こす。
そして、しっくりこない母娘関係に戸惑いながら、ドロレスは、セリーナのためだけに、22年もの間、辛い仕事に耐え続けてきたことを話す。
そんなドロレスは、夫殺しの疑いで厳しい尋問をされたマッケイを毛嫌いしていた。
マッケイが、唯一検挙できなかったのが父の事件だと言われたセリーナは不快感を示す。
その後、ドロレスに、ドノヴァン夫人の遺産160万ドルが入ることが分かり、マッケイは、それが彼女の夫人殺害の動機になると考える。
しかしドロレスは、2つの殺人事件に隠された意外な真実を、娘のセリーナに語り始める・・・。
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2つの殺人事件に関係し、あるトラウマを抱える娘のために、人生を捧げた主人公の心の葛藤と、その両方の事件を執拗に追う刑事との激しいぶつかり合いや、実力派俳優の、迫力すら感じる演技が見所の力作。

その登場人物の心理的描写を、繊細且つ大胆に表現したテイラー・ハックフォードの演出も見事だ。

数あるスティーヴン・キング原作の映画化作品の中で、「ショーシャンクの空に」(1994)などと並び評価の高い作品でもある。

主人公ドロレスが、夫を殺害する場面の日食の効果や、ダニー・エルフマンの重々しい音楽も、スリラー作品としての効果を高めている。

スティーヴン・キング自身が、キャシー・ベイツを主人公と想定して書き上げたと言われる程の、彼女の迫力ある演技は秀逸で、5年前にアカデミー主演賞を受賞した、同じS・キング原作の「ミザリー」(1990)に引けをとらない見事な演技を見せてくれる。

トラウマを抱える主人公の娘ジェニファー・ジェイソン・リーの、過去の体験に苦悩する姿と、クライマックスで、警部を迫力と知性で論破する逞しさも印象に残る。

キャリアの汚点を消し去ろうと、主人公を葬ることだけに執念を燃やす警部を演ずるクリストファー・プラマーの、ベテランらしい重厚な演技も光る。

ドロレスを罵倒し娘にまで虐待を加える、デヴィッド・ストラザーンの珍しい汚れ役も見ものだ。

軽い役だと思いきや、主人公に、夫殺害の助言をする時の表情の怖さが際立つジュディ・パーフィット、地元警察の巡査ジョン・C・ライリー、セリーナ(J・J・リー)の少女時代を演ずるエレン・ミュース、セリーナの編集社の同僚エリック・ボゴシアン、そして銀行員でボブ・ガントンなどが共演している。


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