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ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago (1965)

ノーベル賞受賞作家ボリス・パステルナークが1957年に発表した同名小説の映画化。
混迷する世の中(ロシア革命)で、誠実な医師が妻や愛人への愛で生き抜こうとする姿を描く、製作カルロ・ポンティ、監督デヴィッド・リーン、主演オマー・シャリフジュリー・クリスティジェラルディン・チャップリントム・コートネイアレック・ギネスロッド・スタイガーラルフ・リチャードソン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・リーン

製作:カルロ・ポンティ
原作:ボリス・パステルナークドクトル・ジバゴ
脚本:ロバート・ボルト

撮影
フレデリック・A・ヤング

ニコラス・ローグ
編集:ノーマン・サベージ
美術・装置
ジョン・ボックス

テレンス・マーシュ
音楽:モーリス・ジャール

出演
ユーリー・アンドレアヴィッチ・ジバゴ:オマー・シャリフ

ラーラ・アンティポフ:ジュリー・クリスティ
トーニャ・グロムイコ:ジェラルディン・チャップリン
パーシャ・アンティポフ/ストレルニコフ:トム・コートネイ
エフグラフ・アンドレアヴィッチ・ジバゴ将軍:アレック・ギネス
ヴィクトル・コマロフスキー:ロッド・スタイガー
アレキサンダー・グロムイコ:ラルフ・リチャードソン
アンナ・グロムイコ:シオバン・マッケンナ
アメリア:アドリエンヌ・コリー
ボリス・カート教授:ジョフリー・キーン
トーニャ・コマローヴァスカヤ:リタ・トゥシンハム
コストヤド・アモースキー:クラウス・キンスキー

アメリカ/イギリス/イタリア 映画
配給 MGM

1965年製作 193分
公開
イギリス:1966年4月26日
イタリア:1966年12月10日
北米:1965年12月22日
日本:1966年6月18日
製作費 $11,000,000
北米興行収入 $111,721,900


アカデミー賞 ■
第38回アカデミー賞

・受賞
脚色・撮影(カラー)・作曲・美術(カラー)・衣装デザイン賞(カラー)・ノミネート
作品・監督
助演男優(トム・コートネイ
編集・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
エフグラフ・アンドレアヴィッチ・ジバゴ将軍(アレック・ギネス)は、医師でありながら詩人でもあった義兄ユーリ(オマー・シャリフ)の娘を捜していた。

そしてエフグラフは、ユーリが妻ラーラ(ジュリー・クリスティ)を題材にした詩集や写真を見せながら、彼らの娘と思われる少女トーニャ・コマローヴァスカヤ(リタ・トゥシンハム)に、語り始める。
__________

19世紀末、ロシア
両親を亡くした幼いユーリは、母の遺したバラライカを手に科学者アレキサンダー・グロムイコ(ラルフ・リチャードソン)とアンナ(シオバン・マッケンナ)夫妻に引き取られる。

成長して医学生となったユーリは、既に詩人として名声を得ていたが、それは趣味でしかなかった。

仕立屋の娘ラーラ(ジュリー・クリスティ)は、結婚を考える革命運動家の学生パーシャ・アンティポフ(トム・コートネイ)が、街頭でビラ配りをして連行されかけているところを、兄だと言って助ける。
...全てを見る(結末あり)

ラーラは、母アメリア(アドリエンヌ・コリー)と噂のある弁護士ヴィクトル・コマロフスキー(ロッド・スタイガー)とが出かけようとした際、発熱した母に代わり、彼と食事に出かけることになる。

高級レストランで食事をしたコマロフスキーは、若いラーラに魅力を感じ、彼女を誘惑してしまう。

その頃、パーシャも参加した労働者達の皇宮への請願行進を、政府が鎮圧して大通りは血に染まり、それをユーリは目撃してしまう。

通りに出て、負傷者の手当てをしていたユーリは、関わりあうなとアレキサンダーに説得される。

ユーリは、グロムイコの娘トーニャ(ジェラルディン・チャップリン)と兄妹以上の仲で、パリから戻った彼女を歓迎する。

デモで怪我をしたパーシャが、ラーラの元に現れるのだが、彼は活動を止める気はなかった。

ある日、ラーラの母アメリアが、娘とコマロフスキーの関係を知り自殺を図る。

ユーリが、恩師ボリス・カート教授(ジョフリー・キーン)と共にコマロフスキーに呼ばれる。

そして、ユーリはその場で、コマロフスキーとラーラの関係を知ってしまう。

パーシャに会ったコマロフスキーは、彼が災いの元だと言ってラーラから引き離そうとする。

そして、ユーリとトーニャの婚約も発表されるクリスマス・パーティーの席上で、ラーラはコマロフスキーを銃撃してしまう。

混乱する会場に、パーシャが現れてラーラを連れ出し、全てを知った彼は動揺するものの彼女を許す。

コマロフスキーの傷の手当てをしたユーリは、ラーラを捨てようとする彼から、自分達の関係を口止めされる。

1914年。
ロシア第一次大戦に参戦し、ボリシェヴィキに身を投じていたエフグラフは軍内部に入り込み、 革命のための組織作りを始めようとしていた。

ユーリは医師として従軍し、ラーラと結婚したパーシャは入隊して消息を絶ってしまう。

2年後、動かない戦況に、戦場を放棄した兵士達は革命に走り始める。

ユーリは、夫パーシャを捜しながら、戦場で看護師として働くラーラと出くわし、銃撃現場にいたことを彼女に伝える。

その頃、内戦が激化していたロシアでは、レーニンモスクワ入りし、帝政が終わり労働者の国が誕生しようとしていた。

戦場で互いに助け合い生活するうちに、ユーリとラーラは惹かれ合うようになっていた。

やがて、ラーラと別れモスクワに戻ったユーリは、家族と共に飢えと物資不足に苦しむ生活を続ける。

ユーリは、革命軍の幹部になっていた義弟エフグラフに出会い、彼の協力で、家族を連れてヴァリキノの別荘に越す決意をする。

貨物列車の車両でのヴァリキノへの旅の途中で、白衛軍と間違えられたユーリは、赤軍指揮官になっていたパーシャ”ストレルニコフ”の元に連行されて尋問される。

パーシャは、理想の高い青年から、狂信的な革命家へと変貌し、ユーリは、ラーラがユリアティンにいることを聞かされ解放される。

ヴァリキリに着いたユーリ達は、別荘が押収されていたため、隣接の小屋を手直しして住居にし、畑を耕して食料を確保しようとする。

その後、ユーリ達は、”ストレルニコフ”の失脚と皇帝が銃殺されたことを知る。

やがて、厳しい冬を越し春を迎え、ユリアティンの図書館を訪ねたユーリは、そこでラーラと再会して愛を確かめ合う。

ユーリは、二人目の子供を身ごもった妻トーニャを気遣いながらも、ラーラとの情事を繰り返す。

ラーラと別れる決心をしたユーリは、それを彼女に伝えに行った帰りに、医師が必要なパルチザンに捕らえられてしまう。

月日は流れ、パルチザンから逃れてユリアティンにたどり着いたユーリは、家族がヴァリキリを離れたことを知る。

ユーリはラーラの元に向かい、ロシアから追放されるというトーニャの手紙を受け取る。

そこにコマロフスキーが現れ、ユーリの思想が反革命的であり、ストレルニコフの妻ラーラにも危険が迫っていることを伝える。

二人はコマロフスキーの援助を断り彼を追い払い、忠告を無視してヴァルキノの別荘で暮らし始める。

ユーリは怯えるラーラを励ましながら、やがて詩集”ラーラ”の執筆を始める。

しかし、再び現れたコマロフスキーに、ストレルニコフが死んだことをユーリは知らされる。

ラーラと子供に及ぶ危険を考えたユーリは、自分の子を身ごもっている彼女らをコマロフスキーに託す決心をする。

8年後。
エフグラフの世話になっていたユーリは、モスクワ市内でラーラを見かける。

ユーリはラーラの後を必死に追おうとするが、大通りで心臓発作を起こして倒れ息を引き取る。

エフグラフは、ユーリの葬儀でラーラに会い、生き別れとなった娘の捜索を依頼される。

その後ラーラは、強制収容所で死亡したことがわかる。
__________

エフグラフは、動揺するトーニャが、ラーラと別れた状況を確認し、彼女を姪だと確信して力になりたいことを伝える。

トーニャをダムで働く恋人が迎えに来たため、エフグラフは二人を見送る。

その場を去ろうとするトーニャが、バラライカを持っていることに気づいたエフグラフは、彼女にそれが弾けるのかを尋ねる。

トーニャの恋人が、アーチストのような腕前だと自慢し、誰にも習わなかったとも聞いたエフグラフは、”それは才能だ”と言って、立ち去る彼女らを笑顔で見守る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
孤児として、裕福なグロムイコ夫妻に引き取られた幼いユーリ・ジバゴは、やがて詩人としての名声を得ながら医師となる。
そんなユーリは、実力者でもある弁護士のコマロフスキーに目をかけられている、仕立て屋の娘ラーラに惹かれるものを感じる。
ラーラはコマロフスキーに、恋人である革命家の学生で、危険人物のパーシャと別れるように言われ、彼を銃撃してしまう。
幼馴染である、グロムイコの娘トーニャとの結婚を決めたユーリは、母親の愛人のコマロフスキーと、パーシャとの関係で悩むラーラの存在が気になる。
その後、ロシア第一次大戦に参戦して、ユーリは、トーニャと結婚後に従軍医師となる。
ラーラは、結婚後に入隊して消息を絶った夫パーシャを捜しながら看護師をしていたが、ユーリと戦場で出くわす。
そして、ラーラを以前から知っていることを伝えたユーリは、過酷な戦場での仕事を支えてくれる彼女に惹かれ、その後、二人には愛情が芽生えるのだが・・・。
__________

政治的な圧力により、辞退することにはなるが、ノーベル賞受賞者となったボリス・パステルナークが、体制批判的な内容のために祖国では長い間刊行されず、1957年にイタリアで発表された同名小説の映画化。
ソ連で刊行されたのは1987年。

広大なロシアの大地や、モスクワ市内の見事なセットなど、デヴィッド・リーンらしい、スケール感のある映像美と、繊細な人物描写が堪能できる作品。

第38回アカデミー賞では作品賞をはじめ10部門にノミネートされて、脚色、撮影(カラー)、作曲、美術(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(トム・コートネイ
編集・録音賞

参考:
ドラマで登場する、ウラル山脈をモデルにした山々などは、カナダで撮影された。

アラビアのロレンス」(1962)に続き2度目のアカデミー賞受賞となった、モーリス・ジャールの”ラーラのテーマ”は、忘れられない名曲だ。

同作の好演も記憶に残るオマー・シャリフは、生き延びる苦しみを、愛によって癒そうとする青年医師を見事に演じ、ゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞した。

同年の「ダーリング」(1965)で、アカデミー主演賞を受賞することになるジュリー・クリスティの、結局は完結しない主人公への愛を含め、そのもの悲しい表情が印象的だ。

強かな実力者だが、主人公の二人を救おうとする弁護士ロッド・スタイガー、終始感情を表に出さずにいたが、姪を捜し出した際にみせる笑みが印象に残る将軍アレック・ギネス、理想高き青年から、革命のリーダーになるトム・コートネイ、ラーラ(ジュリー・クリスティ)の存在を気にしながらも夫(ユーリ)に尽くすジェラルディン・チャップリン、その父で幼い主人公を引取り育てるラルフ・リチャードソン、妻シオバン・マッケンナ、ユーリの恩師ジョフリー・キーン、ユーリとラーラの娘役リタ・トゥシンハム、ラーラの母親アドリエンヌ・コリー、そして、貨物車の場面のみの短い出演で個性を見せるクラウス・キンスキーなどが共演している。


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