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第9地区 District 9 (2009)

突然、飛来したエイリアンを隔離し管理する人間の苦悩を描く、製作、監督、脚本ニール・ブロムカンプ、主演シャールト・コプリーデヴィッド・ジェームズジェイソン・コープ他共演、全世界に衝撃を与えたSFアクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー


スタッフ キャスト ■
監督:ニール・ブロムカンプ

製作総指揮
ケン・カミンズ

ビル・ブロック
製作
ピーター・ジャクソン

ニール・ブロムカンプ
脚本
ニール・ブロムカンプ

テリー・タッチェル
撮影:トレント・オパロッチ
編集:ジュリアン・クラーク
音楽:クリントン・ショーター

出演
ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ:シャールト・コプリー

クーバス・ヴェンター大佐:デヴィッド・ジェームズ
クリストファー・ジョンソン(エイリアン)/グレイ・ブラッドナム:ジェイソン・コープ
タニア・ファン・デ・メルヴェ:ヴァネッサ・ハイウッド
ニコラス・ファン・デ・メルヴェ:ジョン・ヴァン・スクール
サンドラ・ファン・デ・メルヴェ:マリアン・フーマン
ピエト・スミット:ルイス・ミナー
カトリナ・マッケンジーシルヴァン・ストライク
レス・フェルドマン:ジョン・サムナー
ホープ:ジェド・ブロフィ
マイケル・ブロムスタイン:ヴィットリオ・レオナルディ
フンディスワ・ムランガ:マンドラ・ガドゥカ
オビサンジョ:ユージーン・クンバニワ
トーマス:ケネス・ンコースィ
ダーク・マイケルズ:ウィリアム・アレン・ヤング
サラ・リヴィングストン:ナタリー・ポルト
フランシオス・モラヌー:ニック・ブレイク

アメリカ/ニュージーランド 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ

2009年製作 112分
公開
北米:2009年8月14日
ニュージーランド:2009年8月13日
日本:2010年4月10日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $115,502,310
世界 $210,819,610


アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞

・ノミネート
作品・脚色・編集・視覚効果賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1982年3月、南アフリカヨハネスブルグ
突然飛来した、巨大な飛行物体は数ヶ月の調査の末、内部に弱りきったエイリアン達がいることが確認され、政府は地上に彼らの避難キャンプ”第9地区”を設置する。

その後、キャンプはスラム化し、それを武力で監視するのだが、人々は不安を抱え、やがて暴動が起き、エイリアンを追い払おうとする。

エイリアンは軽蔑され”エビ”と呼ばれ、彼らにとって勃発する事故などは娯楽に過ぎなかった。

そして26年後、市民はエイリアンの排斥運動を起こし、彼らの移設が検討される。

エイリアンを管理する民間企業”マルチ・ナショナル・ユナイテッド”/MNUは、180万ものエイリアンを、ヨハネスブルグから200キロ離れた安全地帯に移送させる計画を進める。

MNUのヴィカス・ファン・デ・メルヴェ(シャールト・コプリー)が、義父でもあるMNU南アフリカ代表のピエト・スミット(ルイス・ミナー)から、その計画の責任者に任命される。
...全てを見る(結末あり)

そして、ヴィカスの指揮するエイリアン移送計画は始まるが、彼らを説得することは困難を極める。

その頃、ナイジェリア人地区では、エイリアンを相手にあくどい商売や取引が横行し、それを仕切るのはヨハネスブルグを牛耳るオビサンジョ(ユージーン・クンバニワ)だった。

ヴィカスはオビサンジョにかかわりを持つのを避け、その後、エイリアンの卵の孵化装置を見つけて焼却処置させる。

MNUは人道的な理由でエイリアンを移送すると言ってはいたが、実は世界第二位の武器製造メーカーであるために、彼らの武器を奪うのが目的だったのだ。

その頃、エイリアンのクリストファー・ジョンソン(ジェイソン・コープ)らは、地球にある物質を組み合わせ、20年かけてある液体を開発していた。

液体を隠したジョンソンだったが、ヴィカスがそれを見つけ、顔に浴びてしまう。

その後、見たこともない武器を発見したヴィカスだったが、エイリアンの抵抗に遭い負傷してしまう。

ジョンソンに立ち退き命令を伝えたヴィカスは、彼の家の中で大量のコンピューターを見つける。

その直後に、気分が悪くなったヴィカスは、その場を引き上げ、途中で回復して食事をする。

鼻から黒い液体が垂れているのに気づいたヴィカスは、再び体調不良を起こして社に戻ると、爪がはがれてしまう。

同じ頃、キャットフードに目のないエイリアンは、それと武器をオビサンジョと交換していた。

しかし、その武器はエイリアンにしか使えず、ナイジェリア人は、エイリアンの体を食べることでパワーを得られ、それが使えるようになると信じた。

最悪の気分で帰宅したヴィカスは、昇進祝いのパーティーの最中に、黒い液体を吐き意識を失ってしまう。

妻タニア(ヴァネッサ・ハイウッド)に付き添われ、病院に向かったヴィカスは、怪我をした左手がエイリアンのように変形しているのを知り取り乱してしまう。

ヴィカスは、感染患者としてMNU本社に緊急搬送され、検査の末に、彼の腕でエイリアンの武器が使えることが判明する。

その後もヴィカスは実験材料にされ、罪もないエイリアンを標的に武器の発射テストも強要される。

そして、エイリアンに変身していくヴィカスの体は、MNUにとっては数十億ドルもの価値があると判断され、解体処置されることになる。

MNU代表の父親スミットから、ヴィカスが助からないことを聞いたタニアは動揺してしまう。

しかし、処置を受けようとしていたヴィカスは抵抗して逃亡し、その連絡を受けたスミットはMNUの傭兵部隊のクーバス・ヴェンター大佐(デヴィッド・ジェームズ)に連絡を入れる。

逃亡を続けたヴィカスの行動は世界中が注目し、彼は仕方なく”第9地区”に逃げ込む。

盗んだ携帯電話でタニアと連絡が取れたヴィカスは、自分がエイリアンと交わったと言うスミットが、嘘をついていることを彼女に伝える。

しかし、父であるスミットの言葉を信じたタニアは、ヴィカスを見捨ててしまい、彼は思い余って腕を切り落とそうとする。

それをためらったヴィカスは、指を切り落とし、その激痛に耐えながら、迫った傭兵軍から逃れようとする。

ジョンソン(エイリアン)の家に逃げ込んだヴィカスは、彼に助けを求め気を失ってしまう。

ヴィカスが液体を手に入れたことに気づいたジョンソンは、彼から、それがMNUの研究所で取り上げられたことを知らされる。

ジョンソンは、小屋の地下で脱出装置の指令船を組み立てていて、母船に戻ればヴィカスを治療する手段があることを伝える。

そして、脱出装置を飛ばすためには、例の液体が必要なことを知ったヴィカスは、何とか液体を取り戻す方法を考える。

その間も、ヴィカスの体は変化し続け、スミットは彼とタニアの電話の会話を傍受して行動を把握する。

オビサンジョの元に向かったヴィカスは、武器を手に入れようとするが、逆に殺されそうになってしまう。

しかしヴィカスは、その場にあったエイリアンの武器を使い、オビサンジョらを威嚇してその場を立ち去る。

その後、ヴィカスとジョンソンは武器を持ってMNU本社に押し入り、研究室で液体を見つける。

ジョンソンは、その場で行われているエイリアンの生体実験などを知り愕然としてしまう。

そこに突入してきた、傭兵部隊に攻撃されたヴィカスだったが、ジョンソンの作った爆弾で壁を爆破し、車を奪い脱出に成功する。

二人はジョンソンの家に戻り、彼の息子に液体を渡し指令船を起動させようとする。

ヴィカスは、体を元に戻すには3年かかるとジョンソンに言われ、彼を叩きのめして地下に向かう。

そこに、クーバスら傭兵部隊が現れジョンソンを拷問するが、ヴィカスが指令船を作動させて飛び立ち母船に向かう。

しかし、クーバスがミサイル攻撃を命じ、それが指令船に命中して墜落する。

捕らえられたヴィカスとジョンソンは移送されるが、そこにオビサンジョの手下が現れる。

ヴィカスは、捕らえられオビサンジョの元に連れて行かれ、殺されそうになる。

クーバスは援軍を要請し、オビサンジョの部下らに攻撃を仕掛ける。

その頃、指令船に残っていたジョンソンの息子が、遠隔で母船を操作し、オビサンジョが所持していた武器を作動させて彼らを皆殺しにする。

やがて、母船は”第9地区”上空に近づき、ジョンソンを痛めつけたクーバスは、その狙いを聞きだそうとする。

ヴィカスは、ロボット型兵器内部に入り、ジョンソンを助けて指令船に向かう。

攻撃を受けたヴィカスはジョンソンを逃がし、彼と息子は無事母船に到着する。

ロボット内部から放り出されたヴィカスは、クーバスに銃を向けられるが、彼はエイリアンに襲われて殺される。

ジョンソンは母船を起動させて飛び去り、民衆はその動向を見守り、ヴィカスは姿を消してしまう。

その後、”第9地区”のエイリアンは”第10地区”に移送され、その数は250万と増え続ける。

タニアは、ドアの外に置いてあった、金属で作った花が気になり、それがヴィカスのしたことではないかと思っていた。

そして、エイリアンに変身したヴィカスは、愛するタニアのために、ゴミをあさって花を作り続ける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
南アフリカヨハネスブルグ上空に、突如飛来した巨大な宇宙船には、多数のエイリアンが搭乗していた。
政府は彼らを地上に移し、”第9地区”として隔離監視する。
26年後、それら全てを管理する民間企業MNUは、スラム化したキャンプから新たな地区へのエイリアン移送計画を進めることになる。
責任者ヴィカス・ファン・デ・メルヴェは計画を実行するが、実は兵器製造メーカーのMNUは、エイリアンにしか扱うことの出来ない、彼らの武器を奪うことが目的だった。
ヴィカスは、移送計画を実行しながらキャンプを調べある物質を発見し、その中の液体を浴びてしまう。
その後、体調に異変をきたしたヴィカスは、徐々にエイリアンへと変身してしまう。
MNU側は、ヴィカスがエイリアンの武器を扱えることを知り、その体を実験材料に使おうとするのだが・・・。
__________

ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソンが全面的にバックアップした作品。

長編作品デビューの監督、製作、脚色、担当のニール・ブロムカンプと無名キャストにも拘らず、その斬新なストーリーや映像が絶賛された作品。

第82回アカデミー賞では、作品、脚色、編集、視覚効果賞にノミネートされた。

出演者のギャラが低いせいか、大規模で凝った映像の割には製作費は抑えられている。
製作費 $30,000,000

エイリアンの造形や特撮に手抜きはなく、ドキュメンタリー・タッチの映像もかなりリアルだ。

全編を取材カメラで撮っているように見せている手法も新鮮で、血しぶきなどがそのカメラに飛び散る映像などが現場の緊迫感を伝える。

北米興行収入は約1億1600万ドルで、全世界では約2億1100万ドルのヒットとなった。

存在を隠して引っ張り、これ見よがしにエイリアンを登場させるのではなく、彼らが地上での共同生活を強いられ、人間に同化している描き方で始まる冒頭などは、かなりショッキングだ。

明らかに、アパルトヘイトを意識した隔離政策、犯罪に絡む大企業のモラルなど、社会性を感じるダイナミックな描写がドラマに重みを加え、単なるSFアクションの域を超えているところも注目だ。

セリフの殆どをアドリブでこなしたという主人公シャールト・コプリー、彼を追い詰める傭兵部隊の大佐デヴィッド・ジェームズ、知能の高いエイリアン(声)とラジオ局特派員二役を演ずるジェイソン・コープ、主人公の妻ヴァネッサ・ハイウッド、父親ジョン・ヴァン・スクール、母親マリアン・フーマン、主人公の義父でMNUの代表のルイス・ミナー、主人公の後任マンドラ・ガドゥカ、UIO(世界連合)医師のシルヴァン・ストライクなどが共演している。


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