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間諜X27 Dishonored (1931)

敵国のスパイ同士として互いを愛してしまった男女の許されない恋を描く、監督、脚本、編集のジョセフ・フォン・スタンバーグ自身の原案”X-27”を基にした、主演マレーネ・ディートリッヒヴィクター・マクラグレングスタフ・フォン・セイファーティッツワーナー・オーランド他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

マレーネ・ディートリッヒ / Marlene Dietrich / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ

原案:ジョセフ・フォン・スタンバーグ”X-27”
脚本
ダニエル・N・ルービン
ジョセフ・フォン・スタンバーグ

撮影:リー・ガームス
編集:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
音楽
カール・ハヨス

ハーマン・ハンド

出演
マリー・コルヴァラー/X27:マレーネ・ディートリッヒ
クラノウ大佐:ヴィクター・マクラグレン
オーストリア諜報機関長官:グスタフ・フォン・セイファーティッツ
フォン・ヒンダウ大佐:ワーナー・オーランド
コフリン大佐:ルー・コディ
銃殺隊中尉:バリー・ノートン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

1931年製作 91分
公開
北米:1931年4月4日
日本:1931年8月


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1915年、第一次大戦下、ウィーン
裏町の通りに立つ娼婦マリー・コルヴァラー(マレーネ・ディートリッヒ)は、ある男(グスタフ・フォン・セイファーティッツ)に拾われて部屋に向かう。

某国政府と関係ががるという男は、男を手玉に取れる女を探していることをマリーに伝える。

それが、祖国を裏切ることになることを察したマリーは警察官を呼び、男は連行される。

オーストリア諜報機関長官だった男は、翌日マリーを呼び出し、彼女の愛国心を確認する。

長官は、売国奴フォン・ヒンダウ大佐(ワーナー・オーランド)の裏切りを証明するため、マリーをスパイ”X27”として彼に接触させようとする。

淑女に変貌したX27は、仮装舞踏会で足の悪い男(ヴィクター・マクラグレン)とヒンダウに近づく。
...全てを見る(結末あり)

2人と会場を後にして、男は車を降り、X27とヒンダウは、彼の屋敷に向かう。

X27は、ヒンダウを誘惑しようとするが、そこに長官から彼に電話が入る。

その間、X27はヒンダウの部屋を探り、現われた執事には、タバコを探していることを伝える。

執事は、主人がタバコを吸わないことを伝えるが、X27は、車の中で、ヒンダウが男からタバコを渡されたことを思い出す。

ヒンダウのコートから、ロシア製のタバコを抜き取ったX27は、それを吸いながら、戻って来た彼が全てを悟ったことに対し、既に手は回ったことを伝える。

そしてヒンダウは、現われる諜報部の者を待つと言って、書斎に入り自害する。

それを長官に報告したX27は、例の”男”を追いカジノに向かう。

その男、大尉(ヴィクター・マクラグレン)に近づいたX27は、キスを賭けて、彼にルーレットで”27”に賭けさせる。

大尉はそれを外し、X27のキスを要求して彼女を誘うものの、冗談だと言われてその場を立ち去る。

X27は、長官から次の任務に就くように指示され、部屋に戻った大尉は、彼女の所持品を調べて、その指令内容を知る。

大尉はX27を余裕で待ち構え、お互いの立場を知った彼は、自分がロシアの大佐/クラノウだということを伝える。

そして、自分を誘うX27を拒み、クラノウは部屋を去り、彼女は次の任地のロシアに向かう。

メイドとして、ロシア兵宿舎に潜伏していたX27は、女好きの大佐コフリン(ルー・コディ)に気に入られながら、諜報活動を続ける。

祖国に戻っていたクラノウは、偶然にその宿舎で、X27が飼っていた猫に気づき、泥酔しているコフリンに誰といたかを確かめようとする。

メイドが逃げたことを知ったクラノウは、X27を捕らえて身体検査を始め、彼女が持っていた楽譜に目をつける。

楽譜の曲を、X27にピアノで弾かせたクラノウだったが、自分が代わり、暗号だと知りながらそれを燃やしてしまう。

自分の命が夜明けまでだと知ったX27は、クラノウと一夜を過ごすことを望み、彼もそれに応える。

お互い惹かれ合っていることを確認した二人だったが、X27は、クラノウのワインに睡眠薬を入れる。

サーベルを抜いたクラノウだったが、たちまち意識を失い、彼のサインを真似して、通行証を偽造したX27は、それを利用してその場を離れ、オーストリアに戻る。

そして、X27は、ピアノを弾きながら暗号を思い出し、それを情報部に知らせ、その結果、ロシア側は痛手を受ける。

クラノウは捕虜となり、その場に居たX27は彼に気づき、彼が大物スパイだと知った上層部は彼を拘束する。

X27は、クラノウを処刑する前に尋問して口を割らせるべきだと主張し、10分間だけその時間を与えられる。

クラノウはX27の元に連れて行かれるが、彼女の銃を奪いその場を逃れ飛行機を奪い逃亡する。

X27は、クラノウをわざと逃がしたことで軍に裁かれ、迷いなく、それが愛からだと語る。

国家反逆罪で死刑が宣告されたX27は、現われた神父に、娼婦時代の服とピアノを用意して欲しいことを伝える。

洋服に着替えてピアノを弾いたX27は、時間となり、身だしなみを整えて処刑場に向かう。

銃殺隊中尉(バリー・ノートン)が差し出す目隠しで、彼の涙を拭いたX27は、長官も見守る中、銃殺体の前で微笑む。

処刑の合図をしようとした中尉は、抜いたサーベルを投げ捨て、女を殺したくないと叫び、これは虐殺で、祖国のための行為かと訴える。

X27は動揺することもなく、口紅を塗りストッキングを調え、中尉はその場から連れ去られる。

そして、代わりの将校が刑を執行し、X27は雪の上に崩れ落ちる。

長官は、X27の遺体に敬礼してその場を立ち去る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ウィーンの裏町に立つ娼婦マリーは、諜報部長官に目をつけられ、売国奴である軍将校フォン・ヒンダウ大佐の裏切りを証明するためのスパイ”X27”として諜報活動を始めることになる。
大佐に接触したX27だったが、彼はそれに気づき自害してしまう。
X27は、大佐と通じていた大尉に接近して、二人はお互いがスパイだと気づき、彼は自分がロシアの大佐/クラノウだということを告げる。
二人は惹かれ合うものの、任務遂行を優先して別れ、X27は次の任地ロシアに向かう。
X27は、ロシア兵宿舎のメイドとして潜伏して諜報活動を続けていたが、クラノウはそれに気づき、彼女を拘束するのだが・・・。
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嘆きの天使」(1930)、「モロッコ」(1930)に続く、ジョセフ・フォン・スタンバーグマレーネ・ディートリッヒコンビによる、立て続けに製作された三作目の作品。

今観ても驚くのだが、マレーネ・ディートリッヒの、女性としてのなまめかしい色気、その仕草や表情の描写などは秀逸で、当時の男性は、どのような思いで彼女を見ていたのかと思うだけで興味津々というところだ。

大筋では純粋なスパイ劇ではあるが、内容は悲恋のドラマで、特に、娼婦であった女性が、愛国心で祖国のために尽くし、結局は敵国のスパイに恋したために命を落とすという、衝撃のメロドラマとなっている。

一貫してクールな役柄のヒロインが、心を寄せる敵国将校の想いを強調する、二重露光の効果などは見事としか言いようがない。

また、随所で挿入されるヨシフ・イヴァノヴィチ作曲のワルツ”ドナウ川のさざなみ”のもの悲しいメロディが印象に残る。

不適な笑みと豪傑的な役柄が後の彼を印象付ける、ロシアの大物スパイ、ヴィクター・マクラグレン、諜報機関長官グスタフ・フォン・セイファーティッツ、自国大佐でスパイのワーナー・オーランドロシア軍大佐ルー・コディ、クライマックスの処刑を担当する中尉のバリー・ノートンなどが共演している。


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