手段を選ばない暴力的はみだし刑事”ハリー・キャラハン”の活躍を描く、製作、監督ドン・シーゲル、主演のクリント・イーストウッドが大スターになるきっかけとなった作品であり、ハリー・ガーディノ、ジョン・ヴァーノン、アンディ・ロビンソン共演による映画史上に残る刑事アクションの傑作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ドン・シーゲル
製作総指揮:ロバート・デイリー
製作:ドン・シーゲル
脚本
ハリー・ジュリアン・フィンク
R・M・フィンク
ディーン・リーズナー
ジョン・ミリアス(クレジットなし)
撮影:ブルース・サーティーズ
編集:カール・パインジター
音楽:ラロ・シフリン
出演
ハリー・キャラハン:クリント・イーストウッド
アル・ブレスラー:ハリー・ガーディノ
市長:ジョン・ヴァーノン
スコルピオ:アンディ・ロビンソン
チコ・ゴンザレス:レニ・サントーニ
マッケイ本部長:ジョン・ラーチ
フランク・ディジョージオ:ジョン・ミッチャム
ジャフィー:ウッドロー・パーフリー
銀行強盗:アルバート・ポップウェル
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1971年製作 102分
公開
北米:1971年12月22日
日本:1972年2月26日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $28,153,40
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
サンフランシスコ。
あるビルの屋上から、プールで泳いでいる女性が狙撃される。
現場に向かった、サンフランシスコ市警察殺人課の刑事ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)は、”10万ドルの要求を呑まねば犠牲者が増える”という犯人”スコルピオ”(アンディ・ロビンソン)の脅迫状が、狙撃現場に残されているを見つける。
市長(ジョン・ヴァーノン)はその脅迫に屈する意思のないことを、マッケイ本部長(ジョン・ラーチ)とアル・ブレスラー警部補(ハリー・ガーディノ)に伝える。
一応、現金は用意して警察に預けるという市長は、担当刑事のキャラハンを呼び出す。
キャラハンは、市長に事務的な捜査報告を始めるが、時間稼ぎをしようとすることに意見する。 自分が犯人を捕まえてみせると、自信を見せるキャラハンだったが、彼の行き過ぎる行動や捜査を周りは心配する。 その後、ハンバーガー・ショップでランチを食べようとしていたキャラハンは、銀行の前に駐車した不審車に気づく。 店主ジャフィー(ウッドロー・パーフリー)に、警察に連絡するよう伝えたキャラハンだったが、その瞬間、銀行の警報が鳴り響く。 キャラハンは、人ごみの中でも迷わず銃(44マグナム/S&W M29)を抜き、難なく犯人を撃退してしまう。 そしてキャラハンは、傷を負わせた強盗犯(アルバート・ポップウェル)に銃口を向け、脅しをかけて観念させる。 捜査が進行する中、キャラハンの行動が気になる上司ブレスラーは、大学出の新人チコ・ゴンザレス(レニ・サントーニ)を彼の相棒につける。 単独行動か相棒にはベテランを好むキャラハンだったが、ここは仕方なくそれに従う。 そんな矢先、要求した金の準備に時間がかかるという警察の知らせを受けたスコルピオは、ビルの屋上で再び住民に銃口を向ける。 しかし、スコルピオは警戒中のヘリコプターに見つかり、今回は狙撃を阻止されてしまう。 キャラハンの捜査も進まず、犯人を追ったつもりが、街のゴロツキに逆に袋叩きに遭ってしまう。 その後、自殺志願の男の救出に借り出されたキャラハンは、こんな仕事ばかりだから、”ダーティハリー”と呼ばれるとゴンザレスに愚痴をこぼし嘆く。 そして、スコルピオの予告通りアフリカ系の少年が犠牲になる。 次は神父だろうという予告に従い、教会のミサの最中に張り込むキャラハンらだったが、思惑通り現れたスコルピオを銃撃戦の 逆上したスコルピオは計画を変更し、少女を誘拐し身代金20万ドルを要求してくる。 やがて、キャラハンとの過酷な任務に、新人の相棒ゴンザレスは精神的に参ってしまう。 20万ドルの届け役になったキャラハンは、無線機を用意して護衛のゴンザレスと共に、スコルピオの指示に従う準備を始める。 現金を受け取り指示された場所に向かい、スコルピオの連絡に従うキャラハンだったが、結局は街中を振り回され、デヴィッドソン山の公園の十字架に行くことになる。 そして、丸腰になったキャラハンを、スコルピオが痛めつけて殺そうとした時、後をつけていたゴンザレスが発砲する。 ゴンザレスは撃たれてしまい、キャラハンは隠し持っていたナイフをスコルピオの太ももに突き刺すものの、気を失ってしまう。 ゴンザレスは重傷を負い、キャラハンは肋骨を骨折して、今回の行動と尾行をつけた理由などをブレスラーは追求する。 その後キャラハンは、スコルピオらしき男の傷の治療をした医師からの通報を受ける。 同僚のフランク・ディジョージオ(ジョン・ミッチャム)と病院に向かったキャラハンは、スコルピオの潜伏先がケザー・スタジアムだということを知り現場に向かう。 キャラハンに気づいたスコルピオは、スタジアムのフィールドに逃れる。 ディジョージオが照明を照らした瞬間、キャラハンは追い詰めたスコルピオの足を容赦なく撃ち抜く。 キャラハンは、少女の居所を聞き出そうとして、スコルピオの傷口を踏みつける。 しかし、キャラハンの追求も空しく、少女は遺体で発見される。 今回のキャラハンの行き過ぎた行動は拷問と判断され、人権侵害ということになり、証拠のないスコルピオは釈放されてしまう。 尾行を続けるキャラハンを気にするスコルピオは、元ボクサーに自分を痛めつけさせて病院に担ぎ込まれ、犯人をキャラハンに 傷の癒えないゴンザレスは、教師の資格もあることで警察を辞める決心をするが、キャラハンはそれを止めようとはしなかった。 回復したスコルピオは、再び強盗犯罪を犯し、次にスクールバスを襲い、子供を人質にとりジェット機と現金を要求してくる。 市長に呼び出されたキャラハンは、再び現金を運ぶ役を命ぜられるが、彼は即刻スコルピオを逮捕するべきだと主張する。 子供達の命を優先する市長と意見が合わず、キャラハンは運び屋を拒否し、単独でスコルピオを追う。 キャラハンはスクールバスの屋根に飛び乗り、スコルピオは採石場に突入してバスを捨てる。 スコルピオは、釣りをしていた子供を人質に取るが、キャラハンのマグナムが唸りを上げる。 肩を撃たれながらもせせら笑うスコルピオが、銃に手をやろうとした瞬間、キャラハンは止めの一撃を喰らわす。 そして、警察官に愛想が尽いたキャラハンは、バッジを池に投げ捨て、その場を立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
末、取り逃がしてしまう。
仕立て上げ、彼を陥れる。
参考:
・「ダーティハリー」(1971)
・「ダーティハリー2」(1973)
・「ダーティハリー3」(1976)
・「ダーティハリー4」(1983)
・「ダーティハリー5」(1988)
*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ。
市警殺人課の刑事ハリー・キャラハンは、無差別殺人の犯行声明と共に、現金を要求する犯人のスコルピオ捜査を担当することになる。
キャラハンは、手ぬるい市長の考えに従う気になれず、独自の方法で捜査を始める。
行き過ぎた行動が問題視されているキャラハンだったが、周囲の意見を無視しながら犯人を追い詰め痛めつけてしまう。
その結果、相棒のゴンザレスは重傷を負ってしまい、キャラハンの行為は人権侵害と判断され犯人は釈放されてしまう。
しかし、犯人には再び犯罪を犯し、考えを変えない市長側の考えに対し、キャラハンは容赦ない制裁を加えようとする・・・。
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この年、「フレンチ・コネクション」(1971)のジーン・ハックマンが演じたドイル”ポパイ”役の強烈なキャラクターに続き、スターの仲間入りをしつつあった、彼と同じ41歳のクリント・イーストウッドが、いよいよハリウッドの頂点に向かい歩み始めるきっかけとなった記念すべき作品。
組織や規則になじめず、暴力的であっても自らの流儀を貫こうとする、情け無用の男、その斬新なキャラクターをイーストウッドは見事に演じ、ドン・シーゲルの男臭い演出も見応え十分だ。
”ハリーの現場は血の雨が降る”というほど、悪に対し徹底的に容赦ない”制裁”を加えようとす主人公の姿は、恐ろしささえ感じる。
最近は年齢のせいか背が縮んでしまったように見えるイーストウッドの、際立つ長身(193cm)を活かした迫力あるアクションも見物だ。
一撃必殺、狩猟にも使う大型拳銃の6.5インチ44マグナム/S&W M29は、捜査に向かう主人公が異常者に思えるほど破壊力のある拳銃で、一般的には警察官が所持するような銃ではない。
主人公の無謀振りは、続編の「ダーティハリー2」(1973)でより強烈に描かれているが、銀行強盗を捕まえようと、ショットガンの弾を足に受けながらも、平然として逆に犯人を脅しにかかるシーンなどは圧巻だ。
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そのシーンのハリーの決めゼリフは、「ダーティハリー2」(1973)では冒頭で使われる。
”This is a 44 Magnum, the most powerful handgun in the world, and would blow your head clean off, you’ve got to ask yourself a question: Do I feel lucky? Well do ya, punk!”
かつてのジョン・ウェインのように、伝説化しつつあるイーストウッドのこのャラクターは、他の作品で引用されるほどスタンダードになっているのも実に嬉しい。
ラロ・シフリンのテーマ曲も痺れるほど素晴らしい。
参:ラロ・シフリン音楽担当作品
「シンシナティ・キッド」(1965)
「ブリット」(1968)
「燃えよドラゴン」(1973)
「ミッション・インポッシブル」(1996)etc.
サンフランシスコの空撮や、ビルの屋上をからの効果的なショットの数々とカメラワークも見事で、撮影はイーストウッド作品の常連であるブルース・サーティーズが担当する。
*ブルース・サーティーズは、名カメラマン、ロバート・サーティーズの息子である。
本作には布石となる作品があり、同じイーストウッドとドン・シーゲルの「マンハッタン無宿」(1968)がそれだ。
イーストウッド演ずる主人公”クーガン”の”ハリー・キャラハン”以上のはみ出しデカぶりは、これを観ずして「ダーティハリー」は語れないほどだ。
無謀な主人公の行動が気がかりな上司役ハリー・ガーディノとジョン・ラーチ、市長ジョン・ヴァーノン、異常な殺人犯スコルピオ役のアンディ・ロビンソン、警察官の実情を知り辞職する主人公の相棒レニ・サントーニ、主人公の同僚ベテラン刑事でロバート・ミッチャムの弟ジョン・ミッチャム、ハンバーガー・ショップの店主役のウッドロー・パーフリー、今後シリーズ4作に違う役で登場する、銀行強盗役のアルバート・ポップウェルなどが共演している。