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デビルズ・ノット Devil’s Knot (2013)

1993年にアーカンソー州、ウェスト・メンフィスで実際に起きた3人の少年の猟奇殺人事件”ウエスト・メンフィス3”を描く、監督アトム・エゴヤン、主演リース・ウィザースプーンコリン・ファースデイン・デハーン他共演の犯罪ミステリー。
2002年に発表された、マーラ・レヴァリットの著書”Devil’s Knot: The True Story of the West Memphis Three”を基に製作された作品。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:アトム・エゴヤン

製作
エリザベス・フォウラー
リチャード・サパースタイン
クラーク・ピーターソン
クリストファー・ウッドロウ
ポール・ハリス・ボードマン
製作総指揮
モリー・コナーズ
マリア・セストーン
サラ・E・ジョンソン
ホイト・デヴィッド・モーガン
マーラ・レヴァリット
スコット・デリクソン
ジェイコブ・ペチェニック
マイケル・フリン
原作:マーラ・レヴァリット”Devil’s Knot: The True Story of the West Memphis Three
脚本
ポール・ハリス・ボードマン
スコット・デリクソン
撮影:ポール・サロッシー
編集:スーザン・シプトン
音楽:マイケル・ダナ

出演
パメラ・ホッブス:リース・ウィザースプーン
ロン・ラックス:コリン・ファース
クリストファー・モーガン:デイン・デハーン
ヴィッキー・ハッチソン:ミレイユ・イーノス
デヴィッド・バーネット判事:ブルース・グリーンウッド
ダミアン・エコールズ:ジェームズ・ハムリック
ジェイソン・ボールドウィン:セス・メリウェザー
ジェシー・ミスケリーJr.:クリストファー・ヒギンズ
ジェリー・ドライヴァー:イライアス・コティーズ
ジョン・フォグルマン:スティーヴン・モイヤー
テリー・ホッブス:アレッサンドロ・ニヴォラ
マーガレット・ラックス:エイミー・ライアン
ヴァル・プライス:クリストファー・ポラーハ
ポール・フォード:マット・レッシャー
ダン・スティダム:マイケル・グラディス
ジョン・マーク・バイヤーズ:ケヴィン・デュランド
ブライアン・リッジ刑事:ロバート・ベイカー
グローリ・シェトルズ:コレット・ウォルフ
ゲイリー・ギッチェル警部:レックス・リン
ブレント・デイヴィス:マーティン・ヘンダーソン
スティーヴ・ジョーンズ:テッド・ハッカビー
ジョー・リン:ケリー・ケイヒル

アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2013年製作 114分
公開
北米:2014年5月9日
日本:2014年11月14日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $2,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1993年5月5日、アーカンソー州、ウェスト・メンフィス
パメラ・ホッブス(リース・ウィザースプーン)の8歳の息子スティーヴィーは、遊びに来たマイケルとクリスと共に自転車に乗りに行く。

約束した時間にスティーヴィーが戻らないため、パメラは夫のテリー(アレッサンドロ・ニヴォラ/スティーヴィーの義父)と共に息子を捜しながら職場のレストランに向かう。

その後もスティーヴィーを捜したテリーは、仕事を終えたパメラを迎えに行き、息子が戻らず見つけられないことを伝える。

クリスの父親ジョン・マーク・バイヤーズ(ケヴィン・デュランド)は、警察に通報する。

レストランに血まみれの黒人がいるという連絡を受けた警官は、バイヤーズの話を聞いた後で現場に向かう。
...全てを見る(結末あり)

マネージャーから話を聞いた警官は、姿を消したという男を捜す。

少年三人の捜索は住民だけで始まり、パメラとテリーは、スティーヴィーらが向かったと思われる森の中に入る。

テリーと共に警察署に向かったパメラは、捜査を始めないことを抗議して帰る。

その後も三人は見つからず、住民の不安は募る。

捜査の指揮を執るゲイリー・ギッチェル警部(レックス・リン)は、動揺している住民を刺激しないために、聞き込みなどの際は気を遣うよう部下に指示する。

捜査は拡大して大掛かりとなり、ある場所で、靴ひもで手足を縛られた三人の少年の全裸死体が水中で発見され、彼らの自転車も引き上げられる。

現場に駆け付けたパメラは、ショックを受けて絶叫する。

調査会社を経営するロン・ラックス(コリン・ファース)は、その様子を見守る。

その後、パメラとテリーを訪ねたブライアン・リッジ刑事(ロバート・ベイカー)は、捜査線上の青年クリストファー・モーガン(デイン・デハーン)の写真を見せて、会ったことがあるかを確認する。

カリフォルニアに移り住んでいたクリストファーは警察に呼び出され、アイスクリーム販売をしていた際に、スティーヴィーらに会ったことを話す。

地元警察からその件について連絡を受けたギッチェルは、再度クリスを尋問するよう要請する。

16歳のジェイソン・ボールドウィン(セス・メリウェザー)、18歳のダミアン・エコールズ(ジェームズ・ハムリック)は、サタンや死の世界など”悪魔崇拝”に興味を持っていた。

保護観察官のジェリー・ドライヴァー(イライアス・コティーズ)は、ヘヴィメタルなどが悪魔崇拝につながることを、ギッチェルらを前にして講義する。

1993年5月6日。
ヴィッキー・ハッチソン(ミレイユ・イーノス)の息子アーロンは、スティーヴィーらが殺された現場にいたことをギッチェルらに話す。

ヘヴィメタルに興味を持つダミアンに話を聞いたギッチェルは、犯人が犯行を楽しんだと言われ、その場にいたジェイソンが三人の少年を知らないことと、二人が神を信じることを確認する。

再び質問されたアーロンは、森には人がいたと答え、17歳のジェシー・ミスケリーJr.(クリストファー・ヒギンズ)に捕まって縛られ、脇腹を切られそうになったことを話す。

抵抗したアーロンは、クリスを切るよう指示されたことも話す。

6月3日。
リッジに尋問された知的障害のあるジェシーは、5月5日にジェイソンとダミアンと共に森に行ったことを認める。

アーロンは、ジェシーとダミアンが、バケツにクリスの血を入れたことを話す。

その件をリッジから聞かれたジェシーは、拳でクリスを殴り、ジェイソンがスティーヴィーに襲いかかり、マイケルが逃げたため、自分が追いかけて殴って連れ戻し、その後、帰ったと伝える。

リッジからナイフのことを聞かれたジェシーは、ジェイソンが少年を切るのを見たと話す。

警察は、ジェイソンとダミアンを殺人容疑で逮捕する。

6月4日。
オフィスにいたラックスは、アシスタントのグローリ・シェトルズ(コレット・ウォルフ)から、警察の記者会見が始まることを知らされる。

ラックスは、少年三人の殺人容疑で、ダミアンとジェシーが逮捕、起訴されるというギッチェルの発表を聞く。

町では、悪魔崇拝が殺人の動機になったという話題で持ちきりになり、ジェシーも含めた三人の死刑は確実視される。

死刑に反対するラックスは、容疑者三人の弁護人ヴァル・プライス(クリストファー・ポラーハ)、ポール・フォード(マット・レッシャー)、ダン・スティダム(マイケル・グラディス)に無償で協力することを伝える。

ラックスは三人について調べ始め、ダミアンの保護観察官だったドライヴァーから、彼が異常でオカルトに傾倒していたことを知らされる。

収監されているダミアンに会ったラックスは、ドライヴァーが言ったことなどを参考にして話を聞く。

パメラが記者のインタビューを受ける姿をテレビで見たテリーは、息子を亡くしたばかりの母親とは思えないと言って、彼女を批判する。

反論したパメラは、スティーヴィーに厳し過ぎたテリーは義理の息子に嫉妬していたと伝える。

憤慨したテリーは、その場にあったテーブルと椅子を壁に叩きつけて壊し、悲しむ母親を演ずるようパメラに指示する。

8月4日。
自白を撤回したジェシーが共同被告に対する証言を拒否したため、デヴィッド・バーネット判事(ブルース・グリーンウッド)は、彼の裁判を分離し、反対尋問の権利は認められないことを弁護人スティダムに伝える。

裁判所から出てきた被告三人は、住民から罵声を浴びる。

離婚訴訟中の妻マーガレット(エイミー・ライアン)に会ったラックスは、州警察が彼女の仕事場に現れ、自分のことを全て調べていることを知らされる。

三人の被告を本気で助ける気なのかをマーガレットに聞かれたラックスは、警察に確信があるなら、なぜ別れた妻に探りを入れるのかと伝える。

離婚協議書にはサインするとマーガレットに言い残したラックスは、その場を去る。

1994年1月26~2月4日、ジェシーの裁判。
傍聴席でリッジの遺体発見時の証言を聞いていた犠牲者クリスの父バイヤーズは、犯人を即刻、死刑にすることを望み、その考えをテリーに伝える。

リッジが見せた、手足を靴ひもで縛られたスティーヴィーの遺体の写真を見せられたパメラは、耐え切れずに退席する。

その夜、裏庭を歩くスティーヴィーの幻覚を見たパメラは、事件の日に彼がしていた宿題の用紙を見つける。

翌日、学校に向い、担任にそれを採点してもらったパメラは、今回も満点だと言われる。

よく勉強する良い子だったと言うパメラは、歩み寄って来た子供達を抱き寄せる。

次の公判で、ギッチェルは、証拠として提出されなかったアーロンの録音テープを再生し、それを聴いたジェシーが、事件現場にいたと言ったことを証言する。

弁護人スティダムに質問されたギッチェルは、ジェシーの証言と事実の矛盾点を追及される。

犯行時間や少年をロープで縛ったと言ったジェシーは、混乱していたとギッチェルは答える。

判決は下り、ジェシーは第一級殺人罪で有罪になるが、パメラは疑問を感じる。

パメラに話しかけようとするラックスは、迷惑だと言うテリーから、彼女には近づくなと言われる。

その後、マスコミに対応するバイヤーズの様子を不審に思ったラックスは、取材スタッフから情報を得て、バイヤーズのナイフにクリスの血液が付着していたことをギッチェルに確かめる。

公判で証言させられたバイヤーズは、その件を弁護人のフォードに追及される。

縛ったのはロープで、バケツの血をコップに入れて飲まされたというアーロンの記録ビデオを見たラックスは、彼の証言が信じられるず、ハッチンソン家に向かう。

アーロンの母親ヴィッキーに会ったラックスだったが、関わりたくないと言われる。

ヴィッキーを警察に呼んだ刑事から話を聞いたたラックスは、カード詐欺の疑いがあったために彼女と話したことを知る。

刑事は、その後、ヴィッキーがアーロンを連れて警察に現れたことを話す。

ヴィッキーは、犠牲者の少年達と親しかったアーロンが、情報を提供できると刑事に伝える。

ラックスは、ヴィッキーの話が全て嘘だと断言するが、刑事はジェシーの証言があると伝える。

ヴィッキーの件で事態を好転させることができなかったラックスと弁護人らは、ジェシーが彼女に利用されただけだと考える。

ラックスらは、最初から三人が犯人の標的となっていたと考えるものの、自分達でそれを証明するしかなかった。

調査が行き詰る中、ラックスは、事件の夜に起きた、血だらけの黒人の件でレストランのマネージャーから話を聞く。

アシスタントのグローリは、事件の初期段階で捜査線上に上がったクリストファーのことをラックスに確認する。

尋問されたクリストファーは犯行を否定するものの、嘘発見器でクロと出たため、刑事の厳しい追及を受ける。

その後、クリストファーが法廷に現れたため、パメラは驚く。

弁護人はクリストファーを証人として法廷に呼ぶが、バーネット判事はそれを認めず、非公式と言う条件で証言させることを伝え、関係者以外は陪審員を含めて退廷させられる。

バーネット判事は、17時間の尋問で犯行を否認したクリストファーの証言を尊重するが、弁護人のフォードは納得しない。

陪審員の前でクリストファーを証言させることができないフォードとプライスは行き詰まり、他にも証言テープがあるはずであり、更に追及するよう指示するラックスと対立してしまう。

辛い日々が続くパメラは、スティーヴィーが大切にしていたナイフのことを思い出し、彼の部屋を探すものの見つからない。

普段使わない屋根裏部屋を調べたパメラは、テリーの道具箱の中のナイフを見つける。

ダミアンに不利な証言をすれば減刑されるという、検察側の取引をフォードから提案されたジェイソンはそれを拒む。

仕方なく弁護人は、数人の少女を証人にして、ダミアンが主犯者だということを印象付ける。

血まみれの黒人の件で証言したレストランのマネージャーは、翌日、事件現場から現れたリッジらと同じように、男のズボンが泥だらけだったと話す。

証言台のリッジは、その場で採取した血痕を鑑識に送っていないと語り、サンプルは紛失したと言って自分のミスを認める。

弁護人は、黒い服を着ることや悪魔崇拝が殺人に必ず結び付くとは限らないと語る。

判決は下り、ダミアンとジェイソンは、三人の少年を殺害した罪で第一級殺人罪により有罪となる。

異論があるかをバーネット判事に聞かれ、ジェイソンは、自分は無実だと伝える。

バーネット判事は、陪審員により判決は下されたとジェイソンに伝え、終身刑となり仮釈放も認められないと付け加える。

ダミアンに対してバーネット判事は、1994年5月5日に、薬物による死刑執行を宣告する。

事件現場に向かったラックスは、その場にいたパメラに声をかけて、自分達を忘れないようにと言われる。

忘れることはできないと言うラックスは、パメラをテレビで見た時から、調査を始めて資料を調べ尽したことを伝える。

犯人の三人に同情できないだろうとパメラに伝えたラックスは、もし彼らが無実なら、他の三家族も息子を失うと語る。

パメラは、夫テリーの道具箱にあった、祖父の贈り物であるスティーヴィーのナイフを見せる。

どこに行くにもスティーヴィーが必ずそれを持っていたと話すパメラは、事件の日も持っていたはずだとラックスに伝える。

なぜテリーがそれを持っていたのかは不明で、彼の関与を聞かれたパメラは、分からないと答える。

ジェシーの証言も曖昧で、彼は何も知らないだろうと考え、レストランの血だらけの男、バイヤーズのナイフ、少女達の不可思議な証言、聞かせてもらえないクリストファーの証言など、警察や判事が誰を犯人にするかを決めたように思えるとパメラは話す。

何も理解できないと言うパメラに、自分も分からないと伝えたラックスは、三人が無実なのは確かだと言い切る。

ナイフをラックスに渡したパメラは、その場を去る。

その後、スティーヴィーの部屋を片付けたパメラは、娘を連れて家を出る。
__________

警察に証言したアーロンは、実際には何も知らないと現在は言っている。

母親のヴィッキーも証言を撤回し、警察に脅されたために話したと主張している。

裁判の2年後、バイヤーズの妻が自宅で遺体で発見され、死因は不明だった。

1993年、テリー・ポップスの体毛サンプルの分析を警察は行わなかった。

ロン・ラックスは現在でも弁護団に協力し、テリーのDNAサンプルを密かに入手した。

2007年、DNA分析の結果、犠牲者マイケル・ムーアの靴ひもにあった体毛とテリーの体毛が一致した。

レストランの血まみれの男は、結局は発見されなかった。

18年服役した後、ダミアン、ジェイソン、ジェシーの三人は、アーカンソー州と特殊な取引をした。

三人は2011年に釈放されたが、未だに”既決重罪犯”のままである。

パメラ・ポップスは、現在も息子が殺された事件の真相を追っている。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1993年5月5日、アーカンソー州、ウェスト・メンフィス
8歳の少年三人が行方不明になり、パメラ・ホッブスの息子が犠牲となる。
町は悲しみに包まれ、同時に犯人に対しての住民の怒りが噴出する。
その後、警察は、犠牲者を知る少年や捜査線上に上がった青年クリストファーの証言を基に、悪魔崇拝に傾倒する少年ダミアン、ジェイソン、ジェシーを逮捕する。
住民は、犯行を悪魔崇拝のによるものと考えて、犯人を即刻、死刑にするべきだと訴える。
そんな時、調査会社を経営するラックスは、警察の捜査などの手落ちに気づき、容疑者三人の無実を信じ、弁護人に協力することを決める。
裁判は始り、容疑者の犯行は疑いないものとして考えられるのだが、パメラはそれに疑問を抱き始める・・・。
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1993年に、アーカンソー州のウェスト・メンフィスで実際に起きた、三人の少年の猟奇殺人事件”ウエスト・メンフィス3”を描いた作品で、当初から疑問を持たれた冤罪を追及する内容となっている。

舞台となる田舎町が保守的な場所であり、特定の思想を集中的に攻撃する偏見により、マスコミも加わった先導的な動きで、三人の少年達を犯人に仕立て上げたのではないかと疑われている事件でる。

エンディングにもあるように、一人が死刑で二人は終身刑の判決を受けるが、司法取引により、三人は18年の実刑の末に釈放された。

事実とは言えない推測の域を脱しない内容であるため、やや説得力に欠けるような描写や演出が気になる。

アトム・エゴヤンの演出、オスカー俳優リース・ウィザースプーンコリン・ファースの競演も見所の作品ではあるが、事件の内容のせいか評価も低く拡大公開もされず、興行的には失敗に終わった作品。

犠牲者の母親でありながら、三人の容疑者の犯行を疑うリース・ウィザースプーン、三人の無実を信じ弁護人に協力する調査会社の経営者コリン・ファース、捜査線上に上がる青年デイン・デハーン、証言をする少年の母親ミレイユ・イーノスデヴィッド・バーネット判事のブルース・グリーンウッド、三人の容疑者、ダミアン・エコールズのジェームズ・ハムリック、ジェイソン・ボールドウィンのセス・メリウェザー、ジェシー・ミスケリーJr.のクリストファー・ヒギンズ、保護観察官イライアス・コティーズ、主人公の夫で犠牲者の義父アレッサンドロ・ニヴォラ、ラックス(コリン・ファース)の元妻エイミー・ライアン、弁護士スティーヴン・モイヤークリストファー・ポラーハマット・レッシャーマイケル・グラディスマーティン・ヘンダーソン、犠牲者の少年の父親ケヴィン・デュランド、刑事ロバート・ベイカー、警部レックス・リン、レックスのアシスタント、コレット・ウォルフなどが共演している。


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