”デジャヴ”現象を利用して爆破事件を解決しようとする捜査官の活躍を描く、製作ジェリー・ブラッカイマー、監督トニー・スコット、主演デンゼル・ワシントン、ポーラ・パットン、ヴァル・キルマー、ジェームズ・カヴィーゼル他共演のサスペンス・アクション。 |
・デンゼル・ワシントン / Denzel Washington 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:トニー・スコット
製作総指揮:テッド・エリオット 他
製作:ジェリー・ブラッカイマー
脚本
テリー・ロッシオ
ビル・マーシリイ
撮影:ポール・キャメロン
編集:クリス・レベンゾン
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演
デンゼル・ワシントン:ダグ・カーリン
ポーラ・パットン:クレア・クチヴァー
ヴァル・キルマー:ポール・プライズワーラ
ジェームズ・カヴィーゼル:キャロル・オースタッド
アダム・ゴールドバーグ:アレクサンダー・デニー
エルデン・ヘンソン:ガナーズ
エリカ・アレクサンダー:シャンティ
ブルース・グリーンウッド:ジャック・マクレディ
マット・クレイヴェン:ラリー・ミヌーティ
エンリケ・カスティーヨ:クチヴァー
アメリカ 映画
配給 タッチストーン・ピクチャーズ
2006年製作 126分
公開
北米:2006年11月22日
日本:2007年3月17日
制作費 $75,000,000
北米興行収入 $64,034,840
世界 $180,557,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2005年8月の、ハリケーン・カテリーナの被害から立ち直りつつあったニューオーリンズ。
そんなある日、空母ニミッツの乗組員と家族を乗せたフェリーが爆破され、多くの犠牲者を出す。
ATF(アルコール・タバコ・火気・爆発物取締局)の捜査官 ダグ・カーリン(デンゼル・ワシントン)は捜査を開始しする。
FBI捜査官のポール・プライズワーラ(ヴァル・キルマー)が、ダグの相棒ラリー・ミヌーティ(マット・クレイヴェン)を訪ねて来る。
ラリーは休暇中だったが、爆破付近の橋を調べたダグは、”硝安油爆薬”の痕跡を見つけ、現場に残された証拠から、事故ではないことを確信する。 オフィスに戻ったダグは、女性から電話あったことを知り、彼は連絡して伝言を残す。 橋の監視カメラ映像をチェックしたダグは、事件前にバイクを止めて、何かをしている男を確認する。 ジャック・マクレディ(ブルース・グリーンウッド)FBI主任捜査官は記者会見を開き、543人もの犠牲者を出した、今回の事件を、テロと断定する。 その後、事故現場付近から、爆発事件とは無関係と思われ る女性、クレア・クチヴァー(ポーラ・パットン)の不審な遺体が見つかる。 ダグは、火傷を負い指を切断されたクレアの死体の検死に立会った後、彼女が迎えに行くはずだった父親(エンリケ・カスティーヨ)の話を聞く。 父親から、クレアの家の鍵を預かり、捜査に役立てるよう、ダグは彼女の写真も渡される。 クレアの家を調べたダグは、冷蔵庫の文字、売ろうとした車、血痕やそれが付着したガーゼ、拳銃など、様々な手掛かりを見つける。 さらにダグは、留守電に自分の伝言が残っていることで、電話をかけてきたのがクレアだと知る。 FBIのマクレディの元に向ったダグは、クレアの件を彼やプライズワーラに報告して、彼女を調べることが、事件を解決する鍵だと伝える。 ダグは、その場でラリーの車を見かけるが、マクレディは、それが犠牲者の回収車だと知らせる。 ダグに目を付けたマクレディは、衛星を複数使った状況再現システムを利用し、彼に捜査の協力を要請するよう部下のプライズワーラに指示する。 国家偵察局の研究開発チームである”スノー・ホワイト”は、アレクサンダー・デニー博士(アダム・ゴールドバーグ)をリーダーにした、4日と6時間前の現場の状況を再現できるシステムを開発していた。 最先端の技術に戸惑うダグだったが、そこに、クレアの映像が映し出される。 その後、手袋をしてクレアの家に入ったにも拘らず、現場で多くのダグの指紋が見つかったという、同僚からの連絡が入る。 その後もダグは、クレアのとった行動の全てを映像で確認していく。 クレアの葬儀を監視したダグは、4台の車に対し、運転手が5人いたことを気にする。 映像の中で、クレアの車を欲しがる男からの電話があり、それが、どこからかけられたかが分かる。 その映像から、犯人と思われる男の所持していたバッグが分かり、それを全市のデータと照合し、男がフェリー乗り場に行ったことを突き止める。 その映像が見られるのは7時間後だということだったが、ダグは、映像にペンライトを当てて、システムを混乱させてしまう。 過去を見ているはずの映像のクレアが、ライトに反応したことで、ダグは、その理由を説明するようデニーらに求める。 しかし、ダグには、デニーやシャンティ(エリカ・アレクサンダー)の説明が理解できない。 もう一つの進行する世界があると知らされたダグだったが、起きたことは変えることが出来ないということだった。 事件が起きる前に、それを回避できる可能性に気づいたダグは、オフィスにいる自分に、テロの容疑者がフェリー乗り場に行くというメモを転送するよう指示する。 転送は成功するが、過去のダグはオフィスを出た後で、事件の犠牲になったと思われる、同僚のラリーがそれに気づき、フェリー乗り場に向ってしまう。 映像はフェリー乗り場に切り替えられ、ラリーは、メモの指示通りに現場に向かう。 ラリーは、爆破犯人(ジェームズ・カヴィーゼル)に銃を向けるものの撃たれてしまい、車に乗せられ連れ去られる。 ダグは、チームのガナーズ(エルデン・ヘンソン)の車に乗り、時空を越えた映像が見えるゴーグルを付けて犯人を追う。 激しい追跡で事故に遭い、ゴーグルを壊したダグだったが、デニーの指示で犯人の隠れ家に到着する。 現実では、救急車が正面から突っ込み建物は火事に遭った後だった。 過去の映像では、息のあったラリーは犯人に射殺され、焼かれてしまう。 隠れ家の捜査は始まり、ダグはその場で、クレアの物と思われるピアスを見つける。 その後、犯人はキャロル・オースタッドだと分かり、指名手配の末に逮捕される。 ダグは、愛国心を振りかざし、自分の世界観を平然と語るキャロルを尋問する。 証拠を手に入れてキャロルが自白したため、マクレディは、捜査が終了したことをダグに告げる。 納得のいかないダグは、自ら時空を越え同時に進行している事故前の世界に行き、クレアを助け、フェリー爆破を阻止することを決断する。 ダグが決断することを予想していたデニーは準備を始め、それを知ったプライズワーラも、止めようとはしなかった。 そして、ダグは病院に転送され、蘇生で息をふきかえし、救急車を盗んでキャロルの隠れ家に急行する。 キャロルは、誘拐したクレアにガソリンをかけ、焼き殺そうとするが抵抗される。 顔を爪で傷つけられたため、クレアの指を切断しようとしたキャロルだったが、ダグが、救急車で正面から建物に突入する。 キャロルは、ガスの栓を開けて銃撃し建物を爆破するが、ダグは負傷しながらもクレアを助け出す。 キャロルはその場を立ち去り、ダグは、クレアの体が検死の時とは違い無傷だと確認し、恐怖に怯える彼女を落ち着かせる。 ダグは、フェリー乗り場に向うが、傷の手当てで彼女の家に立ち寄り、現在で見た家の様子や、状況通りのことを始める。 顔に袋を被されていたクレアはダグを犯人と疑うが、彼は顔の傷がないことや、ATFに電話をして、ダグの人相などを確認し、折り返し連絡するよう伝言を残す。 混乱するクレアに全てを話し、傷の治療を受けたダグだったが、部屋の状況が変わっていないことに気づく。 危険を察したダグは、友人からかかってきた電話の内容を言い当て、クレアは彼を信用してフェリー乗り場に向う。 ダグは、爆弾を仕掛けたキャロルが、その場を離れるのを確認し、クレアを残してフェリーに乗る。 バイクで橋に向かおうとしたキャロルだったが、クレアの車に気づいた彼はフェリーに戻る。 それを目撃したクレアも、出航するフェリーに飛び乗ってしまう。 ダグは、キャロルが橋の上に向っていないことに気づき、爆弾の仕掛けられている車に向う。 キャロルはクレアを捕らえて車に閉じ込め、声をかけてきた警備員を射殺する。 銃を乱射し始めたキャロルだったが、クレアを確認したダグが、彼女に車のエンジンをかけるよう指示する。 ダグは、刑務所で尋問した時の会話の内容をキャロルに語りかけ、クレアが彼に向って車を衝突させる。 キャロルを射殺したダグは、クレアを助けようとするが、爆破装置を作動させるラジオのスイッチが入り、そこから、”ザ・ビーチ・ボーイズ”の曲”Don’t Worry Baby”が流れる。 ダグは、車を動かすようクレアに指示するが、警備員に囲まれ、強引に車を川に落下させる。 クレアは何とか脱出するが、逃げ遅れたダグは車と共に爆死する。 大惨事は阻止され、クレアは生き延びるが、失意の彼女は呆然としてたたずむ。 やがて一人の捜査官が、クレアに歩み寄る。 クレアに優しく語りかけてきたのは、事件を捜査するために現れた、彼女のことを知らないダグだった。 クレアは、ダグが自分を救ってくれた時に言われた言葉”秘密を打ち明けても、相手に信じてもらえなかったら?”と彼に語りかける。 ダグは、”あきらめない”と答えて苦笑いして、ラジオの”Don’t Worry aby”を聞きながら、クレアと共に車で立ち去る。
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*(簡略ストー リー)
ニューオーリンズ。
空母ニミッツの乗組員と家族を乗せたフェリーが爆破され、543人の犠牲者を出す。
ATF(アルコール・タバコ・火気・爆発物取締局)の捜査官ダグ・カーリンは、現場検証の結果事件をテロと断定する。
その後ダグは、ある女性からの電話を受けていたことを知る。
事故現場付近で、爆発事件とは無関係と思われる女性クレアの遺体が見つかる。
ダグはクレアの家を捜査して、自分に電話をかけてきたのが彼女だと分かる。
FBIのマクレディ主任捜査官は、衛星を使った状況再現システムを利用し、ダグに捜査の協力を要請するよう、部下プライズワーラに指示する。
国家偵察局の研究開発チームは、4日と6時間前の、現場の状況を再現できるシステムを開発していた。
戸惑うダグだったが、手袋をしてクレアの家に入ったにも拘らず、そこから、自分の指紋が見つかったという連絡を受ける。
ダグは、事件が起きる前にそれを回避できる可能性に気づく。
事件の鍵を握るクレアの行動を調べるために、ダグは、時空を越えてその映像が確認できる装置を使い捜査を開始するのだが・・・。
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ATF捜査官のデンゼル・ワシントンが、心理的な捜査をしていくのかと思いきや、途中からはSF作品のような展開になっていく。
こういう作品にありがちな、話の辻褄合わせ的なところがやや気になるが、あまり堅苦しいことを考えないで観ることをお勧めする。
驚きというより、ほぼ予想通りといった結末もホッとする。
勇敢な”ニューオーリンズ市民に捧げる” というエンドロールのメッセージなのだが、ハリケーン・カトリーナの被害者には、かなり過激な内容にも思える。
しかし、困難に立ち向かう勇気や精神を重んじるアメリカの国民性からすると、これくらいは普通の感覚なのかもしれない。
北米興行収入は約6400万ドルに留まるものの、全世界では約1億8100万ドルのヒットとなった。
全てを完璧にコントロールしているような、落ち着き払ったデンゼル・ワシントンの演技は、正に芸術的な感じを受けて”美しくも”見える。
同じ年の「インサイド・マン」(2006)などでも随所で見せる、物事や相手に反応して笑みを浮かべる何気ない表情などは、とても演技に思えない自然さがある。
現在のハリウッドで、最高の演技派ではないだろうか。
年齢的に仕方ないが、ヴァル・キルマーの太り方に驚いてしまう。
しかし、ドラマが進むにつれて、役人らしい地味さをうまく表現し、好感が持てる演技を見せてくれる。
ジェームズ・カヴィーゼルの、屈折した考えの爆破犯人役の熱演も印象に残る。
いきなり無残な遺体で登場するポーラ・パットンも、時空を越えた展開の後半で大活躍する。
「ビューティフル・マインド」(2001)でも見せた、インテリがよく似合うアダム・ゴールドバーグも、いかにも天才科学者らしい雰囲気で好演している。
FBIの捜査主任ブルース・グリーンウッド、主人公の同僚マット・クレイヴェン、国家偵察局の研究開発チーム、エルデン・ヘンソン、エリカ・アレクサンダー、ヒロインの父エンリケ・カスティーヨなどが共演している。