暴漢に妻を殺され娘を傷つけられた男性が犯罪者に立ち向かう姿を描く、監督マイケル・ウィナー、主演チャールズ・ブロンソン、ホープ・ラング、ヴィンセント・ガーディニア、ジェフ・ゴールドブラム、オリンピア・デュカキス他共演による異色の復讐劇。 |
・デンゼル・ワシントン / Denzel Washington 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・ウィナー
製作
ハル・ランダース
ボビー・ロバーツ
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
原作:ブライアン・ガーフィールド
脚本:ウェンデル・メイズ
撮影:アーサー・J・オーニッツ
編集:バーナード・グリッブル
音楽:ハービー・ハンコック
出演
チャールズ・ブロンソン:ポール・カージー
ホープ・ラング:ジョアンナ・カージー
ヴィンセント・ガーディニア:フランク・オチョア警視
スティーヴン・キーツ:ジャック・トビー
ウィリアム・レッドフィールド:サム・クルッツァー
キャサリン・トーラン:キャロル・トビー
スチュアート・マーゴリン:エイムス・ジェインチル
スティーブン・エリオット:ドライヤー本部長
ジェフ・ゴールドブラム:強盗
グレゴリー・ロザキス:強盗
オリンピア・デュカキス:ジェメティ
ジャック・ウォレス:ハンク
デンゼル・ワシントン:路上強盗
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1974年製作 93分
公開
北米:1974年7月24日
日本:1974年11月
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $22,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
開発技師のポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)は、妻ジョアンナ(ホープ・ラング)とのハワイ旅行を終えニューヨークに戻る。
職場に出社したポールは、同僚のサム・クルッツァー(ウィリアム・レッドフィールド)から、ニューヨークの治安の悪さを指摘されるが気にも留めなかった。
ジョアナは娘のキャロル・トビー(キャサリン・トーラン)と買い物を済まし帰宅するが、彼女らに目を付けた街のチンピラ3人(ジェフ・ゴールドブラム他)に後をつけられる。 3人は食料品の配達を装い部屋に押し入り、ジョアナとキャロルを襲い、暴行してその場を立ち去る。 キャロルの夫ジャック(スティーヴン・キーツ)から連絡を受けたポールは、病院に急行する。 その後、キャロルは一命を取り留めるもののジョアナは息を引き取る。 キャロルはショックで廃人のようになってしまい、何不自由ない平和な生活を奪われたポールは、愕然として言葉を失ってしまう。 ジョアナの葬儀を済ませ、警察の事件担当刑事の元に向かったポールは、大都会の治安の悪さと、捜査が難航しそうなことを知る。 ポールは犯罪者のはびこる夜の街を歩く途中、暴漢に襲われそうになり、自己防衛のために持っていた靴下に入れた硬貨で撃退するが、その恐怖に震えてしまう。 出張でツーソンに向かったたポールは、クライアントのエイムス・ジェインチル(スチュアート・マーゴリン)と共に”オールド・ツーソン”のガンファイト・ショーを見学する。 勇敢な保安官が、たった一人で悪党を倒す自警精神を見たポールは、ジェインチルにガンクラブに連れて行かれる。 狩猟が趣味の父の影響で、銃に囲まれて育ったポールは、久し振りの銃の感触と、腕が鈍っていないことを確認する。 ニューヨークに戻ったポールは、キャロルが回復する様子がないため、苛立ちを隠せない。 帰宅したポールは、スーツケースの中の、ジェインチルからのプレゼント”コルト・ポリス・ポジティヴ”に気づく。 それを手にしたポールは、リバーサイド・パークに向かい暴漢に銃を向けられるが、咄嗟に銃を抜き相手を射殺してしまう。 そしてポールは、夜な夜な街に出て、悪党どもを容赦なく殺害していく。 一連の事件に関連性があることを確信したフランク・オチョア警視(ヴィンセント・ガーディニア)は、家族を殺された者の復讐、さらに退役軍人による犯行だと断定して捜査を進める。 地下鉄で悪党を二人殺したポールの犯行で、マスコミは、にわかに騒ぎ始め、警察のドライヤー本部長(スティーブン・エリオット)は、記者会見を開きコメントを発表する。 ドライヤー本部長は犯人に対し、強盗を殺しても何も解決にならないことを訴える。 それを見たポールは逆に気持ちが高ぶり、街中でわざと自分を狙わせるような行動を取る。 そしてポールは再び二人を襲うが、彼もナイフで傷つけられてしまう。 警察の見解とは対照的に、市民には自警意識が芽生え、”自警殺人者”への共感の声が高まる。 そしてオチョア警視は、食料品店と最初の犯行の区域住民の中から、ポールに目を付け彼の家宅捜査する。 地方検事とドライヤー本部長に呼ばれたオチョア警視は、ポールの血液と暴漢のナイフのものが一致したことで、彼を犯人と断定する。 しかし、ニューヨークの犯罪が”自警殺人者”の事件によって激減したことで、検事と本部長はポールを逮捕せず、脅しに留めることをオチョアに言い渡す。 オチョアはポールに、警察が監視していることを電話で伝え探りを入れて自宅を監視する。 それを知り裏口から抜け出したポールは、職場のオフィスから拳銃を持ち出し街に出る。 暴漢3人に襲われたポールは、2人を殺害するものの足を撃たれ、気を失ってしまう。 現場に駆けつけた警官に拳銃を渡したポールは、オチョアと会いたいことを伝え病院に運ばれる。 オチョアは、ポールに彼の拳銃を渡し、彼に街を出れば後を追わないことを約束する。 シカゴ支店勤務になったポールは、駅で暴漢達を見つけて彼らに睨みをきかせる。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「狼よさらば」(1974)
・「ロサンゼルス」(1982)
・「スーパー・マグナム」(1985)
・「バトルガンM‐16」(1987)
・「狼よさらば 地獄のリベンジャー」(1994)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
開発技師のポール・カージーは、ある日、妻ジョアンナと娘のキャロルが暴漢に襲われたという連絡を受ける。
キャロルは暴行され、一命を取り留めるものの、ジョアンナは死亡する。
ショックを受けたキャロルは廃人同然となってしまい、妻の葬儀を済ませたポールは、警察の捜査も難航しそうなことを知る。
そんなポールは、夜の街角で暴漢に襲われそうになり、自己防衛のために持っていた簡単な武器でそれを撃退する。
その後、出張先でガンファイト・ショーを見学したポールは、クライアントから銃を譲り受ける。
ニューヨークに戻り、ポールは公園に向かい、暴漢に出くわし銃を向けられるが、咄嗟に銃を抜き相手を射殺してしまう。
そして、ポールは夜の街を徘徊し、悪党を次々と殺害していく・・・。
__________
1972年に発表された、ブライアン・ガーフィールドの同名小説の映画化。
犯罪の温床ニューヨークを舞台に、たった一人で悪党に制裁を加える展開は、さながら現代の西部劇のようで、犯罪と知りながらも、思わず主人公を応援したくなってしまう。
当時流行っていた、生々しい暴力描写や、犯罪に怯える一般的な会社員が、次第に銃や制裁に魅了されていく姿を丁寧に描くマイケル・ウィナーの心理的な描写なども、単なる犯罪ドラマに終わらせていない、アメリカの抱える大きな問題を鋭くついている。
既に名コンビと言ってもよかった、主演のチャールズ・ブロンソンの息も合っている。
また、ハービー・ハンコックが音楽を担当しているのも注目だ。
長い下積み生活と名脇役としての時代を経て、50歳を前に国際派スターの仲間入りを果たし、1970年代に入りハリウッドでも一級の主演スターになった苦労人チャールズ・ブロンソンの人気を不動のものにした、”デス・ウィッシュ”シリーズの第一弾で、野性味溢れる彼が、ややひ弱に見える技師役で始まる設定も興味深い。
早々に強盗の犠牲になってしまう、「バス停留所」(1956)や「若き獅子たち」(1958)が懐かしいホープ・ラング、どこか憎めない行動力のある警視のヴィンセント・ガーディニア、主人公の娘婿のスティーヴン・キーツ、同僚ウィリアム・レッドフィールド、廃人になってしまう娘のキャサリン・トーラン、主人公が銃を扱うきっかけをつくるスチュアート・マーゴリン、警察本部長のスティーブン・エリオット、そして、暴漢役で無名時代のジェフ・ゴールドブラム、オリンピア・デュカキス、そして、デンゼル・ワシントンも路上強盗端役で登場する。
尚、13年後にヴィンセント・ガーディニアとオリンピア・デュカキスは「月の輝く夜に」(1987)で共演し、共にアカデミー助演賞にノミネートされ、オリンピア・デュカキスは見事に受賞する。